日本の玄関口である東京には、北海道から沖縄まで各地のさまざまなアンテナショップが点在しています。特に最近は、買い物だけにとどまらない特別な体験ができる店舗が増えました。この連載では、そのなかから特に注目すべき“旅するようなワクワク感”が味わえる店舗をピックアップし、紹介していきます。

記事後半では、予算3,000円以内で「買うべきおすすめ商品」を選び抜き、食アイテムは実食レポートとともに魅力をお伝えします。読み終わるころには、アンテナショップに詳しくなれるだけでなく、現地への愛も深まることでしょう。

金色が映える空間に1,000以上の美と食がずらり

今回スポットを当てたのは石川県。2014年10月に開業し、2020年の3月にリニューアルオープンした「いしかわ百万石物語・江戸本店」を訪れました。アクセスは東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」が最寄りで、「有楽町駅」や「銀座駅」からも徒歩圏内の場所にあります。

画像1: 金色が映える空間に1,000以上の美と食がずらり

コンセプトは「江戸本店から、美味しいと美しいをお届けします」。本州のほぼ真んなか、日本海に面する石川県は、多彩な植生を見せる山々、変化に富んだ表情を見せる海岸線や河川など、日本でも指折りの豊かな自然に恵まれた地域。また、江戸時代に花開いた加賀百万石文化が今なお息づく文化的な県です。

同店にはこれら、豊かな自然や風土に育まれた食、伝統的な技から生み出された上質で繊細な名品が1,000~1,200アイテムも陳列。建物も石川県らしい和の趣を感じる設えで、金沢が全国トップクラスの生産量を誇る金箔や金色を配した、優美な雰囲気となっています。

画像2: 金色が映える空間に1,000以上の美と食がずらり

お菓子とアイスが日本一の県だから甘味のレベルは屈指

まずは、3フロア構成となっている店内の顔となる1階からご紹介。各階でテーマがわかれ、こちらは「いしかわ百万石の味と技」がコンセプト。和洋菓子やお茶、伝統工芸品、コスメなどが中心に並んでいます。

中央のスペースは季節ごとの旬の商品を特設販売するコーナーですが、その主役は和洋菓子。というのも、1世帯あたりのお菓子の購入金額が全国で最も高いのは石川県で、それだけ菓子店が多くクオリティも高いから。伝統銘菓から斬新なスイーツまで幅広くラインナップされています。

画像1: お菓子とアイスが日本一の県だから甘味のレベルは屈指

なかでも同店で屈指の人気を誇るのが、全国的に有名な「中田屋」のきんつば。ほかにも、金沢の伝統食「くるみ煮」をもなかで包んだ「加賀の白峰」、金沢の郷土玩具「加賀八幡起上り」を模した「加賀八幡 起上もなか」などが和菓子のなかでは人気です。

画像: 中田屋の「きんつば」は6個(左・箱入り)1,144円(税込)、5個(右・袋入り)896円(税込)

中田屋の「きんつば」は6個(左・箱入り)1,144円(税込)、5個(右・袋入り)896円(税込)

画像: 「加賀の白峰」(5個入り 648円・税込)

「加賀の白峰」(5個入り 648円・税込)

画像: 「加賀八幡 起上もなか」は3個入り(左)594円(税込)、7個入り(右)1,264円(税込)

「加賀八幡 起上もなか」は3個入り(左)594円(税込)、7個入り(右)1,264円(税込)

また、金沢が誇る金箔は、和菓子だけでなく食品やコスメなどにも取り入れられ、金箔が石川県を代表するモチーフであることがよくわかります。インパクトがあるので、金箔を使った商品はお土産としても人気とか。

画像: 「金箔羊羹」(324円・税込)

「金箔羊羹」(324円・税込)

スナック菓子で圧倒的な人気を誇るのが、「ビーバー」という揚げあられ。発売された1970年は大阪万博の開催年で、そのカナダ館のビーバー人形の歯と、菓子を2本並べた形が似ていたことが商品名の由来だそう。誕生から半世紀以上経った今は石川県を代表するスナックとして全国的に知られ、近年はNBAで活躍する八村塁選手の好物ということで大人気に。

八村選手が特に好きな「白えびビーバー」と「のどぐろビーバー」は同店でも不定期入荷のレア商品となっていましたが、2021年9月からは毎月18、19、20日限定で定期発売が決定。この3日間は定番の「ビーバー」「カレービーバー」も店頭にそろいます。

画像: 「ビーバー」シリーズ。4種各237円(税込)

