奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が、正式に世界自然遺産に登録されました。決め手となったのは、美しい自然と貴重な生態系。イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなど、島々には珍しい固有種が生息しています。こうした、島の成り立ちを反映した独自の生物進化を背景に、生物多様性における保全上で重要な地域であることが国際的にも高く評価されました。

今こそ、そんな守っていくべきと評価された世界自然遺産の島へ足を運び、日本が誇る自然と向き合う旅はいかがでしょうか。本記事では、世界自然遺産を知る「見どころ」として、各エリアを代表する自然スポットを編集部が厳選。さらに、あわせてチェックしてほしいグルメやお土産も紹介していますので、4エリアへの旅行を検討されている方はぜひ参考にしてください。

INDEX

奄美大島|マングローブの原生林が育む生命の息吹

徳之島|隆起サンゴ特有の絶景スポットが多数

沖縄島北部|那覇から車で3時間。本島の楽園

西表島|イリオモテヤマネコのほかに多様な魚も生息

奄美大島|マングローブの原生林が育む生命の息吹

年間3,000mm以上降る大量の雨により、亜熱帯性広葉樹林と熱帯系の樹林、シダ類が豊かな森を育む奄美大島。太古の昔に大陸から孤絶してできた島であり、残された生物には天敵がいなかったことから、アマミノクロウサギやルリカケスなどの固有種が、現在も生命を繋いでいます。

奄美空港には、羽田空港からは約2時間〜2時間15分、伊丹空港からは約1時間。福岡空港や鹿児島空港などからもアクセスできます。

【自然】壮大なマングローブ林をカヌーで体感する

画像1: 一般社団法人 あまみ大島観光物産連盟

一般社団法人 あまみ大島観光物産連盟

見どころのひとつが、島の中央部にある金作原(きんさくばる)原生林や、日本第2位の広さを誇るマングローブの原生林。そこでぜひ、カヌーに乗りながら原生林の中を散策してみてください。木々や生き物などの神秘を間近で眺めることができ、自分がその中に溶け込んでいるような感覚になります。普段の生活ではできない、雄大な自然に包まれる体験を。

黒潮の森 マングローブパーク

住所鹿児島県奄美市住用町石原478
webhttps://www.mangrovepark.com/

【自然】ナイトツアーで森の動物と満天の星に癒される

一般社団法人 あまみ大島観光物産連盟

希少な野生動物に出合うなら、夜行性生物をウォッチできるナイトツアーがおすすめ。アマミヤマシギなどのほか、運がよければアマミノクロウサギにも。ベテランガイドが解説しながら同行してくれるので遭遇率も高く、家族連れでも安心して楽しめます。静かな夜の中を生きる、動物たちの生命力を感じてください。

ナイトツアー/(一社)あまみ大島観光物産連盟

電話0997-53-3240

※アマミノクロウサギナイトツアーは、10月から利用制限ルールが施行される予定です。

【グルメ】「けいはん ひさ倉」で奄美の郷土料理を堪能

奄美大島を代表するグルメといえば「鶏飯(けいはん)」。鶏肉、錦糸玉子、しいたけ、パパイヤの漬物、タンカンの皮などをご飯にのせ、地鶏のスープをたっぷりかけて味わう郷土料理です。

自家養鶏場と畑を持ち、鶏肉と卵のほかに、パパイヤなどの青果も自家生産して使用する「ひさ倉」の鶏飯。奄美大島に伝わる食文化を、地元の人が集う雰囲気の中で味わってください。

けいはん ひさ倉

住所鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
電話0997-62-2988
営業時間11:00~20:30(L.O.20:00)
定休日不定休
webhttp://www4.synapse.ne.jp/hisakura/

【お土産】「あんだぎや」のサーターアンダギーはひと味違う

沖縄風ドーナツとして知られるサーターアンダギーは、奄美大島の名物でもあります。専門店として営業する「あんだぎや」は、プレーンのほかにヨモギ、黒糖、ココアなど多彩なフレーバーがあるのも魅力。6個入りや15個入りなど数のバリエーションも豊富なので、大人数へのお土産にもおすすめです。

奄美サーターアンダギーの店 あんだぎや

住所鹿児島県奄美市名瀬長浜町24-17
電話0997-69-3300
営業時間9:00~17:00
定休日水曜、日曜
webhttp://andagiya.com/
Instagramhttps://www.instagram.com/andagiya_amami/

