旅にはさまざまなカタチがありますが、「旅人」という枠を越えられる経験はなかなかできるものではありません。しかし、そこをスッと自然に飛び越えてしまう旅先があります。

初めての地なのに、まるでそこで生まれ育ったかのような感覚。そんな体験ができるのが、歴史的建築物を活用した「なつかしくて、あたらしい、日本の暮らし」を提案する施設「NIPPONIA」です。

本記事では、NIPPONIA施設の開発を手掛ける株式会社NOTEの小栗瑞紀さんに同施設の魅力を伺いながら、ただ消費して終わるのではなく、「またあそこに行きたい」と思える旅の体験をご紹介します。

まるで帰郷。まちが一体となってあたたかく迎えてくれる

伊丹空港から車でおよそ1時間。兵庫県丹波篠山市にある「集落丸山」は谷奥にある世帯数5戸(2009年当時)ほどの小さな村。260年以上の歴史がありますが、いわゆる「観光地」ではありません。しかし、2009年から空き家を再生して宿泊営業を始め、村の人々が運営しています。

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この地で旅行者が宿泊するのは築150年の古民家。春はたけのこ掘り、秋は黒枝豆の収穫体験が楽しめ、里の豊かな自然に存分に浸ることができますが、何よりうれしいのは、村に足を踏み入れた瞬間から地域の方たちがあたたかく迎えてくれること。部屋に花を飾り、地域の掲示板に歓迎の短歌を書き、気さくに話しかけてくれ、初めて訪れたにもかかわらず親戚が帰郷したかのように受け入れてくれます。

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集落丸山が再生するきっかけを作ったのは一般社団法人ノオト。兵庫県丹波篠山市出身の藤原岳史氏が地域の活性化を手掛けたいと、Uターンして当時篠山市の副市長をしていた金野幸雄氏とまちづくり事業に取り組んだことが始まりです。2016年、株式会社NOTEを創立し、まちづくり開発事業を「NIPPONIA(ニッポニア)」と名付け、全国に展開。2022年現在、NIPPONIAは日本全国27地域まで広がっています。

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小栗さん「NIPPONIAは、歴史的建築物を再生し、その土地を支えてきた生業、技術、文化などをもとに事業を創出、その土地らしい暮らしを持続させることを目指しています。開業にあたり、最初に『この地域を10年先、100年先とつなげていくためには何を核にすべきか』を、地域の方々と時間をかけて話し合っています」

雨漏りの跡も煤も生かした古民家のなつかしさと、新しい景色

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たとえば、「篠山城下町ホテル NIPPONIA」(兵庫県丹波篠山市)は、400年の歴史を持つ篠山城下町の古民家を改修した宿泊施設が点在する分散型ホテルとなっています。町は武家屋敷や商家の風情ある景観を残しながらも、地元の食材を使った和食店、グルメバーガーショップ、セレクト雑貨ショップなどが新たに展開され、なつかしさと新しい出合いがあるまちとして散歩がとても楽しくなります。

小栗さん「基本的に新しい建物は建てません。改修もよほど損傷が激しく危険なところ以外は大きく変えず、かまどや井戸もそのまま宿の特徴として残しています。壁に残った雨漏りの跡や煤(すす)の黒ずみもその家の歴史のひとつ。『ここで火を焚く作業をしていたので煤けているんですよ』とご説明しています」

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「NIPPONIA播磨福崎 蔵書の館」(兵庫県神崎郡福崎町)は、県の指定重要有形文化財となっている住宅を宿泊だけでなくウェディングもできるように蘇らせました。「NIPPONIA HOTEL 函館 港町」(北海道函館市)では赤レンガ倉庫を活用。「NIPPONIA」と一口に言っても地域ごとにそれぞれ特色があり、その地に住んでいた人々の暮らしに思いを馳せることができます。

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