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その評価は海を越え、輸出量は右肩上がりに年々増加。加えて米国で開催される「アカデミー賞」のアフターパーティーでは、2018年に特定産地の和牛として初採用され、以降毎回ふるまわれています。そんな宮崎牛ですが、なぜ国内外で評価され続けているのか。また、現地で食べるならどんなお店がおすすめなのか。宮崎の観光スポットとともに紹介します。
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※価格は税込み表記です。
太陽と水の恵みに、たっぷりの愛情を加えて育てる
厳格な基準のもと、定義づけられている宮崎牛。宮崎生まれの宮崎育ちであること、肉質等級が最高品質のA4またはA5であること、そして宮崎県または指定された種雄牛が父牛であることがその条件です。
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生後10カ月の子牛。ここから約1年半育成し、700kg程度まで大きくなったら出荷されます
おいしく育つ背景のひとつに挙げられるのが、恵まれた自然環境。串間市の畜産農家である「稲本畜産」の稲本民雄さんに話を聞くと、「宮崎は平均気温、日照時間、快晴日数が全国トップクラスの“日本のひなた”。霧島山系のまろやかな軟水で元気に育つことも、シルキーで脂が乗った肉質になる理由です」と話します。
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2022年に開催された「第12回全国和牛能力共進会」で、優等賞6席を獲得した「稲本畜産」の稲本民雄代表。この地で半世紀以上、牛を育てています
優れた良血統と好環境により生まれた時点で品質がよく、子牛の約3分の1は県外へ出荷されて三重の松阪牛や兵庫の神戸ビーフなどへ成長。この事実も、宮崎牛の優秀さを裏付ける証といえるでしょう。また、宮崎牛はA4以上が条件であり、約92%がこの基準を満たすことから、個体のバラツキが少ないことも高評価の根拠。そのうえで稲本さんの掲げる理念が、「牛の気持ちに寄り添うこと」です。
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「掃除や給餌、手入れはもちろんのこと、この子たちに変化や異常がないかをこまめに見ることを徹底しています。うちでは交代制で、日によって朝3時ごろから20時ごろまで。発する声に耳を傾け、動作や表情から気持ちを察知して世話することで、すくすく元気に育ってくれると思うんですよね。やっぱり愛情が一番大切ですよ!」と稲本さんは笑顔で教えてくれました。
リバーサイドホテルのシェフズテーブル「大淀河畔みやちく」
そんな宮崎牛をおいしく楽しめるお店を2軒ピックアップしました。ひとつは、宮崎市の「宮崎観光ホテル」内にある「大淀河畔(おおよどかはん)みやちく」。県内で生産される牛と豚を中心に、国内外へブランド肉を発信している「ミヤチク」直営のレストランです。
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「大淀河畔みやちく」。宮崎県を代表する河川・大淀川沿いにあり、席によってはリバーサイドの開放的な景色をバックに料理を楽しめます
同店は鉄板焼きステーキと焼肉が二大名物で、取材では鉄板焼きをオーダー。調理のライブ感を楽しめるシェフズテーブルで、宮崎牛の赤身肉ステーキをメインとしたコース「クラシック(赤身100g)」(3,980円)を味わいました。
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この日の赤身肉は内モモ。本来は脂の少ない部位でありながらも、この美しいサシはさすが宮崎牛です
シェフの手さばきはもちろん、料理の提供法も華麗で、ステーキはパンの上に盛り付ける大胆なプレゼンテーション。パンの上に乗せることで余分な油をパンが吸い取ってくれるそう。さらに、このパンはコースのラストで、アシェットデセール(デザートの盛り合わせ)内のシュガートーストに変身のうえ提供されました。
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そしてステーキは、2回に分けてサーブ。それぞれ好みの焼き方で仕上げてもらえ、前半はミディアムレア、後半はレアで。火入れの違いで食感や肉汁、香ばしさや旨みの濃さが異なり、宮崎牛の魅力をより豊かに堪能できました。
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宮崎牛は、エレガントな香りからして芳醇。噛むとリッチな肉汁があふれ、赤身肉ならではの力強い旨みとなって口いっぱいに。味付けは、醤油ベースのステーキソース、玉ネギを豊富に使った特製ソース、県南部の日南産の塩と多彩に楽しめ、ひと際贅沢な時間を過ごせます。

コースを締めくくるアシェットデセール(デザートの盛り合わせ)。ステーキの台座となったパンは、粉糖がけのシュガートーストに
大淀河畔みやちく
住所 | : | 宮崎県宮崎市松山1-1-1 宮崎観光ホテル 西館2階 |
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電話 | : | 0985-62-1129 |
営業時間 | : | 11:00~15:00(L.O.14:00/ステーキコースは13:30までの受付) 17:00~22:00(L.O.21:00/ステーキコースは20:30までの受付) |
定休日 | : | 不定休 |
web | : | 大淀河畔みやちく 公式サイト |
鮮度と切り方を追求する全席個室の大人な焼肉「犇」
宮崎牛のおすすめレストラン、もう一軒は「焼肉 犇(ひしめき)」です。お店があるのは、宮崎駅から西に徒歩10分程度、県内最大規模の歓楽街“ニシタチ”エリア。全席個室のプライベートな空間で、贅沢な宮崎牛をゆっくり味わえます。
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高品質な宮崎牛を、よりおいしく提供するために徹底するのが、肉をできるだけ空気に触れさせないこと。注文ごとにカットするのはもちろん、その都度専用の機械を用いて真空パッキングします。
