JALの機内での楽しみのひとつが映画プログラム。「最新の作品が観られる」ということに、ふと疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。劇場公開中の人気映画や公開前の作品がラインナップされていたり、オーディオプログラムでは最新の人気曲が聴けたり、さらに音楽にとどまらず落語も充実しています。……果たしてこれらが、どうして機内で楽しむことが出来るのでしょうか。機体エンターテインメント部で作品を管理するJALスタッフに話を聞きました。

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実は劇場用のみならず、エアライン用にも映画は販売されています

画像: 実は劇場用のみならず、エアライン用にも映画は販売されています

「実は配給会社が提供する映画作品は、劇場用のみならず、エアライン用にも販売されているんです。ハリウッド映画なら、それを仲介するCSP=Contents Service Provider(コンテンツサービスプロバイダ)と呼ばれる代理店に依頼して購入し、機内で配信することができます」(岡本さおり・機内エンターテインメント部 洋画担当)

原則的に、ハリウッド映画の場合はアメリカの劇場公開から3カ月後に機内上映できることになっています。そのため、大ヒット上映中の映画はもちろん、日本に先駆けて他国で先行公開されている作品であっても、公開から3カ月経っていれば国内よりも早く観ることができてしまうのです。その場合、日本未公開作品の洋画は機内用に航空会社が日本語字幕や吹き替えを用意することもあります。一方、邦画については少し事情が変わります。

「基本的に国内映画には仲介するCSPのような代理店はないんです。従って、配給会社と直接やりとりをします。機内チャンネルに載せたい作品を選んで交渉するんです」(上村由香・同部 邦画担当)

JALの場合、映画だけでも100以上のチャンネルがあり、洋画は約70作品、邦画は約10作品を毎月機内で上映しています。膨大な作品群から選りすぐりの作品を揃えています。

作品選びはいろんな視点から。飛行機限定のオリジナルバージョンも

「毎月選定会議をして決めています。まず、アメリカや日本での興行収入、日本公開の時期、また評価やクチコミなど、さらに機内での過去の視聴数などの総合評価から決めます。あとはコミカルなものからシリアスなものまで、ジャンルやターゲットに偏重がないように選んでいますね」(岡本)

日本でも大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』は機内でも視聴数が多く人気のある作品のため、機内でロングラン上映を続けています。さらには、作品によって“機内オリジナル版”であるケースもあります。

「劇場公開の内容そのままの劇場版と、過激な描写などを取り除いた編集カット版、また飛行機に乗って不安を煽る要素などを編集カットした機内上映版という3つのバージョンがあります」(岡本)

JALでは作品性を尊重し、できるだけ劇場公開そのままの劇場版を上映するようにしています。

画像: 作品選びはいろんな視点から。飛行機限定のオリジナルバージョンも

「ちなみに現在(2019年8月時点)のイチ押し作品は『ダンボ』です。今後はディズニー作品の実写版が目白押しなので、お子様から大人まで幅広い年齢層の方に楽しんでいただけると思いますよ。また『アベンジャーズ/エンドゲーム』『シャザム!』などアメコミ(アメリカンコミック)作品も充実しています」(岡本)

「邦画なら、『キングダム』、劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』がラインナップに加わりました。ぜひ機内でご覧いただきたいと思います」(上村)

オーディオプログラムは機内限定オリジナル制作。大変なのは…

さて、機内エンターテインメントといえば映画作品ばかりではありません。JAL国内線では8チャンネル、国際線では125チャンネルものオーディオプログラム(2019年8月現在)があって、Jポップからクラシック、落語まで、好みに応じて選べます。

画像1: オーディオプログラムは機内限定オリジナル制作。大変なのは…

「飛行機の中で聴けるプログラムは、私たちがオリジナルで制作しています。制作の過程では、とにかく楽曲の権利処理が大変なんです。場合によってはアーティスト本人に許可を取る必要もあって、使用許可が降りるのに1カ月以上かかるケースもあります」(田中孝明・同部 オーディオ担当)

4カ月前から企画を立てて、選曲から構成、ナレーションの準備をして、音源を用意して、ようやく搭載できるのです。そして、飛行機に乗るのはいろんな世代のお客さまがいらっしゃるため、多彩なジャンルを取りそろえています。オフィスには、このようにオーディオタイトルがズラリと並びます。

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「5人の専任チームでセレクトをしていますが、選曲を音楽評論家など専門家にもお願いしています。季節感と旅感、また毎年同じような内容にならないよう、制作ごとにテーマを決めています。またJAL公式Facebookページでリクエストを募ることもありますよ」(田中)

限りある空の旅の時間を楽しんでもらうための工夫。今後は国内線でも映画が!

人気のジャンルは、意外にもイージーリスニング。ちなみに担当者イチ押しは、自身の趣味でもある落語プログラム「JAL名人会」。実は都内で毎月公開収録をしていて(入場料は1,000円!)、文字通りの名人から気鋭の若手まで、バラエティ豊かな噺が聴けます。

画像: 限りある空の旅の時間を楽しんでもらうための工夫。今後は国内線でも映画が!

田中「限りある空の旅の時間で聴きたいものをすぐにお選びいただけるよう、『JAL Mooove!』のプログラムは探しやすい構成にするように工夫していますよ」

ちなみに2019年9月に羽田—福岡間の一部の便で就航(詳しくはjal.co.jpでご確認ください)する新型機・エアバスA350には全席に液晶モニタが備え付けられていて、国内線ではこれまで対応していなかった映画の上映が一部解禁に。さらにオーディオプログラムも拡大予定です。

画像: ※画面はイメージです

※画面はイメージです

このように機内で楽しむ映画や音楽は、専任のチームが作品を集め、選定しながら提供されているのです。いずれのプログラムも、「機内で楽しむのにふさわしい作品は?」という視点でセレクトしています。「なぜこの作品が選ばれたのかな」なんて考えながら選んでみるのも、空の旅のツウな楽しみ方といえるかもしれません。

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