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MAY 29 2025

知られざるスペイン。歴史と美食の「エクストレマドゥーラ州」を巡る冒険

バルセロナやマドリードなど魅力的な観光地が豊富な国スペイン。他にも、日本ではまだまだ知られていない珠玉の観光エリアがたくさんあります。
そのひとつが「エクストレマドゥーラ州」。紀元前につくられたスペイン北部と南部をつなぐ交易路「銀の道」上に位置し、古くから交通の要所として発展してきました。現在でも古代ローマ・中世の史跡が数多く残る「知られざるスペイン」の魅力を4つのポイントにわけてご紹介します。

※2025年5月のレートを参考にしています。

スペイン・エクストレマドゥーラ州とは

画像1: スペイン・エクストレマドゥーラ州とは

スペイン南西部に位置するエクストレマドゥーラ州の魅力はなんといっても3カ所の世界遺産。州都メリダはローマ遺跡に溢れる街で「円形闘技場」や「ローマ劇場」など7つの歴史的建造物が「考古学遺跡群」として登録されています。

一方そのメリダから列車で1時間の「カセレスの旧市街」は、時代が異なり「中世」の雰囲気が色濃く残ります。

画像2: スペイン・エクストレマドゥーラ州とは

そしてエクストレマドゥーラ州は「イベリコ豚」の名産地でもあり「美食」の楽しみも!

州都メリダまでは、マドリードのアトーチャ駅から長距離列車に乗るか、もしくは南バスターミナルから長距離バスでアクセス可能。所要時間は約4~6時間です。

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魅力①世界遺産で古代と中世、2つの時代にタイムスリップ

州都メリダの「考古学遺跡群」はその名の通り「古代ローマ時代」の遺跡。一方「カセレスの旧市街」は「中世」の面影を残す街。2つの異なる時代にタイムスリップできるのもエクストレマドゥーラ州の魅力です。

ローマ帝国に思いを馳せる・州都「メリダ」

紀元前25年に、ローマ帝国の属州ルシタニアの州都として建設されたメリダ。「小ローマ」と呼ばれるだけあって、街のいたるところに遺跡が点在しています。

画像1: ローマ帝国に思いを馳せる・州都「メリダ」

なかでも、「円形闘技場」と「ローマ劇場」は必見です。紀元前8年に建設され剣闘士や猛獣の戦いが行われた「円形闘技場」は、収容人数約1万5000人を誇る、当時としては圧巻のスケール。

画像2: ローマ帝国に思いを馳せる・州都「メリダ」

隣には、アウグストゥス帝の娘婿アグリッパの後援のもと、紀元前16〜15年にかけて建設された「ローマ劇場」があります。ステージ後方にある、神殿に見立てた32本の大理石の柱が特徴で、当時ここでは演劇が行われていました。6000人の観客を収容することができますが、実は2000年以上経った現在でも使われているそう。毎年夏になると「メリダ国際古典演劇祭」が開催され、歴史の詰まった場所で格別の古典演劇を体験することができます。

円形闘技場とローマ劇場(Roman Amphitheatre and Roman Theatre)

住所Plaza Margarita Xirgú, s/n 06800 Mérida, Badajoz
電話+34 924 330 722
営業時間10月1日〜3月31日 毎日9:00〜18:30
4月1日〜9月30日 毎日9:00〜21:00
定休日12ユーロ(日本円で約1,970円)
web円形闘技場公式サイト(外国語サイト)
ローマ劇場 公式サイト(外国語サイト)

古代遺跡に圧倒されたあとは、円形闘技場とローマ劇場の近くにある「国立古代ローマ美術館」へ。ここでは、メリダで発掘されたコインや彫刻、絵画、陶器、そしてモザイクなどの装飾の圧倒的なコレクションを見ることができます。

国立古代ローマ美術館(Roman Art National Museum)

住所C/ José Ramón Mélida, s/n, 06800 Mérida, Badajoz
電話+34 924 311 690
営業時間10月1日〜3月31日 火〜土曜9:30〜18:30、日曜10:00〜15:00
4月1日〜9月30日 火〜土曜9:30〜20:00、日曜10:00〜15:00
料金3ユーロ(日本円で約490円)※現在は工事中のため無料。完成日は未定
web 国立古代ローマ美術館(外国語サイト)

中世へと誘われる「カセレス」

州都メリダの北へ約70km、列車で1時間の場所に位置するカセレスは人口10万人の中都市。ヨーロッパで3番目に大きい史跡群があり、見所が詰まった街です。この街の魅力は中世の建物と街並みが残されている点。その美しさは「エクストレマドゥーラの宝石」と称されています。

