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西村 愛
2004年からスタートしたブログ「じぶん日記」管理者。47都道府県を踏破し、地域の文化や歴史が大好きなライター。島根「地理・地名・地図」の謎 (実業之日本社)、わたしのまちが「日本一」事典 (PHP研究所)、ねこねこ日本史でわかる都道府県(実業之日本社)を執筆。 サントリーグルメガイド公式ブロガー、Retty公式トップユーザー、エキサイト公式プラチナブロガー。
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青森空港から空港バスで弘前に到着!しかし雨が…。
今回の旅の拠点は弘前。青森空港から空港バスを使い、弘前駅まで向かいます。県庁所在地である青森市にある青森空港は、青森駅まで30分、弘前まででも60分とアクセス良い場所です。私、2度目の訪問となる青森県ですが弘前は初めて。とても楽しみです!
途中、空港から向かう道には沢山のりんご畑。それもそのはず、青森のりんご生産量は堂々の全国1位。割合としては国産の6割に届きそうな勢いで、立派なりんご王国です。海外からは「青森りんご」が日本のフルーツの筆頭として認められていることもあり、ジャパンブランドの代表格とも言えます。その中でも弘前市は、他の追随を許すことなく揺るぎない生産量1位を確立する市なのです。
まず弘前に到着したら駅前の観光案内所でレンタサイクルを申し込みました。なんと台数の多いこと!念のため予約を入れようかなとまで思っていましたが、これだけの台数があれば安心ですね(ちなみに予約は不可)。さほど坂がない弘前駅でしたら電動アシスト付きでなくても十分まわることが出来ます。
駅前で早速りんごを発見。自転車にもりんご。あいにくの梅雨前線のせいで雨が降り出し始めましたが、なにはともあれ弘前の街を見てみたい!ホテルに荷物を預けて早速街へと出かけます。
青森空港到着!青森らしいミニねぶたが迎えてくれました。
今回も公共交通機関やレンタサイクルを駆使しながら青森をまわりますよー。まずは弘前駅までの直通バスで。
弘前駅に到着!りんごを持った銅像、題名も「りんごの風」。改めてりんごの街に来たなと実感です。
市内のいくつかで見ました、ポストの上のりんご。弘前市民は手紙を出す度、りんごに思いを馳せるのでしょうね、ほっこり。
駅前りんごのポストのすぐ横に「弘前市観光案内所」があります。ここではレンタサイクルを借りました。
電動アシスト付きと普通の自転車両方が揃っていますが、坂道が少ない弘前では普通の自転車で十分です。市内に4か所返却できる場所があるので借りたところに返さなくてもOK。
弘前中央食品市場で美味しいりんごジュースに出会う!
いざ街へ出てみたものの雨が強くなってきてしまい、どうにも進めなくなる。しかし弘前はあちこちの歩道に屋根が付いていて雨宿りに助かります。やっぱり雪の街なんだな…、そんなことを思いながらも、ぐぬぬ、雨に耐えられなくなってしまいました。
まず飛び込んだのは「弘前中央食品市場」。お惣菜や魚屋さんが並ぶ昔ながらの市場です。もう営業が終わってしまっている店舗もあり、また繁忙期ではない平日だと開いているお店もまばら。そんな中「ぬくもりキッチンなちゅら」にりんごジュースが並んでいるではないですかー。これは弘前りんごとの初めての出会い。一杯購入したところ、おおおおいしい!自然の甘さ。甘すぎない、優しい口当たり。りんごを絞っただけ、というシンプルなのがとてもいい。例えて言うならば、炎天下に運動した後のスポーツドリンクみたいに今一番体が求めていたものがすーっと入ってくるような自然な味なのです。私が感動する横で、なちゅらの店員さんたちは穏やかな表情で「これが本当のりんごの味なんですよ。」と。そうか。弘前の当たり前がこれか…。
いい出会いを果たし、のどの渇きも癒して元気を取り戻し、中央市場には別れを告げ、自転車にまたがり街探索の続きへ。よーく見てみるとりんごモチーフが市内のあちらこちらに使われています。そして銅像はみなりんごを持っている。たまにりんごを持っていないと心配になる。そんな街、弘前だから。そうだ、りんごのアレを食べに行こう!
雨が激しくなってきたのでちょっとここで雨宿り、「弘前中央食品市場」。
可愛いパッケージが目を引くりんごジュースが売っていました。
キンキンに冷えたりんごジュース、1杯150円。すっきりとした甘さ。りんごの風味そのままの果汁が体にしみこみます。美味しかった!
食品市場の中は海産物や野菜屋さん、お惣菜屋さんなどが並んでいます。
手作りの煮ものや野菜の和え物を売っているお店に近づくと…。
元気の良いお母さんが美味しいお惣菜を勧めてくれます。お皿は手のひら(笑)。歩き回らない日だったら買いたかった。ごはんに合いそうなおかずがいっぱいでした!
昔の市場そのまんまの風情で観光客にも人気とのこと。少しずつ色んなものを買って定食にすることも出来るそうです。
街の中にはりんごモチーフがいっぱい!りんご、りんご、りんご…。バス停にも駅名看板にも、お店のロゴやイラストにも。気づけばりんご探ししていました。
おいしいアップルパイをステキなカフェで。
弘前は色んな洋菓子店やカフェ、パン屋さんなどが提供する「アップルパイ」があります。これらは提供店舗が多いため全てを把握できないほど。わかっているだけでも50種類、いや、それ以上の数あるのだそうです。
弘前市内、駅から数分の場所にあるパン屋さんにはお持ち帰りにぴったりのアップルパイがありました。「ブーランジェリーイシタ」のショソン・オ・ポム へ。こちらのパイ生地、時間が経ってもパリッパリ。中にはごろごろと大きめのりんごが隠れていてハイレベルなアップルパイでした。お店でもこのりんごパイが一番人気とのこと。納得です!
