シンプルで、当たり前の使いやすさを目指して
JALアプリのリニューアルプロジェクトが始まったのは、2023年の秋でした。当時からカスタマー・エクスペリエンス本部で顧客体験戦略に関わっていた沼野功希は、お客さまから寄せられる声に、強い課題感を抱いていました。

沼野「当時、JALが提供するデジタル体験について『使いにくい』『わかりにくい』というお声をいただく機会が重なっていました。特にアプリが進化できていなかった状況があり、リニューアルを決断しました」
具体的な開発プロジェクトは、2024年4月に始動しました。JALデジタルで開発の実働部隊を統括する川越拓志は、この大規模な改修を2年間というスケジュールで完遂するため、段階的な開発手法を採用したと振り返ります。

川越「2年間という開発スケジュールを策定しましたが、この改修規模としては短い期間でした。そこでプロジェクトを3段階のフェーズ(Ph1:国内線機能、Ph2:国際線機能、Ph3:多言語対応)に分け、それぞれのフェーズが一部並走するような形で進めることで効率的に進めることとしました」
具体的に見直すポイントについて、開発チームは大きく3つの要素を掲げます。
旧アプリのホーム画面
沼野「大きく見直すべきポイントは3つありました。1つ目は、航空会社のアプリに必須となる基本機能の網羅。使い勝手のベースとなる当たり前の機能を磨き上げたのです。2つ目は、誰もが直感的に操作できるシンプルなユーザーインターフェースへの刷新。そして3つ目が、背景で動くシステムの抜本的な見直しです。旧アプリはシステムの複雑化により、エラーの頻発や障害解消の長期化など利便性の低下を招いておりました」
システムを根本から作り直し、使い勝手を洗練し、シンプルな美しいデザインでお客さまの迷いやご不便を未然に防ぐ行き届いたアプリを目指したのです。
リアルタイムな情報提供で「今、何をすべきか」が明快に
システムの刷新に伴い、お客さまが直接触れるユーザーインターフェースも徹底的に見直しました。デジタルCXモバイルグループの中村裕子は、デザイン設計に入る前のプロセスを重視したといいます。

中村「リニューアルにあたり、いきなりデザインに取りかかるのではなく、まずはデザインコンセプトについて議論しました。そのうえで『誰もが理解できるシンプルさを追求する』というコンセプトが定まったのです。JALアプリはすべての人にとって直感的で、ストレスフリーで、迷わないシンプルなデザインを追求しています」

このコンセプトを体現したのが、フライトの進捗に合わせてリアルタイムに情報が切り替わる新しいアシスト機能です。システムを根底から見直すことで、お客さまにとって必要な手続きを、必要な場面で的確にご案内することが可能になりました。
川越「たとえば『予約した席を確定するために、◯◯までにお支払いをお済ませください』『保安検査場に◯時までにお越しください』といったように、アプリを通じて、そのときどきに必要な行動をレコメンドするのです」

お客さまの予約状況や現在時刻と連動し、次に行うべきアクションがホーム画面に表示されます。これにより、お客さまはアプリ内を探し回る必要がなくなり、物理的なご移動の際にも迷わず次のステップへお進みいただけます。国内線と国際線の区分についても、お客さまの視点に立った見直しを行ったポイントです。
中村「ユーザーインタビューを行い、課題を洗い出しました。特に議論したのが、空席照会画面において、国内線と国際線を最初に選択するか、選択させず、国内・国際線を統合するかです。日本のお客さまは国内線と国際線を明確に区分しますが、海外のお客さまからするとその意識があまりない場合があります。そうした視点を踏まえながら、誰もが使いやすいデザインを目指しました」

