優美で美しい日本庭園には、脈々と受け継がれてきた日本人の美意識と風情が詰め込まれており、旅の目的地としてぜひ訪れたい場所。
3つの庭園にまつわる情報と、周辺の観光情報、日本庭園を観賞する上でのマナーについてご紹介します。
日本三名園とは? 他の庭園とここが違う
「日本三名園」とは、日本を代表する美しい大名庭園として広く知られている茨城県の偕楽園(かいらくえん)、岡山県の後楽園(こうらくえん)、石川県の兼六園(けんろくえん)の3つの庭園を指します。いつ誰が設定したのかは定かではないものの、明治時代にはすでに「日本三名園」という言葉が使われていたのだそう。いずれも江戸時代に藩主によって作られた回遊式の日本庭園です。
ここからは、それぞれの庭園について詳しく説明します。
【茨城県水戸市】偕楽園
1つ目の庭園は、茨城県水戸市にある偕楽園です。
偕楽園とは?
「水戸の春は梅の花から」といわれるほど、早咲き・中咲き・遅咲きと長い期間にわたり梅を楽しめる梅の名所として知られる偕楽園。
江戸時代に水戸藩九代藩主・徳川斉昭(なりあき)によって造園されたこちら。領内の民と偕(とも)に楽しむ場にしたいとの願いによって作られたという由来の通り、春になると梅を求めて多くの花見客で賑わいを見せています。
園内には、約100品種、約3000本もの梅が植えられ、毎年2月中旬~3月下旬には水戸の梅まつりが開催されています。
秋になると偕楽園の南側にあるもみじ谷のモミジやカエデが色づき、見事なグラデーションを見せてくれます。11月にはライトアップも行われ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気が人々を魅了しています。
アクセス情報
茨城空港から高速バスで約40分、JR水戸駅で下車し、JR水戸駅からバスで約20分。バス停は好文亭表門、偕楽園東門、偕楽園前のいずれかで下車し徒歩約4分です。
周辺観光情報
偕楽園をはじめとする水戸徳川家ゆかりの史跡が多く残る水戸。偕楽園とセットで水戸観光を楽しむのなら、水戸城や水戸藩の藩校である弘道館、徳川ミュージアムなど、歴史を感じられるスポットを巡るのがおすすめです。
あの国民的時代劇「水戸黄門」の舞台としても有名で、「水戸黄門」の主人公として知られる徳川光圀ゆかりのスポットも点在しています。町中には黄門様のグッズを販売するお店もあるので、お土産にぜひチェックしてください。
偕楽園
住所 | : | 茨城県水戸市常磐町1-3-3 |
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電話 | : | 029-244-5454(偕楽園公園センター) |
web | : | 偕楽園 公式サイト |
【岡山県岡山市】後楽園
2つ目の庭園は、岡山県岡山市にある後楽園です。
後楽園とは?
岡山藩主・池田綱政が家臣の津田永忠に命じ作られた庭園です。その後も藩主の好みで手が加えられたものの、江戸時代の姿をほぼ変えることなく、現在まで残されています。
全長約640mの曲水が園内を巡る回遊式庭園で、歩きながらさまざまな景色を眺めることができます。なんといっても印象的なのは青々としたこの広い芝生。美しく手入れされた芝生が、岡山の燦々と降り注ぐ太陽の光によってより鮮やかに輝いて見えます。
春・夏・秋にはライトアップを実施。広大な庭園が「幻想庭園」へと姿を変える様子も必見です。
園内には藩主の居間だった「延養亭」や「能舞台」など歴史的な建物も。通常は非公開ですが、特別公開や能舞台での公演などでの一般公開も実施しています。
アクセス情報
岡山桃太郎空港から高速バスで約30分、JR岡山駅で下車し、JR岡山駅からバスで約10分。バス停は後楽園前で下車し徒歩1分です。
周辺観光情報
日本一降水量が少ないため「晴れの国」とも呼ばれる岡山。後楽園周辺には歩いて行ける観光スポットがたくさんあります。
別名「烏城」と呼ばれる真っ黒な外観が印象的な岡山城は、後楽園から徒歩5分。後楽園とセットで訪れる人も多い定番スポットです。
後楽園の門前町として栄えた出石町で街歩きをするのもおすすめ。戦前からの古い建物をリノベーションしたおしゃれなカフェや雑貨屋さんにも立ち寄ってみてください。
後楽園
住所 | : | 岡山県岡山市北区後楽園1-5 |
---|---|---|
電話 | : | 086-272-1148(岡山後楽園事務所) |
web | : | 後楽園 公式サイト |
【石川県金沢市】兼六園
3つ目は、石川県金沢市にある兼六園です。
兼六園とは?
