港を中心に新しさとなつかしさが混在する、北九州市門司(もじ)区。中でも門司港周辺は、洋館や散りばめられたハートのモチーフ、雄大な関門橋など、町じゅう至るところが極上のフォトスポット。そんなレトロかわいい門司をカメラ片手に旅してみました。
画像: 北九州・門司で自撮りっぷ!“レトロかわいい”風景を探して

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

駅舎を見に訪れたい、レトロとモダン「門司港駅」

鹿児島本線の終着駅「門司港駅」は、今でも多くの市民や観光客が利用する駅。電車利用だけでなく、この駅舎を目的に訪れる人も少なくない、門司港エリアでナンバーワン人気スポット、かつシンボル的な存在です。

この駅は、明治時代に「門司駅」と名付けられ、今より200メートル離れた場所(現在の九州鉄道記念館)に開業。現在の建物は、2012年から約6年をかけ補修工事が完了し、大正3年に現在の場所に移転新築され改称された「門司港駅」の二代目駅舎を復原したものです。
東京駅と並び称された国内を代表する駅で、国の重要文化財にも指定されています。

門司港は明治時代、世界への輸出港として発展。それに伴い周辺には次々とオフィスや政府機関の出張所などが建てられました。
その港へ人を運ぶ鉄道として開業し、国鉄時代には一等駅としての役割を担い、その貫禄を映すかのように意匠をこらした駅舎が造られました。当時は、今よりも約2.5倍の乗降客数があったとも言われています。
その後も関門トンネルが作られるまで九州と本州を結ぶ鉄道駅として栄え、現在「門司港レトロ地区」と呼ばれる一体のエリアは、その繁栄を映すかのごとく美しい街並みを形成しました。
駅構内には、列車の席の等級により分かれていた「一、二等車用待合室」と「三等車用待合室」の名残の他、2階には皇室一家が利用した歴史を持つ、「旧貴賓室」が公開されています。
当時の洗面所や銅製手水鉢などの歴史遺産も見ることができ、さらに、それらが現役で使われていることにも驚かされます。

なだらかな勾配のある長いホームは情緒的な雰囲気が漂い、撮影している人も多く見かけます。レトロ駅の趣が撮影できる絶好のフォトスポットです。
ネオ・ルネッサンス様式の建物の正面は、まるで門司港の「門」の字を模したような壮麗な姿の左右対称。
重厚感があり気品あふれる駅舎も、ぜひ写真に収めて帰りたいですね。

門司港駅

住所福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31
webhttp://www.mojiko.info/spot/jrmojiko.html

港周辺をぐるりとお散歩「門司港レトロ」フォトスポット巡り

さて、門司港駅を後にして、さっそく港周辺を散策。海沿いにお土産屋や飲食店が入る「門司港レトロ 海峡プラザ」や、そこから続く歴史的建造物などの観光エリアは10分~15分圏内で、見どころがぎゅっと凝縮されています。

日本の輸出拠点としての繁栄、また、九州の玄関口として栄えた門司港周辺には、華やかな当時をしのばせる歴史遺産が数多く遺されています。
「バナナの叩き売り発祥の地」としても有名な門司港ですが、これは門司の港に台湾バナナが大量に荷揚げされていたことによるもので、門司港のおみやげにはバナナが使われているものが多く見られます。

まずは高い塔屋が目印の「旧大阪商船」へ。ここは海運会社であった旧大阪商船門司支店で、輸出業を営んでいたオフィスビルです。現在は「わたせせいぞうギャラリー」がある他、明治時代の金庫などが展示されています。
海沿いに建つレンガの建物は「旧門司税関」。当時のレンガと修復された平成のレンガが並列する施設内は、歴史の流れを感じることができます。
「大連友好記念館」は中国・大連市にある鉄道汽船会社を模して建てられました。10万個のレンガとその間にストライプを描く御影石はすべて大連から運ばれたもの。ドーマー窓や煙突、かまぼこアーチ型のモチーフをそこここに使用した優美な建物です。

穏やかな風景の中に新旧さまざまなスポットが混在した街並みは、歩いているだけでも楽しい時間を過ごせます。門司港全体を俯瞰して眺められる「門司港レトロ展望室」や門司港ならではのオブジェもあり、写真を撮りたくなる場所がたくさん。町なかのあちこちに散らばる“隠れハート”「カンモンハート」探しをするのも、いい想い出になりますよ。

門司港レトロ

門司港レトロ地区は、夕刻からきらめくスポットに変身!

11月中旬から行われている夜イベント「イルミネーション2022門司港レトロ浪漫灯彩」。町じゅうが艶っぽい風情に包まれ、昼間とはまったく違った門司港を存分に楽しめるイベントです。
歴史的建造物や街路樹が華麗にライトアップされ、ガス灯に灯がともり、人気のはね橋「ブルーウィングもじ」が輝きます。映り込む光に改めて海の美しさ、ライトアップならではの景色も見つけられるでしょう。

イルミネーションイベントは、2023年3月12日まで、また、歴史的建造物などのライトアップは常時行われています。サイトにはイルミネーションマップやフォトスポットも案内されていますのでチェックしてみてくださいね。
夜は海風が冷たいので、暖かくしてお出かけください。

イルミネーション2022門司港レトロ浪漫灯彩(~2023年3月12日)