次に向かったのはステキな洋館で食べられるアップルパイ。「大正浪漫喫茶室」では、弘前市内の洋菓子店などで提供されているアップルパイが常時7種類ほど用意されています。食べ比べも可能、色んなタイプが楽しめます。またドリンクもりんご祭り。弘前りんご100%ジュース、シードル、アップルビネガードリンク、りんごサイダーなど。迷った挙句、私はアップルティーに落ち着きました。
私の好みであるざっくりとしたパイと程よい甘さのりんごという注文に、お店の方からオススメいただいたのは「ジャルダン洋菓子店」の一品。柔らかく煮込まれたりんごと香ばしく良く焼かれたパリパリのパイ生地のアップルパイでした。
またもうひとつ気になった「ピーターパン洋菓子店」のケーキ「モンブラン」を。バラのつぼみのようなフォルム、中には軽い口当たりの生クリームがたっぷりで甘すぎず大人のデザートでした。
大正浪漫喫茶室がある「藤田記念庭園」はちょうど花菖蒲が見頃を迎えて、沢山のお客さんが庭の散策とカフェを楽しんでいらっしゃいました。自転車で移動していた昼間には飲めなかった「シードル」も夜になって堪能。私の体が弘前のりんごでできていく…。りんごってこんなに美味しかったのかー。全てにおいてレベルの高い、弘前のりんごグルメでした。
パン屋さんのアップルパイを購入。ブーランジェリーイシタの「ショソン・オ・ポム」。お昼時にはお客さんでいっぱいです。
パン屋さんとはいえその本格的なパイ生地は素晴らしい食感でした。香ばしくサクサクな生地にりんごがたっぷりです。
惣菜パン「サラダパン」も人気。手作りの味で昔からある一品とのこと。
県産りんごとクルミのカンパーニュ。食べ勧めていくと中央から大きめカットされたりんごが出てきました。
「大正浪漫喫茶室」。藤田記念庭園の門内にあります。ステキな洋館です!
サンルーフのようなガラス窓寄りの席は日差しがたっぷり入り込む空間。ここから和風庭園を眺められます。
ここでは「アップルパイ」「モンブラン」「アップルティー」をオーダーしました。
ふっくらと高さがあるアップルパイは市内「ジャルダン洋菓子店」のもの。軽く温めて提供されます。
生地が全然へたれていません。サクサクでバター感たっぷり。
「ピーターパン洋菓子店」のばらのつぼみのようなモンブラン。
つぼみのてっぺんには栗の甘露煮。中は真っ白でふわふわ口どけの軽い生クリーム、一番下にはスポンジケーキ。食べるのがもったいないほどの完成度です。
この大正浪漫喫茶室があるのは「藤田記念庭園」。カフェがある洋館と和館があります。どちらも国の登録有形文化財。元々は実業家・藤田謙一氏の別邸でした。こちらは和館で、県内であまり見かけなかった瓦が使われていました。
高台部分、広々とした庭園。草ひとつない手入れの行き届いたお庭です。
樹齢170年という古木のシダレザクラや、風雪に耐えながら幹をくねらせた赤松などが見事な存在感を見せます。この日もお庭の掃除や手入れの方たちがいらっしゃり、庭の整備が行われていました。
訪問した時期(7月初)は花菖蒲が見頃とのことで、団体の方たちなどが散策を楽しんでいました。江戸系の「葵の上」。
全てのお庭で21,800㎡(6,600坪)という、とてつもない広さを持っています。朱色の反り橋と清涼感溢れる滝があります。
夏でも赤い「猩々もみじ」を見ていると、秋の紅葉の時期を想像してしまいますね。梅やサクラ、ツツジに紅葉、また雪景色までも楽しめる、東北地方でもその大きさを誇る大規模庭園です。
夜には弘前のバーでシードルを飲みました。国産りんごを100%使ったスパークリングりんごワインです。期間限定で販売されるシードル「ニッカシードルトキりんご」は弘前産100%とのこと。飲んでみたい!
こちらはりんごのブランデー。弘前にはニッカの工場があり、りんごを使った製品の製造をしています。
弘前の伝統文化をスタイリッシュに。 雑貨green。
青森県に行くのならば青森の伝統工芸にも触れたいと思っていました。そこで市内のセレクトショップ「green」へ。ここでは津軽地方伝統の「こぎん刺し」や黒石の「こけし」などを、現代でも身近に置きやすく自然に溶け込むようなスタイルで提案してくれています。
「こぎん刺し」は刺し子の事。布にひと針ひと針と糸を差すことで幾何学模様を描く津軽地方の刺繍です。greenでは、伝統は守りながらも色の組み合わせやアイテムなどをモダンに刷新した商品を取り扱っています。
また青森の郷土玩具である「こけし」も可愛らしくユーモアのある、若手作家の阿保正文氏の作品を扱っていて、月ごとに新しい題材のデザインのこけしが並びます。こぎん刺しもこけしも今までも何度も見てきた人にこそ、新しいスタイルで発信される伝統をここで見て、見つけていただきたいなと思います。
セレクトショップgreenは、自然に優しく暮らすための小物が揃うお店。
「弘前こぎん研究所」とgreenがコラボレーションしてデザインしたオリジナルこぎん刺しの数々。
今月のこけしは「力士」。ふんどしを締めお尻には懸賞が(笑)。自分用に購入しました。阿保正文氏の作品。
ナチュラルな風合いのウェアやオーガニック食品、食器や雑貨などもあります。歴代のこけしは現在非売品です。
お店は「ブーランジェリー イシタ」の近くでもありますよ!ぜひ立ち寄ってみてください。
後編はこちら
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