「ビーバー」シリーズ。4種各237円(税込)

前述の通り日本一のお菓子県と言える石川ですが、実はアイスクリームの消費量でも日本一。また、ジェラートの世界チャンピオンである柴野大造さんの「マルガージェラート」も石川・能登が本店で、「いしかわ百万石物語・江戸本店」では「マルガージェラート」をはじめ数種のアイスクリームが販売されています。

画像2: お菓子とアイスが日本一の県だから甘味のレベルは屈指

ワンハンドで食べられるバータイプのアイス「pocapoca ice pop」もあり、こちらはテイクアウトでも人気。そこで、数あるフレーバーのなかから1品を食べてみました。選んだのは、リンゴとオレンジの果汁に、小松菜、キウイ、リンゴを加えたフォトジェニックな一品。

画像: 「pocapoca ice pop グリーン & フルーツ」540円(税込)

「pocapoca ice pop グリーン & フルーツ」540円(税込)

やさしい甘さとフルーティーな酸味がしっかり。シャリッとした食感もみずみずしく、リフレッシュできるアイスバーです。

お茶、工芸品、コスメも石川県ならではの洗練度合い

石川県で菓子文化が発展した大きな理由は、加賀藩祖の前田利家が茶聖・千利休の薫陶を受けて茶の湯文化を広めたからといわれています。そのため現在も石川県の茶道人口は日本屈指で、銘茶「加賀棒茶」も全国的に知られるブランドに。同店でも名門「丸八製茶場」の「献上加賀棒茶」をはじめ、厳選された約10種の茶葉が販売されています。

画像1: お茶、工芸品、コスメも石川県ならではの洗練度合い
画像: 「丸八製茶場」の「献上加賀棒茶ティーバッグ」(左)は648円(税込)、「献上加賀棒茶」(右)は864円(税込)

「丸八製茶場」の「献上加賀棒茶ティーバッグ」(左)は648円(税込)、「献上加賀棒茶」(右)は864円(税込)

また、工芸品では鮮やかな絵付けが特徴の九谷焼を中心にラインナップ。豆皿とお猪口(ちょこ)が特に人気ですが、最近は巣ごもりライフを充実させるプチ贅沢品として、輪島塗や蒔絵を施したグラスも売れているそうです。

画像: 「九谷焼 縁起豆皿」各種1,100円(税込)

「九谷焼 縁起豆皿」各種1,100円(税込)

画像: 「九谷焼 縁起ちょこ」各種1,320円(税込)

「九谷焼 縁起ちょこ」各種1,320円(税込)

画像: ビアグラス各種9,900円(税込)、ワイングラス各種13,200円~(税込)

ビアグラス各種9,900円(税込)、ワイングラス各種13,200円~(税込)

コスメは同県ゆかりの素材を使ったアイテムが特に人気。金沢の金箔、能登のヒバや赤なまこ、能美の国造(こくぞう)ゆずなどが代表的。それぞれがキュートだったりスタイリッシュだったり、お洒落なデザインであることもファンが多い理由とか。

画像2: お茶、工芸品、コスメも石川県ならではの洗練度合い
画像: 能登の赤なまこを使ったコスメシリーズは、化粧水3,000円(税込)、せっけん1,980円(税込)、ハンドクリーム1,320円(税込)

能登の赤なまこを使ったコスメシリーズは、化粧水3,000円(税込)、せっけん1,980円(税込)、ハンドクリーム1,320円(税込)

画像: 国造ゆずを使った「WANOWA」のハンドクリーム2,200円(税込)、ミルクローション2,750円(税込)

国造ゆずを使った「WANOWA」のハンドクリーム2,200円(税込)、ミルクローション2,750円(税込)

地下にはスイーツ以外の美食がたくさん

ここからは、「いしかわ里山里海の恵み」をコンセプトとした地下1階へ。山海の幸を使った加工食品にご当地グルメ、また独自の醗酵食文化から生まれた地酒や調味料など、食材と食文化を楽しめるフロアとなっています。

画像1: 地下にはスイーツ以外の美食がたくさん

特に海産物は豊富で、冷蔵、冷凍、常温と幅広い品ぞろえ。人気が高いのはブリのたたきや珍味の「くちこ」「このわた」で、ご当地調味料の魚醤「いしる」を使った「いしる干し」や金沢名物のドジョウ蒲焼きもここならでは。

画像: 「鰤たたき」(左)、「鰤 塩糀炙り」(右)ともに1,620円(税込)

「鰤たたき」(左)、「鰤 塩糀炙り」(右)ともに1,620円(税込)

