里山と海の美しい光景が多く残る石川県北部の能登地方。雄大な自然と豊かな食に恵まれたこの地域は、実は移住先として注目されているエリアです。中でも、能登半島の中央付近に位置する七尾市・羽咋市・中能登町は、金沢市から車で1時間ほどと、主要地からのアクセスも良好。近年は町ぐるみで移住者をサポートするなど、暮らしやすい環境が整えられています。

本記事では、そんな3市町の移住者にインタビュー。地域でのリアルな暮らしぶりや魅力をお伝えします。

※撮影時のみマスクを外しています。

七尾市:温泉・自然に恵まれた魅力あふれる港町

画像: 七尾市:温泉・自然に恵まれた魅力あふれる港町

能登半島の中心付近に位置する七尾市は、七尾港を海の玄関口として、古くから能登の文化や経済を発展させてきました。能登島を防波堤とする七尾湾は、一年を通して穏やかな風景が見られる日本海では珍しい場所。
気候を活かした漁業も盛んで、おいしい魚介をはじめとした豊かな食も自慢。また、“海から湧き出る温泉”として知られる和倉温泉やのとじま水族館といった観光資源も多い町です。

ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

画像1: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

七尾湾に面した創業130年以上の老舗旅館「ホテル海望」。その名のとおり、海が望める絶景のオーシャンビュー、良質な温泉、能登牛やカニなど地元の旬の食材を活かしたこだわりの食事が人気の宿です。

画像2: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん
画像3: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

旅館の長い歴史の中で、新たな試みとして2019年にオープンしたのが、施設内にある「NAGISA DINING」。宿泊客以外でも朝夕の食事を楽しめ、ワーケーションや能登の食文化を体験できる場として好評を博しています。

画像4: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

「NAGISA DINING」の現場責任者として店に立つのが、山梨県から移住してきた土屋斉さん。七尾市の住み心地の良さに魅入られて、移住を決意したひとりです。

繊維産業が盛んな山梨県富士吉田市で生まれ、自然な流れで家業である製糸業に就いた土屋さん。ある時、地元から出たことがない自分に疑問を抱いたといいます。

土屋さん「家業は外に出て人と話すような仕事ではないんです。30代を前にこのまま地元にいて同じ仕事をし続けるというのも面白くないなと思って。僕のことを誰も知らないところで、新しいことにチャレンジしたいな、と」

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まずはお試しでリゾートバイトの派遣会社に登録。今住んでいる地域とは異なる環境に身を置きたいと、内陸県の山梨にはない海沿いの地域を希望し、募集のあった七尾市へ来ることに。当初はいろいろな土地を転々としたいと考えていたそうですが、住み込みで働くうちにこの和倉温泉という町が気に入ってしまったと話します。

画像6: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

石川県では「能登時間」とよく言ったもので、これは雄大な自然の中でゆっくりとした時間が流れている能登の暮らしを表しています。
旅館業という形態上、忙しい毎日を過ごす土屋さんですが、休日はこの能登時間を満喫するのが常。釣り好きな土屋さんは時間があれば釣り場へ出て、居合わせた人とおしゃべりをしたり、釣った魚を捌いて料理を楽しんだりしているそうです。

画像7: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

しかし、最初は気掛かりなこともあったといいます。

土屋さん「接客業は未経験だったので、業務内容に不安がありました。でも、実際働いてみると自分の性に合っているなと感じました。むしろ、毎日変わる海の風景を見ながら仕事ができることに喜びを感じ、地域の文化をより多くの人に伝えたいと思うようになりました」

地域の人やお客さんとの交流に七尾の自然環境も相まって、当初の不安は和らぎ、地域への愛着も湧いたようです。

画像8: ゆったりと流れる「能登時間」が楽しみに。ホテル海望従業員・土屋斉さん

土屋さん「七尾は観光地ということもあり、昔から外の人を受け入れる土壌があるのではないでしょうか。現に周りにも移住者は多く、みんなとても暮らしやすいと話します。それは意外と便利な地域性のこともありますが、よそ者をよそ者扱いせずフラットな関係を築いていける地元の方の感覚がそうさせるのかもしれません」

おいしい食事や体験コンテンツなどを通して地域の魅力を伝えている「NAGISA DINING」。土屋さんはその現場で先頭に立ち、自分が肌で感じた七尾の良さを少しでも味わってほしいと、日々笑顔でお客さまを出迎えています。

和倉温泉 ホテル海望

住所石川県七尾市和倉町和歌崎部12-3
webhttps://www.kaibo.co.jp/

七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

移住を考える際は、その場所に足を運ぶと、土地の雰囲気や移住後のイメージがより掴めるはず。街歩きを楽しみながら、七尾市の魅力や地域の文化を感じられるスポットをご紹介します。

画像1: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

七尾駅からほど近くにある一本杉通りは、600年以上の歴史をもつ街道。登録有形文化財に指定される建築が立ち並び、七尾の歴史と文化が詰まった場所です。周辺には人気の飲食店やセンスが光るショップも多く、観光客や地元住民に親しまれています。

画像2: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

商店街にある「高澤ろうそく店」は、明治25年の創業以来、植物由来の和ろうそくを作り続ける石川県唯一のろうそく店。重厚な店構えが目を引きます。

画像3: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

国指定登録有形文化財に指定された土蔵造りの店内では灯りと香りをコンセプトに、さまざまなろうそくやお香を取り扱っています。

画像4: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

現代の暮らしにも取り入れやすいよう日々商品開発を行う同店。店にはデザイナーとコラボした植物を模ったろうそくや、愛らしい色合いの商品も数多く並んでおり、ゆらめく灯りの癒しアイテムとして手土産にもぴったりです。

高澤ろうそく店

住所石川県七尾市一本杉町11
電話0767-53-0406
営業時間9:00~19:00
定休⽇第3火曜
webhttps://www.takazawacandle.jp/
画像5: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」
画像6: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

木樽で醤油を仕込む大正15年創業の老舗醤油店「鳥居醤油店」。こちらも有形文化財に登録されており、店内には先代から受け継いだ古い家具や道具が並びます。趣のある空間に立つ看板女将の鳥居正子さんが明るい笑顔で出迎えてくれます。

画像7: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

醤油の原材料はすべて能登産。珠洲の大豆と中能登の小麦を使用し、手作業で造られる醤油は地域柄少し甘めで、能登の魚によく合います。

画像8: 七尾の今と昔を感じられる「一本杉通り」

瓶のラベルも一つ一つ手貼り。能登の手仕事の奥深さを感じる醤油の味はきっとこの土地の思い出を呼び起こすでしょう。

他にも一本杉通りには、「語り部処」が点在し、お店の人との触れ合いを通して町の歴史などを知ることができます。古くから受け継がれてきた町の産業や風景を身近に感じられる場所となっています。

鳥居醤油店

住所石川県七尾市一本杉町29
電話0767-52-0368
営業時間9:00~18:30
定休⽇なし
webhttp://www.toriishouyu.jp/

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