香川県と岡山県の真ん中あたりに位置し、瀬戸内海では2番目の大きさを誇る小豆島。高松港からはフェリーが1日約30便以上。岡山、兵庫県からも船が出ていて、比較的気軽に訪れることができます。
小豆島を代表する特産物が、和食に欠かせない調味料である「醤油」と、美と健康に効果的な油として人気が高まっている「オリーブオイル」。小豆島の醤油は、現代では珍しい木桶を使った昔ながらの製法でつくられ、約400年以上の歴史があります。また、日本ではじめてオリーブの栽培が成功した土地・小豆島でつくられるオリーブオイルは、約100年以上の歴史があります。
醤油とオリーブオイルは、どちらも日常でよく使うものでありながら、その本当の美味しさや活用法を知る機会はなかなかないもの。そこで今回は、小豆島で生まれ育った醤油&オリーブオイルソムリエが、ふたつの調味料をめぐる美味しい癒し旅をご案内します。
文・黒島慶子

目と舌で味わう華やかなお弁当。五感が喜ぶ創作料理店

創作料理 野の花

小豆島の醤油やオリーブオイルが使われている美味しい料理を堪能したいなら、「創作料理 野の花」へ。ここでは木綿豆腐に、醤油を搾る前の「もろみ」をのせて自家製オリーブオイルをかけたり、ランチのデザートメニューにある「ぜんざい」の隠し味に醤油が使われていたりと、工夫が凝らされた料理を楽しむことができます。

お店の周囲には、四季折々の花が咲き乱れます。まさに「野の花」という店名にぴったりのロケーション。眺めているだけで心が癒されていくのを感じられます。

画像: 春は「冬知らず」という黄色の花が咲き、美しい景色を眺めながら食事ができる

春は「冬知らず」という黄色の花が咲き、美しい景色を眺めながら食事ができる

画像: 日差しを目いっぱい取り込む、明るい店内

日差しを目いっぱい取り込む、明るい店内

特に女性に人気のランチメニューは「野の花弁当」。お弁当箱を開くと、小鉢にちょっとずつ盛られた料理が並べられています。その姿はまるで宝石箱のよう。丁寧に調理された料理を口に運ぶたびに、いろんな味わいが楽しめ、心もおなかも満たされます。

画像: 小鉢が詰まった「野の花弁当」

小鉢が詰まった「野の花弁当」

「野の花弁当より盛りだくさんの料理を楽しみたい!」という人は、旬のお魚を使ったお刺身がメインの「野の花定食」や、コースで出てくる「おまかせランチコース」がおすすめ。肩肘張らずもりもり食べたい場合は、「ひしお丼 野の花あそび」も良いでしょう。

画像: 食べ応え抜群の「ひしお丼 野の花あそび」

食べ応え抜群の「ひしお丼 野の花あそび」

「野の花」では、料理によって一つひとつ醤油を使い分けているので、どんなものを使っているのか気になったら、店員さんに気軽に質問してみてください。醤油の種類とともに、家庭料理に活かせる使い方のヒントも教えてくれるかもしれません。

創作料理 野の花
営業時間ランチ 11:45~14:30(13:30ラストオーダー)、ディナー 18:00~21:30(完全予約制)
定休日水曜、第1・第3火曜、不定休あり
webhttps://nonoka-shodoshima.shopinfo.jp/
住所香川県小豆島町室生892-1

旬の野菜や果物を使ったジェラートに、醤油やオリーブオイルをちょい足し

MINORI GELATO(ミノリ ジェラート)

暑さが増すこれからの季節に訪れたいお店が、「MINORI GELATO」。小豆島の旬の食材を使ったジェラートを楽しむことができます。そしてこのお店では、珍しいことに、ジェラートに醤油とオリーブオイルをかけるサービスを行っています。醤油は、オリーブの花から集めた酵母で醸造した「花醤(はなびしお)」。香りにも味にも、品のある甘みがあります。オリーブオイルはスペイン産のものを使っています。

画像: MINORI GELATO(ミノリ ジェラート)
画像: 店内には旬の野菜や果物を使ったジェラートが常に10〜15種並ぶ

店内には旬の野菜や果物を使ったジェラートが常に10〜15種並ぶ

オーナーの渋谷信人さんいわく、「醤油と相性がいいのは、白ゴマパンナコッタ、醤油、チョコレート、ミルクなど濃厚な味わいのジェラート。醤油の塩気がそれぞれの風味を引き立てます」。オリーブオイルは、「同じく白ゴマパンナコッタ、ゴマ、チョコレートなど、ほろ苦さや香ばしさがあるもの。それにレモン&ミントなど酸味のあるものや、さっぱりとしたミルクがおすすめです。オリーブは、オイルをかけることでより濃厚な風味が楽しめますよ」とのこと(内容は季節や仕入れ状況により変わります)。

今回私は、醤油は酒粕と醤油のジェラートに。オリーブオイルはあんずと青梅のジェラートにかけていただきました。醤油をかけてみると、醤油のジェラートはコクが増し、酒粕のジェラートは芳醇な風味に。オリーブオイルをかけたあんずや青梅のジェラートは、爽やかさが増したように感じました。

