関西国際空港から南海電鉄に乗り、大阪を南へ南へ。今回の旅の舞台である「岬町」は、すぐお隣に和歌山県、海の向こうには兵庫県淡路島という大阪府の一番南に位置する、色んな街の交差点。海を見ながらまわった1泊2日、岬町の旅レポートです。
画像1: 大阪最南端・岬町で見つける泉州南部の新しい魅力

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

画像2: 大阪最南端・岬町で見つける泉州南部の新しい魅力

9:30 深日港からレンタサイクルで和歌山県境を目指す

2日目は深日港(ふけこう)駅からスタートです。

南海鉄道は本線から分岐して多奈川線に。このあたりまで来ると景色もどんどんのどかになっていって、「大阪のはじっこまで来たなぁ…」と感じます。

深日港駅にある大きな木製の古い屋根が、この駅の古さを物語っています。駅からすぐの深日港は大阪湾を横切り淡路島・洲本港へ渡るフェリーがあった場所で、定期運航していた時代は大変賑わった駅であったことと思います。

駅から港の方へ少し歩くと、青い建物「深日港観光案内所さんぽるた」が見えます。ここでは電動レンタサイクルが借りられる他、地域の情報を聞いたりパンフレットをもらえたり、また中で休憩することもできます。

近くでは朝早くからの釣り人がのんびりと釣り糸を垂らす姿。遠くに赤い灯台も見え、静かな港町の情緒ある景色を見せてくれます。

深日港観光案内所さんぽるた

住所大阪府泉南郡岬町深日3500
営業時間9:30~16:30
休日月曜定休
webhttp://misakicho-kanko.com/

10:30 高級魚も釣れる釣りの聖地「道の駅とっとパーク小島」

まずは大阪の一番南まで行ってみようと、和歌山県との県境にある道の駅とっとパーク小島を目指します。地図で見ると距離がありそうでしたが、電動自転車なら問題なし。途中アップダウンもありましたがこちらも難なく、気持ちよく走れました。

道の駅とっとパーク小島は、海に突き出た人工桟橋から釣りを楽しむことが出来る施設。関西国際空港を造る際に使われた、土砂運搬用の桟橋が再利用されています。遠くから見ると併設されたレストランも魚の形で遠くから良く見えて個性的です。

ここではかなり大きな魚が釣れるということで、本格的な釣り具を持った人たちが楽しそうにさおを投げています。朝早くから開いていることもあり、私が到着した頃にはすでに大物を釣り上げている人たちも!大きなスズキに、優勝力士が持っていそうな巨大な鯛、そしてヒラメ。ここは地上の竜宮城ですか…、と言いたくなるほどの豪華な魚のオンパレードでした。とっとパーク小島では、遠くには淡路島の島影、また和歌山県に位置する友ヶ島も見えるスケールの大きい景色もウリのひとつです。

とっとパーク小島から自転車だと10分かからない場所に和歌山との県境がありました。紀伊国の石碑も建っています。大阪最南端・岬町の、さらに一番南まで行くと、なぜか岬町を制覇した気持ちになりました。気持ちが満たされ自転車をこぐモチベーションもアップして、次のスポットへ向かいます。

11:20 天之宮(神社)で手描きのカワイイ御朱印をもらう

今度は深日港駅へ戻りながら行程を進めていきます。

「天之宮」へ立ち寄ります。実はとっとパーク小島へ行く途中、一度横を通過して、また戻った形です。久しぶりに持ち出した御朱印帳を片手にお参りです。

こちらの神社では、御朱印を受けるのに予約が必要です。こちらの御朱印は書き置きではなく全て手描きで、しかも数種類の中から選ぶことができます。予約をした参拝客は、お祓いをしてもらって御朱印帳を預け、鳥居の手前からご案内をしてもらえます。一組ずつ案内するという参拝方法を取っていることで、神道に興味を持ち、頻繁にお参りに来る人も増えているそうです。私も描いてもらう間、境内を案内いただきました。

神社のなりたちから神道そのものの意味まで、丁寧に対応してくださいます。天之宮神社は有史以前の日本古来の自然信仰を伝えています。海、山、草木や石、自然現象に至るまで、全てに神様が宿ると考えを神社内の木々や石を例えにしながら、ひとつずつ説明いただきました。清らかな水が流れる手入れの行き届いた境内で、いるだけでとても気持ちがいいお宮です。

毎月1日と8日には月次祭という祭典が執り行われており、こちらには参列することも可能だそう。お参りを済ませたころには私の御朱印も完成。かわいい御朱印に、気持ちも晴れやかになります。

“親近感がわく、楽しい神社“。
神社に対して、新境地を開くことができました。

天之宮

住所大阪府泉南郡岬町多奈川谷川3249-1
御朱印を受ける際は公式サイトを確認の上、事前予約(ハガキ)が必要。
webhttps://www.tennnomiya.com/

12:30 大人気ベーグル専門店「Ouchipan(オウチパン)」のランチ

岬町へ行くならぜひここも行って!と教えてもらったパン屋さん。種類豊富なパンと店内・テラス席のカフェがあります。

Ouchipanのベーグルはとても柔らかくて食べやすいのが特徴で、かつベーグルの持ち味であるもちもちとした食感も感じられます。この特徴はサンドイッチにすると尚のこと輝きを放ち、食べやすさはもちろんのこと、ベーグルと具がお互いを引き立て合うことこの上ない…、ベーグルってこんなに美味しかったっけ!?

