江戸時代から続く日本の伝統工芸・飴細工作り
飴細工が日本に浸透しはじめたのは、江戸時代とされています。江戸の下町では、固まる前の水飴を膨らませたり、形をつけたり、色付けをする工程を見せながら、飴を売り歩く「飴売り」が登場。次第に、飴細工は、縁日や大道芸の“おいしくて美しい見世物”として一般市民にも親しまれるようになりました。
浅草駅から徒歩7分にある、「浅草 飴細工 アメシン 花江戸店」は、そんな日本の伝統工芸・飴細工を間近で見ることができると、近年人気の観光スポット。
店内には、熟練の技によって作られた、ガラス細工のように美しく精巧な飴細工がズラリ。「アメシン」の代名詞である透明な飴細工は、それまで白く半透明なものしかなかった飴細工業界に革新をもたらした高度な技術なのです。店頭では今にも動き出しそうな金魚や蛙の飴細工を購入することもできます。
また、店内奥では、飴細工の体験教室を随時開催。所用時間は約90〜120分。小学生以下の子どもも保護者同伴であれば参加可能です。事前予約が必要ですが、予約状況によっては当日参加もできるため、東京観光の空き時間にサクッと体験してみてもいいでしょう。
和バサミと素手だけで作り上げる「うさぎ」
今回は、モデルの清原ゆきなさんに飴細工に挑戦してもらいました。教えてくれるのは、飴細工職人歴2年の山地崇弘さん。「アメシン」代表の手塚新理氏の技術に心惹かれ、香川県から上京したという飴細工ファンでもあるそう。
「今回体験していただくのは、飴細工の基本動作が全てつまっている、うさぎです。僕たちも飴細工職人に弟子入りをして、最初に練習するのはうさぎなんですよ。温めてやわらかくなっている状態の飴は2〜3分ほどで常温に戻り固まってしまうので、すばやく作業することがポイント。がんばりましょう!」
まずは、和バサミの使い方やうさぎの作り方を、動画でチェック。ゴルフボールほどの丸い水飴が、職人さんの繊細な指使いで、みるみるうちにうさぎの形に。うさぎを習得するまでには、職人さんでも約1年。前述の透明な金魚を習得するには、約5年はかかるのだとか。「すごくきれい!」と清原さんからも感動の声が。
かわいいうさぎを作るポイントは、大きな耳としっぽ
流れを掴んだところで、いざ実践。練習用の茶色い飴を使って2回練習し、最後に本物の真っ白な飴で本番に挑みます。鍋から取り出した高温の飴を冷やしてもらい、棒に突き刺した状態で、職人さんからバトンタッチ。
「飴に対して大きく刃を当てて、深く切ることがポイントですよ。迷わずに真っ直ぐに。飴は体温よりも温度が高いので、極力触らないようにしてくださいね。形を整えるときは、割れないように優しく丁寧に」
うさぎのチャームポイントである大きな耳、前足、しっぽ、後ろ足の順にカットしていきます。「かなりしっかりとした硬さで切りごたえがあるんですね。最初は温かいお茶碗を触っているような温度でやわらかい。でも切っていくとどんどん硬くなっていって、早く形を整えなきゃ〜って焦ります」と清原さん。
「足はもっと走っているみたいに、飛躍感を……」と、触っていたらポキッ。職人さんのような美しいうさぎを作るには、いかに繊細な技術が必要なのかよくわかります。気を取り直して、2回目は、さらに具体的で細かい作り方を教えてもらいます。
「大きな耳と丸いしっぽがかわいいうさぎを作るポイントです。耳は深く大きく切ることで、胴体とのバランスが取れて、スッキリとしたうさぎになりますよ。飴の中心は固まっていないので、一方向に偏らないよう、都度下に向けながら、切りましょう」
1回目の反省点を踏まえつつ、2回目に挑戦。
「1回目は後ろ足の時点で硬かったけど、2回目はまだやわらかいまま。早いスピードでできてるみたい。さっきよりちょっと上達したかも」
刃の使い方も少しずつ慣れてきて、清原さんにも笑顔がこぼれ落ちます。
本番は白く美しい水飴で。最後に色付けをして完成
そして3回目はいよいよ本番。透明だった水飴に気泡を入れて真っ白な状態にしてスタート。「は〜緊張するな〜」という清原さんですが、迷いなく、大胆にサッと刃を入れていきます。
「よし、できました! けどなんだかうさぎというより、犬みたい(笑)。やっぱり職人さんの技はすごいな」
最後は中まで固まったのを確認してから、食紅で色付け。顔や日付など、自由にアレンジしていきます。表情がつくとかわいらしさがグッとアップ。苦労のかいあって、喜びもひとしおです。
完成したら、専用の背景板を使って、記念撮影。持ち帰る際には、透明な袋か鑑賞用としても使える土台付きのラッピング(有料)に包んでお土産にも。賞味期限は約1年。鑑賞するだけであれば約3年は持つそう。ただし飴は温度と湿気に弱いので、涼しい場所で乾燥剤を入れて置くと長持ちします。
職人さんによる熟練の技を肌で体感
「初めて飴細工に挑戦しましたが、こんなに難しいものだなんてびっくり。実際に作ってから、職人さんたちの作品を改めて見ると、そのスキルの高さや細やかな技術にうっとりしちゃいますね。新しい日本の伝統を知れた気がしました。今度は母親を連れて来たいな」と清原さん。
2回目以降の参加者には、いぬやねこの飴細工にも挑戦可能。日本中で飴細工を体験できるのは、ほんのわずか。浅草寺雷門や東京スカイツリーの観光ついでに、「浅草 飴細工 アメシン」で日本の伝統技術に触れてみてはいかがでしょうか。
浅草 飴細工 アメシン 花江戸店 | ||
---|---|---|
住所 | : | 〒111-0033 東京都台東区花川戸2-9-1 堀ビル1F |
営業時間 | : | 10:30〜18:00 |
体験当日の連絡・ 予約専用番号 | : | 080-9373-0644 |
アクセス | : | 浅草(銀座線・浅草線・東武線)より徒歩7分(雷門より徒歩8分) |
定休日 | : | 毎週木曜日(臨時休業有り) |
web | : | http://www.ame-shin.com |
掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。