画像: 城壁の外を望むことができ、気持ちの良い眺めが広がります。

城壁の外を望むことができ、気持ちの良い眺めが広がります。

門のすぐ左手にあるのが、「ブハコ塔」。城壁の一部をなすこの塔は、12世紀末に建てられ、高さは約25m。屋上まで登ると街を一望することができます。

ブハコ塔(The Tower of Bujaco)

住所Plaza Mayor, s/n, 10003, Cáceres
電話+34 927 24 67 89
営業時間冬時間 火〜日曜10:00〜14:00、16:00〜19:30
夏時間 火〜日曜10:00〜14:00、17:30〜20:30
料金2.5ユーロ(日本円で約410円)
webブハコ塔(外国語サイト)

この街のもうひとつの見所が「ヘルガ・デ・アルベアール現代美術館」です。2021年にオープンしたこの美術館には、3000点を超える現代アーティストの作品が収蔵・展示されています。

画像: アイ・ウェイウェイの『Descending Light』

アイ・ウェイウェイの『Descending Light』

館内でひときわ目を引くのが、中国の現代アーティストで活動家のアイ・ウェイウェイの作品。

画像: 『ロス・カプリチョス』の初版

『ロス・カプリチョス』の初版

さらに、ゴヤが1797〜1799年にかけて制作した版画シリーズ『ロス・カプリチョス』全80点の初版も展示されています。中世の街並みのなか、現代アートが楽しめるのも、この街ならではの特徴です。

ヘルガ・デ・アルベアール現代美術館(Helga de Alvear Museum)

住所Pizarro 10 - 10003 Cáceres
電話+34 927 626 414
営業時間10月1日〜5月31日 火〜土曜 10:00〜14:00、17:00〜20:00、日曜10:00〜14:30
6月1日〜9月30日 火〜土曜10:00〜14:00、18:00〜21:00、日曜10:00〜14:30
料金無料
webヘルガ・デ・アルベアル現代美術館(外国語サイト)

珍しい大聖堂が残る街「プラセンシア」

プラセンシアはカセレスから北北東に70kmほどのところにある人口4万人ほどの街。1186年に当時の国王アルフォンソ8世によって建設されました。

画像1: 珍しい大聖堂が残る街「プラセンシア」

一番の見所は「プラセンシア大聖堂」。

画像2: 珍しい大聖堂が残る街「プラセンシア」
画像3: 珍しい大聖堂が残る街「プラセンシア」

13世紀に建設が始まった旧大聖堂と、15世紀に建設が始まった新大聖堂、2つの建物から構成され、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック様式が混在した唯一無二の建物です。

プラセンシア大聖堂(Plasencia Cathedral)

住所Plz. Catedral, 1 – 10600 Plasencia, Cáceres
電話+34 927 424 406
営業時間火〜木曜10:30〜14:00、17:00〜20:00
金曜10:30〜14:00、17:00〜20:30
土曜10:30〜20:30、日曜10:30〜16:00
料金8ユーロ(日本円で約1,310円)
webプラセンシア大聖堂(外国語サイト)

ちなみに、もし火曜日にこの街に滞在することができたら毎週朝8時ごろから開催される「火曜市」をお見逃しなく。800年前から続いている活気あふれる朝市で、名産のチョリソや生ハムなどが並んでいます。

魅力②生ハムやワインなど、土地の恵みを活かした多彩な美食

スペイン旅行の醍醐味のひとつが「食」。エクストレマドゥーラ州も例外ではなく、生ハムやチーズはもちろん、トマトやサクランボ、イチジクなど、新鮮な野菜や果物が豊富です。また近年では、ワインやカヴァ(シャンパーニュ方式で醸造されたスペインのスパークリングワイン)でも注目されるようになっています。そんなエクストレマドゥーラ州のグルメを紹介します。

最高級「ハモンイベリコ」を現地で楽しむ!

質の良い生ハムは高地で乾燥している地域でしか作ることができないことをご存じですか? そんな上質な生ハム作りに適した産地のひとつがエクストレマドゥーラ州です。

画像1: 最高級「ハモンイベリコ」を現地で楽しむ!

