客室乗務員でJALふるさと応援隊の小見さんが、山歩きの楽しさとともに、おいしさの秘密をレポートします。
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JALファーストクラスのシェフ監修、素材の力を生かした山弁レシピ
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2022年9月、八幡平マウンテンホテルにて「山弁」のお披露目会が行われました。JALロイヤルケータリングの西浦嘉明シェフ、八幡平DMOの畑めい子さん、実際に山弁を製造販売する八幡平マウンテンホテルの平野朱美さん、そしてふるさと応援隊として小見さんが参加しました。
トレッキングが人気の八幡平ですが、実は、山で食べられるお弁当にウリがないことが課題でした。そこで、せっかくならば八幡平ならではの味が楽しめるものをと開発されたのが山弁です。「山弁」と聞くと、簡単に食べられるおにぎりなどを思い浮かべるかもしれませんが、目指したのは、山で食べるワンランク上のお食事弁当です。
八幡平は、岩手山麓の良質な水と土壌が育む「食の宝庫」
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レシピづくりに関わった西浦シェフは、「八幡平には食材がすべて揃っているので、何を使えばいいか厳選し、素材の力を生かせるような調理法を工夫しました」と話します。
また、「地元の優れた食材を山でも楽しんでもらえるよう、八幡平の牛肉やサーモン、安比まいたけや野菜や雑穀など、さまざまな食材を盛り込んだ自慢のお弁当ができました」とDMO畑さん。SDGsの観点から選んだ「未来の食材50」を使用し、機内食ならではの安全管理技術や調理法をふんだんに使っています。
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気になる「山弁」の中身は、いわて八幡平牛と安比まいたけのしぐれ煮をたっぷりのせた雑穀ごはん、八幡平サーモン揚げ温泉バジル味噌添え、秋刀魚の山椒煮、玉子カステラ、地元の豆腐店がつくる湯葉とキクラゲ、西根ほうれん草のキアヌサラダと、豪華な7品。
味はもちろん食感も楽しめる工夫が配され、管理栄養士による栄養バランスも考慮したメニューは、山登りがいっそう楽しみになりそうです。
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「山弁」は2023年春から八幡平マウンテンホテルにて、トレッキングをされるお客さま向けに製造販売する予定。暖かくトレッキング向きな季節がやってきたら、ぜひ地元食材を使った山弁で八幡平を十分に楽しんでください。
車窓からの岩手山に期待感たっぷり。いよいよ登山へ
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この日は、同ホテルのフロントで「山弁」を受け取り、定期運行バスで移動。八幡平トレッキングを体験します。
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八幡平マウンテンホテル前から、登山口までは車で20分ほど。八幡平アスピーテラインから眺める岩手山の稜線がキレイです。
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登山口前には大きな駐車場が完備され、バスや自家用車で気軽に来られるのも八幡平の魅力。レストハウスには、食堂やおみやげ品を買える売店があり、充実した設備です。
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さて、駐車場から山々に挨拶をし、登山口へと向かいます。岩手出身の小見さんですが、八幡平のトレッキングは初めて。「どんな景色と出合えるか、期待でいっぱい」と顔をほころばせます。
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石畳で整備された歩きやすい登山道。いくつかルートがありますが、この日は、鏡沼とめがね沼を経由して頂上へ。そこから絶景が広がる八幡沼へと向かいます。
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八幡平の魅力は、季節ごとに彩りを変える高山植物の数々。花めぐりを楽しむリピーターも多く、雪解けの5月から9月まで50種類以上もの花々が登山客を楽しませてくれます。紅葉が近い9月後半はナナカマドが美しい色合いを見せていました。
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ちょっと疲れたら、高山植物をカメラでパチリ。ふだん見る機会のない可憐な植物に心を奪われ、心身ともに癒されます。
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周囲の木々を眺めながら登っていくと、標高1,590m付近に鏡沼が現れました。山頂付近の水蒸気爆発によって生まれた火口に、水が溜まって形成された火口沼の一つ。名前の通り、沼に写り込む空と山が鏡のように美しく、いつまでも眺めていられそう。
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写真は5~6月ごろの鏡沼
鏡沼は、数年前から“ドラゴンアイ”という愛称で呼ばれ、話題を呼んでいます。名付け親は海外からの観光客。雪解けの5月頃、沼の中心部に残る雪がちょうど龍の眼のように見えたのだとか。春だけのちょっと特別な景色は、次回のお楽しみにどうぞ。
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さらに進むと、同じような火口沼のめがね沼があります。怖々ながら、覗き込んでみました。なぜこんな形になったのだろうと、自然の不思議を感じます。
