世界遺産の美しい街がさらに輝く。オーストリア・ウィーンでクリスマスマーケット巡り

ハシゴして楽しみたい、ウィーンのクリスマスマーケット

ウィーンは中央ヨーロッパ、ドイツ、イタリア、スイス、ハンガリー、チェコ共和国など8カ国と隣接しているオーストリアの首都で、国際線はウィーン国際空港に到着します。空港から市内へは車や電車、バスで20～30分ほど。モーツァルトやベートーヴェンといった有名な音楽家が住んでいたということもあり“音楽の都”として知られているほか、国連の事務局もある国際色豊かな都市です。

そんなウィーンの魅力の一つが、クリスマスマーケット。ヨーロッパの他の都市でも開催されますが、ウィーンは他都市と比べても特に開催数が多く、マーケットが近接しているエリアもあるため、1日にいくつも “ハシゴ”できるのが特徴です。そして、世界文化遺産に指定されている旧市街など、絵になる建物や風景の中で開催されるため、このロケーションだからこその荘厳な雰囲気も楽しめます。

クリスマスマーケットの開催時期は、場所にもよりますが、例年11月中旬からクリスマス翌日まで。期間中はほとんどのマーケットが毎日開催されています。

各マーケットには数十店、場合によっては100ほどの屋台が並び、クリスマス用品やオモチャなどが主に売られています。

そしてクリスマスマーケットの楽しみの一つが「食べ歩き」。この時期のウィーンの最低気温は0～5℃と冷え込むことが多いのですが、その分、ホットワインやホットスナックなどのアツアツ・ホクホクのおいしさが楽しめます。

大きなポテトを丸ごと焼いてチーズやソースをかけたものや、黒パンの上に溶かしたチーズをのせたラクレット、くり抜いたパンの中にスープを入れたものなど食べ物の種類も充実。ワッフルやクレープ、クヌーデル（マッシュポテトを団子状に丸めたもの）といったスイーツもあるので、クリスマスマーケットはお腹を空かせて行って、ぜひ食べ歩きを楽しんでください。

寒くなってきたら、スパイスやフルーツを入れた温かい飲み物プンシュ（アルコール入りもあり）を飲んで体の中から温まりましょう。プンシュを入れてくれるマグカップは、それぞれのマーケットでオリジナルのデザインがあり、持ち帰り可能。毎年違うデザインを出すところもあり、コレクションしても楽しいでしょう。

それぞれに異なる魅力を持つ、3つのクリスマスマーケット

さて、どのクリスマスマーケットもとても魅力的ですが、中でも特徴的な魅力を持つ3カ所を重点的にご紹介していきます。

市内最大規模！移動遊園地やスケートコースまで登場する「市庁舎前」のマーケット

ウィーンの中心部を囲む環状道路、リング通りに面して建つウィーン市庁舎。その前の広場と公園に、市内最大規模のマーケットが登場します。

ここのクリスマスマーケットでは物販や飲食のスタンド（屋台）が100ほど立ち並ぶだけでなく、なんとメリーゴーラウンドや観覧車などが期間限定で登場。敷地内を走るミニトレインまであり、ちょっとした遊園地のよう。

さらに、中心には高さ30メートルもある巨大なクリスマスツリーが立ち、市庁舎前の庭園内の木もライトアップ。全体的にとても華やかでテーマパークのような雰囲気です。

もう一つの注目は総面積3000平方メートル（サッカーのハーフフィールドくらいの広さ）の野外スケートリンク。「リンク」と言いつつも、なんと幻想的にライトアップされた木々の間を走り抜けるスケートコースもあり、ロマンティックな世界が広がります（貸し靴、ロッカーあり）。

そしてSNS映えするフォトスポットもあちこちに。マーケット入り口のアーチ型の飾り前や、クリスマスツリー、メリーゴーラウンド、公園内の光るオーナメント前などで最高の一枚をゲットしてください。

「屋台めぐり」や「食べ歩き」だけでなく、「ミニ遊園地」に「スケート」。まるでテーマパークのように誰もが童心にかえって楽しめます。

Viennese Christmas Market on City Hall Square

広場ではなく「宮殿の庭園」で！優雅な「シェーンブルン宮殿敷地内」のマーケット

童心に返って遊びつくせるのが先ほど紹介した「市庁舎前」のマーケットだとしたら、逆に優雅な雰囲気を楽しめるのがこの「シェーンブルン宮殿敷地内」のマーケット。

ウィーンには他にもエレガントな雰囲気のクリスマスマーケットは多いのですが、ここは別格です。というのも、一般的なマーケットは歴史的建造物の“前の広場”などで開かれるのですが、なんとここは“宮殿の敷地内”で開催されるのです。

ハプスブルク家の夏の離宮として建てられ、1996年から世界遺産に登録されているシェーンブルン宮殿。ライトアップされて、とてもゴージャスなムードが漂います。その前に立ち並ぶ約80の屋台の内側は、メルヘンな世界に迷い込んだかのような雰囲気。