画像: 醤油をひと垂らしするだけで異なる味わいが楽しめる

醤油をひと垂らしするだけで異なる味わいが楽しめる

画像: オリーブオイルもお好みの量で

オリーブオイルもお好みの量で

こちらのお店では、小豆島の旬の食材をいち早くキャッチしてメニューに取り入れているので、訪れるたびに新たなフレーバーに出会えます。口にほおばると、果物や野菜そのものの風味が口のなかに広がる、感動間違いなしのこの味わい。ぜひ何度も通って季節ごとに異なる味のジェラートを楽しんでくださいね。

MINORI GELATO(ミノリジェラート)
営業時間10:00〜19:00
定休日木曜、第1・3水曜
webhttp://minorigelato.com
住所香川県小豆島町草壁本町1055-2

オリーブオイルを全身で味わいつくす。和モダンな宿で過ごす上質な時間

島宿 真里

最後に、醤油やオリーブを活かした料理と、オリーブオイルのエステが楽しめる上質な宿をご紹介します。その名も「島宿 真里」。店主の母親が営んでいた民宿を改装し、昔から使っていた道具や、近所の醤油蔵を解体したときに出た古材を活かすことで、モダンで落ち着いた雰囲気をつくり出しています。16軒もの醤油蔵が軒を連ねる地区「醤の郷(ひしおのさと)」に位置しているため、周りにはかすかに醤油の香りが漂います。

画像: 島宿 真里

島宿 真里

食事は、宿周辺の海や畑で採れた新鮮な食材を使用。醤の郷で生まれた醤油や、醤油を搾る前の「もろみ」を使った自家製調味料による料理が味わえる「醤油会席」。さらに小豆島産の新鮮なオリーブオイルやオリーブ果実を使ったさまざまな料理が楽しめます(オリーブを使用した料理は10月中旬〜3月頃までの期間限定で提供)。

画像: 「醤油会席」では、濃度や熟成の異なる4種類の醤油やもろみからつくられたタレが添えられ、それぞれ違う味わいで刺身を楽しむことができる

「醤油会席」では、濃度や熟成の異なる4種類の醤油やもろみからつくられたタレが添えられ、それぞれ違う味わいで刺身を楽しむことができる

お刺身に添える醤油には、通常は流通していない、過熱もろ過もされていない搾ったままの鮮度の高い醤油を使っています。また、オリーブオイルも、採油後1か月ほどしか美味しさが保てないとされる無ろ過のオイルを、オリーブ農家から直接仕入れています。お米は島の農家に専用につくってもらったもの。魚はその日最高の魚を仕入れるため、店主が毎朝、魚市場に一番乗りで通っているそうです。

厳選された食材を使用し、素材本来の「旨味」が引き出された料理からは、店主の心配りが隅々まで行き届いているのを感じられるはず。口に運べば心のなかが幸せで満たされていくのを感じられるかもしれません。

画像: オリーブの実を炊き込んだ「オリーブご飯」。添えられたオリーブオイルをかけて味わう

オリーブの実を炊き込んだ「オリーブご飯」。添えられたオリーブオイルをかけて味わう

さらに、この宿ならではのサービス「島宿エステ」は、ぜひ体験してみることをおすすめします。100%小豆島産の新鮮なオリーブオイルをふんだんに使い、エステティシャンの手によって、疲れた体を念入りにほぐしてくれます。オリーブオイルは人の皮脂に似た構成なので、肌によくなじみ、施術後はしっとりとした潤いのあるお肌に仕上がります。

画像: オリーブオイルを贅沢に使ったオリーブオイルエステ

オリーブオイルを贅沢に使ったオリーブオイルエステ

「島宿 真里」では、2019年3月に、別邸「海音真里(うみおとまり)」がオープン予定です。そのうち2棟は先行して、2018年8月から予約が可能。数か月先まで予約が埋まる人気の宿なので、ご予約はお早めに!

島宿 真里
営業時間チェックイン14:00、チェックアウト〜11:00
定休日不定休
公式HPhttps://www.mari.co.jp
住所香川県小豆島町苗羽甲2011

7月〜9月の小豆島は平均気温26度前後で、晴れの日が多く過ごしやすい土地です。醤油やオリーブオイルの歴史を学んだあとは、それらと海や山の幸を使った料理に舌鼓を打ったり、瀬戸内海から吹く爽やかな風に吹かれながらのんびり散歩したり、はたまた宿で穏やかな時間を過ごしたりと、楽しみ方はさまざま。ぜひ一度訪れて、小豆島の新たな魅力を体感してみてはいかがでしょう?

黒島慶子

小豆島で生まれ育った日本唯一の醤油ソムリエール。日本オリーブオイルソムリエ協会認定「オリーブオイルソムリエ」第1期生。全国の醤油蔵や、香川県内のオリーブオイルの生産現場を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結び続けている。2015年、高橋万太郎と共著の『醤油本』を出版(http:www.genkosha.co.jp/shoyu)。香川県のオリーブオイル生産者をまとめたウェブサイトと冊子『香川県のオリーブオイル生産者に出会う本』を製作(https:kensanpin.org/olive)。

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