日本三景のひとつとして知られる松島。海に浮かぶ島々を眺めるだけでなく、この地に一泊すると、穏やかな朝の空、時間とともに表情を変える海、土地に根付く手仕事、豊かな山海の恵みが育んだ食など、これまでとは異なる表情が見えてきます。新たに誕生したホテルを拠点に、松島の風景と文化をじっくり味わう旅へ出かけました。

松島の風景と地域をつなぐ、新しい宿

泊まることで見つける、素顔の松島。その価値体験におすすめな宿が、“松島の美しい時に浸る”をコンセプトに、2026年8月10日に開業した「YOKI MATSUSHIMA(ヨキ マツシマ)」です。場所は松島駅・松島海岸駅からともに車で約5分の海沿いに位置し、駅からは送迎車でアクセスできます。

画像: 松島の風景と地域をつなぐ、新しい宿

こちらの宿では“ローカルフォーカス(地域連携)”をキーワードに掲げ、土地の物語に触れる「体験(Experience)」、風土を味わう「食(Food)」、感性を潤す「空間(Space)」を3つの軸に、特別な滞在を提案しているとのこと。

画像: 夕食・朝食会場となるレストランの、窓際に設えられたペア席

夕食・朝食会場となるレストランの、窓際に設えられたペア席

この地の魅力的な眺望は、もちろん全室から。松島湾を望む海岸沿いに建ち、窓の向こうには多彩な表情を見せるオーシャンビューが。その借景を、全室温泉付きの空間から楽しめます。そして館内は地元の素材を用いたインテリアや、作家・職人によるアートと工芸品が豊かに彩ります。

画像: 絶景を楽しめる湯は、地下1,500mから湧く太古天泉 松島温泉。「美人の湯」として名高い、とろみのある泉質が特徴

絶景を楽しめる湯は、地下1,500mから湧く太古天泉 松島温泉。「美人の湯」として名高い、とろみのある泉質が特徴

同館はくつろぐだけの宿ではなく、地域の暮らしや手仕事へと深く踏み出すための入り口。日帰りでは通り過ぎてしまいがちなローカルの深みに溶け込む、新しいスタイルの旅がはじまります。

画像: チェックインラウンジ。松島の美しさを象徴する月や松、島々に見立てた岩をモチーフにしたインテリアや装飾がアイコニック

チェックインラウンジ。松島の美しさを象徴する月や松、島々に見立てた岩をモチーフにしたインテリアや装飾がアイコニック

地域の素材に触れる、松島の手仕事体験

「YOKI MATSUSHIMA」の革新的な取り組みが、“ローカルフォーカス(地域連携)”。これは、地域と連携しながら松島ならではの体験を提供することで、同館を起点に周辺や東北地方全体を「体験(Experience)・食(Food)・空間(Space)」で結ぶ、新しいスローラグジュアリーの提案です。

宿自身がメディアのような役割をもち、この地にいないとなかなか知り得ない魅力をホテルマン自らが深掘り。たとえばアクティビティに関しては「エクスペリエンス」としてオプションを用意し、滞在しながら楽しむことができます。

画像: 館内で開催される、手軽な体験も豊富。こちらは、天然の植物を煮出し、世界にひとつだけのオリジナル作品をつくる草木染め

館内で開催される、手軽な体験も豊富。こちらは、天然の植物を煮出し、世界にひとつだけのオリジナル作品をつくる草木染め

そのいくつかを、特別に体験させてもらいました。まずは館内の一室を会場とする「エクスペリエンス」から。「草木染めワークショップ」(不定期開催)は、周辺の豊かな自然から集めた植物を使って手ぬぐいなどを染める体験です。

画像: 模様をつけるために布を折るなどしたら、煮て染色。その後、絞ってほどくといった工程を経て所要時間は計90~100分

模様をつけるために布を折るなどしたら、煮て染色。その後、絞ってほどくといった工程を経て所要時間は計90~100分

また、館外でもさまざまな体験が。「仙台箪笥(たんす) 飾り金具付けワークショップ」は、仙台箪笥ならではの飾り金具を、自身の手で釘打ちするクラフト体験です。

画像1: 地域の素材に触れる、松島の手仕事体験

こちらは10~15分で完成。小中学校時代の授業で習った記憶がよみがえるような、懐かしい気持ちになる人も多いはず。完成した「飾り板」は持ち帰ることができ、旅の思い出としてもおすすめです。

画像2: 地域の素材に触れる、松島の手仕事体験

「SAMURAI 甲冑(かっちゅう)体験」は、ふだん白石城で行われているものを出張の形で楽しませてくれる文化体験。鉄製で重さ約20kgのずっしりとした鎧や兜を身にまとい、武具の着用感を味わえる、人気のアクティビティです。

画像3: 地域の素材に触れる、松島の手仕事体験

ちなみに宮城を代表する大名といえば、“伊達男”の語源といわれる洒落者・伊達政宗公です。名将モチーフの甲冑を着られるだけでも魅力ですが、細部に光る美しい意匠も、この地ならではの見どころ。“独眼竜”のイメージにちなんだ眼帯を着けて、写真撮影もできます。

