
西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

9:00 仙台駅から定義山方面へ
この連載でちょうど1年前に訪問した宮城。今回は東北の夏を感じる、仙台市の旅。
前回は仙台市内を周遊できる観光ループバス「るーぷる仙台」を利用しました。今回はさらに広いエリアを網羅して、JR・地下鉄・バスに乗れる「仙台まるごとパス」を使います。2日間使い放題、仙台空港鉄道にも利用できるので、飛行機を降りたところからすぐにお得旅がスタートできます。
観光地での割引クーポン付きなので、仙台観光ではぜひ購入したいチケットです。
チケットを購入したら早速バスで目的地へ。
最初に向かうスポットは、仙台西部の「定義山」です。

この旅ではスタートに、仙台駅の「みどりの窓口」へ立ち寄りました。

「仙台まるごとパス」とその「クーポンブック」を手に入れて、仙台市内をお得に周ります。

早速パスを使い、最初の目的地「定義山」へ向かいます。バスで終点までの1時間半の旅。

仙台は車で20分も走れば自然豊かな景色が広がります。定義山までの路線では、途中ダムの上を横切る山道で、緑いっぱいの行程でした。

定義山にある「定義如来 西方寺」の門前町に到着しました!
仙台まるごとパス | ||
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利用路線 | : | 仙台・松島・松島海岸・山寺・白石駅区間のJR、仙台空港鉄道、るーぷる仙台、仙台市営バス、仙台市地下鉄の全線、宮城交通の仙台~秋保大滝路線、阿武隈急行の槻木~あぶくま駅区間 ※楽天シャトルバスは除く。令和元年台風第19号の影響で一部区間に運休があります。 |
利用期間 | : | 2日間乗り放題 |
購入方法・場所、運休区間などはサイトでご確認ください。
https://sendaitravelpass.jp/
10:00 定義山名物「三角定義あぶらあげ」をほおばる
仙台駅から定義行きバスの終点まで。定義山にある「定義如来 西方寺」へと向かいます。
まずは門前町で食べ歩き!なんといってもここで必ず食べたいのが“揚げたて”アツアツの油揚げ。定義とうふ店へ立ち寄り、「三角定義あぶらあげ」を注文します。
窓越しに揚げているところが良く見えました。ここの油揚げは2度揚げ。低温と高温、2つのフライヤーで揚げることにより、でカリッとふっくらきつね色になります。揚げる前の生地は一見豆腐のようですが、これは油揚げにして初めて美味しさを発揮する配合がなされているとのこと。地元の醤油屋さんの醤油と七味をかけて、がぶりとかぶりつきます。七味も2種類用意されていて、人気は七味にんにく。香ばしいにんにくの香りであっという間に完食してしまいました。
門前町にはお土産屋さんや飲食店が並び、他にも「やきめし」と呼ばれる味噌を塗った大きなおにぎりや、玉こんにゃく、お団子など、種類豊富なグルメが揃っています。

この門前町で大人気なのは“油揚げ”。大きくて分厚い「三角定義あぶらあげ」です。

揚げたての油揚げが食べられるのが「定義とうふ店」。この地を訪れた人は必ずと言っていいほど食べ、そして買って帰る定義山名物なんです。低温と高温の2度揚げでカリッとした食感に仕上がります。

もともとは四角かったという油揚げ。当時油揚げを丸い鍋で揚げるのに、四角よりもより一度に多く揚げられる三角の形にしたことが始まりで、今の三角あぶらあげのスタイルが確立したのだそう。
揚げる前のものを見せてもらいました。固めのお豆腐、といった姿ですが、このまま食べても美味しくなく、油揚げになって初めて味が光る調合になっているということです。

