徳島阿波おどり空港から車で20分ほど。写真集をめくるかのように美しい景色が連続する、鳴門が今回の旅の舞台です。風光明媚な海の風景、心地良い極上体験が出来るホテル、藍染や陶芸などショッピングも楽しめます。アフターコロナに向け、目に優しく、心に嬉しい鳴門の旅を計画してみてはいかがでしょうか。
画像1: 豊かな自然と受け継がれる伝統、今こそ行きたい国内一人旅。徳島・鳴門1泊2日

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

画像2: 豊かな自然と受け継がれる伝統、今こそ行きたい国内一人旅。徳島・鳴門1泊2日

08:00 ボリューム満点朝食と大浴場「THE SPA」で一日の活力を養う

鳥の声が響き渡る鳴門の朝。テラスに吹き込む海風が気持ちよく、清々しい空気を吸い込むところから一日が始まります。

ホテルリッジは朝ごはんにも定評があるとのことですが、その前に大浴場へと向かいます。

お風呂は、地下1,500mから汲み上げられた温泉の源泉掛け流し。露天風呂のデッキからは鳴門海峡を望み、鳴門のシンボル大鳴門橋を眺めながら静かに過ごせます。

朝食は前日の夕食と同様に送迎付き。優雅な気分で会場の「万里荘」へ到着です。

部屋へ案内されるとあっと驚くような、豪華な朝ごはんが待っていました。温かいものは徐々に運ばれてきて、気づけばテーブルいっぱいの料理が並びました。

ローストビーフや鱧の卵とじ、自家製のお豆腐、ふわふわの出汁巻たまごなど、手の込んだ料理ばかりで夕食かと見紛うほど。かなり量が多いと感じるこの朝食ですが、これは、料理長をはじめとしたホテルスタッフからの「一日のはじまりにしっかり栄養を取り入れて、楽しく充実した今日を過ごしてもらいたい」という気持ちの表れ。12時チェックアウトまでゆっくりと滞在できるように、との配慮でもあります。

ゆっくりと堪能し、時間を忘れてホテル自慢の料理をひとつひとつ楽しみました。

最近ではホテルステイを目的とする旅、ステイ+バケーション「ステイケーション」も人気です。チェックインからチェックアウトまで、誰に遠慮するまでもなくゆっくりとホテルの中で楽しみたい。ステイケーションはあくせくすることなく、のんびりとホテルで過ごしたいという方にはぴったりの時間の使い方であり、なるべく人との接触を減らせる滞在方法でもあります。

ホテルリッジのスタッフの穏やかな笑顔とスマートな接客、居心地の良い施設に、心地良い時間を味わうことができました。

ホテルリッジ万里荘

住所徳島県鳴門市瀬戸町大島田字中山1-1
電話番号088-688-1212
フロントから送迎あり
webhttps://hotel-ridge.co.jp/

11:00 大谷焼の里で守り続ける伝統「森陶器」

鳴門市大麻町大谷地区で作られる陶器は「大谷焼」と呼ばれ、長年、徳島県の伝統工芸として大切に守られてきました。

現在この地域に6つの窯元があり、そのひとつである窯元森陶器にお邪魔しました。ここには国登録有形文化財の“登り窯”があり、一部内部の公開もされていて、その中で水琴窟の音色が聴けるようになっています。

大谷焼の特徴のひとつに、大物陶器と呼ばれる大きな甕を造っていることが挙げられます。これは、この地域で盛んな藍染に欠かせないものであり、藍甕として今でも使われています。現在は大型のステンレス製藍甕が使われることもあるのですが、藍は発酵過程により液内で菌が生きているので空気を通す陶器の大甕でないと良い藍ができないと言う人もいます。

そんな藍染に必要不可欠なのが、この大谷焼なのです。

使われる土は姫田や萩原、讃岐といった徳島県から香川県にかけての山中で採掘される地元のもの。これを様々な工程を通して製品を作るための土へと精製します。この土を使って小さいものでは箸置きからお皿や花瓶、大きなものでは主に180L入り、270L入りの甕が造られています。森陶器では最盛期には水甕や藍甕を多く生産し、時代の変化に敏感に応えながら昭和20年代頃からは日常使いが出来る小さなものも製作するようになりました。作品への想いなどを聴きながらの店内でのお買い物タイムは選ぶ楽しみ迷う楽しみがあり、陶芸の魅力がびしびし伝わる、まるでパワースポットのようです。

現在は4代目とその息子さんである5代目の作品も並び、2人の作家の異なる作風の器が楽しめ、「これだ!」と思えるお気に入りがきっと見つかるでしょう。伝統的な渋い色の大谷焼だけでなく、青や白などの釉薬を使った新しいエッセンスを加えた器にも注目です。

大谷焼という伝統工芸の本質に真摯に向き合い守るべきものは守り、一方では、新たな風を取り入れながらチャレンジしていくという、ものづくりへの情熱を感じます。

まじめな一面を言葉の端々に感じつつも、森家の皆さんの柔らかで人柄の温かい接客に心癒される時間でした。

窯元 森陶器

住所徳島県鳴門市大麻町大谷字井利ノ肩24
電話番号088-689-0022
営業時間月~土 8:30~17:00 日 9:30~16:30
陶芸体験は要予約、詳しくは公式HPへ。
webhttps://morigama.jp/

