秋田の県南に位置する横手市は、伝統行事である“かまくら”が有名な豪雪地帯で、日本一大きな横手盆地、横手焼きそばやいぶりがっこの町としても知られる秋田県内2番目の規模を持つ都市です。春の訪れを感じる街を散策しながら、緻密な細工を施した内蔵や、雪国の歴史を感じる古民家、横手グルメなどを楽しむ1泊2日です。
画像1: 心穏やかに癒しを求めて 秋田県横手市プチ旅1泊2日

西村 愛

2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。
島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。

画像2: 心穏やかに癒しを求めて 秋田県横手市プチ旅1泊2日

14:30 秋田県に現存する最古の洋館「旧日新館」

横手市の中心地に位置する「旧日新館」は、木造2階建の古い洋館です。
この建物の歴史は、明治になり日本が欧米化していくことを見越して、地元の小坂旅館が外国人専用の宿泊施設を建てようとした時からはじまりました。実際には最初から旧制横手中学(現・横手高校)英語教師の宿舎として使われ、6人目の英語教師・スマイザーが買い取り、自らの住宅としました。
スマイザーは学校で英語を教える傍らキリスト教の布教を行い、自宅や周辺農村でも集会などを開き信仰を伝えました。戦時中もアメリカに帰ることもなく教育と伝道、そして日常の暮らしの中で、横手の人々と交流を深め、その生涯を当地で終えました。

まだまだ冬の気配を感じる横手の空気の中、建物見学へと向かいました。この日はクロッカスが土の中から顔をのぞかせ、雪国に静かに近づく春の気配が感じられました。外観にはまだ雪囲いがしてあり、特徴的なベランダなどは見られなかったものの、雪国横手を象徴する姿が印象的でした。

現在は一般住居として使われていますが毎週水曜日に要予約で見学できます。波打つ昔の板ガラスがはまる窓や、古い調理台、応接室にある彫刻された戸棚やタンスなど、歴史の趣を感じる洋館に酔いしれることができ、秋田県指定有形文化財として保存管理されています。
スマイザーの教えや意志を思い起こす場所として残された瀟洒な洋館は、西洋文化を柔軟に受け入れる風土が育っていた110年以上も前の横手の姿を、今も雄弁に語り続けています。

旧日新館

住所秋田県横手市城南町7-1
開館日水曜日 9:00~16:00        
(個人の住宅のため事前に横手市文化財保護課にご連絡ください。)
webhttps://www.city.yokote.lg.jp/kanko/page300080.html

16:00 木村屋で横手名物に舌鼓「かまくら最中」と「花見だんご」

横手城へと向かう途中、城下町の商家が並んでいたエリアに、どっしりとした墨黒の蔵造りのお店があります。
1902(明治35)年に横手市で和菓子屋として創業、その後町の大火に遭い現在の場所に移転しました。火事の教訓を生かし防火性のある土蔵造りの店舗を建築、明治期の黒漆喰の重厚な建築は、木村屋の110余年の歴史を見続けてきました。種類豊富な和洋菓子が並ぶ店内にはカフェも併設されています。

東京・本郷の「壺屋総本店」と「三田木村屋」で修行、洋菓子文化が根付き始めた明治時代から、様々な和洋菓子を生み出しました。また初代・山下九助は、羊羹の品質を保つため、内側にアルミ箔を貼った「紙缶」を開発し、そのアイデアを惜しみなく開放しました。その紙缶で包んで売り出した「柿羊羹」は郷土の味である横手柿の干し柿を使った羊羹で、数々の賞を受賞、昭和の献上菓子にも選ばれました。
横手の冬の風物詩、伝統神事のかまくらをモチーフとした最中「かまくら最中」は、中に小倉がたっぷり。粒感が残った小豆と中に隠れた求肥、香ばしい皮で、おいしい緑茶を合わせてほっこりとした時間が過ごせそうです。箱パッケージの趣ある意匠にも定評があります。
お花見の時期だけに販売される「花見だんご」は地元ではおなじみの甘味で、横手名物のひとつ。平たくしたお団子を串に刺し、羊羹をまとわせた菓子です。つやつやな見た目は独特で、お団子を覆いつくすような羊羹が均一にかかっており、熟練の技を感じます。片手で気軽に食べられる上に甘さ控えめで、老若男女に愛され続ける春の風物詩です。

