ドローンがお手元に荷物を届けてくれる未来。数人乗りの空飛ぶクルマが、行きたい場所に連れて行ってくれる未来。かつての夢物語が、いよいよ現実のものになろうとしています。JALでは、今から数年の間に実際のサービスとして提供を予定。これらを、航空事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の中核に位置付けています。その取り組みの全貌をご覧ください。
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空のご移動を大きく変える可能性を秘めた、JALの“DX”

飛行機を運航して、お客さまや荷物をお運びする。航空会社は従来このような事業をベースとしてきました。しかしテクノロジーの発達に伴い、JALの領域は大きく変わろうとしています。ドローンでの物流や、「空飛ぶクルマ」と称されるエアモビリティによるサービスも、いよいよ日常で利用できるようになるのです。

このような事例は、JALが推進するDXの取り組みの一環です。DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略で、事業や各種サービスのデジタル化を指すキーワード。JALもDXを通して、空のサービスを今まで以上に手軽かつ身近にご利用いただきたいと考えています。

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「JALは、2023年度にドローンによる物流事業を、2025年度に空飛ぶクルマによる旅客事業を実現する予定です。それぞれ『JAL DRONE』『JAL AIRTAXI』と銘打って全国に展開していくことを考えています。現在はドローンを実際に飛ばして課題の把握やノウハウの蓄積を進めている段階であり、さっそく2022年度からは事業化を見据えた実証実験を奄美で行うことを決めました。空飛ぶクルマについては調査研究や理論検証を進めているところです」

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こう語るのは、デジタルイノベーション本部 エアモビリティ創造部の木下隼斗です。

国と共同で、ドローン物流の枠組みを制定しています

たとえば2020年11月には、長崎県上五島で実証実験を行い、ドローンで空輸した新鮮な鮮魚をJAL便に接続させて東京まで運び、東京のレストランなどに提供しました。

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「運送事業者や通信事業者など、いろいろなパートナーを探しながら、業態について模索しています。他社と提携するか自社だけで運送サービスを提供するのか、また奄美の後にどこでどういった形で展開していくのかも検討課題ですが、JALならではのベストなサービスをご提供できる予定です」(木下)

JALは、ドローンの関連事業として正式なサービスをご提供しています。「JAL Air Mobility Operation Academy(JAMOA)」というドローンの操縦講習プログラムを実施しており、航空事業者として蓄積してきた長年のノウハウを新しい分野に注ぎ込んでいるのです。

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「改正航空法が来年以降施行され、ドローンを使ったサービスがより広まっていくことが予想されています。そのようななか、ライセンスや機体の登録制度、運航管理体制をどうするのかという議論が続いています。JALとしても長年航空分野で培ったノウハウを基にこうした議論にも参加しています」(木下)

ドローンの商用利用はこれまで航空事業を管轄していた国土交通省のみならず、内閣府や経済産業省も巻き込んで、国全体の取り組みとして行われています。一方の空飛ぶクルマも国が後押しする一大プロジェクトです。

2025年の大阪関西万博で、JAL AIRTAXIがデビューします

「2025年に大阪関西万博が大阪市の夢洲で行われます。新しい交通網の提案として、空飛ぶクルマによる旅客輸送なども検討されています。具体的にどんなプログラムになるかは未定ですが、実際にお客さまにご搭乗いただき、新たな空の移動のビジョンを明快に示す内容になるはずです」(木下)

JALは2020年2月、住友商事と共同で、米国大手ヘリメーカー・ベル社と提携したほか、同年10月にはドイツのボロコプター社とも提携。各社の機体を検証して、万博でのお披露目に適した機体の選定を進めています。

画像: ©Volocopter

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「これまでの飛行機と違い、空飛ぶクルマはスタートアップ企業が数多く参入する玉石混淆の市場でもあります。まさに今現在も開発が進むなかで、機体選定の難易度は高いですが、最終的に採用する機体は国の認証も受けますし、JALとしても安全に飛行させることのできる機体を選定します。まずは広くエアモビリティに興味を持っていただくことが重要だと考えています」(木下)

空飛ぶクルマは、「飛行機ができて100年ぶりの新しい乗り物」という表現がしばしば使われます。そこに、スマートフォンやテクノロジーなどで手軽に乗り物を利用できる“MaaS”という概念が組み合わさることで、従来とはまったく異なる空の移動のビジョンをJALは描いています。

MaaSを活用し、ヘリコプターとタクシーの中間のような気軽な乗り物に

画像: JAL 未来の空飛ぶモビリティのある世界(Future World with New Flying Mobility) www.youtube.com

JAL 未来の空飛ぶモビリティのある世界(Future World with New Flying Mobility)

