
この記事は、JALふるさとアンバサダー新潟担当の長谷川さんが島内を巡り、佐渡の「これ、なんで?」を解き明かすクイズ企画です。問題に挑戦しながら、佐渡に詳しくなってください!
佐渡ならではの食文化に注目!
佐渡の家庭にはその昔、一家に一台“蕎麦打ちセット”があったといわれているほど、蕎麦が愛されてきました。その食べ方にも特徴があるのですが、さて、佐渡伝統の蕎麦のスタイルとは、一体どんなものでしょうか?

ヒントは、海に囲まれた佐渡ならではの“出汁”へのこだわりです!
両津港から車で約15分。田んぼの多いエリアにある「蕎麦 茂左衛門(もぜむ)」にやってきました。塀に掛けられた看板代わりの藍色の布が目印。

昭和35年に建てられたという一軒家、中に入るとオーナー夫婦の選んだ骨董品やアジア家具が置かれ、ゆったりとした雰囲気を醸し出しています。


茂左衛門を営むのは、齋藤和郎さん、佳子さん夫妻。佐渡を出て、東京の蕎麦屋で10年ほど修業してから戻り2014年6月にこの店をオープンしたそうです。

「佐渡は18歳まで生まれ育った場所だったのですが、帰ってきていざ生活してみると、カルチャーショックの連続。食文化、伝統文化を自分はまったく知らなかったことに気がついたんです。そんな中、最も衝撃を受けたのが蕎麦の出汁。佐渡の定番は、あご出汁のつゆをかけて食べる“ぶっかけ蕎麦”なんです。どうやって作るかは試行錯誤の繰り返しでした」と和郎さん。

佐渡ならではの蕎麦文化。正解は、「あご出汁、ぶっかけ蕎麦」でした!

「佐渡の蕎麦出汁は伝統的に甘い。僕はそれがあまり好みではなくて……。でもその文化は継承しつつも、自分なりの味わいを作ろうと今もまさに進化している最中です」と話す、和郎さん。
お店のおすすめを伺って、お昼のコース(4,000円)を注文しました。
だし巻き玉子
蕎麦の実のリゾット、真鯛酒蒸し、サラダからし菜アケビ酢サラダ
天ぷら盛り合わせ
蕎麦
黒糖ムース、サンカクヅルのソース
前菜、魚料理、揚げ物と続き、メインディッシュとなる蕎麦、そして締めのデザートまで佐渡ならではの味わいが展開されていきます。(写真は取材時の提供メニューです)
修業時代にイタリア料理屋にいたこともあったという和郎さん。そこで野菜の使い方に衝撃を受け、コースの中にはそのエッセンスを入れるようにしているそうです。「地元の野菜と地元の魚介類の妙を楽しめるようにしているんです。すべての素材を口の中に頬張り、一つの味として楽しんでいただくイメージです」
「真鯛の酒蒸し、蕎麦の実のリゾット」を、ひと口。見た目も色鮮やかで美しく、自家製のアケビ酢が全体の味わいをまとめ上げている一皿です。真鯛の甘みに野菜の持つほのかな苦み、お酢の酸味とすごくバランスがよく、とても余韻が長く感じられました。


お待ちかねのぶっかけ蕎麦は、佐渡伝統の焼き物に入ったあご出汁をあますことなく蕎麦にかけ、全体をよく混ぜてからいただきます。
細切りの十割蕎麦はなめらかで、スッキリめのあご出汁にぴったり。蕎麦も出汁も香り豊かで本当においしいです。佐渡産カイエンペッパー100%という一味唐辛子を加えると、パンチが出てより食欲が増しました!
蕎麦 茂左衛門
| 住所 | : | 新潟県佐渡市新穂田野沢163-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0259-67-7972 |
| 営業時間 | : | 11:30~13:30(L.O.)、17:00~21:00(L.O.)※完全予約制(予約は前日の昼までに) |
| 定休日 | : | 日曜(土曜〜月曜が3連休の場合は日曜営業、月曜休) |
| web | : | 蕎麦 茂左衛門 公式サイト |
| さど観光ナビ | : | https://www.visitsado.com/spot/detail0380/ |
佐渡に古くからあった、サステナブルな取り組み
海や山といった過酷な環境で労働する人が多い佐渡では、昔からとある取り組みが行われ、働く人の体を守っていました。そのサステナブルともいえる方法は「サッコリ」と呼ばれ、現在も引き継がれています。さて、それはどんな技術でしょう?