さらに、ご搭乗前の情報だけでなく、旅の最中での利便性向上にも努めています。たとえば、機内食の提供タイミングなどをアプリで事前に確認いただけるようにした点もその一環です。
沼野「機内食や機材の情報など、お客さまが搭乗前にスマートフォンを片手に必要な情報を見ることができます。そういった場面も、アプリが価値を発揮できる場所だと考えています」
外部の視点を取り入れ、「JALの常識」を見直す
これまでのアプリ開発は、原則的にJAL社内のみで行っていました。しかし今回の開発体制では、外部のベンダー企業との協働を取り入れたことが、さまざまな気付きにつながったと振り返ります。

川越「今回から新しく外部のベンダーの方々に入っていただいたことにより、JALの中での当たり前が、外部の方々からすると当たり前ではないということに気づかされました。レスポンスタイム(操作時の反応速度)や多角的な視点から、我々が気づけなかった部分を指摘していただきました」
航空券の予約や運賃規則に関するシステムは条件分岐が非常に複雑で、これまではアプリ側の処理に負担をかける設計になりがちでした。しかし、外部からの客観的な視点により、レスポンスタイムの低下がお客さまのストレスに直結しているという事実を再認識し、システム全体のアーキテクチャを見直す判断を下すことができたのです。

沼野「外部のベンダーからは、我々が諦めようとしていたことを、『それは大事にしてください』と言ってくれました。よりグローバルな視点や、海外のお客さまからどう見えるかといった視点でデザインを作っていくことができました」
一方で、使い勝手を追求する過程であえて削ぎ落とした機能もありました。

中村「たとえば輝度の自動調整機能です。2次元バーコードを機械で読み込むときに認識しやすくするために、端末が傾いたときに画面輝度を上げるようにしていました。しかし、空港のラウンジなどでくつろぎながらアプリを操作されるお客さまにとっては、意図せず画面が明るくなり、不快感につながります。あらゆる利用シーンを想定し、使いづらいと判断した機能は勇気を持って削除することで、使いやすさを追求しました」
足し算だけでなく、引き算の視点も持つこと。従来とは違うさまざまなアプローチで、お客さまにとってのストレスフリーを目指したのです。
いかにお客さまに寄り添えるか。丁寧でこまめな改善体制と、「旅のコンシェルジュ」への進化

徹底的な見直しを経て2026年4月にリリースされた新生JALアプリは、搭乗までのプロセスを徹底的にサポートするほか、機内でもWi-Fiに簡単に接続できます。またマイルやLife Statusポイントの獲得状況はもちろん、次のステイタスまでのステップも表示してくれます。

おかげさまで公開直後からご好評をいただいています。しかし、アプリの進化はこれで終わりではありません。
川越「お客さまから届く細かなお困りごとなどに対し、月に1度のマイナーアップデートを実施しています。これまでより高い頻度ですが、開発体制を変えて、よりリアルタイムでお客さまからの要望に応えられるようにしています」

中村「JALアプリは『旅のコンシェルジュ』であるべきだと思っています。今後は、ワンストップですべての移動を網羅するMaaS(Mobility as a Service)の要素も取り入れながら、まずはお客さまの旅に寄り添い、何が必要か、どう採用できるかを検討してまいります」
沼野「今後、JALアプリが目指していく姿をきちんと定めて、お客さまの『ゆとりのある旅体験』をアップデートしていこうと考えています。我々の本部でも、機能的な価値のみならず、いかにデジタルが気持ちに寄り添えるか、という視点を大切にしています。将来のあるべき姿を描きながら進めていきたいと思います」

JALはこれからも、お客さまの旅がより快適で豊かなものになるよう、デジタルの領域からもおもてなしを進化させ続けていきます。ちなみにアプリ上からは、次なる旅のヒントに、JALの観光メディア「OnTrip JAL」の記事もご覧いただけます。心が旅に傾いたら、ぜひ新しくなったJALアプリをご覧ください。
JALアプリ
| web | : | JALアプリ(日本航空 公式サイト) |
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| App Store | : | ダウンロード |
| Google Play | : | ダウンロード |
A350導入の裏話や機内食のメニュー開発など、JALの仕事の舞台裏を紹介します。
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