画像: 隆起サンゴ礁の島「喜界島」ジオパークの見どころを奄美在住CAが体感!

JALふるさとアンバサダー〔鹿児島支店奄美営業所〕 吉福

皆さま、うがみんしょうらん!JALふるさとアンバサダー、奄美群島担当の吉福です。
今回は、2025年10月にジオパークに認定された鹿児島県・喜界島の魅力をご紹介します。隆起サンゴ礁が造る大地や、島の暮らしに根付く文化など、自然と人の営みが一体となった島の姿を取材してきました。奄美大島から飛行機でたったの10分。こんなに近いのに、まったく違う物語を持つ島なんだと実感しました。

隆起サンゴ礁の島、喜界島

画像: スギラビーチ

スギラビーチ

鹿児島県の奄美群島に属し、奄美大島の北東に浮かぶこの小さな島は、海の底で育ったサンゴ礁が長い時間をかけて隆起し、今の島の姿になりました。島はプレートの動きによって、10万年でおよそ200メートル隆起したと考えられており、年間平均に換算すると約2ミリという世界でもトップクラスの速さを示します。
島を歩いていると、あちこちに転がるゴツゴツとしたサンゴの岩を目にし、“なるほど、地球はこうして少しずつ形を変えているのだ”と肌で感じることができました。

そして2025年、喜界島は日本ジオパークに正式に認定されました。島全体が「地球の成り立ちを学ぶ教室」として評価されたのです。

ジオパークとは?喜界島が認定された理由

ジオパークとは、地形や地質、そこに暮らす人々の営みを含めた自然環境を学び、保全しながら観光などに活かす地域のことを指します。日本ジオパークに認定されると、その地域は地球の歴史や自然の成り立ちを理解できる“生きた教室”として国内外に認められるのです。

喜界島は、隆起サンゴ礁によって形づくられた島全体が評価され、日本ジオパークに認定されました。島の地形は、長い年月をかけて積み重なったサンゴ礁が石灰岩となり、段丘や台地を形成しています。
また、サンゴ由来の石灰岩は水はけがよく、地下には豊かな水脈が巡っています。アルカリ性の土壌と豊富なミネラルから、日本一の白ゴマを始め、質の高い農作物が育ち、自然と産業が密接に結びついていることも認定のポイントです。
このように、隆起サンゴ礁による地質が、島の景観、暮らし、文化、産業を支え、独自の生態系や魅力を育んできました。

画像: ジオパークとは?喜界島が認定された理由

訪れてみると、地層の断面や波打ち際に広がるゴツゴツした岩を目にして、「何万年もの時間がこの島に刻まれているんだな」と、思わず息をのんでしまいました。

隆起サンゴ礁がつくった地形と地質

喜界島の魅力は、なんといっても隆起サンゴ礁によってつくられた独特の地形です。島全体が海の底で育ったサンゴ礁の名残でできており、波に削られた石灰岩の断崖や、平らに広がる台地が特徴です。

荒木中里遊歩道を歩くと、足元のゴツゴツした岩を見て「全部サンゴなんだ…」と驚きました。ゆっくり歩きながら、島の成り立ちや長い時間の積み重ねを感じてみてください。

画像: 荒木中里遊歩道

荒木中里遊歩道

塩道北方の露頭では、約170万年前の泥が堆積する深い海から、徐々にサンゴ礁が広がる7万年前までの地層の変化を観察できます。長い年月をかけて島がどのように形づくられたかを知ることができ、長い時間をかけて形づくられた島の成り立ちを感じられます。

画像: 塩道北方の露頭

塩道北方の露頭

サンゴ礁がつくった地形は、ただ美しいだけでなく、この地質が暮らしをつくっていることにも驚かされます。次は、この自然条件がどのように島の農作物に生かされているかをご紹介します。

地質が育む“恵み”喜界島の白ゴマ

サンゴ礁がつくった大地は、喜界島の暮らしにも深く根づいています。島の至るところで風にゆれる白ゴマの畑を見かけます。小さくて可憐な白い花が咲き、その奥には真っ直ぐ伸びたゴマの実が揺れています。
喜界島のゴマは、石灰岩が風化してできたミネラル豊富な土、長い日照時間、地下から湧く清らかな水に育まれています。実は、国内で生産される国産白ゴマのうち、およそ65%が喜界島産で、国内の白ゴマ市場でとても重要な存在です。収穫期になると、家の前に束ねたゴマが干され、島の秋の景色をつくります。

画像: セサミストリート

セサミストリート

天日でじっくりと乾燥させたゴマは、香ばしく豊かな香りを放ちます。味わいも深く、「喜界島のゴマを食べると、もう他のものには戻れない」と言われるほどです。
隆起するサンゴ礁の島で生まれた大地が、人々の暮らしを支え、豊かな味を育んでいます。地球の営みが生んだ恵みを、島の人々が大切に受け継いできたのです。

サンゴとともにある島の暮らし

喜界島を歩くと、サンゴがこの島の暮らしのすみずみにまで息づいていることに気づきます。
家々を囲む石垣は、かつて海の中にあったサンゴを積み上げたもの。風をやわらげ、潮風から家を守り、夏の強い日差しを受けて白く輝きます。

画像: サンゴの石垣

サンゴの石垣

サンゴは、暮らしを支える素材であると同時に、人々の信仰の対象でもあります。志戸桶集落にある「ビンドゥン様」は、直径40センチほどのノウサンゴの骨格が御神体として祀られている神様です。海から生まれたサンゴを神として大切に守り続ける姿には、島の人々が自然と共に生きてきた歴史が感じられます。

画像: 志戸桶集落 ビンドゥン様

志戸桶集落 ビンドゥン様

さらに、阿伝集落の末吉神社の参道には、巨大なサンゴの石があります。この石は、安産や子どもの成長を願う、集落の人たちの信仰の対象として大切に保存されており、島の人々の生活と文化に深く根づいています。

画像: 阿伝集落 末吉神社

阿伝集落 末吉神社

生活の中に溶け込んだサンゴは、単なる“資源”ではなく、“ともに暮らす存在”。島の人々にとってサンゴは、家を守り、命をつなぎ、祈りを捧げる相手でもあるのです。

画像: サンゴとともにある島の暮らし

未来へつなぐ「喜界島サンゴ礁科学研究所」

喜界島の隆起サンゴ礁の秘密を解き明かす拠点として、日本で唯一のサンゴ礁研究に特化した「喜界島サンゴ礁科学研究所」があります。建物は海のそばに建ち、周囲には観察用のサンゴや機材が並び、研究者たちが地球の歴史を静かに見つめる場所です。

画像: 喜界島サンゴ礁科学研究所

喜界島サンゴ礁科学研究所

研究所では、サンゴ礁の成長や環境の変化を調べる活動が行われています。隆起サンゴ礁の地層や島の水質、気候との関係を科学的に記録することで、島の自然環境を守る手がかりを生み出しているのです。

皆さま、いかがでしたか?
喜界島では、島のあちこちにサンゴの息づかいがあり、足元から何万年もの地球の時間を感じることができます。島の暮らしや文化も地層の上に根付いていて、知るほどに興味が深まる、体感してほしい島です。ぜひ一度、訪れて島の魅力を感じてみてください。

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