南イタリア屈指のリゾート・アマルフィ海岸。30キロメートル以上も続く海岸線には「アマルフィ」をはじめ、小さな町が点在し、各々に魅力があります。世界文化遺産に登録されているように、その見所は風光明媚な海岸だけではありません。断崖絶壁に作られた村々、かつて海洋共和国として栄えた歴史。観光地だけでなく、いろいろな町を一度に見て回れば、その類まれな地形とそこに根付く文化をより深く理解できること間違いなし。アマルフィ海岸を起点に、美しい町々を巡る旅へご案内します。

※営業時間や価格は2024年10月現在のものです。
※価格は税込み表記です。

憧れの世界遺産・アマルフィと、周辺リゾートの巡り方

ご紹介するのは、アマルフィ海岸の最東端に位置する町「サレルノ」を拠点に周辺のリゾートを巡る旅。サレルノは高速鉄道が通っているためアクセスがよく、周遊旅が叶います。日本から訪れる際は、パリやフランクフルトなどのヨーロッパ主要都市で乗り継ぎナポリの空港へ。ナポリからは高速鉄道に乗り40分ほどでサレルノに到着。ローマのテルミニ駅から高速列車に乗る方法もあり、約2時間でサレルノに到着します。

サレルノ自体はリゾート地ではなく世界遺産にも含まれていませんが、高速船の発着する港があり、アマルフィ海岸の町への玄関口として最適な立地。船はアマルフィの海岸線を沿うように進んでいき、「アマルフィ」や「ポジターノ」といった町を効率よく回ることができます。アマルフィからは高台の町「ラヴェッロ」へと足をのばすことも可能です。

画像: 憧れの世界遺産・アマルフィと、周辺リゾートの巡り方

航路図(トラヴェルマール(Travelmar)公式サイト)

なお、オフシーズンとなる冬季は船の運航がないので要注意。ただし、サレルノからは年間を通してバスも運行しています。バスは広い海を見下ろすことができるくねくね道を通るので、スリリングなアトラクション感覚で楽しめます。

暮らしが垣間見える「サレルノ」

さっそくリゾート巡りをはじめましょう。まずは、アマルフィ海岸観光の拠点となるサレルノをご案内。サレルノ中央駅から南の方へ歩いていくと、5分ほどで目の前に一面の海が広がります。そこにある小さな港「コンコルディア」がアマルフィ巡りのスタート地点。サレルノには港がいくつかありますが、駅に一番近いこの港から近距離船が多く発着します。事前にしっかり時刻表を確認して、計画を立てておくと安心です。

トラヴェルマール(Travelmar)

webhttps://www.travelmar.it/en/index
高速船運航会社の公式サイト。時刻表の確認やチケットの購入も可能。
画像: 約2キロメートルにわたって続く海岸通り

約2キロメートルにわたって続く海岸通り

サレルノ散策は、コンコルディアから海沿いの遊歩道を歩くのが心地よく、ベンチに腰を下ろしてジェラートを食べたり、バールでコーヒーやカクテルを注文したり、のんびり過ごすのがおすすめです。

画像: 装飾の美しいクリプタ(地下聖堂)の煌びやかさには目を奪われる

装飾の美しいクリプタ(地下聖堂)の煌びやかさには目を奪われる

ショッピングを楽しみたい方は駅前広場から一直線に続く歩行者天国「ヴィットリオ・エマヌエレ通り」から旧市街へ。両脇にお店がずらりと並び、お土産探しにもピッタリです。築300年以上の家々が立ち並ぶ路地は風情があり、中でも11世紀に建てられた聖マッテオ大聖堂は必見です。

聖マッテオ大聖堂(Cattedrale di San Matteo)

住所Piazza Alfano I, 84125 Salerno
入場料5ユーロ
web聖マッテオ大聖堂 公式サイト(外国語サイト)

斜面に建てられた町は奥に進むにつれて坂道が急になっていきますが、誰でも無料で利用できる公共エレベーターが、所々に設置されています。

画像: 丘の上の「ミネルヴァ庭園」から望むサレルノ

丘の上の「ミネルヴァ庭園」から望むサレルノ

坂道を登った先にある「ミネルヴァ庭園」は絶景ポイント。サレルノの町を見下ろしながら、写真を撮ったり、小休憩したりと、思い思いの過ごし方ができます。

ミネルヴァ庭園(Giardino della Minerva)

住所Vicolo Ferrante Sanseverino 1, 84121 Salerno
入場料3ユーロ
webミネルヴァ庭園 公式サイト(外国語サイト)
※現在、拡張工事のため閉鎖中
画像: アレキ城へは市の中心部から市バスで行くことができる

