2024年10月1日、JALは国際線全クラスを対象に、機内Wi-Fiの無料提供を始めました。また国内線では従来動画配信サービスを視聴することができませんでしたが、これを解禁。より手軽に、より地上に近いWi-Fi環境を実現できた舞台裏をご紹介します。
画像: 国際線もインターネット接続無料!国内線は動画視聴も!進化するJALの機内Wi-Fiサービス

国際線はWi-Fi無料に。さらに国内線は、動画配信サービスを解禁

従来のJAL国際線において、ファーストクラス以外の機内Wi-Fiは有料が原則でした。時間ごとのチケット制を採用し、1時間プランが10.15ドルから、24時間プランが18.80ドルまでの料金を設定していたのです。しかし2024年10月1日から国際線全クラスで無料提供といたしました。

「現在、とくに海外の航空会社が中心になって、国際線の機内Wi-Fi無料化が進んでいます。JALとしても、お客さまの機内Wi-Fi利用のニーズの増加を感じていました。なかでもお仕事のニーズのほか、飛行機に乗っているときに、ちゃんと地上とのコミュニケーションを取りたいというお声を多くいただいていました。旅行という非日常空間のなかで、リアルタイムでSNSに上げたいというご意見もありました」

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こう語るのが、JAL商品・サービス開発部で、機内エンターテインメントや機内Wi-Fiサービスなどを担当する下村俊喜です。こうした背景から、多くのお客さまにご利用いただけるよう、ファーストクラス・ビジネスクラスでは時間制限なく、プレミアムエコノミー・エコノミークラスでは1時間までのご利用を無料としました。

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「さらに国内線では、今まではWebブラウジングやメールやメッセージのやりとりのみのWi-Fi利用に制限していましたが、YouTubeやNetflixといった動画配信サービスをご覧いただけるようにサービスを拡大しました。国内線の機材には個人用画面がない機材もあり、手持ち無沙汰にされているお客さまもいらっしゃいました。従来からWi-Fiの利用率が高いこともあり、機内での過ごし方における選択肢を増やすべきと考えたのです」

そもそも、飛行機がインターネットに接続できる仕組みとは

しかし、これらの変更にはひとつの懸念がありました。衛星を経由する通信は、地上における通信に比べて、通信容量の制約を受けやすいのです。

現在JALは、航空機内のインターネット接続サービスなどを提供するアメリカのIntelsat社と、Panasonic Avionics社の2社の通信プロバイダーと契約しており、衛星ネットワークを利用しての通信や、通信機器の提供を受けています。
地球の周りには多くの通信衛星があり、フライト中の飛行機はこれらをリレーして通信します。そして、ひとつの衛星がカバーする通信エリアでは、そこに存在するすべての飛行機で通信容量をシェアしますので、飛行機がたくさん飛行しているエリアでは、十分な通信容量が確保できない場合があります。また、機内で多くのお客さまが大容量通信を行っても、通信速度が下がる事態が想定されるのです。

「衛星を介した通信は水道にたとえられます。同時にたくさんの通信が重なることで、蛇口から出る水は少なくなるわけです。サービスをご提供する前に、検証が必要でした。そこで2024年2月に、国際線Wi-Fi無料のキャンペーンを行いました。お客さまからはご好評で、かつ通信品質を大きく損なうことなく、安定してサービスをご提供できると確信しました」

サービス開始後、通信量は増加したものの、ストレスのない速度を維持

サービスを開始した2024年10月、国際線の利用率は約5倍、国内線においては1人当たりのデータ通信量が約2~3割ほど増えました。

「実は、以前より確実に通信速度は速くなっています。サービスご提供にあたっては通信プロバイダーのご支援もあり、また以前に比べて通信に使える衛星も増えたことから、通信品質はより向上しているのです。そんな背景もあり、国内線、国際線ともに、仕事のメールなどのやりとりをするのにストレスのない速度が出ていると分析しています」

画像1: サービス開始後、通信量は増加したものの、ストレスのない速度を維持

また、お客さまの機内での過ごし方も、変化の兆しが見えています。

「実際にデータを見ると、国内線での動画視聴を開放したことでYouTubeのご視聴が大変伸びています。国内線では個人用画面が導入されていない機材が多いためか、動画コンテンツを楽しんでいただいている印象です。国際線では大幅に変わった印象はありませんが、着陸前に現地での過ごし方のほか入国審査について調べることが容易になり、行き先の不安を解消できているお客さまも多くいらっしゃるはずです」

画像2: サービス開始後、通信量は増加したものの、ストレスのない速度を維持

また本サービスにあわせて、『「#つながるJAL」 X(旧Twitter)投稿キャンペーン』を実施。地上での体験に近い“つながり”をお客さまに感じていただけるよう、キャンペーン期間中にXで応募された対象のお客さまから抽選で、羽田=ロンドン線や国内線の往復航空券をプレゼントしました(現在はキャンペーン期間終了)。

画像3: サービス開始後、通信量は増加したものの、ストレスのない速度を維持

「国際線で目的地に着く前に到着時刻情報を伝えられたことで、迎えのご家族に迷惑がかからなかったなど、おかげさまでポジティブなコメントを多くいただきました。また、期間限定で株式会社ヘラルボニーとコラボしていた機内の紙コップも景色と一緒に投稿いただき、JALの取り組みに関心をお寄せいただいたなど、機内Wi-Fiのみならず嬉しいお声をいただいています」

さらなる新技術を導入予定。“快適な空の通信”にもご期待ください

携帯電話の通信が5Gと呼ばれる方式に置き換わり、次世代通信技術の開発が進んでいるように、飛行機や衛星の通信技術も進んでいます。たとえばHTS(ハイ・スループット・サテライト)という衛星通信の新技術。データ通信の区画を現在より細かくして区画内の各飛行機に効率的にデータを割り振り、接続精度と回線速度の向上を図るというものです。そのアンテナは、すでに国際線でも就航しているJALの最新鋭機・エアバスA350にも搭載されています。

画像: さらなる新技術を導入予定。“快適な空の通信”にもご期待ください

「また、2026年就航予定のボーイング737MAXでは、従来の静止軌道衛星に加え、低軌道衛星群を併用したシステムを利用します。低軌道衛星は地球の上空約1,200kmを周回しており、上空3.8万kmにある静止軌道衛星に比べて近くにあることから、通信レスポンスが大幅に改善される見通しです。これにより、オンライン会議や機内からのストリーミングもできるようになり、オンラインゲームなど、お好きなコンテンツが楽しめるようになっていく未来が見えています」

Wi-Fiと聞くと、ご自宅やオフィスなどでの高速な通信環境を想像されることでしょう。JALが目指すのは、地上と遜色のない通信環境の構築です。近い将来、JALの快適な空の旅は、より快適な通信環境までも備えたものになるはずです。

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