12:30 地域とともに歩み、心に染みる旨い酒を造る「本家松浦酒造」

阿波大谷駅から池谷駅周辺は大谷焼の産地というだけではなく、文化の香り漂う“旧撫養街道”が通り、四国八十八ヵ所霊場巡りの人々が訪れるのとともに文化も様々に行き交いました。

この地に創業200年を超える老舗酒蔵「本家松浦酒造」があります。銘柄“鳴門鯛”は多くの人に愛され、海を越え、海外でも話題になるほどの人気ブランドです。

蔵内にあるショップでは、試飲しながら好みのお酒を見つけることができます。特に、ここでしか買えない冷蔵生酒が蔵元のオススメ。歴史感じる蔵の中で風情を感じながら地酒を味わえるというのは、この上ない幸せです。

本家松浦酒造が行っているのは、酒造りだけではありません。

蔵のある旧撫養街道沿い、1.4キロほどの間に点在する寺社仏閣、蔵や大谷焼窯元などを「鳴門酒蔵街道」として、その町並みや歴史を紹介するという取り組みを行っています。

町をのんびりと歩きながらまわれるようなマップを作り、さらに施設それぞれの体験メニューなどを紹介することで、町全体の盛り上げと魅力発信につなげています。これが地元文化の見直しや掘り起こし、街への誇りや愛着を呼び戻し、見事プロジェクトとして形になりました。旧撫養街道のお遍路さんの往来を間近で見てきた街ならではのコミュニケーション能力で、日本に根付くさまざまな伝統を鳴門の片隅から伝えていく価値のある取り組みだと感じます。

このプロジェクトの中、酒蔵では、日本酒体験として「酒の寺子屋」を開催しています。参加者は日本酒のテイスティングをしながら、日本酒の造り方や味や香りの違いなど基礎知識を学んでいきます。体験する人は国内に留まらず外国人観光客も受け入れ可能。自社の酒だけでなく、日本の酒(SAKE)文化の認知向上を図る活動としての役割も担うという、奥行きのある活動が地道に行われています。

現在では、なかなか現地を訪れられない人のために、酒蔵が自ら主宰するオンラインイベントも開催されています。十代目蔵元・松浦素子さんのお話を聞きながら、予めセット購入したお酒を片手に参加できます。

日本酒をもっと身近にもっと気軽の楽しむ機会なので、こまめに公式サイトをチェックしてみてください。

新しい日本酒が次々と生まれているという鳴門鯛。同じ地域に営巣した野生コウノトリのためにつくられた「特別栽培米」で作った日本酒を発表したり、アルフォンソ・マンゴーを使ったフルーティーな飲みやすいお酒を造ったりと、日本酒の可能性に挑戦し続けています。

色んなタイプがある鳴門鯛を、公式サイトでは「晩酌用」「マリアージュ別」「ワイングラスで飲む」などシチュエーションごとに選べるのも嬉しいです。こういった提案を酒蔵でもしてもらえるので、鳴門で「これぞ私の好みのお酒!」と思える極みの一本に出会えるかもしれませんね。

日々の食卓に自然と日本酒が並び、おいしいと笑顔が増えていく。そんなお酒が見つけられそうな気がします。

本家松浦酒造

住所徳島県鳴門市大麻町池谷字柳の本19番地
電話番号088-689-1110
営業時間9:00~17:00
webhttps://narutotai.jp/
鳴門酒蔵街道 https://www.narutosakestory.com/

14:00 徳島雑貨のお店「にちにち雑貨店」でおみやげさがし

鳴門駅まで戻り空港へと向かう前に、おみやげ探しに小さなお店に立ち寄りました。徳島・鳴門のものを扱うセレクト雑貨ショップの「にちにち雑貨店」です。

店主の原さんが集めた、徳島をモチーフにした雑貨がぎゅっと詰まったおもちゃ箱のようなワクワクがあるお店です。原さんは全国に足を運ぶほどの工芸品や郷土玩具好き。徳島県内で見つけた上質だけれども遊び心がある雑貨や、食品を揃えています。中には作家の一点モノもあるので、見つけたら即買い必至ですね。

特に問合せが多いというのが四国の形をした陶器製品。

器やキーホルダー、箸置きなど、バリエーションも豊富。4県のモチーフが型押しされたお皿や、渦潮のうずが表現されている小物もあります。これはお店オリジナルで、考案、製作は原さん本人だというから驚きです。ここでしか入手できないレア物なので、ぜひチェックしたいところです。

他にも人気の果樹園・川添フルーツの「ゆこうシロップ」、阪東食品と川添フルーツの合作ペッパーソース「BAKASCO」、柑橘をふんだんに使ったクラフトコーラシロップ「AWAトクシマコーラ」など、気になるものが目白押しでした。

徳島愛、鳴門愛に溢れた雑貨だらけで「可愛い!」が止まらない。

大事な人へのおみやげに、日常に置いておきたくなるような雑貨を自分のご褒美に。自分ではなかなか見つけられない、出会えない徳島モチーフ雑貨がたくさんあるので、買いすぎにはお気を付けくださいね。

にちにち雑貨店

住所徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜382
電話番号088-679-9318
営業時間11:00~18:00(火休、祝日は営業)
webhttp://diary.nichinichizakkaten.com/

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