JALふるさとアンバサダーが、早春のいちき串木野市へ。この街の魅力を体感する旅に出かけました。

JALふるさとアンバサダー〔鹿児島支店〕 山本
黎明の地「羽島」で薩摩スチューデントに思いをはせる
幕末、鎖国下にあった日本から、西洋の進んだ知識と技術を学ぶため、極秘裏に命がけで海を渡った若者たちがいました。彼らは「薩摩スチューデント」という名で呼ばれ、薩摩藩から派遣された19名(13歳から32歳)の留学視察団です。
いちき串木野市羽島は、彼らがイギリスに向けて出発した場所であり、その地にある薩摩藩英国留学生記念館では貴重な資料や映像、スタッフのガイドから薩摩スチューデントの壮大な旅と生き様を知ることができます。

まず留学生たちは鹿児島市から約40kmを徒歩で移動し、羽島に到着。そこで2カ月滞在し、長崎からの来航船を待ちました。羽島出発後は香港、ムンバイ、スエズなどを経由し、65日間の船旅を経てようやくロンドンに到着したのです。
渡英の際に目にした異国の近代的な設備や文化は日本の遅れを痛感させ、植民地支配下にあった現地住民の生活は日本の将来の姿を思わせ危機感を煽りました。これらのことから、自国での教育の重要性を強く認識し、強い国づくりを考えるきっかけになりました。

薩摩スチューデントについては、朝ドラで知った五代友厚しか知識のなかった私ですが、ガイドさんの引き込まれるような説明に、もっと一人一人のストーリーを知りたいという興味が湧いてきました。薩摩スチューデントの挑戦と功績は、日本人として誇りに感じると同時に、現代に生きる私たちにも大きな刺激を与えてくれます。
現在、渡欧160周年を記念した企画展「Five Souls」が開催されており、彼らの足跡を知る絶好の機会です。企画展は2026年6月29日まで。薩摩スチューデントの魂を体感しに、ぜひ薩摩藩英国留学生記念館にご来館ください。
〔お問い合わせ先〕薩摩藩英国留学生記念館
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市羽島4930 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0996-35-1865 |
| 営業時間 | : | 10:00〜17:00 |
| 休館日 | : | 火曜(火曜が祝日の場合は翌日) 12月29日〜12月31日 |
| 観覧料 | : | 大人(高校生以上)300円、小人(小・中学生)200円 |
| web | : | 薩摩藩英国留学生記念館 公式サイト |
鹿児島の珈琲文化発祥の地
港町であるいちき串木野市は、昔からはえ縄漁などで海外へ出ていた船乗りたちが船上で珈琲を愛飲し、土産品として珈琲豆を持ち帰ったことから、県内でも早くから珈琲を飲む文化が根付き、「鹿児島の珈琲文化の発祥の地」と言われています。今では創業50年を超える老舗から、最新のおしゃれなコーヒースタンドまで新旧の珈琲文化が楽しめる街です。
串木野駅から徒歩約10分の所にあるKENT COFFEE MAKERSは、いちき串木野市出身のオーナー荒田健人さんが整体師や焼酎の杜氏という異色の経歴を持ちながら、独学で珈琲を学び開いたお店です。整体師時代に培った接客技術や、珈琲の焙煎と焼酎造りの共通点を見いだすなど、これまでの経験がお店づくりにも活かされています。荒田さんは県内で開催された珈琲の大会で初代チャンピオンに輝き、スタッフも3位入賞を果たすなど、その実力は折り紙付きです。

地元を盛り上げたいという思いも強く、提供されるスイーツには地元の卵や特産品が使用されています。現在いちき串木野市内で3店舗展開し、KENT COFFEE MAKERSでは週3日夜カフェも運営されています。
荒田さんは「一杯の珈琲でつながれるご縁」を大切にしており、お店のロゴにもその思いが込められています。(「EN」の部分がつながったデザインになっている)

ハンドドリップで珈琲を淹れていただきました。浅煎りのエチオピア産の豆。グレープのような果実感があり、飲みやすく甘みも感じられます。お話を伺った後だったので、より味わい深く印象に残る一杯でした。珈琲愛、地元愛に溢れ、また訪れたくなるような心地よい雰囲気のお店です。
〔お問い合わせ先〕KENT COFFEE MAKERS
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市東塩田町226-1 |
|---|---|---|
| 営業時間 | : | 11:00〜18:00 |
| 定休日 | : | 火曜(祝日の場合は営業) |
| : | @kent_coffee_makers |
市来エリアでは、外に薩摩型和船が展示され、ひときわ目を惹くお店を発見しました。こちらは、国登録有形文化財・市来大迫家住宅の隣にある Museum Cafe 舟です。

Museum Cafe 舟

国登録有形文化財・市来大迫家住宅
カフェのプロデューサー兼デザイナーの故・砂田光紀氏のこだわりが詰まった店内は、思わず何枚も写真を撮りたくなるような魅力的な空間です。ステンドグラスが多く配され、豊かな木の香りとぬくもりに満ちています。
提供されるメニューも、空間に負けないこだわりが見られます。
ランチにいただいたロールキャベツはシンプルな味付けでありながら、口に入れた瞬間にキャベツ本来の甘みが感じられます。柔らかく煮込まれているものの、食感も残るように巻き方が工夫されていました。デザートにいただいた地元のレモンを使用したシトラスケーキは、レモン、クリームチーズ、クッキーの3層が織りなす絶妙な味わいでした。

