本記事では、「オーロラは見たいけど、遠くて寒くて辛そう」と尻込みしている方にぴったりの、無理せず楽しめる“らくらく観賞プラン”をご紹介。家族旅行やグループ旅行でも、きっと全員が楽しめるはず。実際に観賞体験をしたことのあるライターが、現場の様子を詳しく説明します。
取材・撮影:佐知ゆりこ 協力:柳沢有紀夫
ホワイトホースへは日本から飛行時間9時間+2時間半!
日本からホワイトホースへはバンクーバー経由での渡航が一般的。例えば成田国際空港を18:40に飛び立つと、その日の10:45にバンクーバー国際空港に到着します。「なぜ? 時間が逆戻りしているじゃない?」と不思議に思われるかもしれませんが、これは太平洋上の日付変更線を越えるため。実際の飛行時間は約9時間です。
その後、バンクーバー国際空港で国内線に乗り換え、約2時間半のフライトでエリック・ニールセン・ホワイトホース国際空港に到着します。
※飛行時間は2023年12月の例です。カナダは国内でも地域により時差があること、夏期(3月中旬~11月上旬)のサマータイム採用時は日本との時差が1時間縮まることなどに注意して最新スケジュールをご確認ください。
秋から春までがオーロラのシーズン!
オーロラ観賞は、極寒の中で凍えながら……というイメージが強いかもしれませんが、シーズンは意外に長く、寒さが比較的穏やかな季節でも観賞可能です。夏でもオーロラは出現しているのですが、日照時間が長く周囲が完全に暗くならないので見えないだけ。そのため、夜が長くなり始める8月末がシーズン開始、4月末頃まで観賞可能です。
暗い時間が長い真冬の方がその分オーロラ観賞のチャンスが多いのですが、この時期の平均最低気温はマイナス20℃。厳しい冷え込みとなるため、本格的な防寒装備が必要です(有料レンタルもあります)。
そこで、寒さが苦手な人はあえてベストシーズンの真冬を避けるのも一案。“らくらく観賞プラン”としてはシーズンの初めや終わりに近い10月や3月あたりもおすすめです。10月で平均最低気温はマイナス3℃~0℃程度、3月でマイナス8℃~マイナス14℃程度と「日本のスキー場」レベルの体感温度。ただし地面は雪か氷なので、滑り止めがしっかりしたスノーブーツは必携です。
また、9月はホワイトホースでは紅葉の季節。この頃なら紅葉とオーロラの両方が楽しめるという魅力もあります。ただし完全に暗くなるのが23:30頃と遅く、観賞時間は短めになります。
実は、晴天率も高い!
オーロラ観賞に重要な要素は、周囲が真っ暗で、空が晴れていること。
ホワイトホースは晴天率が高く、3日間観賞率※は95%とも98%ともいわれています。3泊すれば見られる可能性はかなり高いといえるでしょう。
※3日間のうち1度以上オーロラが観賞できる確率
らくらく観賞プラン
その1:「オーロラが見られる宿」に宿泊!
オーロラ観賞の主な方法はツアーへの参加で、ホテルでピックアップしてもらい現場に移動して観賞するというものですが、難点は「出発時間を変えられない」「途中で帰りたくても帰れない」という点。
でも、ホワイトホースにはホテルから移動せずに観賞できる「オーロラが見られる宿」があるのです。中でも、湖畔の隠れ家ロッジ「Inn on the Lake(イン・オン・ザ・レイク)」は日本語での問い合わせや予約が可能な“らくらく”な宿。空港から送迎車で約40分、マーシュ湖のほとりにひっそりたたずむ全8室の絶景ロッジです。
オーロラがもっともよく出現するといわれる時間帯は真夜中。その時間までずっと起きているのが辛い人もいるかもしれません。そんな場合でもロッジからオーロラが観賞できる宿なら、交代で仮眠をとることも可能です。お子さまを連れてのオーロラ旅でもこんな宿なら自由度が高く安心です。
ここはすぐ裏手が大きな湖。冬の間はこの湖一面が凍り付き、さらにその上に雪が積もり、あたりは見渡す限り白一色。この湖の上がオーロラ観賞所です。
さて、わたしが3月下旬にこのロッジに宿泊したときのオーロラの見え方はこんな感じでした。
湖の上にオーロラが出現! オーロラカーテンのような大迫力ではないものの、おぼろげな美しさにうっとりしました。
そしてオーロラもさることながら、絶景だったのが夕暮れ時。太陽が沈むたった数分の間だけ、周囲全体が藍色に染まるひとときがあるのです。そして日が完全に暮れた後は見たことないような満天の星。いずれも一見の価値があります。
この「イン・オン・ザ・レイク」以外にもホワイトホースにはいくつかの「オーロラが見られる宿」がありますが、部屋数が限られるうえ毎年訪れるリピーターが1年前から予約することもあるため、人気の宿は「半年前にほぼ満室」となるそう。空き状況によっては2カ月前くらいでも予約できることもありますが、希望の宿や日程は早めに押さえる方がよさそうです。
その2:ツアーでわいわい楽しくオーロラ観賞!