州内のカセレス県にある人口およそ1600人の村モンタンチェスはイベリコ生ハムの名産地。その名も「ハモン・デ・モンタンチェス(モンタンチェスの生ハム)」はスペインを代表する逸品とされています。この村で地元民からも愛される生ハム工房「ハモネス・アルバロ・ガラン」では、年間2500〜3000本の生ハムを出荷しています。

画像2: 最高級「ハモンイベリコ」を現地で楽しむ!

イベリコ生ハムのカテゴリーは4種類あり、最も高級なのはドングリだけを食べて育ったイベリコ豚100%の「ベジョータ」。こちらで販売している豚の脚1本のお値段は、なんと約320ユーロ(日本円で約5万2500円。重さによって変動)もする超高級品。小分けにされたものも販売されているので、ぜひ現地で楽しんでみてください。

ハモネス・アルバロ・ガラン(Jamones Alvaro Galán)

住所Calle Obispo Senso 26 – 27 10170 Montánchez Cáceres
電話+34 927 380 172
営業時間月〜金曜7:00〜15:00、16:00〜19:00
土曜10:00〜14:00
webハモネス・アルバロ・ガラン(外国語サイト)

地元食材を活かした逸品料理の数々

エクストレマドゥーラ州では伝統料理はもちろんのこと、地元の食材を使いアレンジを利かせたスペイン料理にも力を入れています。プラセンシアにあるホテル「パラシオ・カルバハル・ヒロン」のレストランをご紹介しましょう。

画像1: 地元食材を活かした逸品料理の数々

夏には40℃を超えることもあるスペイン南部では、「サルモレホ」と呼ばれる冷製スープが好まれます。トマトベースが主流ですが、取材でいただいたのはかわいらしいサーモンピンク色をした「サクランボのサルモレホ」です。

画像2: 地元食材を活かした逸品料理の数々

メインにはイベリコ豚の肩肉部分をステーキにした「セクレト・デ・イベリコ」。霜降りが入っているのが特徴です。

画像3: 地元食材を活かした逸品料理の数々

デザートはイースターの時期に家庭でよく作られるお菓子「トリハ」です。スペイン版フレンチトーストで、牛乳に浸したパンに溶き卵をつけて揚げています。

パラシオ・カルバハル・ヒロン(Palacio Carvajal Girón)

住所Plaza Ansano, 1 - 10600 Plasencia Cáceres
電話+34 972 426 326
営業時間ランチ 13:30〜15:30、ディナー 20:30〜23:00
webパラシオ・カルバハル・ヒロン(外国語サイト)

料理とのマリアージュを楽しみながらワインをテイスティング

ワインの名産地でもあるエクストレマドゥーラ州で、ワインテイスティングは欠かせません。スペイン料理とのマリアージュを楽しみながら、さまざまなワインを試すことができるレストランのひとつが、カセレスにある「パン・デ・ウエルタ」です。

画像1: 料理とのマリアージュを楽しみながらワインをテイスティング

赤ワインではテンプラニージョ、白ワインではマカベオという品種が、エクストレマドゥーラ州の代表です。前者はしっかりとしたボディのある味わいで、後者は香り豊かで骨格のあるワインです。

画像2: 料理とのマリアージュを楽しみながらワインをテイスティング

また「カヴァ」もつくられていますが、生産量の多いカタルーニャ州のものなどと比べてりんごの香りが強く、フルーティーなのが特徴です。

パン・デ・ウエルタ(Pan De Huerta)

住所Calle Pizarro, 12 Cáceres
電話+34 927 83 01 08
営業時間月曜8:00〜12:00
火〜木曜8:00〜17:00、20:00〜00:00
金・土曜8:30〜00:30
日曜8:00〜17:00
webパン・デ・ウエルタ(外国語サイト)

魅力③雄大で手付かずの自然と絶景

タホ国際自然保護区やモンフラグエ国立公園など、多くの自然保護区があるエクストレマドゥーラ州では、バードウォッチングやハイキング、川でのアクティビティなどを楽しむことができます。ここでは、その一部をご紹介します。

桜の花が一面を白く染める「ヘルテ渓谷」

画像: 桜の花が一面を白く染める「ヘルテ渓谷」

「ヘルテ渓谷」は、スペインで最も有名な桜の名所です。とはいえ、こちらの「桜」は日本の観賞用とは違い、サクランボの木になる花のこと。150万ほどある木々は、3月中旬から4月にかけて満開になり、緑豊かな渓谷を真っ白に塗り替えます。

サクランボの収穫は6月頃で、その時期になるとサクランボ摘みに続々と人が訪れるのだとか。サクランボは200種類もあり、収穫数は200万個にのぼります。なかでもヘルテが誇るのは、軸なしで出荷される最高級の「ピコタ」種。日本とは違った「お花見」を体験できそうです。

