海外に行く際、事前に確認しておきたいことのひとつが「海外でスマホをどうやってインターネットにつなぐか」ということ。eSIMやSIMカード、レンタルWi-Fi、海外ローミングなど、いくつも手段があるため、迷ってしまう人も多いはず。
この記事では、それぞれの通信手段の特徴をわかりやすく比較。事前の手続きの有無や通信料金など、さまざまな側面から、海外でスマホを使う際の方法とその選び方を解説します。

海外でスマホを使うには?主な方法5つ

海外でスマホをネットにつなげるには、海外対応のSIM(eSIMまたはSIMカード)を購入する、Wi-Fiルーターをレンタルする、海外ローミングを利用する、フリーWi-Fiを利用するといった方法が挙げられます。日本国内にいるときと同じ設定のまま海外でスマホを使うと、高額請求やトラブルにつながる可能性もあるため、事前の準備が肝心です。まずは、それぞれの特徴やメリットをご説明します。

方法①eSIMを購入する

画像: iStock/Debalina Ghosh

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最近人気を集めているのが、海外対応の「eSIM」を購入するという方法です。eSIMとは、今使っているSIMカードをスマホに入れたまま、新たにデジタルのSIMカードを追加して通信をするというサービス。

物理的なSIMカードの場合は、飛行機の中や現地に到着したタイミングで入れ替えが必要ですが、eSIMは入れ替え不要。出発前にQRコードなどからスマホに現地の回線を追加しておけば、到着後は現地の回線に切り替える(アクティベートする)だけで、すぐに使えるようになるというのが大きなメリットです。

また、レンタルWi-Fiのように機器の受け取りや返却も必要ありません。即座に快適な通信環境が手に入るので、よく旅行や出張に行く人、オンラインでの手続きに慣れている人におすすめです。

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方法②SIMカードを購入する

画像: iStock/megaflop

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渡航先のモバイル回線を利用できるSIMカードを購入するのもひとつの方法です。eSIMがデジタルなのに対し、こちらはスマホに挿し込んでいる小さなSIMカードを入れ替える必要があり、「物理SIM」とも呼ばれます。機種によってはSIMカードを入れ替えた後、「APN設定」という初期設定が必要になりますが、一度覚えてしまえば操作は簡単。

日本国内で使っているSIMカードを渡航先のものに差し替えるだけという手軽さも人気の理由です。また、現地の電話番号が使えるものもあるので、観光スポットやレストランの予約、現地で使われているアプリを使う際に電話番号が必要な場合などにも便利です。現地の電話番号があると、留学や長期滞在の際にも生活しやすくなるでしょう。

なお、基本的にeSIMとSIMカードのいずれも、日本で契約している電話番号での通話やSMS(ショートメッセージ)の送受信はできないので、連絡手段がすべて電話やSMSという人は、注意が必要です。

方法③Wi-Fiルーターをレンタルする

画像: iStock/M-Production

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「事前の開通手続きはしたくない!」「複数人または複数デバイスで回線を使いたい」という場合には、Wi-Fiルーターのレンタルが便利です。

申し込みは、インターネットまたは電話で簡単にでき、Wi-Fiルーター本体は出発当日に空港で受け取るか、出発前に自宅に配送してもらうのが一般的です。

現地に到着後、ルーターの電源を入れればすぐにWi-Fiがつながるため、スムーズにインターネットが利用できます。帰国時は空港でそのまま返却できるのもうれしいポイントです。

なお、ルーターの充電が切れたらネットが使えなくなる、ルーターを持ち歩かなければいけないといったデメリットはありますが、1台レンタルすれば複数人でシェアできるため、家族旅行やグループ旅行でコストを抑えたいときにはおすすめの方法です。

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方法④海外ローミングを使用する

画像: iStock/ATHVisions

iStock/ATHVisions

日本で契約しているキャリアのサービスを、そのまま海外で利用できる海外ローミングサービスも選択肢のひとつです。日本のキャリアが提携している現地の回線を使うことで、渡航先でもスムーズにスマホを使用できます。

