ダイナミックな自然が広がる、ひがし北海道エリア。冬になると雪と氷にすっぽりと覆われ、夏とは全く異なる表情を見せてくれます。一方で、エリアの広さゆえに、幾つものスポットを一度に巡るのは難しいと思っていませんか?「行ってみたいけれど、どう周遊すればいいかわからない」という方のために、冬のひがし北海道を余すところなく楽しめる旅のアイデアをご紹介します。

〈1日目〉

雪の森を自由に探索するスノーシューツアー

女満別空港から車で1時間ほど、まずは弟子屈町(てしかがちょう)にある屈斜路湖(くっしゃろこ)に到着しました。屈斜路湖は国内最大のカルデラ湖で、周囲が約57kmもある巨大な湖。全面結氷する淡水湖としても有名で、冬になると湖が一面氷に閉ざされます。「屈斜路」はアイヌ語で「クッチャロ」(のど元)、「湖や沼の出口」を意味するそう。スノーシューを履いて屈斜路湖畔を巡るプライベートツアーに出かけましょう。

画像1: 雪の森を自由に探索するスノーシューツアー

まっさらな雪の上に自分の足跡を付ける気持ちよさ! プライベートツアーなので、参加者に合わせたペースで歩けるのも魅力です。一人での参加はもちろん、夫婦や恋人同士でのんびり歩いたり、グループでワイワイ過ごしたりと思い思いに楽しめます。

画像2: 雪の森を自由に探索するスノーシューツアー

寝転んで、雪の感触を全身で確かめます。木々の間から見える空、雪をまとった枝、スノーシューが雪を踏む音、すべてが非日常の世界。よく見ると雪の上のあちこちに足跡や穴があり、野生動物たちの息づかいが感じられます。

枝の雪を落としてみたり、足元の雪を蹴り上げてみたり、童心にかえって雪遊び。気温が上がってくると枝の霧氷が舞い、全身をベールで包まれたような不思議な感覚になります。しばらく歩いたところで雪上ティータイム。壮大な自然を感じながら、至福のひとときを過ごせます。

屈斜路湖畔の森・スノーシュー体験

開催期間1月中旬~3月末
開催プランサンライズハイク(午前6時30分前後に開始)
サンセットハイク(午後5時前後に開始)
ナイトハイク(午後8時前後に開始)
※スタート時間は変動します。設定時間以外に希望時間でスタート可能な場合がありますのでご相談ください
所要時間約1時間
料金1名参加6,000円、2名参加は1人4,000円、3名以上は1人3,000円
web北海道体験(スノーシュー)

冬の摩周湖で、青と白の芸術に魅せられる

屈斜路湖から東へ向かい、車を30分ほど走らせます。次は、世界最大級の透明度を誇る摩周湖へ。摩周湖はアイヌ語で「カムイ・トー(神の湖)」と呼ばれる神秘の場所。はずむ気持ちで第一展望台へと向かいます。

画像1: 冬の摩周湖で、青と白の芸術に魅せられる

目に飛び込んできたのは、澄み渡る摩周ブルー。雪に覆われた山並みと樹氷の輪郭もくっきりと見え、この美しさはまさに芸術! 吸い込まれそうな深い青色は、最深212mもある深度や高い透明度など複数の条件が重なって生み出されているのだとか。風のない晴れた日はその青さがさらに際立ち、時間を忘れていつまでも眺めていたい絶景です。

画像2: 冬の摩周湖で、青と白の芸術に魅せられる

時期や気候によって湖の結氷具合が変わり、周囲の表情も刻一刻と変化。岸から半分ほどまで凍ったり、氷の上に雪が積もったり、どれも荘厳な雰囲気で圧倒されます。この景色はその日・その時間にしか見られない摩周湖からの貴重な贈り物なのです。

摩周湖

住所北海道川上郡弟子屈町弟子屈原野(摩周湖第1展望台)
電話015-482-2200(一般社団法人 摩周湖観光協会)
web弟子屈ナビ(摩周湖)

1日の疲れを癒やす、強酸性の温泉

画像1: 1日の疲れを癒やす、強酸性の温泉

次は川湯温泉へ。屈斜路湖と摩周湖の中間にあり、温泉街に近づくほどに硫黄の香りが強くなります。川湯温泉の特徴は、強酸性の泉質。お湯に釘を浸し続けると2週間ほどで溶けてしまうほどなのだそう!

