モデルとして忙しい日々を送る彼女は、仕事で海外へ行くことが多いといいますが、プライベートでも定期的に旅行に出かける旅好き。そんな彼女に、独特の旅スタイルについてお話を聞きました。
文:於ありさ
写真:小島マサヒロ
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週末弾丸とロングステイという、2つの旅スタイル
12歳でモデルデビューを果たした松島さん。これまで撮影などで30回以上もフランスを訪れたことがあるそうですが、意外にも「実は、パリにはプライベートで行ったことはないんです」といいます。
では、彼女はどこへ、どんな旅に出ているのでしょう。
「旅のスタイルは2つ。1つは週末にふらりと出かける弾丸旅行です。行き先は、お友達が住んでいる台湾と韓国。
友達に会いに行きがてら、おいしいご飯を食べて、お気に入りの場所に行くのは至福の時間。韓国の参鶏湯やタッカンマリ、台湾の夜市で食べる魯肉飯…。韓国と台湾はなにを食べてもおいしいんですよね。
ほかには、現地に住んでいるお友達の行きつけのカフェでゆっくり話したり、洋服やコスメのショッピングを楽しんだり、ちょっと歩き疲れたらマッサージに行ったり、韓国ではよもぎ蒸しに行くのも好きですね。弾丸ですが、やりたいことをギュッと詰め込んで思い切り楽しみます」
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「もう1つの旅のスタイルは、1週間から10日間かけていくロングステイ旅です。かなり前からスケジュールと行き先を調整します。お仕事でパリやニューヨーク、イタリアなどの街に行くことが多いので、そういった都市より、プライベートでの長期旅行は、とにかくのんびりリラックスできることが重要なので、リゾートを選ぶことが多いです。
これまでに行ったことのあるリゾートは、ハワイ、モルディブ、タヒチ、バリなど…あとはタイ料理が好きなのでタイに行くことも多いですね。サムイ島へは2回ほど行きました」
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サムイ島は、島全体がココナッツの木で覆われているタイで3番目に大きな島。「タイのリゾート地といえば、プーケットの方がメジャーですが、サムイ島を選んだのはなぜですか?」と質問すると、「リゾート地に行くときは、国よりも先に行ってみたいホテルを探すんです」と話してくれました。
「リゾート地に行くなら、ホテル選びがとても重要だと思うんです。というのも、ロングステイをするときは、ホテルで過ごす時間がとても長いんですよね。それにリゾート地って周りにお店がないことも多いので、プライベートビーチのあるホテルだったり、お部屋にプールが付いていたり、おいしいレストランや素敵なスパがあったりするような、ホテルそのものの設備が充実しているところを選びます」
松島さんの話を聞いていると、弾丸旅行でも、リゾート地でののんびり旅でも、旅が日常の延長にあるという印象を受けました。
情報は現地で生活している人から収集
そんな松島さん、旅行中はかなりマイペースに過ごしているそう。
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「行き先の国とホテル、食べたいもの以外はノープランなことがほとんどです。この場所に何日の何時に行きたいとは決めずに、ご飯を食べるお店も行き先もその日の気分で決めます。
私にとって旅の中で“食”は一番の楽しみ!だからこそレストランに関しては失敗したくなくて、本当においしいお店に行きたいんですよね。だから、お店を覗いたときに現地の人で賑わっているところや、道を教えてもらった現地の人に聞いたおすすめのお店に行くことが多いんです。ガイドブックよりも実際に生活している人からの情報を大事にしています」
本場の味を楽しむ、現地の人に積極的に話しかけてお店を探す、ガイドブックはほとんど見ない、旅の計画は決めすぎない…。彼女の旅先での話を聞いていると、どれも挑戦的で行動的なもの。つい「無防備すぎませんか? 大丈夫なんですか?」と言いたくなりますが、それは彼女がいつも通りに日常の延長を楽しんでいるからこそなのでしょう。
旅先には、いつもの香りと気分で選ぶ洋服を
そんな彼女に、旅行に必ず持っていくものを聞いてみたところ、「滞在日数以上の洋服」「アロマキャンドルやルームフレグランス」「パジャマ」との回答。こちらも、日常を感じさせるセレクトです。これらを旅先へ持っていく理由を、彼女は次のように語ってくれました。
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「自由気ままな旅ということもあって、高級でおしゃれなお店に行く日もあればローカルなお店へ行く日も、街を散歩するだけの日やアクティビティに参加するような日もあります。だからこそシチュエーションに合わせた洋服選びをしたいんです。ホテルのクローゼットを自分のお家のクローゼットのようにするため、滞在日数以上の洋服を持っていきます。そのうえ、現地で買うことも多いので、帰りの荷物はパンパンです(笑)。
ルームフレグランスは、ホテルのお部屋の居心地を良くするために大切なアイテム。小瓶に入れたフレグランスや小さなアロマキャンドルなど、重くない範囲で持っていって、トイレやバスルーム、ベッドの近くに置いて使うようにしています。