ヒントは、方言の「サッコリ」。最近、世の中でも注目されている“アップサイクル”な技術です。

クイズの答えを求めてやってきたのは、新穂歴史民俗資料館。郷土芸能や民具、トキなど佐渡の歴史と文化に関する資料、新穂の玉作遺跡から出土した「内行花文鏡」など考古資料も多数展示している場所です。
職員の本間栄さんに、サッコリについて尋ねました。

「江戸時代の中頃、北前船(商品を売り買いしながら航海する商船)が日本海沿岸に就航して、木綿用の織り機が導入されました。それをきっかけに、佐渡の職人が佐渡独自の材料で、工夫、改善して今にいたります」

佐渡には北前船が就航する以前より「マネリバタ」という地機があり、麻やシナなどを織っていて木綿を織る機械の元になったといわれているそうです。

「昔、布はとても貴重で人々のあこがれでした。衣類が破れたり色褪せたりすると縫ったり裏返したりしてね。それでも駄目になったら最後はこうして……」

サッコリとは、「裂き織り」。つまり、布のアップサイクルのことでした!

佐渡弁のサッコリは漢字で書くと、裂き織り。布を裂いて横糸に用いて織る佐渡独自の織物で文化庁から有形民俗文化財にも指定されているものです。
佐渡のアクティビティ予約サイト「サドベンチャー」で申し込みできる、体験プランに挑戦しました。
新穂歴史民俗資料館での裂き織り体験予約ページ
https://www.enjoysado.net/activity/5105/

「丈夫で風を通しにくく、雨よけにもなるので外での仕事着として着用されたんですよ。海や山の仕事、田仕事というふうに仕事によって袖の形や大きさ、着丈や身幅を変えて作ったんです」と、本間さん。
確かに、仕上がりが厚手なので、しっかりした布に仕上がります。作業に熱中して、あっという間に時間が経ちました。

現在では、クッションやバッグ、タペストリーなどの素材として用いられることが多く、古い布の持つ独特な風合い、縦糸と横糸の織りなす美しさが唯一無二と評判になっているそうです。
新穂歴史民俗資料館
| 住所 | : | 新潟県佐渡市新穂瓜生屋492 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0259-22-3117 |
| 営業時間 | : | 8:30~17:00 |
| 定休日 | : | 月曜(祝日の場合開館、翌日休)、12月~2月休館 |
| web | : | 新穂歴史民俗資料館(佐渡市 公式サイト内) |
| さど観光ナビ | : | https://www.visitsado.com/spot/detail0018/ |
佐渡の特産品である「おけさ柿」の特徴は?
佐渡のおけさ柿は、種がなくとろけるような食感が人気のブランド柿。1個のビタミンCは、なんとレモン4〜5個と同じぐらいの量です。

では、ポリフェノールは赤ワインの何倍でしょうか?

おけさ柿について詳しく知るために、JA佐渡の方々の案内のもと農家を訪ねました。

祖父母の故郷である佐渡で就農するために東京から移住してきた兒玉理さん。現在は、東京ドームとほぼ同じ面積を誇る柿団地で、約1.1ヘクタールの柿園を管理しています。


「今の時期(9月初旬)は、柿の生育を見守り、管理するタイミングです。今年(2025年)は猛暑で茶色く日焼けしてしまう柿も多くて……。そういった商品にならないものを落として、いいものだけを残すように選別し、10月中旬頃から収穫・調整・出荷作業を始め、11月中旬を目処に出荷を終えます」


おけさ柿は渋柿なので、渋抜き処理をしてから出荷します。この渋抜きを行うことで水溶性の渋成分を不溶性に変化させて渋さを感じないようにします。この渋成分が、ポリフェノールのことで、渋抜き後も柿の中に残っているのだそう。

ポリフェノールは、なんと赤ワインの10倍近くあるとされています!

「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。柿が赤くなる秋は天候がよく、体調を崩す人は少ない。そのため、医者は商売にならずに青ざめる、という意味です。
しかし、その背景には柿の健康効果も影響しているのではないかといわれているほど。ビタミンCの含有量は、果物の中でもトップクラスを誇るとされています。

渋抜き処理を施したその果肉はとても柔らかく、とろけるようななめらかな食感が特徴です。
私も、旬の季節が来ると必ずおけさ柿を買って食べています。そのまま食べるのもいいですし、干し柿にしてより甘さを引き出して食べる友人もいます。種がないのでお子さんでも安心して食べられるのも、おけさ柿のいいところです。
JA佐渡産直ネット「さどまるしぇ」
https://sado-sanchoku.net/
日本人で初めてノーベル平和賞コンサートに出演したのは?
実は、2001年に日本人で初めてノーベル平和賞コンサートへ出演したのは、佐渡のアーティストでした。さて、何の楽器を演奏するアーティストでしょうか?