現在も活動を続けている硫黄山を源泉に豊富な湯量があり、高い殺菌効果があることも知られています。宿の周辺には湯煙が立ち込め、温泉街ならではの情緒を味わえます。

画像2: 1日の疲れを癒やす、強酸性の温泉

温泉の川に沿って整備された遊歩道をお散歩。温泉の湯気が枝に凍りついて霧氷ができ、それが日の光に照らされてキラキラ輝きます。夜になると立ち上った湯気が一帯を包み込み、より一層幻想的な世界が広がります。

画像3: 1日の疲れを癒やす、強酸性の温泉

この日の宿は「お宿欣喜湯 別邸 忍冬(SUIKAZURA)」。弟子屈産の野菜や山菜、黒毛和牛、近海で捕れた魚など地元食材を使った食事で、道東の自然の恵みを思う存分堪能しましょう。野外で冷えた体は、100%源泉掛け流しの温泉でしっかりと温めることが大切。療養泉として古くから愛されてきた川湯温泉の湯は、体の芯までぽかぽかして湯冷めしにくく、リラックスしてぐっすり眠れます。

お宿欣喜湯 別邸 忍冬(SUIKAZURA)

住所北海道川上郡弟子屈町川湯温泉1-2-3
電話015-486-9701
webお宿欣喜湯 別邸 忍冬(SUIKAZURA)公式サイト

〈2日目〉

珍しい「氷平線」を眺めながら真っ白な世界を歩く

さらに東へ移動し、野付半島(のつけはんとう)に向かいましょう。オホーツク海に突き出た野付半島は、全長約26kmの日本最大の砂嘴(さし)。砂嘴とは、海流に乗って運ばれてきた砂が長い期間をかけて堆積し、作られた地形のことをいいます。

画像: 珍しい「氷平線」を眺めながら真っ白な世界を歩く

野付半島の内側にある野付湾は波が立たない地形のため、厳冬期になると海面が凍り付き、空との境目に「氷平線」が現れます。夢の中にいるのかと思うような白い世界に感動! ぜひ「氷平線ウォーク」で実際に氷の大地を歩いてみましょう。野付半島ネイチャーセンターから片道1.3kmほどのところにある「トドワラ」までを往復して散策。ガイドが野付半島の自然を解説してくれるほか、この場所ならではの写真の撮り方もガイドしてくれます。

氷平線ウォーク

開催時期1月中旬~3月上旬頃の9:30~、12:30~(1日2回)
所要時間2時間
料金大人4,500円、小学生2,250円
web野付半島ネイチャーセンター
※予約必要

酪農と漁業のまちで味わう「別海ジャンボホタテバーガー」

2日目は、生乳生産量日本一を誇る酪農のまちでありながら漁業も盛んな別海町(べつかいちょう)へ。この地で誕生したとっておきグルメを味わいましょう。

画像1: 酪農と漁業のまちで味わう「別海ジャンボホタテバーガー」

別海町の名物「別海ジャンボホタテバーガー」。別海町産のおいしい牛乳に合う新しいご当地グルメを作ろうと、2008年に地元の飲食店が試作を重ねて作り上げたのだそう。定められた10のルールをクリアしたバーガーだけが「別海ジャンボホタテバーガー」を名乗れるといいます。

画像2: 酪農と漁業のまちで味わう「別海ジャンボホタテバーガー」

道産小麦と地元の牛乳、天然酵母を使った四角いバンズは、ふっくらとした口当たり。パンの中に入っているのは、なんとジャンボホタテの春巻き! 外側はサクッと食感がよく、中のホタテがとてもジューシーで、全国ご当地バーガーグランプリで初代日本一を獲得するなど数々の受賞実績があるのも納得です。道の駅「おだいとう」のレストランなど複数の店舗で食べることができます。

道の駅「おだいとう」

住所北海道野付郡別海町尾岱沼5-27
電話0153-86-2449
営業時間11~4月:9:00~16:00
5~10月:9:00~17:00
定休日火曜日定休(10~6月)※7~8月無休
web北の道の駅(おだいとう)