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登山口から30分ほどで、標高1,613mの八幡平頂上へ到着です。
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頂上の眼下に広がるガマ沼は、透明度抜群。
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八幡平市はリンドウの生産量日本一。ガマ沼周辺にもエゾオヤマリンドウが深みある青色の美しい花を咲かせていました。
八幡平市観光協会
住所 | : | 岩手県八幡平市柏台1丁目28番地 |
---|---|---|
電話 | : | 0195-78-3500 |
web | : | https://www.hachimantai.or.jp |
八幡平のおいしさが詰まった「山弁」を堪能
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展望台から眺める八幡沼は、感動という言葉がぴったりの絶景。沼の向こうにはアオモリトドマツの原生林が広がります。数千年も昔、水蒸気爆発によって生まれた火口沼だそうですが、大地のはじまりを眼下に見るよう。幻想的な自然の姿に、疲れもいっぺんに吹き飛びました。
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そして、待ちに待った「山弁」をいただきます。彩りあざやかなお弁当は、食欲をそそります。
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ボリュームたっぷりのいわて八幡平牛と安比まいたけのしぐれ煮は、ほどよい甘みがありご飯が進みます。さらに、温泉バジル味噌が風味をきかせた八幡平サーモン揚げも一口。どれも上品な味わいと工夫が嬉しいメニュー。山頂のレストランにいる気分でランチタイムを満喫しました。
心身をときほぐす、名湯へ寄り道
山頂でおいしい空気と食事を満喫した後、ぜひ立ち寄りたいのが八幡平周辺に点在する温泉です。
レストハウス駐車場から、樹海ラインを車で5分ほど下りたところにある「藤七温泉彩雲荘」は、海抜1,400メートルの東北一高いところに湧き上がる秘湯。露天風呂から眺める雄大な岩手山と八幡平は唯一無二の体験です。
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藤七温泉彩雲荘
住所 | : | 岩手県八幡平市松尾寄木北の又 |
---|---|---|
電話 | : | 090-1495-0950 |
web | : | https://www.toshichi.com |
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さらに、標高800メートル付近に湧く、「松川温泉」も古くからある岩手の名湯。そのはじまりは、寛保3(1743)年に山伏が発見したともいわれています。豊富な源泉から湧き上がる高温の湯が特徴で、峡雲荘、松川荘、松楓荘の3軒が出迎えてくれます。
八幡平温泉郷は、松川地熱発電所のゆたかな熱水が源泉。「山弁」お披露目会場となった「八幡平マウンテンホテル」も、かけ流しの天然温泉を楽しめます。秘湯・名湯めぐりもおすすめです。
八幡平リゾート(八幡平マウンテンホテル)
住所 | : | 岩手県八幡平市松尾寄木1-509-1 |
---|---|---|
電話 | : | 0195-78-4111 |
web | : | http://www.hachimantai.co.jp |
松川温泉峡雲荘
住所 | : | 岩手県八幡平市松尾寄木松川温泉 |
---|---|---|
電話 | : | 0195-78-2256 |
web | : | http://www.kyounso.jp/ |
地産地消のディナーで、山歩きを締めくくり
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気がつけば、夕暮れ時。最後に、八幡平の締めくくりにぴったりのディナースポットをご紹介します。
ペンション村やホテルにほど近い「ノーザングランデ八幡平」は、2021年にオープンしたばかりの新拠点。冒頭で紹介した八幡平DMOの畑さんが同施設の運営をしており、ダイニングカフェやバーとして営業するだけでなく、レセプションや研修会など「いわて八幡平を中心にしたゆたかな食文化」を発信し、人々が交流できる場です。
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夕食は地元野菜たっぷりサラダ、県産短角牛の赤ワイン煮込み、八幡平の温泉熱を使って育てたバジルのジェノベーゼパスタ、八幡平マッシュルームのポタージュの4品に、県産山ブドウのハウスワインも一緒に。八幡平をまるごといただくメニューを満喫しながら、土地のゆたかさを改めて噛みしめます。
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同施設には宿泊機能がありませんが、それは、近隣の温泉施設やホテルなどを活用していただくため。地域全体をホテルと見立てるなら、フロントやコンシェルジュのような立ち位置が「ノーザングランデ八幡平」なのかもしれません。「岩手山が眼前に見えるこのロケーションが大好き」と話す畑さんの、八幡平愛が随所にあふれる空間です。
ノーザングランデ八幡平
住所 | : | 岩手県八幡平市松尾寄木1-590-497 |
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電話 | : | 0195-68-7545 |
web | : | http://n-grande.com |
振り返れば、壮大な自然と恵みを思いきり味わった八幡平の1日。「岩手県の食材をもっと広めたい。またゆっくり訪ねたい」と小見さんも大満足でした。
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