文:離島こむ 編集:原里実(CINRA)
美しい景色と声援に背中を押されて。初心者も楽しくゴールできる大会
『ヨロンマラソン』は、鹿児島県の最南端、沖縄県との県境にある与論島で、毎年3月に開催されます。島を2周するフルマラソンと、1周するハーフマラソンは、どちらも青い海の美しい風景を存分に楽しめるコース。フルの制限時間は7時間、ハーフなら5時間と、のんびりとした「島時間」な設定も魅力です。

絶景ポイントに溢れるコースのなかでも特に見逃せない、大金久海岸を一望できる坂
参加者は毎年、フルとハーフを合わせて約1,000人前後と程よい人数で、スタート前のポジション取りも必要ありません。スタートとゴールの地点は、旧町役場がある茶花集落。すぐ脇にはビーチが広がり、ゴール後にそのまま青い海に飛び込むなんてこともできてしまう最高のロケーションです。

スタート&ゴールの茶花海岸。ゴール直前にこんな光景を見たらコースアウトしてしまいそうですが、くれぐれも海に飛び込むならゴール後に!

沿道には南国らしいハイビスカスの花も。青い空と赤い花びらのコントラストが美しい
『ヨロンマラソン』のコースはアップダウンが激しく、特にゴール7キロメートル手前の「翔龍橋」では、コース最大の標高差を越えることになります。でも坂の上には、郷土料理のヤギ汁などが楽しめる名物エイドステーションが待っています。

エイドステーションでふるまわれる郷土料理「ヤギ汁」。島ではお祝いの席に食べられ、滋養強壮によいとされている
マラソン当日は、島全体が大盛り上がり。ゴール後は、疲れた身体を癒す黒糖や生姜のドリンクサービスや、よもぎマッサージなどもあります。すばらしい景色と温かい島民からの応援に背中を押されて、マラソン初挑戦の方でも楽しくゴールできるはず。

マラソン前後もお楽しみ。飲めや踊れの「前夜祭&後夜祭」
ウェルカムパーティー / 完走パーティー
マラソン大会前日ともなるとベテランランナーでも緊張しますが、『ヨロンマラソン』ならその心配はありません。大会前夜のウェルカムパーティーが、飲めや踊れの大宴会になるからです。事前申込制で有料ですが、ほとんどの人が参加します。

生演奏のバンドに合わせて参加者全員で踊る光景は、『ヨロンマラソン』名物。本当に翌日走れるの?というくらいの盛り上がりを見せる前夜祭
さらにゴール直後の後夜祭「完走パーティー」は、それを上回る大宴会に。前夜祭では翌日のマラソンを考えてほどほどにしておく人も多いですが、ゴール後ともなれば「お疲れさま」の乾杯の後、お酒もついつい進みます。与論島オリジナルの黒糖焼酎「島有泉」を、無料でふるまってくれるサービスもあり。大きな杯で飲む島有泉は格別です。

ゴール直後の後夜祭では与論島オリジナルの黒糖焼酎「島有泉」がふるまわれる
エイサーや琉球舞踊、フラダンスやライブ演奏も行われ、ランナーも島民も一体になって大盛り上がり。走ることより、前夜祭と後夜祭を楽しみに参加する人も多いほどです。島のお祭りとマラソンが一緒になったような、ほかの地方マラソンでは体験できない楽しさを、ぜひ与論島で味わってみてほしいです。

「本当に数時間前までマラソンしていたの?」というくらい、元気いっぱいの完走パーティー
吸い込まれそうな青にうっとり。マラソンコース随一の絶景
マラソンのために島を訪れたら、与論の海の美しい景色を満喫していってください。マラソンコース内でも随一の絶景、大金久海岸を望む坂道は、マラソン中はなかなか長居できませんが、ぜひあらためてのんびりと訪れたい場所です。目の前に広がる吸い込まれそうな青色には、時間を忘れて見入ってしまいます。

この下には「タイムトンネル」と呼ばれる、文字通り「『穴』場」の名所もあります。こちらはマラソンコースからは見ることができません。大きな岩にぽっかりと空いたトンネルのような穴から、美しく澄んだ青い海と空を切り取って見ることができます。


「タイムトンネル」は朝日の名所でもある
天国のような幻の島。与論島観光では外せない「百合ヶ浜」
与論島には数多くの絶景スポットがありますが、その頂点に立つのが「百合ヶ浜」。ひと月のうちでたった数日間、潮が大きく引く日、それも干潮の数時間しか姿を現さない「幻の島」です。2019年の『ヨロンマラソン』開催時期は大変運がよく、なんと大会前日、当日、翌日のどの日でも現れる予定になっています。

百合ヶ浜。日によって現れる時間、位置や大きさが異なる
百合ヶ浜へ行くには、大金久海岸から約1.5キロメートル沖合にボートで渡ります。見えるのは真っ白な砂の島と、透きとおるような青い海だけ。まるで天国にいるかのような気分になってしまいます。

鹿児島と沖縄を結ぶ鉄道? ロマン溢れるモニュメント「ヨロン駅」
最後にご紹介するのが「ヨロン駅」。沖縄本島や奄美大島と同じく、与論島には鉄道が通っていません。でも与論島には「ヨロン駅」というモニュメントがあり、名所として愛されているのです。

港や空港の近くにあり、気軽に寄れる「ヨロン駅」
「ヨロン駅」にあるのは、隣駅として「おきなわ / かごしま」の名前が書かれた駅名標、それに鹿児島の鉄道管理局から寄贈された、5メートルばかりのレールと車輪。
この駅がつくられる所以となったのは、鹿児島から沖縄まで海を越えてつながる「国道58号線」です。鹿児島市内から、種子島、奄美大島、そして沖縄本島まで、総延長約880キロメートルにもおよぶ日本一長い国道、その中継拠点としてヨロン駅が生まれたそう。青い海へとつづく見えないレールに、ロマンを感じます。

白い駅舎の屋根から覗く、砂浜と青い海は必見
島の美しい風景と、子どもからお年寄りまで地元の人々総出の温かいおもてなしが嬉しい『ヨロンマラソン』。島に着いたら「お帰りなさい」、発つときは「また会いましょう」と、空港や港では多くの島民がお出迎え、お見送りをしてくれます。
その居心地のよさから、参加者のほとんどがリピーターという本大会で、あなたも初マラソンにチャレンジしてみませんか?

港を発つ際、はためく色とりどりの紙テープは涙もの
『第28回ヨロンマラソン2019』 | ||
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開催日 | : | 2019年3月10日(日) |
申込期間 | : | 2018年11月12日(月)~2019年1月20日(日)※予定 |
web | : | http://www.minc.ne.jp/yorontou/index.html |
離島こむ
東京生まれの東京育ち。現在沖縄移住中で、沖縄を拠点に多くの離島マラソン大会に参加。ヨロンマラソンにも10回以上の参加経験あり。離島情報サイト「沖縄離島ドットコム」を運営。LINEトラベルJPの旅行ガイドナビゲーターも担当している。
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