〈3日目〉
びっくりだけどおいしい!「みかん島」ならではの名物料理|周防大島みかん鍋
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旅の最終日、最初に訪れたのは山口県東部の瀬戸内海に浮かぶ島、周防大島町。柳井市から車で約30分です。
周防大島町を訪れた目的は、山口県で生産されるみかんの約80%を占め、別名「みかん島」と呼ばれるこの地ならではの名物料理、「周防大島みかん鍋」です。
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運ばれてきた鍋をのぞくと一見海鮮鍋のようですが、「鍋奉行御用達」の焼印が入った皮ごとの焼きみかんがしっかりと出汁に浸かっています。鍋にみかんとは一瞬驚くような組み合わせですが、出汁との相性は抜群で、柑橘特有のさわやかな香りもクセになりそうです。具材の一つ、みかんの果皮が練り込んである地魚のつみれも美味で、しめの雑炊までおいしくいただきました。
せっかく周防大島町まで足を運んだので、話題の「しあわせ祈岩(きがん)」をすることに。「しあわせ祈岩」とは、周防大島町の安下庄(あげのしょう)地域にある4つの奇岩をめぐるもので、それぞれの奇岩はパワースポットとして注目されています。
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波の侵食により岩の中ほどがくり抜かれた奇岩「巌門(がんもん)」。頂上には竜崎観音堂があります。潮の満ち引きにより、浸食したトンネルを通り抜けられる時間帯も
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標高619mの嵩山(だけさん)の中腹にある、巨大な大杉に囲まれた洞窟「岩屋」。虚空蔵(こくうぞう)菩薩と山王権現が祀られています
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南無阿弥陀仏と書かれた巨岩「帯石」。嵩山中腹にある観音堂のそばにあり、安産祈願で知られます
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海岸にそそり立つ「立岩」。高さ40mの安山岩でできた奇岩で、馬頭観音が祀られています
周防大島町の地の食材としあわせ奇岩の効果で、きっと運気が上がったはず。この勢いのまま、今回の旅の最終地点へと向かいます。
周防大島みかん鍋(しあわせ祈岩)
住所 | : | 山口県大島郡周防大島町(みかん鍋提供店は町内に9店舗) |
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電話 | : | 0820-72-2134(周防大島観光協会) |
web | : | http://www.suouoshima.com/syokuji/mikan_nabe.html |
山口県の銘酒「貴」の酒蔵へ。絶品酒蔵スイーツも|永山本家酒造場
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宇部方面へ車を走らせること約1時間30分、最終目的地の「永山本家酒造場」に着きました。永山本家酒造場の創業は1888年、135年の長い歴史を誇ります。
代表銘柄は、「貴(たか)」。米と水にこだわり抜いてつくられたこの日本酒は、山口県だけでなく、全国的に注目されており、これまでに数々の賞を受賞してきました。オフィス兼ショップは1928年に建てられた旧二俣瀬役場をリノベーションしたもので、2016年に国の登録有形文化財に登録。2階部分はカフェになっています。
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入ってすぐのカウンターには、これまでの功績を伝える賞状が、右手には「貴」などのボトルが並び、こちらで購入も可能です。
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代表であり杜氏の永山貴博さんに、酒造を案内していただきます。まずは酒造りの要、酒米について説明を受けました。永山本家酒造場で用いるのは、主に酒米の王様と呼ばれる「山田錦」と「雄町」。ここではその酒米の中でも、真ん中の白い芯の部分、「心白(しんぱく)」を見ることで、酒造りに適しているか、適していないのかを見分けると教わりました。
酒米にとことんこだわる永山家酒造場では、農業法人を立ち上げ、本格的な酒米の生産にも取り組んでいるそうです。
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2階に移動すると、柱なしの大空間に驚かされます。この空間を会場にした「酒蔵コンサート」は毎回大好評で、最近だと昨年の11月に開催したばかりだそう。
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次は仕込蔵へ移動し、仕込中の様子、日本酒になる前段階の「醪(もろみ)」を覗かせていただきました。この醪を搾った後、いくつかの工程を経て商品となります。
米本来が持つ味を大事にした「貴」は、さわやかな香りとやさしい切れ味が特徴。繊細な和食、特に瀬戸内の魚にとてもよく合うため、食中酒として楽しむのがおすすめだそうです。
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酒蔵見学の後は、オフィス2階のカフェ「フタマタセコーヒー」へ。レトロかつモダンな雰囲気の広々とした空間は、ひと息つくのにぴったり。提供しているのは、コーヒーや紅茶などのドリンクと、それにぴったりな手作りスイーツです。
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いただいたのはこだわりの豆で淹れるフレンチプレス(500円)と「貴」の酒粕を使った酒粕チーズケーキ(450円)。フィルターを通さずに淹れるフレンチプレスは、豆そのものの味がまるごと出るため、豆選びに自信があるからこそ注げる一杯なのだとか。なるほど、ひと口含めば芳醇なコーヒーの香りがいっぱいに広がり、奥深さも感じられます。
酒粕チーズケーキもまた、ふんわりと漂う酒の風味と、滑らかな舌触りがたまりません。酒蔵だからこそ味わえるおいしさをかみしめます。
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カウンター横には、スタイリッシュな日本酒サーバーがあり、1杯20ml~(100円)で永山本家酒造場の日本酒がテイスティングできます
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日本では古来、良いお酒は「ハレの日」に飲まれてきたと伝えられます。酒蔵に隣接するカフェで、しかも酒を醸す木桶の蓋を再利用した丸テーブルで、コーヒーとスイーツを味わうひと時は、今回の旅の終わりの締めくくりにふさわしい幸福な時間となりました。
永山本家酒造場
住所 | : | 山口県宇部市大字車地138番地 |
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電話 | : | 0836-62-0088 |
営業時間 | : | 〈ショップ(直売所)〉11:30~16:30 〈フタマタセコーヒー〉水・木曜11:00~14:30(L.O.)、金・土・日曜11:00~16:30(L.O.) ※酒蔵見学は要予約 |
web | : | https://www.domainetaka.com |
山口県の食、景色、温泉、自然など、幸福度がアップするいろんな要素を盛り込んだ、とっても欲張りな旅となりました。これだけ山口県の「いいところ」をおさえれば、きっと運気も上がっているはず。2023年の幸先の良いスタートを山口県で迎えてはいかがでしょう。
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