海外の人が日本に来ると『日本はお醤油の匂いがする』というのと同じで、どこに行ってもその土地ならではの香りがするじゃないですか。でも、自分の香りを持っていくと不思議と落ち着けるんですよね。香りアイテムは旅行の持ち物として外せないもののひとつになっています。
落ち着くという意味ではパジャマも必須。もちろんホテルにもパジャマは置いてあるんですけど、家で着ているものを着ると落ち着き具合が違うので」
こだわりの荷物を語り終えた後で松島さんは照れ臭そうに笑いながら、こう続けました。「話してて思ったんですけど、私、本当に荷物が多いですよね(笑)。でも、パッキングは得意なんです。パズルのように入れるのが楽しくて、友達のぶんもやってあげちゃうくらい」
いつもとは違う体験ができる旅先に、いつも使っているアイテムを持ち込む松島さん。そのこだわりは、まるで自身の生活を旅に溶け込ませているかのようだと感じました。
「ここでなら住める」家族と行ったスペインでの思い出
「あの、旅に関するインタビューをしていただきながら申し訳ないんですけど、私、東京が大好きなんです」
インタビューの途中で、松島さんはそう語り出しました。旅が日常の延長にあるかのように過ごす彼女ですが、それは普段の東京での生活が好きだからこそなのかもしれません。
しかし、10年以上前、家族で訪れたスペインの街で彼女は初めて「ここでなら住めるかも」と思えたのだそうです。
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「気候、人柄、ご飯…すべてにおいて魅かれたんですよね。その旅行が特別だったのかもしれないんですが、出会う人、みんなが温かかったんですよ。
特に印象深いのは、電車の乗り方がわからなかったとき。1人の人に質問したはずなのに、その場にいた人たちがたくさん寄ってきて、みんなで教えてくれたんです。老若男女問わず、知り合いでもない人たちが自分たちから助けてくれたり、おすすめの行き先を教えてくれたり。聞いたこと以上のことを教えてくれることなんてあるんだって感心しました。見過ごすこともできるような状況なのに、言葉がわからなくても一生懸命答えてくれる姿が本当に嬉しかったんです。
街並みや建築物も本当に素敵。ただ歩いているだけで美術館にいる気分になれました。体が慣れるのもすごく早かったな」
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家族旅行も基本的にはノープランだという松島さん。バルセロナの市場で食材を買って、ホテルで簡単なサンドウィッチを作り、公園で食べた日もあれば、お父さまの思いつきでバルセロナから1時間くらいの位置にある、街全体が世界遺産の街・タラゴナを訪れた日もあるといいます。
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「タラゴナで見た夕日が忘れられないんですよね。夕日が落ちていくのを見ながら、家族でいろんな話をしました。あのときの景色は、もう10年ほど前のことなのに、すごく鮮明に覚えていますね。
それ以来、スペインに行けていないので、今の情勢が落ち着いたらスペインにはまた行きたいです。スペインなら2~3カ月くらいアパートを借りて住んでみたいな」
スペインの日常に溶け込んだことで起きたセレンディピティ。こんな出会いがあったからこそ、スペインでの旅が忘れられないものとなったのでしょう。
東京という街が好き、それでも旅をする理由
最後に松島さんに旅行が好きな理由について語ってもらいました。
「東京という街が好きで、どこの国に旅行に出かけても、結局は日本に帰国すると安心します。それに、癒しを求めて旅行をすることはあっても、日常に窮屈さを感じたこともないんですよね。
なので、旅をする理由としては、『新しい場所を知りたい』『見たことのない景色を見たい』という気持ちがあるから。新しい場所を見ると、今まで自分の中になかった表現力やエネルギーを吸収できます。それに新しいアイデアを思いついたりもする。新しい自分を探すために!と意気込むことはないんですけど、ふとした瞬間に新しいものを得られるから、旅行が好きなんだと思います。心身ともにストレス発散というよりは、刺激を求めてるんだと思いますね」
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彼女が旅を日常の延長ととらえ、自分自身をその街に溶け込ませているのは、癒されたいからではありません。あくまでもいつもの自分のまま、現地の人と同じ景色を見て、現地の人が好むものを食べ、現地の人と同じ手段で移動する。そうすることで、今まで出会ったことのない感情に出会うためなのだと感じさせてくれました。
インタビューの一覧はこちら
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OnTrip JAL 編集部スタッフが、いま話を聞きたいあの人にインタビュー。旅行にまつわるストーリーをお届けします。
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