画像: 「このわた」(左)1,620円(税込)、「くちこ」(右)1,890円(税込)

「このわた」(左)1,620円(税込)、「くちこ」(右)1,890円(税込)

画像: 「輪島のごっつぉ ふぐのいしる干し」1,382円(税込)

「輪島のごっつぉ ふぐのいしる干し」1,382円(税込)

画像: 「肴の匠 どじょう蒲焼き」1,620円(税込)

「肴の匠 どじょう蒲焼き」1,620円(税込)

海産物以外では、ゴーゴーカレーやチャンピオンカレーでおなじみの「金沢カレー」、鴨肉などを炊く「じぶ煮」、蓮根を生地にした粉もの「かどやき」、風味が香ばしい「焼きいなり」が特に人気。カレーは常時25種ほどを並べていて、情勢に応じて食べ比べイベントを考えているそうです。

画像: レトルトカレーは300円台からあり、元祖の「チャンピオンカレー」は冷蔵コーナーにチルドタイプも(常温、冷蔵ともに378円・税込)

レトルトカレーは300円台からあり、元祖の「チャンピオンカレー」は冷蔵コーナーにチルドタイプも(常温、冷蔵ともに378円・税込)

画像: 「金澤・青木悦子の鶏じぶ」(左)1,080円(税込)、「金澤・青木悦子の鴨じぶ」(中央)1,404円(税込)、「金澤・青木悦子ののと竹炭塩鶏」(右)1,188円(税込)

「金澤・青木悦子の鶏じぶ」(左)1,080円(税込)、「金澤・青木悦子の鴨じぶ」(中央)1,404円(税込)、「金澤・青木悦子ののと竹炭塩鶏」(右)1,188円(税込)

画像: 「かどやき」1,620円(税込)

「かどやき」1,620円(税込)

百万石と言われるように、石川県は米どころとしても有名。お酒でも特に日本酒は銘酒が多く、稼働している36蔵元のうちほとんどを、同店のお酒コーナーで取り扱っています。なお、石川県の造り手として有名なのが、日本四大杜氏(とうじ)のひとつに数えられる能登杜氏。そのなかでも四天王のひとりに挙げられ、“酒造りの神様”の異名を持つ農口尚彦さんの「農口尚彦研究所」はファン垂涎の銘酒です。

画像2: 地下にはスイーツ以外の美食がたくさん
画像: 「農口尚彦研究所」の商品は、限定品以外は基本的に常時販売(720ml 2,200円~・税込)。都内でこれだけそろうのは、同店だけとか

「農口尚彦研究所」の商品は、限定品以外は基本的に常時販売(720ml 2,200円~・税込)。都内でこれだけそろうのは、同店だけとか

現在石川県として最も力を入れているのが、11年の歳月をかけて開発し、2020年にデビューしたオリジナル酒米品種「百万石乃白(ひゃくまんごくのしろ)」。同店でもこの酒米を使った銘柄を強くプッシュしています。720mlと、より手軽な300mlがあるので、こちらから試すのもおすすめです。

画像3: 地下にはスイーツ以外の美食がたくさん

なお、2階は「いしかわ見聞録」がコンセプトの催事スペース。観光情報の案内や伝統工芸の展示があり、状況に応じてワークショップやPRイベントが開催されます。また、観光カウンターでは専任のコンシェルジュが各スポットや食、イベントなど石川県の魅力をきめ細かく案内し、旅行の相談にものってくれます。

画像4: 地下にはスイーツ以外の美食がたくさん

計3,000円で買えるおすすめの逸品をセレクト!

今回、合計3,000円(税込3,300円)以内でセレクトしたおすすめ商品はすべてがフード。定番に加え、同店で特に人気の商品を中心に選びました。

画像1: 計3,000円で買えるおすすめの逸品をセレクト!

まずは地下階の食品で最も売れている「焼きいなり」(冷凍コーナーで販売)。中身が鶏ごぼう、ほたて、五穀など数種あるのも人気の理由です。そのなかから選んだのは、定番の鶏ごぼう。

画像: 「冷凍焼きいなり 鶏ごぼう」(432円・税込)

「冷凍焼きいなり 鶏ごぼう」(432円・税込)

袋のままレンジ調理できる手軽さも魅力。500Wで約2分、そのうえでより推奨されているのが、袋から出しオーブントースターで焼くレシピです。この方法で仕上げ、味わってみると、厚めの油揚げはカリッと香ばしさがありながら、ダシが染み込んでいてジュワッと。鶏ごぼう入りの酢飯はもっちりしていて、適度な酸味がやさしいおいしさです。

画像2: 計3,000円で買えるおすすめの逸品をセレクト!

