「東広島の日本酒は、お土産、贈りものとしても最適。もっと多くの人にその魅力を知ってもらいたいです」と話すのは、客室乗務員でJALふるさとアンバサダーのフィリップスさん。この企画の発起人でもある彼女と、実際にツアーを体験しました。
※撮影時のみマスクを外しています。
INDEX
国内外で愛されている、東広島・西条の日本酒
広島空港からバスや車で約40分。東広島市・西条は、1.5キロ圏内に7つの酒蔵が立ち並ぶ、全国でも類を見ない日本酒のまちです。京都の伏見、兵庫の灘と並んで「日本三大酒どころ」と称されています。
酒蔵体験ツアーとは
酒造りのさまざまな工程に関わるプロフェッショナルのもとを訪れ、酒造りを体験できるのが、酒蔵体験ツアーです。酒造りの責任者である「杜氏」や、その杜氏の指示のもと酒蔵で働く「蔵人」といった職人たちが現場を案内します。
このツアーは、日本酒について深く知るだけでなく、日本酒造りの工程を実際の現場で体験することができるのが大きな魅力。日本酒が好きな方はもちろん、ものづくりの現場に興味がある方や日本の伝統に触れたい方なども、さまざまな視点で楽しめます。
【秋のツアー概要】テーマ:米
秋のツアーでは、収穫体験をメインに、まち歩きも体験しながら日本酒づくりの工程や歴史を学ぶことができます。
アクティビティの例
- 酒米収穫体験
- ボランティアガイドと巡る酒蔵ガイドツアー
- 賀茂鶴酒造の杜氏が案内する酒蔵見学
- 蔵人の夕ごはん(杜氏と作る美酒鍋、利き酒、ペアリング)
- 酒造りにとっての米と精米を学ぶ(サタケ株式会社)
- 国で唯一のお酒に関する研究施設見学
- 安芸国分寺でのにおい袋製作体験
※販売中のツアー行程と取材時のツアー行程には差があります。
2022年10月13日に実施されたのは、秋のツアー。当日の様子を、フィリップスさんとともにご案内します。
黄金に実った稲穂を刈り取るレア体験!
秋のツアーは、日本酒の原料となる米の稲刈り体験からスタート。
到着したのは、東広島市の高屋町造賀地区。田んぼには、穂を垂れた稲が黄金に輝いています。
この日刈り取ったのは、酒造りに適した米の代表品種「山田錦」。粒が大きい、米の中心部分である「心白」の割合が高い、吸水に優れていることが特長です。お酒にすると、米の旨みや香りが感じられ、繊細で雑味のない味が楽しめるとあって、東広島市でもさかんに栽培されています。
この道30年の経験を持つ酒米農家のベテランから稲刈り鎌の扱い方や注意点を聞き、まずはお手本を見せてもらいます。ザッ!ザッ!とリズミカルに鎌を動かすさまは、さすが、手慣れていてスピーディーです。
「稲刈りは初めて」と話すフィリップスさんですが、実際に刈り始めるとこの笑顔。一方で、腰を屈めて作業をし続ける大変さも強く実感したようです。農家さんへの感謝の想いがこみ上げます。
途中で「休憩」と声が掛かり、新米のおむすびが配られました。シンプルな塩むすびですが、それゆえにお米のおいしさが際立ちます。作業の合間に、田んぼで頬張るおむすびの味は格別でした。
稲わらでしっかり結んで束ねた稲は、「稲架掛け(はざかけ)」をして乾燥させます。こうやって手間暇かけてお米が収穫され、おいしいお酒になるのだなと実感しました。
ファーム・イースト造賀(東広島市酒米栽培推進協議会)
住所 | : | 広島県東広島市高屋町造賀1360 |
---|---|---|
電話 | : | 082-436-1090 |
web | : | https://www.farmeast-zooka.com/ |
ガイドと歩く、驚きと発見がいっぱいの酒蔵通り
昼食の後は、酒蔵通りを散策します。案内役は、地元と日本酒を愛するボランティアガイドの皆さんです。
青空に向かって茶色い煙突が立ち並ぶさまは圧巻。酒蔵から伸びる煙突がこんなに隣接している景色は、他では見られない、西条だけのものです。
7つの酒蔵にはそれぞれ井戸があり、誰でも自由に仕込み水を汲むことができます。水は蔵によって「まろやか」「すっきり」等、少しずつ味わいが異なるようです。
「実は私も“推し井戸”があるんですよ」とフィリップスさん。利き酒ならぬ「利き水」をして、好みの「推し井戸」を見つけてみてはいかがでしょう。
「上下に開閉する戸は、はね戸と呼ばれ、営業時間中は上に跳ね上げられています」と、ガイドさんが教えてくれました。フィリップスさんも、話を聞くたびに新しい発見があり、毎回驚くそう。
カラフルなご当地マンホールの絵柄の中に、飛行機を発見!