海外ローミングを使えば、SIMカードの入れ替えや設定、Wi-Fiルーターの持ち運びといった手間が不要です。また、日本の電話番号やSMSをそのまま使えるのも魅力。海外でもいつも通り電話を使いたい人や、頻繁に海外出張に行く人などにおすすめです。

ただ、キャリアやプランによっては通信料金が高額になる可能性もあるため、事前に自分の契約しているプランの内容を確認しておきましょう。

方法⑤フリーWi-Fiを使用する

画像: iStock/BiZhaMox

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ホテルや空港、繁華街などでは、フリーWi-Fiが使えることもあります。無料で誰でも使えるのがフリーWi-Fiのメリットではありますが、利用できる場所が限られている、接続が不安定なことがある、セキュリティ上の懸念がある等のデメリットも挙げられます。

そのため、土地勘のある国でスマホをあまり使わない場合や、現地でSIMカードを購入するまでの短時間だけネットに接続したい場合などには便利ですが、ほかの通信手段と併用するのがベターです。

海外でスマホを使う方法別メリット・デメリット

ここまでに紹介した5つの方法について、メリット・デメリットを表にまとめました。

手段メリットデメリット
eSIM・持ち運び不要で紛失の心配がない
・出発前に設定しておけば現地到着後すぐに使える
・データ通信料、データ容量の種類が豊富
・種類によっては現地の電話番号が使える
・SIMフリーのスマホでないと利用できない
・接続するまでに時間がかかる場合がある
・出国前に現地の回線をスマホに取り込む手続きが必要
・日本の電話番号やSMSが使えない
SIMカード・データ通信料が比較的安い
・種類によっては現地の電話番号が使える
・現地でも購入できる
・SIMフリーのスマホでないと利用できない
・SIMカードの購入と入れ替えが必要
・紛失する可能性がある
・日本の電話番号やSMSが使えない
Wi-Fiルーター・電源を入れるだけなので設定が簡単
・複数人でシェアできるので、割安にできる
・ルーターの持ち運びが必要
・充電が切れると使えない
海外ローミング・日本の電話番号をそのまま使え、SMSも利用可能
・スマホの事前設定などが不要
・キャリアやプランによってはデータ通信料が割高な可能性がある
フリーWi-Fi・無料で利用できる・利用できる場所が限られている
・接続が不安定なことがある
・セキュリティ上の懸念がある

海外でスマホを使うならどの方法がいい?ケース別のおすすめ

それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で、実際に自分が海外旅行に行く際に、どの方法を選べば良いのか考えてみましょう。参考として、ケース別のおすすめ方法を紹介します。

手段こんな人におすすめ
eSIM・現地に着いてすぐにスマホを使いたい人
・オンライン手続きのみで完結したい人
SIMカード・留学や出張など長期で滞在する人
・現地の電話番号を使いたい人
Wi-Fiルーター・グループ旅行など複数人でシェアして使いたい人
・パソコンなどとも併用して使いたい人
・できるだけ簡単にWi-Fiを利用したい人
海外ローミング・海外でも日本と同じように電話やメール(SMS)などを使いたい人
・安定したネット環境が必要な人
フリーWi-Fi・お金をかけたくない人
・道や施設に詳しく、スマホやネットに頼らなくていい人

オンライン手続きのみで済ませたい人はeSIM、長期滞在の人はSIMカード、複数人の旅行でコスパを求める人はWi-Fiルーター、日本と同じ電話番号を使いたい人は海外ローミングがおすすめなど、上記それぞれの利点を比較して、どの方法が自分に合っているか検討してみてください。