日本のお祭りには欠かせない、あの打楽器です!

クイズの正解となるアーティストに会いに、稽古場にやってきました。彼らが生活をともにし、その技術に磨きをかけている普段は非公開の練習場所です。特別に、練習風景を取材させてもらいました。

1981年に創立、佐渡市⼩⽊を拠点に国際的な公演活動を展開する太⿎芸能集団「⿎童(こどう)」。⽇本の伝統芸能を現代に再創造したその演奏は、全世界で称賛を受け、「ノーベル平和賞100周年記念コンサート(ノルウェー・オスロ)」「ベルリン市制750周年祭」「オーストラリア建国200周年祭」など、市主催・政府主催の公的イベントからのオファーも数多いアーティストです。

ということで、クイズの正解は「和太鼓」でした!



案内をしてくださったのは、メンバーの野仲純平さん。舞台では主に太鼓や笛を担当しています。
「⼀般のお客さまにお⾒せする作品で、国内の劇場を14⼈ほどで回る班。⼩学校や⾼校など基本的に学校公演を⾏う7⼈編成の僕たちの班。そして佐渡島内のイベントに参加することが多い班と、主に3つのチームで構成されています」


演奏してくださったのは『遥か』という楽曲。
この曲は「いつでも、どこでも、だれとでも、もっと⾃由に」というコンセプトで配信している「鼓童提供楽曲」の一つで、メンバーが書いたオリジナル曲です。
鼓童による演奏映像をYouTubeで公開していて、楽譜の無料ダウンロードも可能、著作権申請などの利用制限を緩和するなど、みんなで演奏することに重きが置かれているのだそう。


「学校を回る際には⽣徒さんにもこの曲を覚えてもらって、⼀緒に演奏します。約5分間という短い時間ですが、みんなで共演できる、僕たちにとっても⼤切な曲なんです。実は太⿎の曲はそれほど数が多くないこともあり、初めて会った世界中の人とも一緒に叩ける曲として⼈気が⾼いんですよ」


「叩いてみませんか?」という野仲さんのお誘いに、二つ返事でバチを握ります。体の中から共鳴するようなズシーンと響いてくる音を、実感しました。


近くには、鼓童文化財団が運営している「たたこう館(佐渡太鼓体験交流館)」という研修施設があり、一般の方も太鼓の魅力を体験できます。佐渡産木材を使用した音響抜群のホールで、太鼓の楽しさやおもしろさを知ることができるワークショップが開催されています。


2026年に創立45周年を迎える鼓童は、2025年末から記念ツアーを開催。11月24日の佐渡公演を皮切りに全国各地で、迫力ある生の演奏を体験できます。世界が認める和太鼓の世界をぜひ体験してください!
佐渡太鼓体験交流館 たたこう館
| 住所 | : | 新潟県佐渡市小木金田新田150-3 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0259-86-2320 |
| 営業時間 | : | 9:00~17:00 |
| 定休日 | : | 月曜(祝日の場合開館、翌日休) |
| web | : | 佐渡太鼓体験交流館 たたこう館 公式サイト 鼓童 公式サイト |
| さど観光ナビ | : | https://www.visitsado.com/spot/detail0047/ |
「鼓童十二月公演2025」11月24日(月・振休)~12月21日(日)全国9都市で公演
※公演情報などは公式サイトを参照ください
佐渡の伝統工芸「無名異焼」が赤色なのは、なぜ?
佐渡の代表的な伝統工芸品である「無名異焼(むみょういやき)」という焼き物の特徴は、その赤みがかかった発色です。では、なぜ赤色になるのでしょうか?

焼き上がりが硬く、叩くと金属音がするのがヒントです!

この謎に迫るためにやってきたのは、佐渡市相川の京町通り。相川金銀山と奉行所を結ぶメインストリートです。かつて鉱山関係者の住居や多くの商店が軒を連ねた通りは、細い路地も随所に見られ、往時の都市計画のなごりを留めています。
到着したのは、佐渡市で初めて国の伝統的工芸品の指定を受けた佐渡無名異焼の工房「永柳陶房(ながやなぎとうぼう)」です。


入り口で声を掛けると、館内の奥から明るく軽やかな声がしました。
「中に入ってきてください」
無造作のようで整理された道具を横目に建物の奥に進むと、永柳陶房の代表・永柳修一さんが出迎えてくれました。

「無名異焼はね、相川を中心に江戸末期頃より作られている朱紫泥焼(しゅしでいやき)を指すんです。粘土に無名異という天然の酸化鉄を混ぜて土を作るのが特徴でね……」

クイズの正解は「酸化鉄を多量に含んだ赤土を原料としているから」でした!

