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ロシアの有名バレエ団、ロシア国立モスクワクラシックバレエ団そしてロシア国立プリモールスキーオペラ・バレエ劇場(現・ロシア国立マリインスキー劇場プリモールスキーステージ)のソリストとして活躍したバレエダンサー・角山明日香さん。
ツアーではロシアだけでなく世界各国・地域の舞台を回っている角山さんですが、かつてはモスクワで15年間、さらにウラジオストクで3年間を過ごしてきました。そんな角山さんに、注目の観光地・ウラジオストクの魅力やおすすめのお店、過ごし方を聞きました。
文:安楽由紀子 写真:きくちよしみ
画像: バレエの国・ロシアを熟知するバレエダンサー・角山明日香さんが語るウラジオストクの魅力

5歳のときの情熱を持ち続けてモスクワへ

OnTrip JAL編集部(以下、JAL):バレエを始めたきっかけを教えてください。

角山明日香(以下、角山):5歳のとき、母に親子向けのバレエ公演に連れていってもらったことがきっかけです。私は記憶がないのですが、そのときものすごくエキサイトして、観た直後から「バレエを習いたい」と言い出したとか。その後に観たのがロシア国立ボリショイバレエアカデミーの日本公演だったのですが、「ここに入りたい!」と言っていたそうです。

小学生の時に、薄井憲二先生が主宰されていたロシアバレエインスティテュートに入り、ボリショイバレエアカデミーの先生方にバレエを教わり始めました。その頃はレッスンが週3回しかなかったのですが、先生からの「ダンサーを目指すならば毎日レッスンをした方が良い」というアドバイスのもと、紹介していただいた岸辺光代先生のバレエスタジオでもご指導をいただくようになりました。

バレエにはさまざまな流派がありますが、私はロシアのバレエが好き。ロシアのバレエは手の使い方など上半身の動きが美しく、ダイナミックな動きが多いんです。ボリショイ・バレエ団の映像は、VHSのビデオが本当に擦り切れるくらいに繰り返し見ました。13歳から念願のボリショイバレエアカデミーに留学しました。

JAL:憧れのロシアに渡ったんですね。でも、13歳で親元を離れて大変だったこともあったのでは。

角山:寮生活だったのですが、子どもたちに危険がないようにという学校の配慮で、13歳のときは外出が30分だけと決められていたので日用品などの買い物が大変でした。親との連絡も今のように携帯電話やインターネットがあるわけではないので難しい。寮の共用電話は1週間に10分だけと決められていたのですが、10分なんてあっという間です。

日本が恋しくて、送ってもらったドラマのビデオを日本人留学生たちと一緒に見るのが楽しみでした。でも、生活面で大変なことがあっても、毎日朝からレッスンがあり大好きなバレエをするには最高の環境だったので、今となってみればそれほど大変なことでもなかったと思います。

画像: 5歳のときの情熱を持ち続けてモスクワへ

ロシアでもプロのダンサーになるのは狭き門

JAL:学生時代はモスクワ観光を楽しむ余裕はあまりなかったのでしょうか。

角山:学校が休みのときは散歩をしたり、バレエを鑑賞したりしていましたよ。学校の生徒はバレエを無料で観られたので、本当によく劇場に行っていました。

JAL:バレエの公演がそんなにたくさんあるのですか。

角山:ロシアではバレエは身近なもので、毎日のように劇場でバレエの公演が行われています。チケットもそこまで高くないので、デートでも映画館に行くような感覚で「ちょっと劇場に行こうか」と気軽に劇場に行きます。バレエに限らず音楽、美術など芸術が生活のそばにあるような印象を受けます。

JAL:とすると、ロシアにはバレエを習う人がたくさんいるんでしょうね。

角山:いえ、お子さんの習い事や大人の趣味としてバレエが定着している日本とは違い、ロシアでバレエを習うとなると、基本はバレエ学校になります。バレエ学校はバレエダンサーを育成する専門学校のようなもの。入学するには、技術だけでなく体形なども含めた選考に残らなければなりません。とても高い倍率の中で選考されるという厳しさです。

入学してからも8年間のレッスンでどんどん振り落とされ、残った子たちでもプロになるための国家試験に合格できるかできないか……というところです。ロシアではバレエダンサーは極めて専門性の高い職、日本における国家公務員のような待遇を受けています。

JAL:バレエダンサーになるための国家試験があるとは驚きました。バレエ文化がそれだけ大切にされているということなんでしょうね。

おしゃれでかわいいカフェがたくさんあるウラジオストク

JAL:ボリショイバレエアカデミーで5年間学んだのち、ロシア国立モスクワクラシックバレエ団に入団。モスクワでの活動を経てウラジオストクに移られたそうですね。

角山:はい。モスクワクラシックバレエ団で約10年活動したあと、その先生がウラジオストクにできたロシア国立プリモールスキーオペラ・バレエ劇場(現・ロシア国立マリインスキー劇場プリモールスキーステージ)に移籍するというので、スカウトしていただいて移りました。