揚げたての油揚げには「七味にんにく」と油揚げに合う「三角あぶらあげかけしょうゆ」でいただきます。

シンプルだからこそ美味しい。揚げたてアツアツ、分厚くて食べ応えある一枚です。

お土産としても購入できます。買って帰る人の姿も多く見られました。
土日はかなり混みあうというお店。屋外の席もあります。

門前町には他にも玉こんにゃくやお団子など、たくさんのグルメがありますよ。
定義とうふ店 | ||
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住所 | : | 宮城県仙台市青葉区大倉字下道1-2 |
営業時間 | : | 8:00~15:00 |
※新型コロナウイルスの影響により営業時間が変更になる場合があります。
詳しくは公式サイトでご確認ください。
http://www.sankaku-age.jp/
11:00 六角形のお堂を持つ「定義如来西方寺」
参道で胃袋を満たした後は、「定義如来 西方寺」へと向かいます。ここは平家ゆかりの場所であり、また文化財の山門やお堂が並ぶ見どころ多いお寺です。また縁結びのご利益を求めて訪れる人も多いパワースポットです。
門前町から進むと最初にたどり着くのが「山門」。ここから続くのは、「鐘楼堂」「手水舎」そして眼前に迫る六角形のお堂は「御廟貞能堂」。これら全てが昭和初期に建てられた登録有形文化財です。神聖なる佇まいと新緑とのコントラストが美しく、絵画のような世界が広がります。
平家の落人であった平貞能(たいらのさだよし)公がこの地に隠れ住んだ際、名を「定義(さだよし)」と改め、それを「定義(じょうぎ)」と読ませたことが現在の地名へとつながったと言われています。貞能公が大切に守り、亡くなった後も受け継がれてきた「阿弥陀如来の掛け軸」は現在大本堂に安置されており、西方寺のご本尊となっています。
貞能堂から少し奥へと入ったところに「天皇塚」があります。安徳天皇の遺品が埋葬されている塚の上には、2本の欅が1本の幹につながった大木があり、「連理のけやき」として縁結び・子授けのご神木として崇められています。
また「茶室やすらぎ」は整えられた庭園と錦鯉が泳ぐ池、そして五重塔が良く見えるビュースポット。静かな空間でお抹茶をいただきながら名園の風景を眺め、拝観の途中に休憩で立ち寄るのもいいでしょう。

門前町を抜けると「定義如来 西方寺」が真正面に見えてきます。最初にくぐるのが山門です。

この山門を含め5つの建物が登録有形文化財に指定されています。澄んだ空気に心も穏やかになります。

「御廟貞能堂」は六角形の元・本堂。平貞能公の墓上に建つ御廟です。中に入ることもできて、写経体験も出来ます。

昭和2年、気仙大工により現在の姿になりました。正面の破風、内部には穏やかなほほ笑みの天女や十三菩薩の欄間など、見ごたえある彫刻が目を引きます。

西方寺には縁結びスポットもあります。「連理のけやき」は2本のけやきの木が癒着結合した巨木の幹です。安徳天皇の遺品が埋葬された塚に植えられているご神木です。ここの絵馬掛けには沢山の願いが供えられています。
縁結びの絵馬は願いを書き込んで絵馬掛けにかけ、その中の輪はお守りとして持ち帰れます。

お寺のお休み処「やすらぎ」では抹茶と和菓子が楽しめます。室内から五重塔がきれいに見え、また目の前の池では錦鯉が泳ぎます。

大倉川の清らかな流れと深い緑に包まれる五重塔を拝み、見どころいっぱいの定義山を後にしました。
定義如来 西方寺 | ||
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住所 | : | 宮城県仙台市青葉区大倉字上下1 |
web | : | https://jogi.jp/ |
15:00 作並温泉最古の宿「岩松旅館」の日帰り温泉
定義山から南へ下ると美肌の湯として知られる温泉地「作並」へ到着します。今回はバスを乗り継いで向かったので少し時間がかかりました。
朝から歩きっぱなしだった体を温泉でほぐします。岩松旅館は作並温泉の中でも最も古い歴史を持ちます。この地に移り住んだ岩松家は、温泉であった現在の宿の場所を地域の人々に開放するため仙台藩主に許可を願い出て、殿様から許しを得、さらに「鷹乃湯」の名を拝受したと言い伝えられています。
渓流沿いにある天然岩風呂は女性専用の時間(朝と晩)を除いて混浴です。木造りの階段88段を下ると、湧き出す湯を岩で仕切った天然露天風呂にたどり着きます。清らかな水の音と、自然溢れる景色の中、源泉かけ流しのお湯にゆっくり浸かる、癒しの時間です。その他に男女別の大浴場、女性専用の温泉もあります。
「仙台まるごとパス」のクーポンを使って割引が適用され、ここでもお得に楽しめました。
岩松旅館までは、作並温泉駅から無料送迎バスが運行されています。電車の時間に合わせて往復が行われますが、予約をしておいた方が確実です。