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人気の一皿が「炙り牛トロ握り」(単品の場合1貫550円)。味はトリュフ塩、または醤油から選べます
また、肉は凍らない寸前の温度で管理しつつ、提供前の5分間で最適な温度に開放。そのうえで、部位ごとにミリ単位でカットする厚さを変え、最適なとろけ具合や甘みの伝わりやすさをコントロールします。こちらも、全12品のコース(6,000円)から料理の一例をご紹介。
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鮮やかな皿の盛り合わせは手前が「上カルビ」で、奥が「薄切りロース」。写真奥の青い皿は「ネギ塩タン」で、透明の皿は「焼き野菜盛り」
「上カルビ」は噛む必要がないと思えるほどやわらかく、脂の甘みがジュワッと広がり至福な気分に。「薄切りロース」はサッと表面を炙る程度に焼くのが正解。薄切りならではの、シルキーな肉のとろける食感と旨みの渦が、味覚神経を恍惚感で埋め尽くします。
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「上カルビ」。ほどよい厚さのカットが、宮崎牛ならではのゴージャスな甘みをダイレクトに伝えてくれます
焼肉 犇(ひしめき)
住所 | : | 宮崎県宮崎市橘通東3-5-24 |
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電話 | : | 0985-65-3818 |
営業時間 | : | 17:00~24:00(L.O.23:30) |
定休日 | : | 不定休 |
web | : | 焼肉 犇(ひしめき) 公式サイト |
観光は絶景と神秘を一度に拝める「青島神社」へ
たくさんの美食にあふれる宮崎県は、神話の舞台が多いパワースポットとしても有名。グルメな旅をメインの目的にしつつ、南国らしい自然美とご利益を一度に享受するなら、宮崎ブーゲンビリア空港からもそう遠くない「青島神社」がおすすめです。
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海岸から橋を渡った先にある、ロケーションも神秘的な青島神社。宮崎空港から車で約15分、電車で行くなら空港から青島駅は45分程度です
青島といえば、「鬼の洗濯板」と呼ばれる波状岩も有名な観光地。新第三紀(700万年前)に海中でできた砂岩と泥岩の累層が隆起し、その後の波蝕により形成されたのだとか。
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「鬼の洗濯板」は、青島から南の巾着島まで約8kmの海岸線に見られます
青島神社は神話「海幸彦・山幸彦」の舞台であるとされ、祭神は彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)、豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、塩筒大神(しおつちのおおかみ)。縁結び、安産、航海安全の神様として親しまれています。
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本殿。金運の神様、弁財天も祀られています
青島神社は境内の中も見どころが豊富。本殿を正面にした右側には、元宮へ向かう「祈りの古道」の絵馬トンネルがお出迎え。その先にはヤシ科のビロウを中心とした亜熱帯植物が生い茂る小さな参道が続き、開けた空間にはひと際神秘的な元宮が鎮座しています。
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元宮の周囲には、小さな陶器の瓦を投げて占いをする「天の平瓮(あめのひらか)投げ」や、各人の願いに合った色の紙縒(こより)を結ぶ「産霊紙縒(むすびこより)」があるなど、ある種エンターテインメント性も抜群。
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青島神社の御霊木「夫婦ビロウ」。時期によっては、数々の色鮮やかな紙縒がびっしりと結ばれます
おすすめのフォトスポットは、神門を借景のフレームに撮影する海。
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なお、青島神社の周辺にはお土産のショップや飲食店も豊富。なかでも名物の「青島ういろう」は売り切れることも珍しくないので、気になる人はお早めに。
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「青島ういろう」のほか、季節ごとに旬のフルーツを販売する昔ながらのお店も
宮崎牛を堪能するこの旅でのおすすめ土産は、“牛”にちなんで「甘乳蘇(かんにゅうそ)」です。こちらは“古代和製チーズ”ともいわれる自然食品で、牛乳を7~8時間煮て水分だけを蒸発させ10分の1に凝縮した珍味。見た目や香りはキャラメル、味はほんのり甘い濃厚なハードチーズ、口どけはまろやかで、濃醇旨口の日本酒やワインに合いそうだと思いました。
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「甘乳蘇」の有名な販売元といえば、都城市に本店を構える「ミルククラブ中西牧場」。1箱1,100円で販売されています
青島神社
住所 | : | 宮崎県宮崎市青島2-13-1 |
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電話 | : | 0985-65-1262 |
web | : | 青島神社 公式サイト |
宮崎県の魅力といえば、日本一の宮崎牛をはじめとする絶品グルメに、パワースポットもあまたのさまざまな絶景。加えて“日本のひなた”で暮らす人々の、あたたかな笑顔やもてなしにも出会えるはず。心からリフレッシュできる、南国ならではの非日常を体験しに、次の休暇はぜひ宮崎へ。
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