海外でスマホを使う際の注意点

連絡手段としてはもちろん、調べものをしたり、レストランの予約をしたりと、海外でもスマホは必需品。ただし、ネットに接続する際は、いくつか注意が必要です。

データローミングはオフにする

画像: データローミングはオフにする

海外でスマホを使う際によくあるトラブルのひとつが、身に覚えのない通信料の高額請求です。データローミングをオフにせずスマホを使用してしまうと、定額の海外ローミングプランに加入していない状態で海外ローミングを使用したことになるため、従量制(使った分だけ料金が発生する)で通信料が加算されてしまいます。結果として、知らないうちに通信料が高額になってしまった……というように、想定外の請求が発生するケースも少なくありません。

また、海外での通話も高額請求の原因としてよく挙げられます。旅行に出発する前に、海外ローミングは定額プランかどうか、通話やSMSの利用でいくらかかるのかなど、内容を確認した上で利用することをおすすめします。

基本的に海外でスマホを使う場合はデータローミングをオフにするようにしましょう。ただし、eSIMを使う際はオンにしないと接続できない場合もあるので、渡航前に接続方法の確認を忘れずにするようにしましょう。

使わないアプリのバックグラウンド更新をオフにする

画像: 使わないアプリのバックグラウンド更新をオフにする

使わないアプリのバックグラウンド更新をオフにすることも有用です。アプリのバックグラウンド更新とは、直接アプリを操作していないときでも、自動で新しい情報やデータを取得する機能のことです。たとえば、地図アプリでは位置情報、SNSアプリでは最新投稿の通知などが当てはまります。

多くのアプリでバックグラウンド更新が行われていると、その分データ通信料がかかり、高額請求になるおそれが……。さらに、SIMやレンタルWi-Fiを使う場合は、1日のデータ容量が定められていることが多いので、アプリを使っていなくても、知らないうちに1日のデータ上限に達してしまった、なんてことも考えられます。

意外とありがちなのが、写真や動画が自動バックアップの設定になっていて、その間にデータ通信が発生しているなどです。そのようなまさかの事態を防ぐために、アプリのバックグラウンド更新はオフにしておくと安心です。

機内モードを設定する

機内モードに設定しておくことも、想定外の請求を防ぐための方法のひとつです。機内モードにすると、スマホから電波が発信されないため、キャリアのデータ通信が行われず、通信料金が発生しません。

Wi-FiルーターやフリーWi-Fiを使用する場合は、機内モードを推奨しますが、eSIMやSIMカード、海外ローミングの場合は機内モードをオフにする必要があるので注意しましょう。

電源プラグを確認する

画像: iStock/MilanEXPO

iStock/MilanEXPO

日本の電源プラグはAタイプとよばれる形状ですが、国によってプラグの形状はさまざま。スマホやルーターを充電する際、日本の電源プラグだと充電ができない可能性があるため、事前に渡航先の電源プラグがどの形状かを確認するようにしましょう。電源プラグの形状がいくつかある国へ行く場合は、どのタイプでもいいように汎用性の高い変換プラグなどを準備しておくことをおすすめします。

また、Wi-Fiルーターを使用する場合は、スマホだけでなくルーター機器の充電も必要になるため、同時に充電できる電源タップがあると便利です。

盗難・紛失に注意する

画像: iStock/LightFieldStudios

iStock/LightFieldStudios

日本と同じ感覚で、スマホをカバンやズボンのポケットに入れて持ち歩いていると、盗まれてしまう可能性があります。そのため、スマホの持ち歩きには十分な注意が必要です。

地図を見たり調べものをしたりしながらまちを歩いたりする場合は、ストラップをつけて首から下げる、ファスナー付きのカバンの中にしっかりしまう、などの対策を徹底しましょう。

また、SIMカードを使う場合はとても小さいので、入れ替えた際に元々入っていたものをなくさないよう注意しましょう。

そのほか、レンタルして利用するWi-Fiルーターは、なくしたり壊したりすると補償が必要な可能性もあるので気をつけてください。

旅のスタイルに合ったベストな方法を選ぼう

海外に行くうえで切っても切れないスマホ問題。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選んでください。

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