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スマートフォンひとつで移動の手配から搭乗手続きまでが完了し、すぐに空の移動ができる。――この動画のような未来の実現に向けて準備を進めていますが、実はすでに、空飛ぶクルマで人を乗せて運ぶということは技術的に可能な水準に達しています。

「ヘリポートの活用や高度の問題の検証のほか、いずれも電動ですが、プロペラを複数持つマルチコプターなのか、飛行機型の垂直離着機のようになるのか、形状も検討課題です。小回りの利くマルチコプター型と航続距離の長い固定翼方の2つのモデルがあり、ユースケースにより機体の使い分けを検討しています」(木下)

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旅客航空機のご搭乗料金は、安全性のためのメンテナンスコストも大きな割合を占めます。空飛ぶクルマは部品が少なくて済むため、費用も比較的安価に抑えられる可能性が高い分野。空の旅がより身近で便利になる未来が訪れるかもしれません。

「空港に行かなくても、日常に近いところで利活用いただけるサービスを目指しています。タクシーよりは値が張りますが、チャーターヘリよりはお手ごろになるでしょう。お客さまへの訴求力があり、社会需要が高まる値段設定を検討しており、空をもっと身近に感じていただくことを目指しています。すでに実際の移動のシミュレーションや、空からの観光、さらには医療や災害救助における活用など、さまざまな活用方法を考えています」(木下)

先進的なJAL SMART AIRPORTとアバターロボットも導入

JALではそのほかにも、UberやJR東日本と共同でフライト前後の“旅マエ”“旅アト”のご移動をスムーズにご提供する実証実験を行っています。

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さらに空港の「JAL SMART AIRPORT」化を推進。スマホを活用した非接触・非対面のご搭乗体験のほか、「JET」というご案内ロボットも稼働しています。これは、自宅などの遠隔地にいるグランドスタッフが操縦し、非接触でサービスをご提供するための取り組みのひとつです。

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「JALはコロナ禍以前からこのような環境整備を進め、テレワークを想定したシステム作りに取り組んできました。働く場所の変化に伴い、運用ルールを整備したのです」

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このように語るのは、IT企画本部の中村晴美です。こういったDXに関わる施策は、JAL Innovation Labという施設が中心となって検証や体験デザインの検討が進められています。

歴史ある航空会社として、空のイノベーションを進めます

5GアンテナやAFIDの端末、顔認証の実験端末など、さながら最新技術の見本市のようなスペースで、JAL内外のメンバーが闊達に議論しています。デジタルイノベーション本部イノベーション推進部の大山彩花が続けます。

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「JAL Innovation LabはJALにおけるイノベーションの象徴的な拠点です。シートの試作品を運び込んで使用感の検証をしたり、お客さまをお招きしてヒアリングしたりと、イノベーションを加速、推進する拠点として活用しています。また約3万6000人在籍しているJALグループ社員の中から挙手制で集った社員は『ラボ会員』として、この場所を使って一緒にイノベーション推進の活動をしています。私たちは拠点と社内人財、社外パートナーの3つをイノベーションプラットフォームとして重視しています。気軽にご利用いただき、アイデアを自由に創造する場として活用してほしいと考えているのです」(大山)

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JALは今年創立70周年を迎えた歴史ある航空会社ですが、ベンチャー企業やスタートアップとのコラボレーションを積極的に進め、DXなどの新たなサービスを推進するエンジンとして機能する拠点があります。

このような取り組みが評価され、JALは東証と経済産業省が主催する「DX銘柄2021」に選定されました。これは、デジタル技術の活用で新たな成長・競争力強化につなげている上場企業を評価する枠組みで、今年度は28社選ばれました。

「JALにはDXに対する明確なビジョンがあります。そもそもDXをさかのぼると、Web上で予約できることになったeコマース初期のころから始まっています。その意味ではDXの基盤が整ったのは何十年も前で、一つ一つが長期的な戦略を描いた上でのことなのです。航空会社も、新しい価値を生み出し続けなければ生き残れません。またすべての取り組みが、最終的にお客さまや社員に還元されなくてはいけません」(大山)

画像: ※撮影時のみマスクを外しております

※撮影時のみマスクを外しております

ドローンもエアモビリティも、社会とお客さまの暮らしを大きく変える一大変革といえます。DXがさらに進み、空を見上げるとJALのロゴマークが入った機体が縦横無尽に飛び交う未来が、もう間もなく訪れるかもしれないのです。

関連リンク

東京証券取引所のWebメディア「東証マネ部」でもJALの取り組みをご紹介しています。

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JALの舞台裏

A350導入の裏話や機内食のメニュー開発など、JALの仕事の舞台裏を紹介します。

※2021年11月8日に一部内容を更新しました

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