この日のメインサンドは名水があることでも有名な金剛山の麓で湧く伏流水で作られたベーコンを使ったBLTサンドか濃厚なチェダーチーズを乗せたハンバーグ。どちらもふんわり新鮮な野菜やマリネがたっぷりと挟まれたフォトジェニックなランチでした。お好みのミニサンドはこの日6種類からチョイス。スイーツ系やフルーツ系が多く、デザート感覚で選べます。クリーミーなスープとサラダもセットでヘルシーかつ満足な内容でした。

ベーグル生地はプレーンに始まり、ヨモギや抹茶、紫芋、チョコレートと数えきれないほど種類が揃います。さらに挟むクリームや素材によってその組み合わせは無限大。毎回選ぶのが楽しくなっちゃいますね。

Ouchipanのソフトベーグルは一日のどの食事にも合いそうなオールラウンダー。今までなんとも思わずに食べていたベーグル、惚れ直してしまいました。

Ouchipan

住所大阪府泉南郡岬町多奈川谷1423-44
営業時間11:00~14:30
休日日月火定休、不定休あり
webhttps://www.instagram.com/rutsutani/ (Instagram)

15:30 大阪泉州と言えば…タオル。「泉州タオル館」でタオルを学ぶ

大阪の泉州と聞いて真っ先に頭に浮かんだのが「泉州タオル」です。

泉州は日本のタオル産業発祥の地。日本における初めてのタオルが作られ、その歴史は130年以上。現在も泉佐野市を中心に泉州地域で作られたタオルは「泉州タオル」ブランドとして全国で販売されており、その生産量は国産タオルの約半分を占めています。泉州タオルとは一体どんなタオルなのか…、それを知るためにやってきたのが「泉州タオル館」です。

泉州タオルの特徴をひと言で表すと「吸水性に優れた、清潔、安心安全なタオル」。泉州タオルの生産過程における「後晒(あとざらし)」という伝統製法にあります。

タオルを作る工程には漂白や洗浄を行う“さらし”という作業が必要になります。
泉州タオルのほとんどがタオル製織の全ての工程が終わった後に“さらし”を行うので、「後晒し」タオルに分類されます。木綿が本来持っている油分や、織りやすくするためのノリやロウ、また作業上で付着した不純物などを工程の最後に漂白、洗い流す「アクア・フィニッシュ製法」により、完成品は清潔で優れた吸水性を持ったタオルになるのです。その特徴から泉州タオルは、「買ってきたその日から吸水性と肌触りが良い」という定評があります。

泉州タオル館では様々な泉州タオルを見ることが出来るほか、国産タオルの歴史における織機などの開発に関する展示が見られました。最近の泉州タオルにはマークが縫い付けられているというので、私も家のタオルをチェックしてみたらなんと、気づかずに使っていたではないですか!しかも使い心地が良く、お気に入りの一枚でした。

今では外国産タオルに押され、国産タオルの製造は2割程に落ち込んでいるということですが、贈答用にはやっぱり国産という人も多いはず。泉州で作られるタオルは日常使いしやすい「泉州タオル」だけでなく、上質なプレミアムタイプのタオルに「泉州こだわりタオル」というブランドを付け、差別化しています。

その良さは使ってみないとわかりません、そして意識しなければ気づきません。原料、織り、風合い、そして管理やデザインまでこだわり抜いた国産タオルを、私ももう少し気にしてみようと思います。

泉州タオル館

住所大阪府泉佐野市市場西1-8-8
営業時間10:00~17:00
休日土日祝定休
webhttps://www.senshu-towel.jp/

17:30 関空から近いおしゃれな撮影スポット「りんくう公園」

関西国際空港駅の隣駅である「りんくうタウン」。大きなショッピングモールやアウトレットがあることで知られています。この埋立地に造成された公園もりんくうタウンの見どころのひとつ。最後に立ち寄ってみました。

手入れされた花壇を通り過ぎ海が見えるエリアへ。大きな噴水と関空へ続く長い連絡橋が見渡せます。犬の散歩やジョギングを楽しむ人たちも。お天気のせいで夕焼けは拝めませんでしたが、サンセットも期待できるロケーションです。

関空を使う際にはりんくうタウンは外せませんね。海をバックに撮影したり、お買い物したり、良い思い出が作れるスポットです。

関西国際空港を使って大阪泉州エリアを南海鉄道で旅した2日間。
静かな波の音が聞こえる岬町は人も景色もとても穏やかな、私の知らない大阪でした。
泉南(泉州南部)のカラッとした気質と面倒見の良さで、旅の途中に出会った人たちの親切な言葉ひとつひとつが思い出に残ります。
大都会・大阪中心部からもすぐに行ける場所なので、ぜひ心の洗濯をしに岬町まで足を伸ばしてはいかがでしょうか。

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