「佐渡金山から産出される、無名異を混ぜた土が原料だよ。うわ薬を使用せずに焼き上げると、赤茶色の焼き物に仕上がるんだ。長く使用することで独特の艶が出るんだよ。まずは手本を見せるから見てて」


時間にして約5分。先生の繊細な手さばきからあっという間に無名異焼の茶碗が生み出されました。
「コツはね、手先の力の入れ方。まずはやってみようか」と、永柳さん。

永柳さんの作品には、伝統的な無名異の味わいの中にモダンな文様を施すなど現代人の好みをうまく取り入れたものも多いそうで、幅広い年代から支持を集めている作家のお一人。明るいキャラクターと軽妙なトークも手伝い、子どもから外国人まで広く無名異焼体験の指導実績をお持ちです。


先生の指導のもと、ビアタンブラー作りを体験。所要時間は30分ほどで、ビアタンブラーのほか、茶碗や湯呑みなどを製作可能です。窯の待ち状況にもよるそうですが、2カ月ほどで焼き上がった作品が手元に届きます。
サドベンチャーの「無名異焼」体験予約ページ
https://www.enjoysado.net/activity/5024/
永柳陶房
| 住所 | : | 新潟県佐渡市相川下京町11-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0259-74-3804 |
| 営業時間 | : | 9:00~18:30ごろ |
| 定休日 | : | 不定休 |
佐渡で盛んに養殖されている海鮮は?
実は佐渡は、冬の食材として人気の高い、ある海鮮の名産地です。佐渡の加茂湖(かもこ)は、海水と淡水が混ざり合う「汽水湖」。この環境が、養殖に向いているんです。

生でも、焼いても、揚げてもおいしい、あの海鮮。さて、何でしょう!

加茂湖の謎は加茂湖に答えがあるはずと訪れたのは、船小屋をリノベーションしたカフェ「caMoco café 湖ASOBi」。オーナーの伊藤剛さんは「あきつ丸」を所有する漁師です。

「加茂湖でアレの養殖が始まったのは100年以上も前のことです。海水と淡水が混ざり合う『汽水湖』で、山々から流れ込むミネラル豊富な淡水と、海からの栄養分を含んだ海水が混ざっています。このため、プランクトンが豊富でよく育つんです」

加茂湖で盛んに養殖されているのは、牡蠣でした!

「プランクトンが豊富なことに加えて、波が少ないので牡蠣がストレスを受けにくい環境が整っています。通常、養殖の牡蠣は出荷までに2年から3年の時間を要するのに対して、加茂湖の牡蠣は1年で出荷できると聞けば、どれほど成長に恵まれた場所なのか理解しやすいはず」と、伊藤さん。

牡蠣を食べられるシーズンは12月から3月が目安。磯臭さがなく、大粒です。濃厚でクリーミーな味わいの牡蠣は、洋食や創作系なら「湖ASOBi」で、天ぷらにしゃぶしゃぶと多様な楽しみ方をしたいなら「牡蠣料理 あきつ丸」で楽しめるそう。


牡蠣がコースで楽しめるような食材だったとは知らなかった……。シーズンになったら必ず来ます!
caMoco café 湖ASOBi
| 住所 | : | 新潟県佐渡市原黒553-28 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0259-67-7467 |
| 営業時間 | : | 11:30~16:00/18:00~21:00 |
| 定休日 | : | 水・木曜 |
| web | : | caMoco café 湖ASOBi 公式サイト |
| さど観光ナビ | : | https://www.visitsado.com/feature/cafe/ |
牡蠣料理あきつ丸
| 住所 | : | 新潟県佐渡市秋津976-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 090-2566-3420 |
| 営業時間 | : | 11:00〜22:00(要予約) |
| 定休日 | : | 不定休 |
| web | : | 牡蠣料理あきつ丸 公式サイト |
| さど観光ナビ | : | https://www.visitsado.com/column/25234/ |

訪れるたびに発見のある、佐渡。「なぜ?」を追い求めていくことは、ワクワクする楽しさもあり、より深い観光体験にもつながると、感じました。
さまざまな人を魅了してやまないこの島で、ぜひ唯一無二の体験をしてください!
〈佐渡の旅のお役立ち情報〉
さど観光ナビ:佐渡市公式の観光情報サイト
https://www.visitsado.com/
さどまる倶楽部:無料登録で佐渡の特典が受けられる会員サービス
https://sadomaru.sado-dmo.com/
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※2025年10月10日に一部内容を更新いたしました。
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。