市街地のホテルに宿泊して、夜にツアーに出かけるという方法もあります。ツアーの送迎車がホテル前でピックアップしてくれるので移動はらくらく。30~40分程度で観賞地に到着します。
さまざまな会社がオーロラツアーを提供していますが、“らくらく観賞”を目指すならチェックしたいのは「オーロラを待つ休憩所」の居心地のよさ。多くのツアーは移動時間を含めて4時間ほど。オーロラを待つ間ずっと屋外にいるのはさすがに寒いので休憩所が用意されていますが、それが簡易的なテントのような設備なのか、広々としたログハウスなのかによって“らくらく度”は大きく異なります。
ツアー参加の場合は居心地のよい休憩所があると楽。温かいドリンクがあればなおリラックスして過ごせます。
外でも暖が取れて、気分も盛り上がるたき火があるとなおよし。北米のキャンプの大定番、焼きマシュマロとチョコレートのビスケットサンド「スモア」も楽しめます。
さて、コーヒーやおしゃべりを楽しみながらオーロラを待つこと1時間。
それまでも微かなオーロラが何度も現れてはいましたが、突然、上空にオーロラカーテンが出現したのです!
ついにきた!「これぞオーロラ!」な大迫力! 満天の星に赤や緑の光のカーテンが煌めくと、全身に鳥肌が立ちました。
待ち時間の間にツアーガイドさんから教わった「スマホカメラでオーロラを撮るための秘策の設定」でオーロラ写真や動画を存分に撮影。一眼レフカメラほどではないにせよ、スマホでも十分きれいに撮れます。途中でバッテリー切れにならないようフル充電でツアーに臨みましょう。
オーロラにもさまざまな色や形があり、見飽きることがありません。その時にしか出会えない、一度きりのショータイムです。
ちなみに、オーロラ観賞は日本人に人気のツアーなので、参加者は日本人が多めでガイドも日本人の方がいます。英語が苦手でも安心です。
ホワイトホースの「3日間観賞率98%」は本当だった!
オーロラの出現は「寒さ」とは関係なく、シーズン中どの季節でも大迫力のオーロラが見られる日はあります。わたしの経験でも3日目に大本命のオーロラカーテンが出現したので、やはり「3泊以上の日程で、寒さが比較的穏やかな時期に」という旅程が“らくらく観賞プラン”としてはベストかな、と感じました。
また、ホワイトホースにはオーロラ観賞以外にもアクティビティがいっぱい。犬ぞり体験、ムース(ヘラジカ)やカリブーなどの野生動物が観察できる野生動物保護区ツアー、博物館やグルメや温泉まで楽しめます。
乗り継ぎのバンクーバー国際空港も「カナダらしさ」の宝庫
行き帰りの経由地にもお楽しみが待っています。バンクーバー国際空港はさまざまなレストランやショップ、免税店などが立ち並ぶ巨大空港。お店だけでなく、カナダのインディジネス(先住民族)アート作品の展示、観賞魚やクラゲが泳ぐ大きな水槽など、見どころがいっぱいです。
無理せず楽しめるから、家族旅行でも一人旅でもトライしやすいカナダのホワイトホース。思い立ったが吉日です。今こそ憧れのオーロラを見に行きましょう!
〈取材・写真協力〉
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