徳之島|隆起サンゴ特有の絶景スポットが多数

徳之島は、奄美大島同様、大陸から孤絶してできた島であり、森にはアマミノクロウサギなどの希少な生物が生息しています。周辺の海岸には、南西諸島には珍しい花こう岩の巨岩や、隆起サンゴ礁が浸食されてできた珍しい地形などが見られ、ウミガメが産卵のために上陸する海岸もあります。また、闘牛は約500年の歴史があります。

徳之島空港までのアクセスは、鹿児島空港、奄美空港、または那覇空港を経由するのがおすすめです。鹿児島空港からは飛行機で約1時間。奄美空港からなら約30分、那覇空港からも約1時間10分で到着します。

【自然】「犬の門蓋」で昼から夕方まで絶景を満喫

画像: 【自然】「犬の門蓋」で昼から夕方まで絶景を満喫

徳之島空港の南方、島西部にあるのが「犬の門蓋(いんのじょうふた)」。通称「メガネ岩」として知られ、海水などの浸食でできた奇岩や断崖、洞窟などがある隆起サンゴ礁の海岸です。大昔の大飢饉の際、人畜を襲う野犬を海中に投じたという逸話から、「犬の門蓋」と名付けられたそうです。岩の間からは、青い海と晴れやかな空のほか、夕方には岩に夕日が差し込む情緒的な景色も見渡すことができます。昼と夕暮れ時で異なる絶景を楽しんでください。

犬の門蓋

住所鹿児島県大島郡天城町兼久
webhttp://www.tokunoshima-kanko.com (一般社団法人徳之島観光連盟)

【自然】「金見崎ソテツトンネル」で南国感を楽しむ

画像: 【自然】「金見崎ソテツトンネル」で南国感を楽しむ

徳之島の北東部、徳之島空港から車で約30分のところにある「金見(かなみ)集落」にあるソテツトンネル。もともとは、集落の畑の境界線と北風による暴風対策のために植えられたソテツが時間をかけて成長し、天然のアーチを作ったのだとか。南国ムード満点なアーチのトンネルは約250m続き、ちょっと気温が高まるお昼どきに散歩をすると、ソテツが日陰となって心地よいのでおすすめです。

金見崎ソテツトンネル

住所鹿児島県大島郡徳之島町金見
webhttp://www.tokunoshima-kanko.com (一般社団法人徳之島観光連盟)

【グルメ】バナナの葉に並ぶ島のごちそうに舌鼓「やどぅり」

画像: 【グルメ】バナナの葉に並ぶ島のごちそうに舌鼓「やどぅり」

南国の古民家を思わせる、かやぶき屋根が特徴的な一軒。島の南西部に位置する伊仙町犬田布(いぬたぶ)にあります。料理も個性的で、提供されるのは大きなバナナの葉の上にずらりと並ぶごちそうの数々。

たとえば卵おむすび、ピーナッツ豆腐、魚の唐揚げ、塩豚足、アオサや島らっきょうの天ぷらなど。さらに黒糖のお菓子やドラゴンフルーツといったスイーツ付きで、さながら島料理のフルコースといえるでしょう。ここならではの料理と雰囲気が、いっそうの南国気分を満喫させてくれます。

やどぅり(島じかん)

住所鹿児島県大島郡伊仙町犬田布1289
電話0997-86-9341(要予約)
営業時間12:00~18:00
定休日火曜

【お土産】爽快な味が特徴の「徳之島闘牛コーラ」「塩サイダー」

画像: 左から:徳之島闘牛コーラ、塩サイダー(いずれも250円・税込 ※販売店により価格が異なる場合あり)

左から:徳之島闘牛コーラ、塩サイダー(いずれも250円・税込 ※販売店により価格が異なる場合あり)

徳之島では闘牛が盛んですが、この伝統文化にちなんだドリンクが「徳之島闘牛コーラ」と「塩サイダー」。こちらは“徳之島から全国に!”をコンセプトに、日本全国の特産品を使ったドリンクを手掛ける「タートルベイ醸造」が造っています。闘牛コーラの味は闘牛をイメージし、島のサトウキビの甘みを生かした力強さが特徴。塩サイダーは、塩の味わいのあとにさわやかな甘みを感じられ、徳之島の海が連想されます。デザインはどこかキュートで、お土産におすすめです。

