リモートワークの導入や副業の容認など、都市部の企業を中心に“働き方改革”がますます進んでいます。働き方の自由度が増すことで注目されているのが「2地域居住」。都市に住む人が地方にも住居を構えて、2つの地域で生活するそのスタイルは、都会だけでなく自然溢れる環境での暮らしも手に入れたいと考える層から支持を得ています。

とはいえ、生活を大きく変える決断には不安がつきもの。まずは気軽に現地を訪れたり、経験者の話を聞いたりして、イメージを具体化するのが一番です。今、2地域居住を勧奨する自治体では体験ツアーを運営し、地域の魅力や暮らしのリアリティを感じることができる機会を提供しています。OnTrip JALでは、そんな各地の「2地域居住」の魅力を体験ツアーを通じて紹介。さまざまなエリアの情報を、連載記事で紹介しています。

2地域居住についてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
https://ontrip.jal.co.jp/_tags/2地域居住

画像1: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 徳島県・美馬編

今回ご紹介するのは、徳島県美馬市です。羽田から徳島阿波おどり空港・高松空港までは飛行機で約1時間。そして空港からは車で1時間ほど、香川県との県境に位置します。清流・穴吹川やすばらしい景観を有する一級河川・吉野川をはじめとした雄大な自然が身近にあり、また、かつて城下町として栄えた歴史情緒あふれる町並みも残っている、とても美しいエリアです。

この記事で紹介するのは、美馬市での暮らしの魅力について。実際に移住された方へのインタビューや注目スポットへの取材を通して、同市が併せ持っている自然と文化のすばらしさに触れてください。

「自分の心と体が求める環境が、美馬市にはあった」

白草社を営む乾亮太さんインタビュー

画像1: 白草社を営む乾亮太さんインタビュー

大阪府出身。地元の出版社に就職し、長年雑誌編集に携わってきた乾さん。2015年に退職してからはフリーランスとして活動していましたが、だんだん大阪以外のローカルで雑誌編集に携わってみたいと思うようになります。その引っ越し先に選んだのが自身の両親の生まれ故郷である徳島県でした。

幼少の頃は夏休みになると里帰りし、祖父母と過ごした思い出があったと話す乾さん。移住するなら見知らぬ土地よりも、自分のルーツがあるところに住みたいと思ったのも徳島県を選んだ理由の1つだそうです。

「仕事のためにしばらくは徳島市内に住んでいましたが、大阪にいる時よりも激務で……もっと生活の中にゆとりを作りたいと常々思っていました。僕にとっての癒しは自然の中で過ごすことだったので、もっと身近に自然を感じられるところに住みたいなと。美馬市を選んだ一番大きな理由は、きれいな穴吹川が近くにあったから。それだけです」

画像2: 白草社を営む乾亮太さんインタビュー

また、大阪での取材仕事がきっかけで、すっかりスパイスカレーに魅了されていた乾さん。いずれは自分の店を持ってみたいという夢が、多忙な日々を送る中でだんだんと膨らんでいきます。

「美馬市の移住促進用広告の制作に携わっていた時に、この街は創業・移住に関する支援が手厚いということを知ったんです。加えて美馬には“みまから”というブランド唐辛子があり、これがカレーにぴったりだったんです。この2つが、美馬市でカレーショップを開くことへの後押しをしてくれました」

画像: カーラヤカリヤ・1,200円(税込)※写真はスパイシーチキン

カーラヤカリヤ・1,200円(税込)※写真はスパイシーチキン

こうして2018年にオープンした『白草社(しらくさしゃ)』。お店で提供しているのは、数種のカレーとおかずがワンプレートになったスリランカスタイルの一皿。いりこだしで炊いたレンズ豆のカレーやココナッツミルクを使ったベジタブルカレーとおかずを混ぜることで味わいや食感が変化し、食べ進めるのが楽しくなります。

お店を営む上で大切にしているのは、自分たちが食べたい味を貫くこと。その信念が詰まったカレーは、おいしさだけでなくスリランカスタイルという珍しさも相まって評判が広まり、今では徳島市内や香川県からもお客さんが訪れるそうです。

また乾さんは、美馬市は移動に適している場所だといいます。四国の中心に近いため、四国各県へのアクセスはもちろん、関西方面や山陽地方にも行きやすいのです。九州も、関西に住んでいた時より身近に感じているようです。

