そんな「旅する喫茶」が、2021年3月に東京・高円寺に実店舗をオープン。同喫茶では、彼らが各地を旅してきたなかで見つけた魅力を体感することができます。ここ「旅する喫茶」で、彼らの旅を追体験しながら、まだ私たちが知らない日本の魅力を発見してみませんか。
旅先の「良いところを見つける」「現地の人のお気に入りを知る」ことが好きだった
SNSを通じて知名度を上げていった「旅する喫茶」プロジェクトが始動したのは、2019年のこと。洋菓子系の専門学校を卒業後、会社員として働きながら、趣味でカレーを作っては友人に振る舞っていた玉置さんと、服飾系の仕事をしていたtsunekawaさんが出会い、ふたりが好きな“旅”を軸に活動をしようとtsunekawaさんが誘ったのが始まりでした。
旅先で、その地方らしさを詰め込んだスパイスカレーとクリームソーダを作って販売するポップアップショップを開催。そしてSNSでもその様子を発信し、地方の知られざる魅力を日本中の人に知ってもらうという活動です。
このプロジェクトを始めた理由について、tsunekawaさんは次のように話してくれました。
「僕は『行った先の良いところを見つけること』が、玉置は『そこに住む人のお気に入りを知ること』が好きで、旅をしていたんです。ガイドブックなどに載っているもの・場所ではなく、自分たちで見つけ出すことが好きで。そうしているうちに、旅をするなかで僕たちが発見した地方の魅力を、もっといろんな人に知ってもらいたいと思ったんです」(tsunekawaさん)
地方の知られざる魅力を見つけていくことを旅のモットーとしているおふたり。今も旅をするとき、旅先の下調べはしすぎず、現地に行って自分たちでその地方の魅力を探ることを大切にしているそうです。
「自分たちが現地へ行って『これいいな』と思った感覚を大事にしています。あと、気になることは現地の人にとことん聞き込みます。特に、現地の人と会話をしながら彼らのお気に入りやおすすめを聞き出すと、新しい発見を得られることが多いんです」(tsunekawaさん)
このように旅先で探し出したものからインスピレーションを受け、彼らはその地方の魅力をスパイスカレーやクリームソーダという形で表現してきました。
実店舗は、旅人たちの玄関口。日本各地の魅力を再発見してもらいたい
「旅する喫茶」として訪れた場所は、北は北海道から南は沖縄まで合計22ヶ所。そんな彼らは2021年3月、東京・高円寺に実店舗をオープンさせました。これまで日本各地を巡りながら活動してきた彼らが、実店舗を構えた理由とは?
「今まで発信はSNSが中心でしたが、東京に実店舗を構えて多くの人に足を運んでもらうことで、お店にしろ旅先にしろ、実際に訪れるからこその発見があるという気づきを、より広く伝えることができると思ったんです。このお店で旅をしているかのような体験をしてもらうことで『実際に自分で各地を巡って、魅力を発見してみたい』と感じる人が増えるんじゃないかな、って」(tsunekawaさん)
店舗の「旅する喫茶」は“旅先”であり、ここを訪れる人は“旅人”。そして、旅人として実際に旅先へ足を運ぶことで出会えるものがあるということを、実店舗という存在を通して伝えたいのです。
さらに、拠点となる店舗を構えたのは、彼らが「旅人であり続けるため」という理由もあるといいます。
「その土地に住む人にとっては普通のことでも、その土地に住んでいない僕らからしたら大発見なことってよくあるんですよね。この視点を持てているのは、あくまでも暮らすのではなく、旅で訪れているからだと思います。
だから、各地の魅力を見つけるのが得意な僕らが、旅人としての目線を持ち続けて魅力を発信していくためにも、拠点を持つ必要があるなと感じたんです」(tsunekawaさん)
旅する喫茶で、旅をする
より多くの人に、地方の知られざる魅力を“足を運んで”知ってもらいたい、という想いで生まれた高円寺の実店舗。ではここでは、彼らの旅先での発見や地方の魅力をどのように体感できるのでしょうか。
「メニューには、僕らが旅した先で魅力的だと思った食材や風景を反映しています。例えばこの『春色のクリームソーダ』は、山口県の桜の花を使用して、自分たちでシロップを作りました。桜の花を見たときに、この美しい風景をクリームソーダを通して伝えたいと感じて、生産者の方に直接『桜の花を売ってくれませんか』とお願いしたんですよね。最初こそ驚かれましたが、味も香りも見た目も春を感じられるクリームソーダになったので、本当にありがたいと思っています。このメニューを通して、僕らが出会って魅了された山口県の春景色を知ってもらえるんではないでしょうか」(tsunekawaさん)
ほかにも兵庫県の「ゆげ焙煎所」のコーヒー豆など、彼らが旅先で出会って惚れ込んだメニューが並びます。これらをいただきながら、カウンター越しに彼らと「このメニューにはどんな思い出があるんですか?」なんて旅話を交わしたら、より現地の風景が思い浮かぶことでしょう。SNSを通してではなく、直接彼らに旅の話を聞き、実際に地方の魅力を食して追体験ができるのも、実店舗ならではです。
また、彼らが0から作り上げたという店舗の内装にも、旅のなかで得た発想が凝縮されています。
例えば、扉を開け、階段を上がった先にある空間は茶色の木材で区切られているのが特徴的。
「くぐる動作や、段差を意図的につけることで、旅先で感じるワクワク感を演出しました。また、あえてどこの席に座っても店内全体が見渡せるようにはなっていないというのもこだわりです。ある土地を訪れたからといって、その土地のことすべてを知るのは無理じゃないですか。この喫茶も、そうでありたいんですよね。
また、カウンターでおしゃべりする日もあれば、窓際の仕切られた空間でひとり考え事をする日もある。僕らがしてきた型にはまらない旅の楽しさを味わってもらえる空間でありたいなとも思います」(tsunekawaさん)
自分たちの足で旅先の魅力を探し続けたふたりが運営する「旅する喫茶」。彼らの旅から生まれたメニューと空間は、ガイドブックを読んだだけでは汲み取れない日本各地の魅力や、旅の楽しさに気づかせてくれます。
まずは「旅する喫茶」を旅先に。そして彼らの旅を追体験し地方の魅力を知ったうえで、今度は自分がその地方を訪れるべく、旅の計画を立ててみるのもいいかもしれません。
旅する喫茶
住所 | : | 東京都杉並区高円寺南4-25-13 2階 |
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営業時間 | : | 12:00~20:00(L.O.19:30) |
定休⽇ | : | 月曜 |
web | : | https://tabisurukissa.com/ |
: | https://twitter.com/tabi_suru_kissa |
※店舗の最新情報は、オフィシャルサイトよりご確認ください。
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