タートルベイ醸造

住所鹿児島県大島郡徳之島町亀津830
webhttps://www.turtle-bay.biz/

沖縄島北部|那覇から車で3時間。本島の楽園

国頭村、大宜味村、東村にまたがる沖縄島北部は、やんばる(山原)ともいわれ、モンスーンや暖流の黒潮の影響を受けることで亜熱帯性の多雨林を形成。温暖で湿潤な気候を維持しています。周辺にはヤンバルクイナやノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネといった希少生物が多数生息しており、人々の暮らしのなかに多様性に富んだ生物が共存する、楽園といえる地域です。

アクセスは那覇空港からバスで約3時間。古くから農業が盛んな地域で、車窓からはのどかな南国の田園風景を楽しめます。

【自然】電気バスやんばる黄金号で行くガイドツアー

やんばるの森で全身に自然を浴びることができるのが、「世界自然遺産登録地を電気バスやんばる黄金(くがに)号で行くガイドツアー」。自然遺産を未来に向けて守っていけるよう、環境への影響を配慮したCO2排出ゼロの電気バスを利用したツアーです。

バスは「道の駅ゆいゆい国頭」からスタート。やんばるの森に精通したガイドが同乗し、ヒカゲヘゴやイタジイが生い茂る森へ。森の生態系や、地域の歴史・文化、そして自然と共存する地域の人々の暮らしなどをガイドが案内します。そしてやんばるの森を見渡せる絶景ポイント・長尾橋で下車し、緑深い森の中で深呼吸。林道の途中では森林ウォークも楽しむことができます。トレッキングよりも気軽に体験できるガイドツアーで、奇跡の森の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

世界自然遺産登録地を電気バスやんばる黄金号で行くガイドツアー

【自然】「大石林山」で世界最北端の熱帯カルスト地形を眼前に

画像: 【自然】「大石林山」で世界最北端の熱帯カルスト地形を眼前に

沖縄本島最北端の辺戸岬(へどみさき)から、車で5分弱の場所にあるのが「大石林山(だいせきりんざん)」。2億5,000万年前に海の中で形成された石灰岩が、地殻変動によって地表に現れてできたものです。さらに数百万年という長い年月の間、雨や風などに溶食・侵食され、奇石が林立する独特の自然風景が作り上げられたとのこと。

この長い年月をかけてできあがった大石林山の自然は、ぜひトレッキングで楽しみましょう。ふもとの精気小屋からスタートし、20~35分ほどのぼっていきます。道中では、奇岩や巨大ガジュマルなどを間近でダイナミックに感じられるほか、岩山の上は、沖縄本島最北端の辺戸岬や海に浮かぶ島を望める絶好のビュースポット。4つのコースがあり、見どころはそれぞれ異なるのでお好みのルートへ。

大石林山

住所沖縄県国頭郡国頭村宜名真1241
webhttps://www.sekirinzan.com/

【グルメ】個性的な島野菜でエネルギーチャージ「笑味の店」

画像: 【グルメ】個性的な島野菜でエネルギーチャージ「笑味の店」

長寿の村として有名な大宜味村にある、やんばるの自然豊かな暮らしを今に伝える食堂が「笑味の店」。管理栄養士でもある店主の金城笑子さんが、村の畑で収穫した野菜をふんだんに使い、郷土食をベースに健康的なメニューを提供してくれます。

定食は、個性的な島野菜をふんだんに盛り込んだ「長寿膳」と、その内容をコンパクトにした「まかちくみそーれ」というランチ。弁当のほかに「カーサーバージューシー」という炊き込みご飯のおにぎりもあり、テイクアウトでも気軽に楽しめます。

笑味の店

住所沖縄県国頭郡大宜味村字大兼久61
電話0980-44-3220
営業時間9:00~17:00(食事は11:30~、L.O.16:00)
定休日火曜・水曜・木曜
webhttps://eminomise.com/

【お土産】熟成された古酒が香る大人のスイーツ「泡盛ケーキ」

やんばる酒造の泡盛ケーキ(1,728円・税込)

沖縄の伝統的なお酒といえば泡盛ですが、その古酒(くーす)を使ったスイーツが「やんばる酒造の泡盛ケーキ」。卵をたっぷり使って焼き上げたふわふわの生地に、10年間熟成させた古酒を豊富に使用しています。泡盛ならではの甘やかな香りが鼻に抜け、ひと口でリッチな気分に。お酒好きの人には特におすすめのお土産です。