甘い和菓子を堪能した後は、横手城や横手公園、牛沼を散策。横手城は高台にあり街を一望できる絶景スポットです。夕日が当たって赤く染まる模擬天守や横手川、広がる横手盆地を眼下に見ながら静かな時間を過ごしました。

木村屋

住所秋田県横手市大町5-23
電話0182-32-0700
webhttp://www.yokote-kimuraya.com/

18:00 秋田の地酒片手に横手グルメを堪能「よこてのわがや」

秋田の日本酒、郷土の味、こだわりの素材を使った創作料理のお店「よこてのわがや」。
駅からは徒歩10分程度の、飲食店が多く並ぶエリアにある築100年を超える民家を改装したお店です。ふと足を止めてしまうような柔らかな照明が店内から漏れる、優しい雰囲気とあたたかい接客で迎えてくれます。
ドライフラワーのウォールアートが美しい、おちついた店内で、丁寧な調理と上品な味付けの料理が自慢です。秋田の名酒が並ぶ棚を見ながら食事を楽しめるカウンターと、静かに時間を過ごせる純和風のお座敷個室があります。

「タコの炙りとハーブのサラダ」のハーブには地元・横手産の早春の味覚“春菊”が入り、青々しいフレッシュ感と苦みが幸せをもたらしてくれます。レアに火通ししたタコの弾力とふんわりとしたハーブの食感に、箸が止まりません。横手市山内地区で作られる秋田グルメの代表格「いぶりがっこ」はクリームチーズと共に。浅舞酒造の「天の戸 純米大吟醸 夏田冬蔵」に合わせた厚切りベーコンは、同じ酒蔵の酒粕で漬け込んであり、最高のマリアージュ。穀物の甘味とコクでベーコンの旨味がより一層凝縮された一皿でした。塩こうじを使った唐揚げは、じゅわっと口の中にあふれるジューシーでコクのある肉汁で、良く注文が入る人気のメニューです。
発酵文化やこだわりの生産者が作った食材、旬を感じる野菜に横手の日本酒を傾ける時間は、まさに「秋田の食ここに極まれり。」地元の美味しさを惜しみなく詰め込んだ料理で、心もお腹も満たされる至福の時間になりました。

よこてのわがや

住所秋田県横手市中央町3-8
営業時間18:00~24:00
休日月曜日
webhttp://kometabi.com/yokote-wagaya/

19:30 横手駅前温泉でゆったりリラックス「ホテルプラザアネックス横手」

この日の宿泊は横手駅前にあるプラザグループのホテル。
自家温泉施設「ゆうゆうプラザ」と、ホテル3棟があり、大きな駐車場も完備しています。日帰り入浴も可能で、旅行の途中に気軽に立ち寄れるのが魅力です。
ゆうゆうプラザは大浴場と露天風呂、サウナや打たせ湯などが人気で、建物は広々として寛げるスペースもあり、旅で疲れた体をゆっくり休められます。体温測定や消毒などもしっかり行われており、新型コロナウイルスまん延防止策もしっかり取られていました。

「ホテルプラザアネックス横手」には7階の展望風呂やサウナに加え、秋田県で湯治場として有名な「玉川温泉」の北投石を敷いた岩盤浴施設があります。北投石はラドンを含む石で、特別天然記念物にも指定されている鉱石です。現在は採取を禁止されている貴重な岩石で、学術的にも疾病に効果があると考えられています。岩盤浴の入浴の仕方なども丁寧に教えてもらえるので、自然の恵みがもたらす健康への効能を体感する絶好のチャンスです。
ビジネスタイプのお部屋から洋室露天風呂付特別室(アネックス)、和洋室タイプ(ゆうゆうプラザに併設のホテルプラザ迎賓)もあり、朝晩通して温泉三昧なステイを楽しむのもいいですね。

ホテルプラザアネックス横手 日帰り温泉「アネックス7階 スカイスパテラスSALA」

住所秋田県横手市駅前町7-7
岩盤浴・ジャグジー・展望温泉・展望貸切風呂
営業時間
12:00〜22:00(入館受付は21:00まで)
横手駅前温泉ゆうゆうプラザ 日帰り温泉
営業時間
10:00~22:00(入館受付は21:00まで)
webhttps://yokote.co.jp/annex/

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