雄大な自然や歴史、伝統工芸、祭り文化などたくさんの魅力を持つ富山県。ここは大伴家持(おおとものやかもち)が遺した「万葉集」のふるさとでもあり、特に「越中万葉」に詠まれた風景は、季節を通して今も眼前に広がっています。歌枕の地・高岡で家持の足跡をたどり富山の魅力を万葉集に重ねながら味わう、文学の旅を楽しみます。

大伴家持が暮らした町・伏木を歩く

大伴家持が国守として任務についた場所は、国府(役所)が置かれていた高岡市の伏木でした。「勝興寺」および「高岡市伏木気象資料館(旧伏木測候所)」で家持の足跡、そして国府があった時代を感じることができます。

JR氷見線・伏木駅から歩いて3分ほどのところにある「高岡市伏木気象資料館(旧伏木測候所)」には国守館址の碑があります。伏木気象資料館は気象に関する博物館で、明治時代に建てられた洋館が瀟洒な姿で残っています。
さらに数分歩いたところには、2022年12月に国宝に指定されたばかりの「勝興寺」があります。

勝興寺は浄土真宗本願寺派の寺院で、国宝の本堂は前田家11代当主の前田治脩の援助と門徒の寄進により建てられました。30,000㎡の広大な敷地の中に多くの建物が建てられており、それらは江戸時代から使われてきました。しかし経年の損傷破損には勝てず、23か年をかけて「平成の大修理」が行われ、江戸時代の美しい姿を取り戻しました。
その結果、12棟の国重要文化財であった建物のうち、「本堂」と「大広間および式台」の2棟が国宝に昇格認定されました。
境内には万葉集の歌碑もあります。多くの人が訪れる高岡の有名スポットです。

さらに少し山の方まで上がったところにある「氣多神社」の“高志のみはらし”は、富山湾が一望できる絶景ポイント。天気の良い日には立山連峰と伏木港、新湊までパノラマで楽しめる高台です。
少し階段がつらいですが、行ってみる価値あり。氣多神社は越中国一宮として崇敬を集める神社なので、ぜひお参りもして帰りたいですね。

勝興寺

住所高岡市伏木古国府17-1
電話0766-44-0037
URLhttps://www.shoukouji.jp/

氣多神社

住所富山県高岡市伏木一宮1-10-1
電話0766-44-1836
URLhttps://ketaweb.net/

越中浜往来を歩き、歌を味わう和菓子「とこなつ」で旅を締めくくる

万葉集の旅の締めくくりに訪れたのは「雨晴(あまはらし)」。人気の道の駅がある観光スポットです。
雨晴海岸からの風景は、海の向こうに立山連峰が見えるという全国的にもあまりない景観で、富山のシンボル的景観としても有名です。
前述の新湊エリアから続く「越中浜往来」は大伴家持も歩いた道で、越中国の視察を行う中で多くの歌を詠んだ場所が数多く存在。また、「義経岩」「男岩・女岩」などシンボリックな奇岩のバックに立山や富山県氷見市方面を望む風光明媚な海岸で、カメラやスマホを構える多くの人で賑わっています。
雨晴は、万葉集の歌の中で詠まれた「渋谿(しぶたに)」の地で、浜往来沿いに散策すると案内看板などで万葉集の解説を読むことが出来ます。また、道の駅雨晴の敷地内には歌碑もあり、目の前の風景を実際に見ながら歌の世界にどっぷりと浸ることができるスポットです。

お次は変わって高岡市内中心地にある「山町筋」へ向かいました。ここは大きな古い屋敷や蔵が並ぶ土蔵造りの町並みが、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されています。
ここに、歴史ある和菓子屋があります。万葉集をテーマにした和菓子を販売する「大野屋」です。
美しい立山を見て家持が詠んだ歌「立山に 降り置ける雪を 常夏に 見れども飽かず 神からならし」からとられた「とこなつ」は、岡山県産白小豆、四国の和三盆を使った和菓子。小さく丸めた餅菓子に、立山に降る雪を模した和三盆を手作業でかけて作られます。商業の街として人の往来が盛んだった高岡には各地からの良品も集まってきていたため、珍しく貴重な食材も入手することが可能でした。小ぶりで上品なサイズであることも当時は珍しく、開発された明治期からずっと店の人気商品です。一口サイズで食べやすく、滑らかな口当たりと絶妙な柔らかさでひとつ、もうひとつと後引くおいしさです。
今年10周年を迎えた落雁や和三盆の型を使って作られた「高岡ラムネ」や、同じく万葉集をモチーフにした「田毎」「越の家歌餅」など、万葉集の旅にぴったりの味覚が揃っています。

高岡の町を歩くと、あちらこちらに万葉集に関するイベントや歌の美しい世界を形にしたものに出会うことができます。
10月初旬には「万葉集全20巻朗唱の会」が高岡古城公園で開催され、万葉集全20巻4516首のすべてを市民が3日間かけて1首ずつ読んでいきます。
歌碑や高岡万葉かるた、そして和菓子「とこなつ」やこの朗唱の会もまた、万葉集に関連したさまざなものが町じゅうに溢れる、富山県高岡。日本で最初の文学作品「万葉集」が市民に愛され、そしてしっかりと根付いていることを強く感じさせられる旅となりました。

道の駅雨晴

住所富山県高岡市太田24-74
電話0766-53-5661
営業時間9:00~17:00(冬季) ※季節により最長9:00~19:00(夏季)※サイトで要確認
1階情報発信コーナー・2階、3階展望デッキは24時間開放
定休日年中無休
URLhttps://michinoeki-amaharashi.jp/

大野屋

住所富山県高岡市木舟町12番地
電話0766-25-0215
営業時間8:30~19:00
定休日水曜日(祝日を除く)
URLhttp://ohno-ya.jp/

高岡古城公園

住所富山県高岡市古城1-1-9
URLhttp://www.kojyo.sakura.ne.jp/

〔高岡万葉まつり〕
高岡市観光交流課 高岡万葉まつり実行委員会事務局
電話:0766-20-1301

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