納沙布岬から北方領土を眺め、根室の味覚を満喫

画像1: 納沙布岬から北方領土を眺め、根室の味覚を満喫

根室市に来たら、納沙布岬(のさっぷみさき)まで足をのばしてみましょう。岬の先端に立っている納沙布岬灯台は、明治5年(1872年)に完成した北海道最古の灯台。日本の灯台50選にも選定されているといいます。望郷の岬公園には、世界の平和を願って作られた北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」があります。

画像2: 納沙布岬から北方領土を眺め、根室の味覚を満喫

納沙布岬は北緯43度23分、東経145度49分に位置し、北海道で最も日の出が早いスポットとして有名。日の出の時刻をチェックして見に行ってみるのもおすすめです。

納沙布岬

住所北海道根室市納沙布
電話0153-24-3104(根室市観光協会)
web根室市観光協会(納沙布岬)
画像3: 納沙布岬から北方領土を眺め、根室の味覚を満喫
画像4: 納沙布岬から北方領土を眺め、根室の味覚を満喫

この日の宿は「ホテルねむろ海陽亭」。どこか懐かしさを感じる和室でのんびりくつろぎ、温泉の大浴場とサウナでリフレッシュしましょう。朝食バイキングには「勝手丼」「勝手鍋」など豊富な海産物が並び、北海道・根室の味覚を堪能できます。

ホテルねむろ海陽亭

住所北海道根室市常盤町2-24
電話0153-22-8881
webホテルねむろ海陽亭 公式サイト

〈3日目〉

風蓮湖で「氷下待ち網漁」を見学

画像1: 風蓮湖で「氷下待ち網漁」を見学

最終日は風蓮湖まで移動し、氷下待ち網漁を見学。氷下待ち網漁は結氷した風蓮湖で行われる伝統的漁法で、氷の下に小型の定置網を仕掛け、主にコマイやチカ、ワカサギなどの魚を獲ります。1年のうち限られたわずかな期間にしか見ることのできない特別な漁です。

画像2: 風蓮湖で「氷下待ち網漁」を見学

大氷原の上を歩いて漁場へ行き、氷を割って仕掛けていた網を引き揚げます。網にかかっていた魚をすくい、テキパキとカゴへと移していきます。晴れていてもここは湖の上。凍てつく寒さの中、手際よく作業する熟練の“技”につい見入ってしまいます。

おこぼれの魚を狙ってオジロワシやオオワシなどが飛び回る様子も、風蓮湖のこの時期の風物詩になっているのだとか。漁の見学だけでなく、参加者が実際に網引きを体験できるプランもあります。

風蓮湖 氷下待ち網漁見学と網引き体験

住所北海道根室市酪陽
開催期間1月下旬~3月上旬
料金【現地集合プラン】(約2時間~2時間30分)
1名 20,000円、2名以上で参加の場合は1名 10,000円
【送迎付きプラン】(約3時間~3時間30分)
1名 29,000円、2名以上で1名につき 14,500円
web北海道体験(氷下待ち網漁見学と網引き体験)

食事だけでなくスイーツも!? 驚きの牡蠣メニュー

画像1: 食事だけでなくスイーツも!? 驚きの牡蠣メニュー

ランチは、道の駅「厚岸グルメパーク 厚岸味覚ターミナル コンキリエ」へ。厚岸といえばやっぱり牡蠣! 1階のオイスターカフェでは、生牡蠣や蒸し牡蠣をおやつ気分で手軽に味わえます。

「オイスター☆モカ」は、モカソフトクリームに厚岸オイスターソースを加え、コーヒーパウダーと牡蠣の最中皮をトッピングした驚きのスイーツ。カリカリ&ジューシーな牡蠣の唐揚げをパンで挟んだ「オイスタードッグ」など、味もネーミングも牡蠣尽くしのユニークなメニューが並びます。

画像2: 食事だけでなくスイーツも!? 驚きの牡蠣メニュー

2階の「レストランエスカル」は、海が見えるテーブル席など、ロケーションも最高。セルフバーベキューコーナー「炭焼 炙屋」は、隣の魚介市場で購入した牡蠣や魚などの食材を炭火で焼いて食べることができます。