Museum Cafe 舟は、単に憩いの場としてだけでなく、一般公開されている大迫家住宅の存在を知ってもらい、文化財への興味を広げる役割も担っています。
学びと癒しを両方得て、心が満たされる、豊かなひとときを過ごすことができました。
〔お問い合わせ先〕Museum Cafe 舟
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市湊町3-11 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 090-8665-0035 |
| 営業時間 | : | 10:30〜16:30(ラストオーダーは16:00) |
| 定休日 | : | 火曜(祝日の場合は翌日振り替え) |
| : | @osako.funecafe |
〔お問い合わせ先〕国登録有形文化財 市来大迫家住宅
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市湊町3-12 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0996-36-2558 |
| 営業時間 | : | 10:30〜16:30(最終入館は16:00・事前予約制) |
| 定休日 | : | 火曜・水曜(祝日の場合は翌日振り替え) |
| 見学料 | : | 700円(小学生以下は無料) |
いちき串木野市といえば「つけ揚げ」
取材の途中で立ち寄った物産館で、ショーケース2列分ものつけ揚げが並んでいるのを見て、その量に圧倒されました。さすが、つけ揚げ発祥の地ということを実感します。
いちき串木野市では昔から魚が豊富に獲れ、元々家庭の味として親しまれていたつけ揚げが、後に商売として発展し多く製造されるようになりました。
「つけ揚げ」とはさつま揚げのことで、鹿児島ではそう呼ばれています。ルーツは諸説あるようですが、江戸時代に沖縄から伝わった「チキアーギ」が元になっていると教えてくださったのは、「勘場蒲鉾店」の社長の勘場裕司さん。いちき串木野市のご出身です。
勘場蒲鉾店シーフロントくしきのでは、魚のすり身からつけ揚げができるまでの工程を窓越しに見学できます。毎日1トン、最盛期には1日に10トンも製造されています。

工場見学のハイライトは何といっても、できたてのつけ揚げをその場でいただけること。一口いただくと、ふわっふわの柔らかさに目を見開きました。聞けば、原料に豆腐を加えているとのこと。いちき串木野市のつけ揚げの特徴だそうです。そして鹿児島ならではの甘めの味付け。あまりのおいしさに、思わず「もう1個食べたい」と口にしていました。

地元の小学生も多く見学に訪れており、通路には感想文が掲示されています。子どもたちが地元の名産品を好きになる良いきっかけになっているようです。勘場蒲鉾店はおいしい練り物をつくるだけでなく、地域への愛着も育む場所になっていると感じました。
〔お問い合わせ先〕勘場蒲鉾店 シーフロントくしきの
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市西薩町17-25 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0996-33-3311(工場見学はこちらの電話番号にお申し込みください) |
| 営業時間 | : | 8:00〜18:00 |
| 定休日 | : | 元旦のみ |
| web | : | 勘場蒲鉾店 シーフロントくしきの 公式サイト |
鹿児島県内でも有数の焼酎の産地
つけ揚げとともに楽しみたいのは、芋焼酎です。いちき串木野市には大小8つの焼酎蔵があります。
その一つである濵田酒造は、創業明治元年という長い歴史を持ち、伝統の「伝兵衛蔵(でんべえぐら)」、革新の「傳藏院蔵(でんぞういんぐら)」、継承の「金山蔵(きんざんぐら)」というそれぞれが独自の個性を持つ3つの蔵を有しています。
今回訪れたのは「伝兵衛蔵」です。
伝兵衛ミュージアムでは、150年以上にわたる焼酎造りの歴史を伝える道具を展示しています。また、焼酎造りの過程で生じる熱湯を再利用し銭湯を経営していたというエピソードなども伺えました。


伝兵衛蔵では、伝統的なかめ仕込みにこだわり、昔ながらの木桶蒸留器を使用していて、これにより焼酎に杉の木の香りが移り、まろやかで飲みやすい味わいを生み出しています。かめ貯蔵では遠赤外線効果と陶器特有の呼吸作用により、焼酎の角が取れ丸みのある味わいになります。


一方で、濵田酒造は伝統に固執するだけでなく、新しい取り組みにも積極的です。ライチのように香る芋焼酎「だいやめ〜DAIYAME〜」のような若者や外国人にも受け入れられやすい新感覚の焼酎開発や、常識にとらわれない柔軟な発想で、焼酎の新しい可能性を追求し続けています。常に新しいものを追求する革新的な精神は、まるで薩摩スチューデントを彷彿させ感銘を受けました。
〔お問い合わせ先〕濵田酒造株式会社 伝兵衛蔵
| 住所 | : | 鹿児島県いちき串木野市湊町4-1 |
|---|---|---|
| 電話 | : | 0996-36-3131 |
| 蔵見学時間 | : | 1日2回(11:00〜・14:00〜)、事前予約制 |
| 料金 | : | 大人(20歳以上)500円、20歳未満無料 |
| 定休日 | : | 水曜 |
| web | : | 濵田酒造株式会社 伝兵衛蔵 公式サイト |
コンパクトな街に詰め込まれたたくさんの魅力
ここまで5カ所のスポットを巡り、それぞれのスポットが車で30分圏内にあることから、街がコンパクトで観光だけでなく暮らしやすそうな場所だと実感しました。
旅で出会った方々の多くはいちき串木野市のご出身で、その温かく穏やかな人柄と、地元を盛り上げたいという熱い情熱の両方に触れることができました。また次の休みに訪れたい、そう思いながら帰路につきました。
いちき串木野市のより詳細な情報は、こちらをご覧ください。
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