ウラジオストクでは2013年から2016年まで活動しました。モスクワとウラジオストク、合わせて18年間ロシアにいたことになりますが、今思えばあっという間でした。

画像: おしゃれでかわいいカフェがたくさんあるウラジオストク

JAL:ウラジオストクはどんな街ですか。

角山:あくまで私が感じたことですが、ウラジオストクの人々は明るくオープン。中国人や韓国人の留学生、旅行客も多く、日本人もなじみやすいところだと思います。そして、おおらかな人が多い。個人商店では定休日ではないのに店主の都合で突然休業ということが珍しくないですし、電車やバスは時刻表がない場合もあり、来たら乗るという感覚(笑)。みんなそれをイライラすることもなく受け止めている雰囲気があります。

JAL:日本とは感覚が違っておもしろいですね。ウラジオストクならではの楽しみはありますか。

角山:たまにカフェめぐりをしていました。ウラジオストクには内装が凝っているおしゃれでかわいいカフェがいっぱいあるんです。海も近いのでお散歩も楽しい。

海に囲まれて育った日本人だからか、海がそばにあるというだけで心が楽になる感覚があります。ウラジオストク市街地の西側にあるスポーツ湾沿いは気持ちがよくてアイスクリームを食べながら歩くのにぴったり。スポーツ湾沿いにも素敵なカフェやレストランがありますよ。

シーフードとワインを楽しんで、そして劇場へ……

JAL:ウラジオストクでおすすめの料理はどのようなものでしょう?

角山:海が近いということで、現地の人はよくホタテを食べています。私も漁師さんから直接買って家で料理をして食べていました。私の場合は焼いてしょうゆバター。現地の人も焼いて塩コショウ、ワインを合わせているようです。新鮮で身が大きくて本当においしいですよ。

ロシアの伝統料理、ボルシチもおすすめです。お店や家庭によって、隠し味が違ったり、使っているお肉の部位や野菜が違ったりして個性があります。

JAL:角山さんが実際によく行っていた、ウラジオストクでおすすめのお店はありますか。

角山:お酒を飲むならバー「Moonshine(ムーンシャイン)」。カジュアルですが落ち着いた雰囲気で、さまざまな国から来た知識豊富なバーテンダーさんがいらっしゃるんです。

バレエ団のダンサーたちがよく集まっていたのは「Zuma(ズーマ)」。オリエンタルなインテリアの店内で、おいしいシーフードが楽しめる人気店。「Pazzo Coffee Lab(パッツォコーヒーラボ)」はカジュアルなイタリアン。若い女性に人気で、誕生日パーティなどはここで開くことが多かったです。

JAL:どの店もおいしそうです。ウラジオストクを旅行するなら、やはり夏がおすすめですか。

角山:もちろん夏は過ごしやすいのですが、冬もおすすめです。寒いけれども雪景色がとてもきれいなんです。ヨーロッパ的な重厚な建築とモダンな建築が混ざっていて、雪景色が映えて美しいんですよ。

JAL:角山さんが活躍されていたマリインスキー劇場プリモールスキーステージも特徴ある建築ですね。正面が一面ガラス張りになっていて、海が望めて開放感があります。

角山:ぜひ劇場にも足を運んでいただきたいです! バレエだけでなくオペラやオーケストラも楽しめます。観光客の方もチケットが気軽に取れますし、服装はジーンズ以外ならカジュアルでOK。もちろん、ちょっとドレスアップして開演を待つ間や幕間にシャンパンを飲んだりすると非日常的な気分に浸ることができます。

ダンサーの仕事は、みなさんに非日常をお届けすること。旅行そのものも非日常ですが、劇場はさらに違う世界に入っていただけると思います!

画像: シーフードとワインを楽しんで、そして劇場へ……

マリインスキー劇場公式webサイト

JAL:ウラジオストクで気をつけたほうがいいことはありますか。

角山:一般的な海外旅行同様、スリに気をつけることと、夜遅くに女性だけで出歩かないほうがいいということでしょうか。

英語は、ウラジオストクは比較的話せる人が多いと思いますが、通じなくてもレストランでは英語のメニューがあるのでなんとかなります。先ほども言いましたように、おおらかなところがいいところ。あまりきっちりプランを立てず、余裕を持って楽しんでほしいと思います。

忙しい中でも時間をみつけて旅をする

JAL:ロシアを拠点として他の国にも行きましたか。

角山:ツアーが1年に何回かあり、合計20カ国ほど行きました。アメリカは毎年行っていましたし、他にもイスラエル、インド、ベルギー、モロッコ、中国など、幅広くたくさんの国を回りました。

JAL:印象的な国や地域はありますか。

角山:ハンガリーの野外劇場で「白鳥の湖」を踊ったのですが、ハンガリーの方は感動すると拍手だけでなく足を踏み鳴らすのだそうです。足踏みの振動で舞台が揺れるほどで、踊った私たちも感動しました。

JAL:それは嬉しい体験ですね。ツアーで各国を回っているときは、あまり観光する時間はなかったのでは?