春の桜、秋の紅葉、冬の雪吊りと四季折々に美しい景観が人々を魅了する兼六園は、歴代の加賀藩主・前田家によって長い年月をかけて作られました。
さまざまな時代の庭園手法を駆使して作られているため、広大な園内には大きな池や築山(つきやま)、御亭(おちん)や茶屋などが点在。そのため「築山・林泉・回遊式庭園」とも呼ばれています。
どの季節も豊かな自然美を堪能できる兼六園ですが、中でも特徴的なのは雪から木の枝を守るために施される“雪吊り”。木々がまるで傘をかぶっているかのような雪吊りは金沢の冬の代名詞として親しまれています。
アクセス情報
小松空港から高速バスで約45分、JR金沢駅で下車し、JR金沢駅からバスで約12分。バス停は兼六園下・金沢城で下車し徒歩約5分です。
周辺観光情報
金沢市には兼六園のほかにも金沢城や金沢21世紀美術館、金沢美術工芸大学 柳宗理記念デザイン研究所など、建築美やアートに触れられるスポットが多数あります。すべて町中に集中しているので、徒歩やバスで巡れるのもうれしいポイントです。
また、日本海の新鮮な海の幸も欠かせません。近江町市場をはじめ、町には活きのいい魚介を味わえる店が軒を連ねています。観光の合間に立ち寄って、北陸ならではの美味を味わってはいかがでしょうか。
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兼六園
住所 | : | 石川県金沢市兼六町1 |
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電話 | : | 076-234-3800(兼六園管理事務所) |
web | : | 兼六園 公式サイト |
庭園をより楽しむために。知っておきたいマナー
静寂や調和を重んじた空間である日本庭園を楽しむには、マナーを守ることが大切です。みんなが気持ちよく過ごせるように、最低限、以下のマナーは心に留めておきましょう。
庭園によっては独自のルールを設けている場合があるので、訪れる前に公式Webサイトなどで確認すると安心です。
植物や石などに触れない
日本庭園は植物や石も含めて芸術作品です。手を触れてしまうと形が変わってしまうため、触れたり、動かしたりしないようにしましょう。
許可されているエリア以外は入らない
ルートを外れて歩くと、植物を傷つけたり、庭石を傷めたりする可能性があります。特に苔や砂紋のある繊細なエリアは踏み込むと修復困難になることも。また、メンテナンス中だったり、修復中だったりすることもあるので、許可されているエリア以外は無断で立ち入らないようにしましょう。
ゴミは持ち帰る
園内にはゴミ箱が設置されていないことも。空のペットボトルや紙くずなど、ゴミは必ず持って帰るようにしましょう。
指定された場所以外での飲食は避ける
茶屋や休憩処など、指定された場所以外での飲食は禁じられています。夏の暑い時期に熱中症の危険がある場合など、やむを得ない場合を除き、基本的には飲食は避けるようにしましょう。
三脚やドローン撮影などは避ける
三脚やドローンを使った撮影は、他の人の迷惑にもなるため控えましょう。また、庭園そのものを傷つけてしまうおそれもあります。三脚などを使わない写真撮影についても、撮影可能なエリア以外では行わないように、周りにも配慮して行うようにしましょう。
それぞれ違った魅力のある「日本三名園」。鑑賞マナーをしっかり守って、名庭園を心ゆくまで堪能してください。
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