ヘルテ渓谷(Jerte Valley)

住所Paraje de Peñas Albas, s/n10610 Cabezuela del Valle (Oficina de turismo)
電話+34 927 47 25 58
営業時間火〜木曜9:00〜15:30
土・日曜10:00〜14:00
web観光オフィス(外国語サイト)

一度は泳いでみたい、とっておきの秘境「ガルガンタ・デ・ロス・インフィエルノス自然保護区」

画像: 「ロス・ピロネスの水場」の景色に、疲れも癒されます

「ロス・ピロネスの水場」の景色に、疲れも癒されます

ハイキング好きな人におすすめなのが、「ガルガンタ・デ・ロス・インフィエルノス(地獄の喉)自然保護区」です。16kmで標準所要時間6時間の周回コースは見所満載! でもそんなにハードなルートはちょっと……という人は、「ロス・ピロネスの水場」を目指しましょう。

画像: 一度は泳いでみたい、とっておきの秘境「ガルガンタ・デ・ロス・インフィエルノス自然保護区」

片道2.5kmのルートで、水の量が少ない夏場には水による岩の浸食によってできた自然のプールで泳ぐこともできます。まさに「秘境」という言葉がぴったりの場所です。

ガルガンタ・デ・ロス・インフィエルノス自然保護区(The Garganta de los infiernos Nature Reserve)

住所Paraje de Peñas Albas, s/n10610 Cabezuela del Valle (Oficina de turismo)
電話+34 927 47 25 58
営業時間火〜木曜9:00〜15:30
土・日曜10:00〜14:00
web観光オフィス(外国語サイト)

魅力④思い出とお土産に!「伝統の帽子」の製作体験

海外旅行の楽しみのひとつは、その場所ならではの文化に触れること。特に自分で手を動かす体験は旅の思い出になるだけでなく、唯一無二のお土産にもなります。カセレス県モンテエルモソの伝統の帽子作りを体験してみましょう!

カラフルでかわいい! モンテエルモソの「ミニ帽子」

1865年からモンテエルモソに伝わるこの「麦わら帽子」。つばの広いサンバイザーにシルクハットのような筒を組み合わせた独特なシェイプが特徴的ですが、デコレーションはさまざまです。

鏡や毛糸がついたカラフルなものは若い女性や独身者用。落ち着いた色は年配女性用。黒い喪帽は寡婦。かつては農作業の際の日除けとして使われていましたが、現在でもお祭りに欠かせない存在です。

3つの帽子を前に作り方を説明するマリア・ホセ・ゴンサレスさん

この伝統を受け継ぐ唯一の職人が、マリア・ホセ・ゴンサレスさんです。彼女の曽祖母がこの帽子作りを始めたとされており、マリアさんは4世代目。

帽子はすべて手作りで、ひとつを作り上げるのに3日ほどかかるのだとか。後継者がいないため、彼女がひとりでコツコツと作業しています。

マリアさんの工房では「ミニ帽子作り体験」もできます。所要時間は約40分。小さな麦わら帽子に、毛糸のポンポンやスパンコールを縫い付けていきます。完成品は高さ8cmほどなので、持ち帰りも簡単。世界でたったひとつのお土産をぜひ!

画像: マリアさんのお店。前国王夫妻も訪れています

マリアさんのお店。前国王夫妻も訪れています

アルテサニーア・ラ・ゴラ(Artesanía La Gorra)

住所Calle Diputacion, 22, 10810 Montehermoso, Cáceres
電話+34 927 43 05 06(ミニ帽子作り体験はグループのみ。要予約)
営業時間月〜金曜9:30〜13:30、16:00〜20:00
土曜9:30〜13:30
webアルテサニーア・ラ・ゴラ(外国語サイト)

知られざるエクストレマドゥーラ州の魅力を体感

エクストレマドゥーラは、歴史好きから大自然でアクティビティを楽しみたい人、グルメに目がない美食家までを魅了する要素がたくさん詰まった地域です。ちょっと足をのばしてディープなスペインを味わってみませんか?

取材協力

スペイン大使館観光部(Tourism Section of Embassy of Spain)

画像11: 知られざるスペイン。歴史と美食の「エクストレマドゥーラ州」を巡る冒険

エクストレマドゥーラ州観光局(Extremadura Tourist Board)


取材・撮影/上田紋加

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