おすすめ写真スポットは、ゴージャスな雰囲気をさらに盛り上げる記念撮影用のゴールドのフォトフレーム。誰が撮っても絵になること間違いなし！の宮殿もクリスマスツリーも入ったステキな写真が出来上がります。

古きよきハプスブルク朝時代に迷い込んだかのような優雅な気分を味わうなら、こちらがおすすめです。

Christmas Market Schloss Schönbrunn

地元アーティストの作品に出合える「アート＆クラフトマーケット」

「クリスマスグッズや食べ物が主流」の他のマーケットとは一線を画すのが、カールス教会前で開催される「アート＆クラフトマーケット」。ここでは「地元アーティストの屋台」が並び、まるでアートギャラリー巡りをしているような気分を楽しめます。

グラス製品や陶器、木や石、紙で作られたアート、ジュエリー、絵画などそのジャンルも豊富。敷地内にはアーティストのデモンストレーションコーナーもあり、製作過程を間近に見ることもできます。

また、音楽コンサートが開催されたり、大道芸人などのパフォーマーが登場したりする点もアートな雰囲気を盛り上げています。

「見る」だけでなく、子どもたちがキャンドル制作やアートを体験できるコーナーも。他にも、足で漕いで進むトロッコ、ミニコースター、レトロなメリーゴーラウンドといったアミューズメントも設置されます。

Art Advent – Art & Crafts on Karlsplatz

クリスマスシーズンは長めに滞在して、複数のマーケットを巡ろう

ウィーンには他にも、ハシゴして楽しみたいクリスマスマーケットがたくさん。ここからはダイジェストでご紹介していきます。

荘厳さが魅力の「シュテファン大聖堂」周辺のマーケット

世界遺産になっているウィーン旧市街、その中心に建つシュテファン大聖堂。今から700年近く前の1359年に完成した街のシンボルです。

古くから街を見守り続けてきた大聖堂だからこその荘厳な空気。それらがライトアップされ、クリスマスツリーのイルミネーションと組み合わさることで、ロマンティックな雰囲気も醸し出されます。

Christmas Market on Stephansplatz

美しいミュージアムに囲まれた「マリアテレジア広場」のマーケット

神聖ローマ帝国時代から645年にわたりオーストリアを統治していたハプスブルク家。彼ら歴代皇帝の素晴らしいコレクションを展示するために、向かい合って建てられた2つのミュージアムの間にある広場でも、クリスマスマーケットが開催されます。

Christmas Village on Maria-Theresien-Platz

王宮前の広場で開催されるクリスマスマーケット

こぢんまりとはしていますが、王宮の美しい建物と、800年以上の歴史を持つミヒャエル教会に囲まれた広場で開催されるマーケットです。

2023年の開催は未定のため、Webサイトで情報をご確認ください。

k.u.k. Weihnachts- und Silvestermarkt am Michaelerplatz

バロック式宮殿と庭園の中のクリスマスマーケット

「美しい眺め」という名を持つ「ベルベデーレ宮殿」。1723年に完成したこのバロック様式の宮殿を挟むようにしてある庭園でもクリスマスマーケットが開催されます。

庭園にある大きな池に飾られたイルミネーション、水面に映るライトアップされた宮殿など、フォトスポットもいっぱい。写真好きの人にはぜひ訪れてほしい場所です。

Christmas Village at Belvedere Palace

温かな雰囲気を体感できる「フライウング広場」のマーケット

規模は大きくないものの素敵な雰囲気に包まれているのが、「フライウング広場」で開催されるマーケット。屋台数は50。コンサートなどが開催される小さなステージも設置されていて、こぢんまりとしているからこそ距離が近く、温かな空気を体感できます。

Old Viennese Christmas Market on Freyung

食べ物とアートを楽しめる「アムホフ広場」のマーケット

フライウングの隣にある「アムホフ広場」。クリスマスマーケットでは食べ歩きが楽しみの一つとお伝えしましたが、ここは食べ物の屋台が豊富。雑貨やデコレーションを扱うアート系の屋台も多く集まっているので、何かつまみながらギャラリー巡り気分を楽しんでみてもいいでしょう。

Christmas Market Am Hof

なんと住宅街で開催。「シュピッテルベルク通り」のマーケット

こちらのクリスマスマーケットが他のマーケットと明らかに違うのは、古くからある住宅街で開催されるということ。地元の方々が多く集い、ローカルな雰囲気に触れられるのがまた素敵です。

屋台だけではなく、建物内のお店も参加するので120を超えるお店が出店。お店の数が多いだけあって、クリスマスグッズだけではなく、アートやハンドメイド作品、雑貨などさまざまな商品に出合えます。

Christmas Market on Spittelberg

ウィーンには、本記事では紹介しきれなかったマーケットがまだまだあります。余すところなく体験したいのであれば、ハシゴして楽しんでください。また、クリスマスシーズンは街中のいたるところがイルミネーションで飾られ、他の季節とは異なる装いに。そんなお祭りムード満載で輝くウィーンへ、ぜひ足を運んでください。

取材・撮影：バレンタ愛

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