画像3: 白草社を営む乾亮太さんインタビュー

「イベント出店で香川、岡山、大阪、大分県の別府市にも行きました。基本、車でのアクセスなので、大阪にいた時より気軽に行動できるようになり、それとともに見聞も広がりました。それが仕事にも活きています。美馬市は、情報や学びを得る“インプットのために動きやすい”ところだな、と住み始めてから気づきました」

今は、自分の過ごしたい環境の中で、心地よく暮らすことができていると語る乾さん。歩いて5分で出会える美しい穴吹川で、夏は泳ぎ冬は焚火をしてご飯を食べる。恵まれた自然の中で気の赴くままに生活することは、心と体の安定にもつながるようです。

白草社(しらくさしゃ)

住所徳島県美馬市穴吹町穴吹字大平33-1
電話0883-53-2505
webhttps://www.instagram.com/shirakusasha/

美馬の魅力は「心と体の求めるものがある」こと。それは、人が人らしく生活するために大切な要素ではないでしょうか。今回の2地域居住体験ツアーの中でも、その一端が感じられることでしょう。ここからは、美馬の魅力である自然と文化それぞれの見どころをお伝えします。

美馬の豊かな自然を感じる

清流・穴吹川を望む、ブルーヴィラあなぶき

画像1: 清流・穴吹川を望む、ブルーヴィラあなぶき

徳島県の西部に位置する、県下最高峰の剣山を源流とした穴吹川。水質調査で「日本一きれいな川」という認定を受けた一級河川は、徳島県有数の川遊びスポットとしても人気です。夏になると川辺でバーベキューを楽しむ人や泳ぎに来る家族などでにぎわいます。

画像2: 清流・穴吹川を望む、ブルーヴィラあなぶき

そんな穴吹川のほとりに佇む「ブルーヴィラあなぶき」。ホテルの周りは自然に囲まれ四季の移ろいを感じることができます。隣接しているバーベキューハウスでは、川を眺めながら手ぶらでバーベキューを楽しむことができます。美しい自然の中で味わう食事を堪能してください。

画像3: 清流・穴吹川を望む、ブルーヴィラあなぶき

同旅館は2018年の4月にリニューアルオープンし、特別室やラウンジ、テラスが新設されました。落ちついた雰囲気と広々とした空間の特別室は、靴を脱いでゆっくりとくつろげる和のスペースもあり、窓からは山あいの風景や穴吹川が望めます。都会の喧騒を忘れさせてくれるひと時を過ごすことができるでしょう。

画像4: 清流・穴吹川を望む、ブルーヴィラあなぶき

また、こちらの最大の魅力は天然温泉の露天風呂。美馬市の谷あいから湧き出る源泉を利用しており、「美肌の湯」として人気です。少しとろみのある泉質で、湯の温度は41度ほど。ゆっくりと長湯をすることができ、お風呂あがりの肌はいつまでも触りたくなるほどすべすべに。日帰り入浴もできるので、地元の方からも愛される施設です。

清流の郷 ブルーヴィラあなぶき

住所徳島県美馬市穴吹町口山字丸山1
電話0883-55-3777
webhttps://bv-anabuki.jp/

雄大な吉野川を五感で楽しむ、リバーカヤック

画像1: 雄大な吉野川を五感で楽しむ、リバーカヤック

吉野川は、高知県の石鎚山脈を源流に、徳島県のほぼ中央を東西に流れる一級河川。天候によってその色や濃さなどが変化し、魚や野鳥などの生態系が豊かである川だとも言われています。そのため、カメラを向ける人や釣りをする人など、多くの人から愛されているのです。

画像2: 雄大な吉野川を五感で楽しむ、リバーカヤック

大自然・吉野川の雄大さを五感で感じられるアクティビティがリバーカヤック。美馬市で20年以上カヤック体験を提供するAMEMBO(アメンボ)では、熟練のスタッフたちが丁寧な指導をしてくれ、自然の荘厳さを目の当たりにすることができます。時にはゆったりと、時にはアクティブに楽しめる川下り。普段は見ることができない水上からの風景は、忘れられない思い出となることでしょう。

画像3: 雄大な吉野川を五感で楽しむ、リバーカヤック

AMEMBOが提供するカヤック体験コースは、吉野川中流域の穏やかなエリアが舞台。自身の力で漕ぎ、進んでいくことでこそ体感できる感動が待っています。カヤック体験が終わるころには、吉野川でのリバーカヤックの虜になっているかもしれません。

AMEMBO(アメンボ)