アレキ城へは市の中心部から市バスで行くことができる

時間が許せば標高300メートル地点にある6世紀頃に建てられたアレキ城もぜひ訪れたいスポット。見晴らしの良い城は博物館でもあり、サレルノの歴史に触れられる場所となっています。

アレキ城(Castello di Arechi)

住所Località Croce, 84125 Salerno
入場料4ユーロ
画像: 暮らしが垣間見える「サレルノ」

さらに、人々の暮らしぶりが見えるマーケットに立ち寄るのもおもしろいもの。新鮮な魚介類や太陽の恵みたっぷりの野菜・フルーツがずらりと並んでいて、町の生活を垣間見ることができそうです。

中世の繁栄の象徴が今なお残る「アマルフィ」

コンコルディアの港からは高速船で約35分(直行便の場合)、憧れの地中海リゾート「アマルフィ」に上陸!

今やリゾートとして大人気のこの小さな町が、最盛期の11世紀にはイタリアの4大海洋共和国の一つとしてヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサという大都市と肩を並べ、重要な交易拠点だったということは、あまり想像できないかもしれません。

しかし、散策してみると立派な証が残っています。

13世紀に改築され現在の姿になった「聖アンドレア大聖堂」。当時の繁栄ぶりがわかる街のシンボル

ところ狭しとパラソルの並ぶ小さなビーチを横目に町中に入っていくと、まず目に入るのが黄金に輝く「聖アンドレア大聖堂」です。

画像: 「天国の回廊(Il Chiostro del Paradiso)」と呼ばれる

「天国の回廊(Il Chiostro del Paradiso)」と呼ばれる

中世のロマネスク様式に、アラブ・ノルマン様式が取り入れられた2色のアーチ。大理石の豪華絢爛な地下祭壇や、階段を上った左手には白を基調とした回廊もあります。

かつては海洋国家で、航海術を大いに発展させたのもアマルフィでした。また、12~13世紀頃、アラブ人を介して中国の製紙技術が伝わり、今でもアマルフィの紙は名産品となっています。

聖アンドレア大聖堂(Duomo di Sant'Andrea Apostolo)

住所Piazza Duomo, 1, 84011 Amalfi (SA)
web聖アンドレア大聖堂 公式サイト(外国語サイト)

大聖堂の見学後は、階段を下りて右側にあるメインストリートへ。

狭い道にお店がたくさん立ち並ぶ

海辺らしい色調のワンピースやサンダル、特産品のレモンを使ったお土産やリモンチェッロなどのリキュールもずらり。

画像: 「レモンの喜び」という意味の「デリツィア・アル・リモーネ(Delizia al limone)」

「レモンの喜び」という意味の「デリツィア・アル・リモーネ(Delizia al limone)」

休憩するならカフェのテラス席に座って、名物のレモンケーキ「デリツィア・アル・リモーネ」を食べてみてください。

リモンチェッロのシロップが染み込んだスポンジの中にレモンクリームが入っており、さらに表面もレモンクリームで覆われたレモン尽くしのケーキ。さっぱりとした甘酸っぱさで食べやすい一品です。

海岸線を一望!「ラヴェッロ」を彩る2つの庭

アマルフィの散策を終えたら、「天空の町」とも称される、岩山の上の「ラヴェッロ」を目指します。

画像: ラヴェッロに向かうバスからも絶景を楽しめる

ラヴェッロに向かうバスからも絶景を楽しめる

標高約350メートルに位置するラヴェッロへの公共交通手段は、アマルフィからのバスのみ。そのため、ラヴェッロには、アマルフィ散策前後に向かうのが効率的です。バスに揺られて20分ほどでラヴェッロの入り口に到着します。

画像: ラヴェッロのバス停についたら、すでにこの景色が待っている

ラヴェッロのバス停についたら、すでにこの景色が待っている

ここで特に訪れたいのが2つの庭園です。

一つ目はバス停から歩いてすぐの「ルフォロ荘」。中世ボッカッチョの物語「デカメロン」にも登場する貿易商人ルフォロ家によって13世紀に建てられた豪華な邸宅。趣のある建物が残るほか、色とりどりの花々が手入れされた庭園から眺める海と花のコントラストが見事なスポットです。

また、音楽家ワーグナーがこの土地を愛した縁から、毎年夏には海を望む音楽祭も開かれます。ワーグナーは最後のオペラ「パルジファル」第2幕の作曲に際し、この庭園からインスピレーションを受けたともいわれています。

ルフォロ荘(Villa Rufolo)

住所Piazza Duomo, 84010 Ravello (SA)
営業時間9:00~20:00(音楽祭期間は変更あり)
入場料8ユーロ
webルフォロ荘 公式サイト(外国語サイト)