画像4: 地域の素材に触れる、松島の手仕事体験

松島の夜に味わう、宮城の食と手仕事

料理は、この地で長年腕を振るってきた調理長が中心となり、三陸の山海の幸を軸に構成。器も地元作家や窯元の作品を用い、レストランでは宮城県栗原市花山に構える「座主窯(ざすがま)」製をメインに使っています。

画像: 夕食は季節の会席を用意。先付にはじまり、お椀や造り、煮物、進肴(すすめざかな)、食事、水菓子へと続く四季の趣を映した献立に

夕食は季節の会席を用意。先付にはじまり、お椀や造り、煮物、進肴(すすめざかな)、食事、水菓子へと続く四季の趣を映した献立に

この日は、三陸地方で殻付きのまま水揚げされる「がぜうに」からスタート。マスコ、オクラのタタキ、ポン酢ジュレがあしらわれ、とろけるウニの上品な甘みを引き立てる好アクセントに。

画像1: 松島の夜に味わう、宮城の食と手仕事

主菜ともなる進肴は、栗原市・栗駒山麓の牧場で自然放牧された「漢方和牛」を炭火焼きで。14種類のハーブを用いた漢方飼料や、同市の金の井酒造の酒粕で健やかに育つ牛肉は、うまみは豊かでも余韻は軽くエレガント。

画像: 進肴「栗原の漢方和牛炭火焼」は、スタッフさんが目の前で切り分けてサーブ。クレソン&カシューナッツのピューレ、ホップ塩、粒胡椒で

進肴「栗原の漢方和牛炭火焼」は、スタッフさんが目の前で切り分けてサーブ。クレソン&カシューナッツのピューレ、ホップ塩、粒胡椒で

夕食におけるもてなしのひとつが、水菓子をバーラウンジで味わえること。和の意匠で設えられた空間は凛とした雰囲気に包まれ、窓の外に見える夜の松島湾や中庭の枯山水が、よりドラマティックに演出します。

画像2: 松島の夜に味わう、宮城の食と手仕事

提供された水菓子は「あらごし桃ゼリー」「ずんだチーズケーキ」「抹茶最中」と、アソート仕立て。コーヒーは、宮城にも焙煎工場を有する横浜の名門・三本珈琲による「YOKI MATSUSHIMA」オリジナル。その夜専用ブレンドを、ハンドドリップでいただきました。

画像: バーや客室で用いられている青い器は、“石巻ブルー”と称される「三輪田(みのわだ)窯」製。開業に伴い、松島の牡蠣殻などを使った“松島ブルー”を別誂で実現

バーや客室で用いられている青い器は、“石巻ブルー”と称される「三輪田(みのわだ)窯」製。開業に伴い、松島の牡蠣殻などを使った“松島ブルー”を別誂で実現

なお、朝食の主役となるのは羽釜炊きの銀シャリです。土鍋の炊き込みご飯だった夕食では県内産の「ひとめぼれ」でしたが、白米で味わう朝は栗原産の「つや姫」を採用。食べ方にあわせて米を使い分け、最良のおいしさを提供しています。

画像: 主菜となる焼き物は、「蔵王鶏卵」の出汁巻き玉子、「みやぎサーモン」の西京焼き、「金華さば」の一夜干しと、宮城の味覚から選べる仕様に

主菜となる焼き物は、「蔵王鶏卵」の出汁巻き玉子、「みやぎサーモン」の西京焼き、「金華さば」の一夜干しと、宮城の味覚から選べる仕様に

早朝に澄んだ空へ。気球から見る松島

松島の朝も、泊まるからこそ楽しめる贅沢です。その醍醐味をより満喫させてくれるアクティビティが「エクスペリエンス」のひとつ「熱気球体験」。ホテルから車で5分ほどの場所にあるカキ養殖場・磯島に移動し、高さ約20mの空中遊泳を楽しみます。

画像1: 画像提供:松島熱気球

画像提供:松島熱気球

気球は飛ぶ前の数分間でバルーンを膨らませる工程がありますが、こちらではその初期段階で内部に入らせてもらえるのが特徴のひとつ。色鮮やかな空間は写真映えも満点で、特別な思い出となるでしょう。

そしてさらにユニークなのが、気球のバーナーにマシュマロをかざし、焼きマシュマロを作って食べられること。このサービスは「YOKI MATSUSHIMA」だけの特別企画とのことで、その点も見逃せません。

飛行は約5分間。上空から眺める松島は、地上から見る姿とは異なる圧倒的なパノラマで、松島の海と島々の織りなす絶景に心を奪われます。澄んだ朝の空気とも相まって、清々しい癒しの時間となるでしょう。

画像2: 画像提供:松島熱気球

画像提供:松島熱気球

気球のスタッフさんは、写真撮影の協力もしてくれます。手慣れているため、スマホでも一眼レフでもOK。遠近法を生かしたマジックフォトもお手の物なので、気軽に声をかけてみましょう。