次は「味付け 赤なまこ」。聞けば、岩場にいるのが赤で砂場にいるのが青。岩場のほうが力が要るため硬い食感に育ち、石川県民はこちらのほうが好みだそう。確かにコリッと、ムニュッとしていて、ホルモンを思わせる弾力も。味わいで特徴なのは三杯酢のようなうまみのある酸味で、さっぱりしています。

画像: 「味付け 赤なまこ」(486円・税込)

「味付け 赤なまこ」(486円・税込)

野菜を使った加工品で高い人気なのが「金沢のピクルス」シリーズ。金沢蓮根や金時草(きんじそう)を使ったご当地ものも好評ですが、今回は色みがきれいな「ミックス」をチョイスしました。大根、キュウリ、ニンジン、赤黄パプリカ、生姜、鷹の爪が入っていて、食感はしっとり、しんなり。味付けはやさしい甘酸っぱさで、食事の箸休めにおつまみに、と重宝する一品です。

画像: 「金沢のピクルス ミックス」(756円・税込)

「金沢のピクルス ミックス」(756円・税込)

次は前述した「白えびビーバー」で、こちらは北陸産のもち米に富山産白海老と、北陸素材にこだわっているのが特徴。サクサクの食感に白海老の上品な香りと甘み、そこに加わる昆布のやわらかなうまみもおいしさの秘密です。

画像: 「白えびビーバー」(237円・税込)

「白えびビーバー」(237円・税込)

そして甘味を。フリーザーがある地下階には冷凍の生菓子も置いていて、そこから伝統銘菓の「麩まんじゅう」と「おだまき」をピックアップ。冷凍なのでどちらも日持ちするうえ、味のバリエーションが多く、1個単位で気軽に買える点も人気の理由です。

画像: 「麩まんじゅう つぶあん」(235円・税込)、「おだまき 黒米、くるみ餡」(183円・税込)

「麩まんじゅう つぶあん」(235円・税込)、「おだまき 黒米、くるみ餡」(183円・税込)

「麩まんじゅう」は生麩を使っているのが大きな特徴で、普通のまんじゅうや団子とも違うプルッとした生地の食感が魅力的。しっとりやわらかく、シンプルな甘さのつぶあんがよく合います。一方の「おだまき」は、黒米の滋味深い風味のもっちりした生地に、くるみの香ばしくコリッとしたアクセントの効いた白あんがマッチ。

画像3: 計3,000円で買えるおすすめの逸品をセレクト!

最後は日本を代表するきんつばといっても過言ではない「中田屋」のきんつば。贈答用の袋も付いてくるので、手土産などさまざまなシーンで重宝されています。なお、「中田屋」のきんつばは季節によって五郎島金時や能登栗を使った限定品も登場しますが、この大納言小豆を使ったプレーン味は通年で購入できます。

画像: 「きんつば 5個 袋入り」896円(税込)

「きんつば 5個 袋入り」896円(税込)

ほろっとしていながら形は崩れない、絶妙な食感。小豆の粒感もありながらふわっととけていく繊細なタッチで、甘さもやさしめ。全体的に、きわめて上品な味わいです。

画像4: 計3,000円で買えるおすすめの逸品をセレクト!

最後にスタッフの方からコメントをもらいました。「状況によって中止や延期もありますが、節句にちなんだ体験教室や、旬の味覚を集めた食のイベントなどを開催しています。毎月5、6日限定販売のあんころ餅、毎週末に入荷する笹寿司など、限定グルメも用意していますので、銀座を訪れた際はぜひお立ち寄りください」とのこと。

画像: スタッフの油谷美穂さん ※撮影時のみマスクを外しています

スタッフの油谷美穂さん
※撮影時のみマスクを外しています

兼六園、金沢21世紀美術館、白米千枚田、千里浜なぎさドライブウェイなど、雅やかな文化と美しい自然にあふれる石川県。美食や美酒も多く、同店を訪れればきっと現地に行きたくなるはず。未来の旅行プランに思いを巡らせワクワクできる場所、それが「いしかわ百万石物語・江戸本店」なのです。

いしかわ百万石物語・江戸本店

住所東京都中央区銀座2-2-18 TH銀座ビル
電話03-5579-5890
営業10:30~19:00 ※時間変更になる可能性があります。詳しくはお問い合わせください
定休日なし
webhttps://100mangokushop.jp/

文・写真:中山秀明

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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