アツアツでスパイスフルな「焼きカレー」ランチ

門司港周辺散策をしていると感じる、どこからともなく漂うスパイスの良い香り。
そう、門司港の名物は「焼きカレー」。
観光エリアの中で約30店舗ものお店が提供している、まさに門司港の定番ローカルメニューといえる料理です。

ごはんの上にカレーをかけ、たまごとチーズを乗せてオーブンで焼き上げるのが、門司港焼きカレーのスタイル。
今回そんな焼きカレーについて教えていただいたのが、門司港駅から徒歩数分の好立地にある「BEAR FRUITS(ベアフルーツ)」です。

こちらの焼きカレー「スーパー焼きカレー」は、とにかくそのこだわりのカレールウで勝負。牛肉、たくさんの野菜とフルーツを使って煮込まれた複雑な味わいのカレーに、さらに数十種類のスパイスを使い、香りと風味を存分に感じさせる本格的なカレーです。
BEAR FRUITS特製「びっくりスパイス」をあとがけすることで、カレー香辛料の奥深い世界観を見せてくれる、どこにもない、このお店だけのおいしさを感じられます。スパイシーな辛味はチーズとたまごでまろやかになり、鼻の奥に残るさわやかなスパイス香で最後まで飽きずに食べられます。
びっくりスパイスは店のまかないから生まれたもので、お土産用も売られています。おうちのカレーにかけるだけで本格的なスパイスの味わいになり、から揚げにパラリ、炒め物にパラリと入れるだけでコク深い味を生み出します。

見た目、味、トッピングなどバリエーションをしっかり持たせ、各店舗が切磋琢磨しながら盛り上げてきた門司港のソウルフード。
門司港へ行ったら個性が光る焼きカレーで、ランチは決まりですね。

BEAR FRUIT

住所福岡県北九州市門司区西海岸1-4-7 門司港センタービル1F
電話093-321-3729
webhttps://bearfruits.jp/

素材の優しさが口の中に広がるフランス地方菓子「BION」

門司港駅近くでお土産やカフェができる、すてきなお店を見つけました。
フランス焼き菓子を中心とし、クッキーやケーキを販売する「BION」。
2010年に現在の場所でオープンし、県内外からお客さんが訪れる人気店。この日もオープンするやいなや、多くのお客さんで小さな店内が溢れかえっていました。

素材、季節を大切にし、焼き菓子の香ばしさ、小麦粉のおいしさをダイレクトに感じられるお菓子が並びます。素朴だけれどひとつひとつの食材は吟味され、それらがひとつになった時に一番おいしくなるように、考えられていることがわかります。日常のなにげないお菓子にも上質を感じさせてくれるお菓子には、これまでのお菓子の歴史や素材を作ってくれている農家、生産者の想いも詰め込んで。

この日は「いちごのタルトレット」を。
構成するフルーツ、クリーム、タルト生地のバランスや甘さがバランス良く、幸せ度がぐっと上がるような心が軽くなるような、うれしい味。日常を忘れて、ケーキのおいしさに夢中になれる、そんなお菓子でした。

人気なのは12種類のいろいろなクッキーが詰め合わせになったクッキー缶。
また店内でいただくコーヒーやハーブティーにもこだわりがあるので、イートインもオススメです。

BION(日音)

住所福岡県北九州市門司区西海岸1-4-24
電話093-331-3338
開館時間12:00~17:00
定休日日、月、火休
webhttps://bion-net.shop/

建築美を楽しめる、ドライブ立ち寄りスポット「門司赤煉瓦プレイス」

門司港エリアとは別の門司の風景を探しに、やってきたのは「門司赤煉瓦プレイス」。
こちらも海沿いのエリアですが、渋い煉瓦の建物が並ぶ商業施設で、「門司駅」から数分の場所です。

ここは、九州地方初のビール醸造会社「サクラビール」の創業地です。
「帝国麦酒」として創業したサクラビールは、大正時代に兵庫の鈴木商店から支援を受け、商標「サクラビール」を製造、最盛期には日本三大ビール会社にも名を連ねました。
その後「大日本麦酒」との統合などを経て、サッポロビールの工場として使われたこの場所は保存管理され、飲食店やイベント会場として利用されています。
門司麦酒煉瓦館では、サクラビールの歴史とともに日本のビール工場の変遷などが学べる資料館として利用されています。

古くは参勤交代も行われた長崎街道が通り、宿場町「大里宿」が広がる地域でした。この旧街道沿いにあるのがこの施設群で、門司麦酒煉瓦館前には江戸時代初期に植えられたとされる松の木があり、歴史の長さをその巨木に感じ取ることができます。
人気のパン屋や牡蠣小屋、工場をそのまま利用した飲食店などもあり、サッポロビールの1ブランドとして販売される「サクラビール」を楽しむこともできます。
門司港周辺と併せて立ち寄りたい、観光スポットです。

門司赤煉瓦プレイス

住所福岡県北九州市門司区大里本町3-11-1
電話093-372-0962(門司赤煉瓦倶楽部)
開館時間北九州市門司麦酒レンガ館 9:00~17:00
カフェ・ド・ブリック 11:00~14:00、18:00~23:00(O.S)
BAKERY&CHANDELIER Eccentric(エキセントリック) 9:00~18:00 月休
定休日12/29~1/3
webhttps://mojirenga.jp/

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