もう一つの庭園は大聖堂広場から細い路地をずーっと奥の方へ通り抜けて辿り着く「チンブローネ荘」。

画像: 海岸線を一望!「ラヴェッロ」を彩る2つの庭

遡ること11世紀には存在していたとの記録があり、アマルフィ海岸の黄金時代に一致します。その後、長らく廃墟となっていましたが、20世紀初頭にイギリス人貴族の手に渡り改修。庭園はイギリスとイタリアのスタイルを融合させた様式へと再設計されました。

中でも人々を魅了するのが「無限のテラス(Terrazza dell’infinito)」。

崖下に広がるアマルフィ海岸の海岸線を一望できる大パノラマが圧巻で、夕焼けも美しく、ロマンティックな景観が話題。結婚式場としても運営されており、人気のスポットです。

ラヴェッロは賑やかなアマルフィに比べて落ち着いた印象で、優雅なテラスで食事やワインを堪能できるレストランも多く、静かにゆったりとしたひとときを過ごせるでしょう。

チンブローネ荘(Villa Cimbrone)

住所Via Santa Chiara 26, 84010 Ravello (SA)
営業時間9:00~19:30
入場料10ユーロ
webチンブローネ荘 公式サイト(外国語サイト)

魅惑の絶景を織りなす「ポジターノ」

画像: 魅惑の絶景を織りなす「ポジターノ」

海岸の町をもっと満喫したい方は、アマルフィから高速船でさらに西へ約30分、人気リゾートの「ポジターノ」もお忘れなく(サレルノからの所要時間は70~90分ほど)。華やかで洗練された雰囲気が漂っている地域です。

ここも町中へ行くには、港から階段をあがります。周辺にはかわいいお店が連なっているので、歩き疲れることもないはず。丘の中腹から眼下に見下ろすポジターノは感動的な美しさで、まるで絵のような世界が広がっています。

アマルフィ海岸に3日以上滞在するなら、ぜひチャレンジしてほしいのが海岸沿いのトレッキングです。アマルフィからSITAバスで崖上の村「ボメラーノ」(標高650メートル)まで上り、そこからポジターノまで歩くこと3~4時間。

海岸線を辿る全長8キロメートルのコース「神々の道(Sentiero degli Dei)」は、息を呑むほど壮大な景色の連続です。

道はわかりやすく迷うことはありませんが、岩の道を登るような箇所もあるため、リゾート気分ではなく、トレッキング装備と充分な水や携行食をしっかりと持参した上で臨んでください。

画像: アサリやムール貝が贅沢に入った「海の幸のスパゲッティ(Spaghetti allo scoglio)」

アサリやムール貝が贅沢に入った「海の幸のスパゲッティ(Spaghetti allo scoglio)」

ゴールした後はポジターノの中心地まで下りる前に眺望の良いレストランで海の幸に舌鼓。海の町らしいイタリアンを味わえます。

カラフルな「ヴィエトリ」は陶器が溢れる町

画像: カラフルな「ヴィエトリ」は陶器が溢れる町

最後にお伝えするのはサレルノの隣町「ヴィエトリ・スル・マーレ」。サレルノ中央駅からバスで約15分でアクセスできる小さな町なので、たとえば最終日の午前中、サレルノ出発前の旅程にも簡単に組み込めます。

ヴィエトリの町は高台にあるため景色も良いのですが、見どころはなんといっても陶器です。

町中に一歩入れば、陶器の町として知られるのも一目瞭然。色鮮やかなタイルがあちらこちらに飾られていて、教会のドーム屋根や水飲み場、さらには海を見渡す市民公園にもカラフルな陶器を用いた装飾が施されています。

路地を進むと、右も左も陶器のお店! 南イタリアの伝統的な柄から斬新でモダンなデザインのものまで、アーティストでもある職人たちの個性がちりばめられた陶器が並んでいるので、自分のお気に入りを見つけてみてください。

定番のパスタ皿はもちろん、エスプレッソ用の小さなカップやオリーブオイル差しなど、イタリアならではのお土産が手に入るのも嬉しい限り。ただし、少々重いので買いすぎには気をつけてください。

ご紹介した町は、どこも徒歩での散策が可能です。雄大な自然に囲まれたリゾートでありながら、さまざまな歴史的・文化的要素が詰まったスポットも多く、町歩きが楽しいエリアです。ぜひ、アマルフィ海岸周辺を一度に巡る、贅沢で効率的な旅に出かけてみませんか。

取材・撮影:新宅裕子

JALパック イタリアツアーの情報はこちら
https://www.jal.co.jp/jp/ja/intltour/eur/it/

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