住所徳島県美馬市美馬町中鳥地先
電話0883-55-2105
webhttp://amembo.net/shizen.html

歴史情緒あふれる町並みで、美馬の文化に触れる

うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

画像1: うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

昔ながらの日本家屋が並ぶ、美馬市のうだつの町並み。「うだつ」とは、隣家との境界に取り付けられた土造りの防火壁のこと。江戸時代中期になると装飾としての役割に重きが置かれるようになりました。

画像2: うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

1つのうだつを作るのにかかる費用は今でいうと200万円ほどで、自分の財力を示すための手段として近畿地方の商家を中心にうだつがつけられるようになりました。美馬市は江戸時代から明治時代にかけて城下町として栄えており、県内で栽培された藍を他県へ送り出す商業の中心地だったのです。

画像3: うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

伝統的な建物が立ち並び、タイムスリップしたかのような気分になるうだつの町並み。ここに徳島の伝統産業の1つ・藍染を体験できる施設・藍染工房があります。江戸時代の美馬市の豪商・吉田家との関わりがある建物を2016年に昔の雰囲気を残しつつ、修繕した建物です。

画像4: うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

こちらの工房では、美馬市の歴史を踏まえながら藍染めの材料や仕組みなどが知れ、実際に藍染体験をすることもできます。体験時間は1時間ほど。知識を深めた後、実際に自分の手で藍染に挑戦しましょう。コースターやハンカチ、エコバッグなど、好きなものを染めることができます。エプロンや手袋は借りることができるので、手ぶらで体験できるのもうれしいところ。また、藍染のアクセサリーやストールなど、グッズの販売もしています。

画像5: うだつの町並みで感じる、歴史と藍染の文化

天然藍を使用しているためすぐに色落ちすることがなく、長く藍色を楽しむことができるのも美馬の藍染の魅力の1つです。お好きなアイテムを、自分好みの藍色に染めてみませんか。

藍染工房

住所徳島県美馬市脇町大字脇町45
電話090-3188-3711
営業時間9:00~17:00
体験受付15:00まで
定休⽇毎月第2水曜
webhttps://mimakankou.or.jp/event/藍染工房/

築130年の古民家がアートホテルへ

画像1: 築130年の古民家がアートホテルへ

古き良き空間を継承し、新しい場所として生まれ変わらせるため、美馬は古民家の利活用にも積極的に取り組んでいます。2020年9月にオープンしたPAYSAGE MORIGUCHI(ペイサージュ モリグチ)は、1881年に建てられた民家・森口邸をリノベーションした、全5室のラグジュアリーなホテルです。「ペイサージュ」とはフランス語で「美しい風景」。うだつの町並みが醸し出す美しくて落ちついた空気の中に、溶け込むように佇んでいます。

画像2: 築130年の古民家がアートホテルへ

こちらのホテルに何気なく飾られている、現代アートの数々。若き吹きガラスの名手・松村明那や造形的焼き物作家・高田三平など、近現代の芸術家の作品が主張することなく、そっと並べられています。ラウンジやそれぞれの部屋には、文化や旅行を題材にした本も。

画像3: 築130年の古民家がアートホテルへ

古き良きものの風合いは、館内のさまざまなところに見られます。太く大きな梁や柱には100年以上前の傷などが残っており、その時代の空気を感じられるよう。部屋で本を読んだり、静かに流れる時に身を任せながらティータイムを過ごしたり。この空間の中で時間を自由に使えることが、一番のぜいたくなのかもしれません。

PAYSAGE MORIGUCHI(ペイサージュ モリグチ)

住所徳島県美馬市脇町大字脇町148-4
電話0883-52-1578
webhttps://www.mima-moriguchi.jp/

日々の忙しい生活の中で、「自分にとっての癒しとはなんだろう」と考えたことが誰しもあるでしょう。そんな時は、美馬市が守り継承していこうとしている自然と文化を、一度味わってみませんか。美馬で過ごし、伝統文化や自然にふれることの心地よさを感じることで「あなたにとって今、必要なものはなんなのか」をあらためて気づかせてくれるきっかけになるかもしれません。

美馬市
http://www.city.mima.lg.jp/

他のエリアの情報はこちら

画像2: 旅が暮らしに変わる。注目の「2地域居住」体験ツアー 徳島県・美馬編

旅が暮らしに変わる -2地域居住の魅力-

平日は都市部で仕事をし、週末は地方で豊かな自然に触れ合いながら静かに暮らす。そんな魅力あふれる2地域居住を通じて、地域の魅力をお伝えします。

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