山口県と言えば皆さんはどんなイメージがあるでしょうか。獺祭のある街、長州藩、フグ、秋吉台…、さらには本州の一番西側ということもあって、遠い場所のように感じる地域の方もいるでしょう。しかし今回ご紹介する「宇部市」は東京から約1.5時間、空港から市街地まで車で10分程度と、大変利便性の高い街です。海も山もあり、産業に支えられる街。山口県宇部市の奥深さを知る旅に行ってきました。
画像: 緑と現代アートの融合、そして誇れる産業がある街・山口県宇部市の旅(前編)

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

宇部市北部・中山間地域は、かつて山陽道の要所として宿場町なども作られた古い歴史を持つエリア。バスを乗り継ぎ旅情を高めつつ、宇部市の船木ではパワー全開なこの地域の名前の由来にもなった大楠、吉部地域では廃校を利用したカフェに立ち寄ります。大人気の「じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった」彫刻はこのエリアにあります。

樹齢700年の楠が迎えてくれる船木エリアへ。

宇部新川駅からバスに乗り約40分。目的地は「吉部」。しかしバスでは乗り換えが必要になるので、乗り換え停車場の「船木」で一度下車して街歩き。
船木はかつての街道「山陽道」があった宿場町で、多くの人が交差する基点となっていました。代官所もあり、参勤交代の際は大名も立ち寄ったと言われています。その名残を木造白壁造りの大きな家々に見ることが出来ます。

合併後宇部市となったこの街の旧名は「楠町」。その名前の由来ともなったのが「岡崎八幡宮」です。ここには樹齢700年、高さ20メートルの大きな楠が植えられ、古くからこの地域を見守ってきました。この楠には「シーボルト・コギセル」という細長い巻貝が寄生していて、幹の割れ目などを見るとその姿を確認できます。
また社内でのお酒の醸造が許されている全国でも数少ない神社で、酒樽を模した石灯籠が置かれています。

伝統工芸品の製作を継承する工場から大人気スイーツまで。様々な楽しみ方ができる船木。

この船木には今では希少な伝統楽器の匠がいます。その楽器とは「箏」。木の胴に弦を張り、それを指にはめた爪で弾き音を奏でる和楽器です。現代では触れたことがないという方も多いかと思いますが、長い弦を指先で弾くので、結構力がいるものなんです。少しだけ経験のある私はまたいつか始めたいと思っていたのですが、まさか製作現場に遭遇するとは思っていませんでした。
製作と販売を行っている「たましげ琴製作所」は、現在は四代目で100年以上の歴史を持っています。音色へのこだわりはもちろん、見た目にも雅な芸術品として、手間暇惜しまず一つずつ手作りしているのが特長。その場で一曲ご披露いただき、その場にいた全員が琴の魅力に一気に引き込まれました。

洋菓子専門店「エールラポール」は、バス停から徒歩数分という場所にあり、田畑広がるのどかな風景に突如現れる可愛いケーキ屋さんです。
人気なのはざっくりとした生地と、あふれ出すほどにたっぷり入れられたクリームの「クロッカンシュー」。特にカスタードクリームへのこだわりが強く、地元の美味しい卵を使っているとのことです。程よく塩味が効いていて、大人にも子供にも人気のメニューです。

大人気!突如道端に現れる「じいちゃん」彫刻と廃校利用「職員室cafe」。

船木からさらにバスで約20分、廃校となった小学校を地域で利用するリノベーションカフェ「職員室cafe」へ向かいます。
名前の通り、旧吉部小学校の職員室だった場所を誰もが使えるカフェに改修した「職員室cafe」。この日は吉部の美味しいお米を使ったおにぎりとおかずの特別メニューをセットで出してもらいましたが、いつもは仕出し屋さんがカレーや定食を作ってくださっているとのこと。

旧吉部小学校は、イベントスペースなどとしても地域のつながりを創出する場所となっています。教室を使ってマルシェを行ったりミニ四駆を走らせたりと、地域全体のコミュニティの場として有効活用されています。近くには石積みとレンガによって作られた旧船木鉄道のトンネルもあり、探検気分も味わえます。
道路脇に設置されているのは彫刻「じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった」。

鼻の中を覗いてみると本当に宇宙がありました…!第25回UBEビエンナーレで人気投票1位になった作品です。
宇部から秋吉台方面へ抜ける道の途中にあり、大きな駐車場も併設されているので、ドライブ途中の立ち寄りスポットとしても良さそうです。

後編はこちら

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