やんばる酒造

住所沖縄県国頭郡大宜味村田嘉里417
電話0980-44-3297
webhttps://takazato-maruta.jp/

西表島|イリオモテヤマネコのほかに多様な魚も生息

八重山諸島に属する西表島。沖縄県では本島に次ぐ面積を誇り、島の約9割が亜熱帯の自然林で覆われています。島の固有種として有名なイリオモテヤマネコは、国指定特別天然記念物および絶滅危惧種。島の北部を流れる沖縄県最長の浦内川は、魚類の種多様性が日本一高い河川で、約19kmの水域には400種類以上の生息が確認されています。

アクセスは、八重山諸島の主島である石垣島の「南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港」へ渡り、離島ターミナルへ移動。そこから高速船もしくはフェリーを使い、西表島の「大原港」まで約35分、または「上原港」まで約40分で到着します。

【自然】「星砂の浜」で星の形をした砂やサンゴ礁を探す

画像1: 画像提供:竹富町観光協会

画像提供:竹富町観光協会

島の北部にある「星砂の浜」は、その名の通り星の形をした砂がちりばめられています。この砂は有孔虫という生き物の殻で、海岸のほかにも海中の草の周りに付着する生きた星の砂も見られます。無数にある砂のひとつひとつが、自然からできあがったのだという神秘に感動することでしょう。波は穏やかで透明度も高く、小さな魚の姿も。また、岩場の多い海岸なのでシュノーケルも楽しめます。

星砂の浜

住所沖縄県八重山郡竹富町上原
電話0980-82-5445(竹富町観光協会)

【自然】亜熱帯植物に囲まれた由布島へ水牛車を使って渡る

八重山諸島に属する離島のひとつが由布島です。西表島の東沿岸から水牛車に乗って島へ渡るため、ゆったりと水牛車に揺られながら過ごす時間でも地元の空気を感じられます。海を約400m進めばそこが目的地。島は周囲2.15kmの大きさで、ゆっくり歩いても1時間ほどで1周できます。全体が亜熱帯植物園になっていて、ブーゲンビリアガーデンや蝶々園なども。レストランや茶屋、売店などもあるので、休憩をとりながら散策を楽しみましょう。

由布島

住所沖縄県八重山郡竹富町古見689
webhttps://yubujima.com/

【グルメ】「KITCHEN inaba」で島唄を聴きながらイノシシ料理に舌鼓

西表島の名物であるイノシシ料理をはじめ、多彩な郷土料理を味わえるのが「KITCHEN inaba(キッチンイナバ)」。イノシシのタタキや鉄板焼き、またガザミ(ワタリガニ)やイラブ―(エラブウミヘビ)の料理など、島ならではのごちそうがずらり。

不定期ながら、夏季の夜には三線(さんしん)を使った民謡ライブが開催され、南国ならではのゆるやかな時間を過ごせます。

KITCHEN inaba

住所沖縄県八重山郡竹富町上原742-6
電話0980-84-8164
営業時間11:00~23:00
定休日月曜

【お土産】「西表島ドライフルーツ」のプレミアムなおいしさ

もぎたてのパイナップルとマンゴーのほか、農園直営の加工場で作られるドライフルーツは、太陽の恵みを浴びた楽園の産物。豊かな甘みと上品な酸味が凝縮した味わいは、お土産にはもちろんギフトにもおすすめです。「プレミアムドライパイン」や「プレミアムドライマンゴー」など、その名に恥じない希少な味をぜひご賞味ください。

西表島フルーツ

住所沖縄県八重山郡竹富町字上原397-35
webhttps://iriomotejimafruits.raku-uru.jp/

南国の気候と文化が育んだ神秘をめぐる冒険の旅へ

独自の進化を遂げた貴重な生物が暮らす南西諸島は、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれています。希少な動植物の宝庫である4つの島々に実際に足を運ぶことで、きっと世界自然遺産に登録された理由を実感することができるでしょう。そして、この自然遺産を守ってきた地域の人々の想いにも触れられるはずです。次の旅では、神秘的な大自然と対話できる、世界自然遺産の島々をめぐってみてはいかがでしょうか。

JAL 世界自然遺産特設ページ

画像5: 奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島が世界遺産登録。今こそ日本古来の自然と向き合う旅へ

祝!世界自然遺産登録 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島

JALグループは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録を祝し、「地域の宝から世界の宝となった『日本の世界遺産』と世界を“つなぐ”」、「自然との“共生・保全”を通じ『日本の世界遺産』を後世へ“つなぐ”」の2点をテーマに、さまざまな取り組みを実施します。

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※2021年8月10日に一部内容を修正いたしました。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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