海の上から出合う、奥松島の猛き表情

眺めるだけでなく、美しい海へ繰り出す冒険もおすすめ。王道の大型遊覧船もいいですが、同館の「エクスペリエンス」では、穏やかな内海と荒々しい海岸美に恵まれた東方のエリア・奥松島の自然をダイレクトに感じる貸切遊覧船クルーズを提案します。

画像1: 海の上から出合う、奥松島の猛き表情

また、同クルーズはこの地を深く知るうえで欠かせない、震災復興の歩みにも触れるミニツアーとしてプランニング。まず「東松島市震災復興伝承館」を訪れ、専属ガイドによる案内と当時の記録映像の視聴を通じて、防災への知恵や地域の強い絆、東松島が未来へ向けて歩んできた復興の軌跡を学びます。

画像2: 海の上から出合う、奥松島の猛き表情

奥松島の遊覧船は、日本三大渓のひとつ「嵯峨渓(さがけい)」などを巡る約60分のコース(荒天時は別ルートで45分)。松島湾の曲線的な景観とは対照的に、巨大な岩々が見せる海のパノラマは、同じ松島でも別世界です。

また、遊覧船は海面との距離が近く、ダイナミックな写真が撮れるのも魅力。そして航行中は船長さんが景観案内をしてくれ、「メガネ崎」や「カエル島」といったユニークな名がつけられたスポットや、飛び交う鳥たちのことも教えてくれます。

画像: この日はウミウ、ウミネコ、シロサギ、カモメらと遭遇

この日はウミウ、ウミネコ、シロサギ、カモメらと遭遇

奥松島の同ツアーは朝食後に「YOKI MATSUSHIMA」を出発し、計約4時間。ラストは地元の名物「東松島のりうどん」を地元の有名店で味わい、ホテルに戻って解散となります。このうどんは特産の海苔を練り込んだ麺が特徴で、豊かな磯の香りが美味。お土産としても購入できます。

画像3: 海の上から出合う、奥松島の猛き表情

海を下りたら、歴史と暮らしが残る町へ

松島は、美しい景観と調和したパワースポットを巡る旅も魅力ですが、なかでも代表的な寺社といえば、国宝の本堂を有する「瑞巌寺(ずいがんじ)」。

画像1: 海を下りたら、歴史と暮らしが残る町へ

「エクスペリエンス」では、こうした歴史ある寺院や海辺の景色を訪ねながら、この地に息づく文化や歴史に触れるガイドツアーも用意されています。

画像1: 画像提供:瑞巌寺

画像提供:瑞巌寺

「瑞巌寺」は伊達政宗公が5年の歳月をかけて造営した寺院。狩野左京による「松孔雀図(しょうくじゃくず)」などの美しい障壁画を精巧な復元模写が建て込まれ、華やかな桃山文化を今に伝えます。境内の宝物館では、宮城県指定有形文化財の「木造伊達政宗倚像(いぞう)」など、伊達家ゆかりの寺宝を見ることができます。

画像2: 画像提供:瑞巌寺

画像提供:瑞巌寺

次は本堂をあとにし、参道にそびえる大杉の力強い姿を仰ぎながら総門へ。木々に導かれるように海岸沿いへ出ると、「瑞巌寺」とのゆかりがある「五大堂」の小島が見えてくるでしょう。小島へ渡る際、足元が透ける朱塗りの「透かし橋」を歩くひとときも特別な体験です。

画像2: 海を下りたら、歴史と暮らしが残る町へ

これら一帯は松島海岸駅から近く、周辺には茶屋やお土産店なども点在。「瑞巌寺」周辺には仙台銘菓「萩の月」で知られる菓匠三全と、笹かまぼこの名付け親・阿部蒲鉾店がひとつの建物に入ったお店もあり、お土産探しにおすすめです。

画像3: 海を下りたら、歴史と暮らしが残る町へ

歴史が息づく寺院や参道を歩き、海と陸それぞれからまったく異なる表情をみせる松島。山海と空を通して見えてきたのは、豊かな風景と伝統、そして人々の絆と営みがひと続きに織りなす風土のぬくもりです。ただ眺めるだけではない、深まった松島との出合いが、旅をやさしく彩ります。

次の松島旅は、時間をかけて

松島には定番の名所を巡り、景色を眺めるだけでは気づけない魅力があります。静寂に包まれる夜や澄み切った朝の光、職人の手から生まれる美食やクラフト。この地に泊まり、刻一刻と移ろう時に身を委ねてこそ、土地のやわらかな息づかいを感じられます。

画像: 次の松島旅は、時間をかけて

表情を変える風景や文化のグラデーションに浸るひとときは、滞在の記憶をより愛おしい思い出にしてくれるはず。「YOKI MATSUSHIMA」を拠点に、次の休みはゆっくり時間をかけ、松島に心地よく溶け込む旅へ出かけませんか。

YOKI MATSUSHIMA

住所宮城県宮城郡松島町松島字東浜5-3
電話022-355-0022(10:00~18:00)
料金基本プラン 1名 67,000円〜(2名1室利用時/1泊2食付)
※税・サービス料込
※宿泊税・入湯税は別
webYOKI MATSUSHIMA 公式サイト
Instagram@yoki_matsushima

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