画像3: 食事だけでなくスイーツも!? 驚きの牡蠣メニュー

新鮮な魚介類のおいしさに自分で焼く楽しみも加わり、特別感がアップ。屋内のスペースなので天候・季節に関係なくいつでも厚岸グルメを味わえます。

道の駅「厚岸グルメパーク 厚岸味覚ターミナル コンキリエ」

住所北海道厚岸郡厚岸町住の江2-2
電話0153-52-4139
営業時間4月~10月:9:00~19:00
11月~3月:10:00~18:00
定休日月曜(月曜が祝日の場合は火曜)
web道の駅「厚岸グルメパーク 厚岸味覚ターミナル コンキリエ」公式サイト

ドラマチックで優雅なタンチョウに釘付け

お腹がいっぱいになったら、今後は鶴居村へと1時間強のドライブ。日本最大の湿原「釧路湿原」に隣接する鶴居村は、鶴に選ばれた村。特別天然記念物に指定されているタンチョウに会いに行ってみましょう。

画像1: ドラマチックで優雅なタンチョウに釘付け

アイヌ語で「サロルンカムイ(湿原の神)」といわれるタンチョウ。鶴居村周辺にはタンチョウの観察スポットが幾つかあり、給餌場はその一つ。餌が不足する冬でもタンチョウが生き延びられるようにと12~3月に給餌が行われていて、多くのタンチョウが集まります。

二大給餌場である「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」「鶴見台」には、最大で300羽以上のタンチョウが12~2月に飛来するそう。小さな頭からすらりと伸びた首、大きな翼、細く長い脚、タンチョウの美しいシルエットに魅了されます。

画像2: ドラマチックで優雅なタンチョウに釘付け

タンチョウの群れが一斉に飛び立ち、頭上を越えていく様子は大迫力。タンチョウが翼を広げたときの全長は220~240cmほどもあり、羽毛の純白が青空に映えてとても印象的です。つがいで仲良く寄り添いながら歩く様子、翼を広げて飛び跳ねる“求愛のダンス”など、その行動はとてもドラマチック。北の大地で力強く生きる姿に心が揺さぶられます。

タンチョウ観察・撮影ポイント

職人のこだわりが光る釧路名物「さんまんま」

画像: 職人のこだわりが光る釧路名物「さんまんま」

釧路でお土産を選ぶなら、釧路名物「さんまんま」で決まり! 脂ののった新鮮な道東産サンマを秘伝の醤油ベースのタレに漬け込み、大葉とともに炊き込みご飯で挟み込んで巻き上げたこだわりの逸品です。

道産白米ともち米をブレンドした炊き込みご飯はもっちりした食感で、香ばしく焼き上げたサンマとの相性は抜群。サンマは骨を取り除いているので食べやすく、さっぱりとした大葉の風味がアクセントになっています。家族や友人にはもちろん、自分用のお土産にもぴったりです。

釧路発さんまんま

【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける

画像1: 【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける
画像2: 【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける

もし行程に余裕があるなら、1~3月に釧路駅―標茶(しべちゃ)駅間を運行する「SL冬の湿原号」に乗車してはいかがでしょう。漆黒の外観、もくもくと吹き上がる蒸気。見るだけでワクワクが止まりません。

画像3: 【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける
画像4: 【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける
画像5: 【番外編】昭和レトロな「SL冬の湿原号」で大自然を駆け抜ける

車両が3タイプあるので、どの車両に乗るかもポイント。「ストーブカー(カフェカー)」と「ストーブカー」の2車両には、SL冬の湿原号の目玉ともいえる「ダルマストーブ」が設置されています。車内販売されているスルメを焼いたり、釧路の地酒を熱燗にしたり、昭和の懐かしい時代にタイムスリップしたつもりで“和の空間”を楽しみましょう。運が良ければ車窓からエゾシカやキタキツネが見られ、停車駅でタンチョウのお出迎えがあることも。

SL冬の湿原号

webJR北海道(SL冬の湿原号)
※2025年度の運行期間はJR北海道のWebサイトでご確認ください

雪と氷が織りなす絶景、北海道の自然を体感できるアクティビティ、極寒の地で暮らす野生生物など、ひがし北海道の冬の観光スポットを一度に楽しむことができる2泊3日の旅。この冬、計画してみてはいかがでしょうか。

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