定義山からバスを乗り継ぎ、やってきたのは作並温泉。こけしの名工を訪ねたいとやってきました。しかしせっかくなので温泉にも立ち寄ります!やってきたのは作並温泉で最も古い宿「岩松旅館」。

岩松旅館では、作並駅からの送迎があります。バスの場合は目の前まで行けるので不要ですが、電車をお使いの場合は送迎予約しておくと便利です。

総部屋数91室の大きな温泉宿です。ロビーも広々として天井高です。

風情を感じる木製の階段を下り、広瀬川の脇にある岩で組んだ露天風呂へと向かいます。岩風呂では、この日も多くの人がお風呂を楽しんでいました。
川のせせらぎが清々しい、岩松旅館。次はぜひ滞在してみたい!

「仙台まるごとパス」のクーポンブックでは、入浴割引も適用されて、ここでもお得な旅ができました。
作並温泉 鷹泉閣 岩松旅館 | ||
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住所 | : | 宮城県仙台市青葉区作並温泉元湯 |
web | : | https://ssl.iwamatu-ryokan.com/ |
16:00 ソフトクリームこけしがカワイイ、平賀こけし店工房見学
この日最後の立ち寄り地は「平賀こけし店」。作並温泉街にあり、温泉街散策の途中に立ち寄りやすいお店です。
こけしは元々子供のために作られた玩具です。東北地方では広く作られていますが、それぞれの地域によって特色があります。基本的なスタイルは頭と胴体というシンプルなものですが、表情や色付け、絵柄には「系統」があり、見る人が見ればすぐに何系かわかるというほどに異なる特徴を持ちます。
平賀さんのこけしは作並系のひとつで、作並エリアで見ることができる唯一の工房です。
現在平賀家としては4代目、作並こけし工人としては8代目という平賀輝幸さんは「伝統こけし」を製作する傍ら、ここ数年、可愛らしくポップなデザインの「創作(新型)こけし」の考案にも意欲的に取り組んでいます。創作こけしは現代的なモチーフを取り入れる自由さが魅力ですが、そのデザインの中にも優しく垂れ目の瞳や、柔らかく流れるような筆使いといった“作並こけしらしさ”は失われていません。
伝統と進化を同時に進めながら、30年以上もただひたすらにこけし作りに精進されている平賀さん。無垢の木片がろくろと工具で削り出され、表情を与えられ、こちらも思わずにっこりしてしまうような愛らしい姿へと変化する。そんな作業が脈々と伝えられてきました。
温泉街で熟成されてきた伝統の技に触れると、その温かみが伝わります。創作こけしのひとつ「ソフトクリームこけし」がとても可愛く、購入して帰りました。
東北地方に数あるこけしの系統で「作並こけし」を守り続ける平賀こけし店へお邪魔します。

岩松旅館からお散歩気分で到着します。水清き広瀬川沿いを歩いて5分ほど。

お店にはたくさんのこけしが並びます。奥には工房があり、タイミングが良ければ作業の様子も見ることができます。

お店には伝統的な作並こけしと創作こけしがありました。こけしは元々子供のおもちゃであったことから、握りやすい細い形が基本形です。

創作こけしは色も形もさまざま。独創的で、時にはオーダーにも応えるということです。

平賀雅幸さんの作業の様子。足でろくろの回転を操作しながら手元の工具で削りだしていきます。

工具も手作りです。削った木くずを燃やし、その火で鉄を熱して打ち出し、自分の必要な形に整えていきます。

私が購入したのが「ソフトクリームこけし」。我が家にもしっかりなじんでいてとても気に入っています。
平賀こけし店 | ||
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住所 | : | 宮城県仙台市青葉区作並字元木13 |
営業時間 | : | 7:00~19:00 |
休日 | : | 年末年始・不定休 |
※見学する際は電話確認が確実
http://www.h-kokeshi.net/
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