東広島上空あたりでギアダウン(着陸のために車輪を出す)するので、機内から西条のまちが見えやすくなるとフィリップスさんが教えてくれました。
西条酒蔵通り観光案内「東広島ボランティアガイドの会」
住所 | : | 広島県東広島市西条本町17-1 西条酒蔵通り観光案内所(東広島ボランティアガイドの会) |
---|---|---|
電話 | : | 082-430-7701 |
web | : | https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/kanko/kanko/2/1/index.html |
杜氏による酒蔵案内で知る、奥深き酒造りの世界
酒造通りの蔵元のひとつ、賀茂鶴酒造へやってきました。酒造りの責任者、杜氏の案内で実際に酒造りが行われている現場へ入ります。
磨かれた酒米を見せてもらったり、大きなタンクに記された番号の意味を教えてもらったり。工程ごとに丁寧な説明があり、さまざまな作業場に入ることができたのは貴重な体験でした。
麹室では、上部と下部にある窓を開閉して温度管理がされていました。昔から伝わる知恵が今も受け継がれ、酒造りに活かされています。
賀茂鶴酒造
住所 | : | 広島県東広島市西条本町4-31 |
---|---|---|
電話 | : | 082-422-2122 |
web | : | https://www.kamotsuru.jp/ |
SNS | : | https://www.instagram.com/kamotsuru_sake_brewing/ |
日本酒とのペアリング&東広島名物「美酒鍋」に舌鼓
賀茂鶴酒造グループのレストラン「日本酒ダイニング 佛蘭西屋」へ到着しました。もともとは蔵人の賄い料理で、今では東広島名物となった「美酒鍋」を味わいます。
まずは、日本酒と前菜のペアリングから。仕込み水(やわらぎ水)、4種の日本酒と一緒に、さまざまな料理が並びます。
バターと干し柿が層になった「西条柿とバターのミルフィーユ」には「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」を。ミルフィーユのコクと、大吟醸酒の落ち着きのある旨味が、おいしさの相乗効果をもたらします。
「豊栄のジビエパテ・酒かすパンのバーガー」は「特別本醸造 超特撰特等酒」を一緒に。旨味が多く食べ応えのあるパテには、フルボディタイプの日本酒がぴったり。パテと日本酒が、お互いを引き立てます。
そして、杜氏による解説とともに、「美酒鍋」づくりがスタート。まずは、豚肉、砂肝、鶏モモ肉の3種の肉と野菜を炒めます。にんにくをたっぷり使っているのも特徴。少しずつ日本酒を注いで煮詰めていき、肉と野菜と酒の旨みがぎゅっとひとつにまとまったら完成。食欲をそそる香りが、フロアにたちこめました。
もともと賄い料理であった「美酒鍋」は、利き酒に影響しないよう砂糖や醤油などは使わず、日本酒と塩コショウだけというシンプルな味付け。あっさりとして、誰でも食べやすい味わいです。(アルコール分は抜けるので、お子さまやお酒が苦手な方でも召し上がれます)
杜氏自らの手でつくられた美酒鍋を食べるのも、ここでしかできないプレミアムな体験。杜氏の話に耳を傾け、奥深い日本酒の世界の一端を知る貴重な時間でした。
照明が数寄屋風の建物を優しく照らし、情緒ある雰囲気。日本酒を交わしながら語らうゆったりとした時間を楽しみました。
日本酒ダイニング 佛蘭西屋
住所 | : | 広島県東広島市西条本町9-11 |
---|---|---|
電話 | : | 082-422-8008 |
営業時間 | : | 11:30~14:30 17:00~21:00 |
定休⽇ | : | 木曜、第2・第4月曜 |
web | : | https://www.france-ya.jp/ |
SNS | : | https://www.instagram.com/kamotsuru_dining_franceya/ |
米と水、麹というシンプルな材料を醸し、繊細な味を生み出す日本酒。
「限られた材料だからこそ、関わる人の想いや行動で仕上がりが大きく変わる。飛行機と人しかいない空の旅も同じで、お客さまにすてきな時間が提供できるかは自分次第。さまざまな気付きがありました」
日本酒造りと客室乗務員の仕事には通じるものがあると語る、フィリップスさん。つくり手の想い、そして繊細な作業工程に間近でふれたからこそ得られる感動と学びがあったようです。
JALパックのツアー紹介ページで詳細をご覧ください。
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