角山:時間はみつけるんです! 公演によって3日程度の短い滞在もあれば、1カ月に及ぶ長い滞在のときもあります。ドイツでは1カ月半で43公演あったこともあります。

長い滞在のときは休演日がありますし、短期間でも舞台はだいたい夜7時からなので、早起きして出かけることもあります。イタリアでは往復5時間ほどかけてベネチアに行きました。計画的な観光ではないので珍道中ですが、それもいい思い出です。

JAL:改めてプライベートの観光で行ってみたいと思うところはありますか。

角山:ベルギーですね。ブリュッセルのグラン・プラスという広場を囲む建物が美しくて美しくて、ずっとそこに佇んでいたくなりました。ベルギーワッフルもおいしいし、フルーツビールもおいしくてたくさん飲みました。イスラエルの街も美しくてグッとくるものがありました。

JAL:やはり美を表現するバレエダンサーだけに、建物の美など美しいものに興味があるようですね。

角山:そうですね。美術や音楽も含めて芸術全般に興味があります。特に絵が好きで各地の美術館にもよく行きます。プラド美術館(スペイン)なんて何回も行きました。中世から近代の人物画を見ると、首の角度などバレエの参考になり刺激になります。

JAL:飛行機での移動の場合、機内ではどのように過ごしていますか。

角山:ツアーで移動するときはだいたい寝ています。人によってお酒を飲んだりおしゃべりをしたりしてワイワイ過ごしていますが、私は休息の時間と捉えて静かに過ごしています(笑)。長時間座っていると足のむくみが気になるので、みなさんのご迷惑にならない範囲で時々座ったままストレッチをしています。

来日した友だちが喜ぶのはディズニーランドとお菓子

JAL:日本でおすすめの観光スポットはありますか。

角山:日本に来た友だちが喜ぶのは浅草。いかにも日本という雰囲気が楽しいようです。ディズニーランド、ディズニーシーも人気です。ふだん自分たちが非日常の世界を提供しているので、逆に自分たちが旅行するときは非日常を思い切り楽しみたいのかも。といっても、ショーはついダンサーとしての視点で見てしまいます。

JAL:みなさん日本の食べ物はどんなものがお好きなんでしょうか。

角山:もちろんお寿司と、あとはラーメンが大好きですね。お菓子も「かわいい」とおみやげに人気。特にデパートで売っているお菓子は一個一個、凝った包装がされていますよね。それがワクワクするようです。和菓子屋さんの金平糖もかわいらしいとよく買って帰っています。

画像1: 来日した友だちが喜ぶのはディズニーランドとお菓子

JAL:確かに、日本にはかわいらしいお菓子が多いですね。最後に、今後の活動について教えてください。

角山:大きい目標としては、18年間、ロシアで学んできたことを次の世代に伝えていきたいと思っています。国からの支援があるロシアと日本とではバレエのありかたがまったく違います。同じような環境を提供することは難しいけれども、ロシアから素晴らしい先生たちやダンサーを招待して少しでも本場の空気感を感じてもらえるように、プロになりたい子たちをできる限りサポートしていきたい。同時に、大人の方にもバレエの楽しさを知っていただけるように活動していきたいと考えています。

近い目標としては、2020年2月8日、9日に東京文化会館で日本バレエ協会が2020年度都民芸術フェスティバルの参加公演として上演する「海賊」という作品のバレエ・ミストレスのひとりに選んでいただいたので、ダンサー、スタッフの皆さんと成功できるようにがんばっています。

バレエ・ミストレスはダンサーのサポート役。2018年もこの都民芸術フェスティバル公演のアリーエフ版「ライモンダ」のバレエ・ミストレスを務め、素晴らしい経験をし、とても勉強になりました。2020年はウクライナから演出家のヴィクトール・ヤレメンコ氏を招聘し、日本のトップダンサーが集結。「海賊」の世界を作り上げます。いろんな方に楽しんでいただける作品だと思いますので、ぜひご覧いただきたいです。

画像2: 来日した友だちが喜ぶのはディズニーランドとお菓子

スタジオマーティ
https://www.studiomarty.co.jp/tokyo-mitakeio/

都民芸術フェスティバル
https://tomin-fes.com/list/ballet01.html

角山明日香(かくやま・あすか)

5歳よりバレエを始める。岸辺光代に師事。1998年よりロシア国立ボリショイバレエアカデミーへ留学。2003年に同校を卒業後、同年9月よりロシア国立モスクワクラシックバレエ団へ入団。同団でさまざまなレパートリーを踊り、多数の海外公演へ参加。2013年退団後、ロシア国立プリモールスキーオペラ・バレエ劇場へ(現・ロシア国立マリインスキー劇場プリモールスキーステージ)入団。2014年ソリストへ昇格。同団で多数のソリストパートを踊る。2016年に同団を退団後、帰国し指導にあたる。2018年度都民芸術フェスティバル「ライモンダ」でバレエ・ミストレスを務める。

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