世界的に脱炭素が意識される近年、「SAF」と呼ばれる、廃棄物や再生エネルギーから精製する持続可能な航空燃料に注目が集まっています。JALが進めるSAFに関するさまざまな取り組みのなかには、実はお客さまにご参加いただけるものがあります。「すてる油で空を飛ぼう」というプロジェクトは、CO2排出量の削減を目指して、ご家庭から出る廃食油を活用し、飛行機の燃料とする資源循環の取り組みです。すてる油で空を飛ぶ試みは、未来の空へと着実につながっています。
画像1: すてる油で空を飛ぶ! JALが新航空燃料「SAF」で目指す、未来のフライト

これからの航空燃料・SAF。JALは2030年度までに10%置き換えることを目指しています

「『SAF(サフ)』とは、持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)のことで、原油ではない資源から作られた航空燃料です。廃食油や間伐材などの植物に由来する資源を利用することで、従来の化石燃料に比べて、CO2排出量が大幅に削減できる燃料なのです」

画像1: これからの航空燃料・SAF。JALは2030年度までに10%置き換えることを目指しています

こう語るのは、調達本部・国産SAF推進タスクフォースでマネジャーをつとめる安部やよいです。

「SAF自体は従来の航空燃料と同じように、燃焼時にはCO2が排出されます。しかし製造の過程においてCO2の排出量が少ないことがSAFの大きな特徴です。これは国際民間航空機関(ICAO)が定めた2050年のCO2排出量実質ゼロという目標に向けた取り組みの一環で、JALは、2030年度までに航空燃料の10%をSAFに置き換えるという目標を掲げています」

画像2: これからの航空燃料・SAF。JALは2030年度までに10%置き換えることを目指しています

JALでも、すでに一部のフライトでSAFを活用しています。今後さらに多くのSAFを活用したい考えですが、クリアすべき課題はまだまだ数多くあります。

「まず現時点で、日本では商用のSAFはまだ流通していません。しかし、現在大阪の堺で建設が進んでいる日本初のSAF製造工場で商用化が開始される計画となっており、地産地消のいわゆる『国産SAF』ができる段階には来ています。それまでに、SAFの原料を国内で集める取り組みを進めています」

もうすぐ誕生する国産SAF。その原料となる廃食油を集めています

「SAFはさまざまなものから作ることができます。これまでJALは、不要になった衣料品から作ったSAFでフライトを行った実績がありますが、森林の倒木や生ごみなども原料になります」

国産SAFに取り組むのは、日揮ホールディングス、コスモ石油、レボインターナショナルの3社による合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア スカイ エナジー)。燃料を製造し流通を担う石油元売り会社から、JALは調達する立場ですが、国産のSAFに関しては国内での原料収集についても主体的に活動をしています。

画像: 提供:日揮ホールディングス(株)

提供:日揮ホールディングス(株)

「ご家庭から出る未活用の廃食油にスポットを当てました。飲食店のみならず、ご家庭からも廃食油が出ており、ご家庭で使って不要になった油は日本全体で年間10万トンと言われています。回収した廃食油のおよそ8割がSAFになるとされています」

画像1: もうすぐ誕生する国産SAF。その原料となる廃食油を集めています

「廃棄する予定のものが資源循環につながると知っていただくことは、価値があると信じています。ご家庭で出た廃食油をボトルに入れて、スーパーなどに設置した回収ボックスに入れていただくのです。身近ななかから手軽にトライできる取り組みをキッカケに、資源循環の気運を高めていけたらいいですね。小さな渦が巻き起こって、社会が変わる大きな流れになるかもしれません。航空事業に携わる者のつとめとして、CO2排出量削減やサステナビリティ実現に向けた取り組みを、社会に根付かせることが目的だと考えています」

画像2: もうすぐ誕生する国産SAF。その原料となる廃食油を集めています

この取り組みを「すてる油で空を飛ぼう」と名付け、現在はダイエーやイオングループ、横浜市などと連携して行っています。この枠組みを、どんどん広げていきたいと考えています。

「この取り組みに賛同して『ぜひ参加してみたい!』と思っていただける方に、プロジェクト参加費として、220円(税込み)でご参加いただきます。ご参加いただいた方には、廃食油専用のJALオリジナルUCOボトル*とオリジナルステッカーをプレゼントしています」

*UCO=Used Cooking Oil

画像3: もうすぐ誕生する国産SAF。その原料となる廃食油を集めています

廃食油をSAFにする取り組みを行っているのはJALだけではありません。JALは「Fry to Fly Project」というプロジェクトに参画しており、業界を超えたさまざまな企業が、廃食油を原料とするSAFで航空機が飛ぶ世界を実現するための取り組みを進めています。

画像4: もうすぐ誕生する国産SAF。その原料となる廃食油を集めています

「各地にあるJALの支店営業が、市民マラソンや空の日などのさまざまなイベントで廃食油を集め、利活用を呼びかけています。このような活動を通して多くの方に知っていただくことは、とても大事なことです」

SAFで飛ぶ未来のフライトのために、お客さまにもご協力いただけることがあります

航空燃料と聞くと、どこか遠いところの話に思えるかもしれませんが、SAFに関しては、このようにお客さまの日常と密接に関係する取り組みなのです。

画像1: SAFで飛ぶ未来のフライトのために、お客さまにもご協力いただけることがあります

「廃食油を活用することで、未来の社会が少しでもよくなる、ということはもちろん大事なのですが、皆さんご自身の取り組みが大きなことに貢献できるという実感を持っていただけたら嬉しいです 。あれだけ大きい飛行機を飛ばすために、ご自身の協力がその一助になっているとしたら、なんだかワクワクしませんか?」

この取り組みが進めば、環境保全への貢献のみならず、航空燃料の安定供給にもつながります。ほかにもJALでは、航空貨物の輸送や、出張で排出される企業のCO2排出量に対して、SAFによる削減の環境価値を提供する「JAL Corporate SAF Program」を実施しています。

画像2: SAFで飛ぶ未来のフライトのために、お客さまにもご協力いただけることがあります

ごく当たり前に使っているものがサステナブルなものに置き換わっていることは、あまり知られていないことかもしれません。しかし近い将来、ご旅行やご出張で利用するJALのフライトに、ご家庭から出た廃食油由来の燃料が使われているようになるかもしれません。そんな未来のためには、地球への負荷を最小限にとどめる工夫を、JALはお客さまと共に考えてまいります。

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