旅の楽しみのひとつ、それはその土地ならではの食文化を知ること。ご当地グルメを味わうだけでも十分満足できますが、その成り立ちを知るとともに、実際に手作り体験ができるアクティビティが増えていることをご存じでしょうか。そんな、旅の体験をより深く学びあるものにする、おすすめアクティビティを提案します。

エリアは北から南まで、ジャンルはスイーツに家庭料理、珍味まで。それぞれ幅広い選択肢をご用意しました。自由に旅に出られる日がきた時のために、お好みの体験メニューを探してみませんか。

【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能

「あきたこまち」で知られる米どころ・秋田では、ご飯をおはぎのようにして味わうきりたんぽ鍋が郷土料理として有名です。県北の大館市では2015年から毎年「本場大館きりたんぽグランプリ」が開催されていて、その初回と第二回大会で連覇を果たした作り手が「ベニヤマきりたんぽ工房」。こちらでは、きりたんぽの手作り体験をすることができます。

画像1: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能

きりたんぽの成り立ちには諸説あるものの、マタギがルーツとか。狩猟の際に持参していたおにぎりを、温かくして食べるために枝に刺して焼いたものが広まったといわれています。「たんぽ」というのは稽古用の槍に付ける、綿を丸めて包んだ「短穂」のことで、この形に似ていることから名付けられたそうです。

画像2: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能

切る前のものは「たんぽ」と呼び、味噌を付けて味わう「みそつけたんぽ」も現地ではポピュラー。また、ただ潰してご飯を丸めたものは「だまこもち」であり、県央地域や沿岸部の能代山本地方ではこちらのほうがメジャーです。

工房での体験は約2時間。まずは講師のレクチャーを受けながらお米を潰して、おにぎり大のご飯ダネ作り。きりたんぽ用の串にご飯ダネをほどよく延ばし付け、炭火で焼きます。その次は、前述の「みそつけたんぽ」の試食。お米の香ばしさと甘い味噌がマッチして、驚きのおいしさを楽しめるはず。

画像3: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能
画像4: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能

次はいよいよ鍋作り。焼き上がったたんぽと野菜を切り、地元名産の比内地鶏と特製のスープを入れて仕上げていきます。きりたんぽに味が染み込んだらお待ちかねの試食。名古屋コーチン、薩摩地鶏と並び日本三大地鶏のひとつに挙げられる比内地鶏のダシも、格別のおいしさです。

画像5: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能
画像6: 【秋田】地元No.1の「きりたんぽ」を鍋と味噌焼きで堪能

大館駅からは徒歩4分と、交通のアクセスも至便。手軽で満足度の高い手作り体験としても、おすすめです。

ベニヤマきりたんぽ手づくり体験

住所秋田県大館市御成町2-16-25 ベニヤマきりたんぽ工房内2F
電話0186-59-7773
体験営業時間10:00~14:00(予約制)
定休日不定休
webhttps://beniyamakiritanpo.com/handmade/

【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ

そばは日本人のソウルフードといえる料理ですが、特に長野の「戸隠そば」、島根の「出雲そば」、岩手の「わんこそば」は日本三大そばとして有名。なかでも長野はそばの実の名産地であり、さらに県内屈指のそば処として知られるのが戸隠です。現地には「戸隠そば博物館 とんくるりん」があり、ここではそば打ち体験道場も開かれています。

画像1: 【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ

戸隠のそばの歴史は、平安時代に山岳修験者の携帯食として信州のそば粉が珍重されたことにはじまります。やがて江戸時代になると、上野の寛永寺から当時の戸隠山顕光寺に「そばきり」の技が伝来。それまでは「そばがき」として食べるのが主流でしたが、麺にして食べるそばが広まりました。その後、おもてなしのご馳走から民間の料理へと浸透して今に至ります。

画像2: 【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ

そばの実が高品質な理由は環境にあり。標高1,000m以上の土地では生育に最適な霧が発生しやすく、山の恵みを含んだクリアな雪解け水が清涼なそばを生み出します。戸隠そばの特徴は、一本の棒で丸延ばしする伝統的な打ち方。そして、ひと口大にまとめた麺を5束に盛る「ぼっち盛り」です。

画像3: 【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ

そば打ち体験は約1時間で、名人が基本からレクチャーしてくれます。まずはそば粉を熱湯でかき混ぜるところから。小麦粉と混ぜ合わせて練り、空気を抜いてから手で延ばし、その後麺棒で延ばして広げます。その生地をたたんで切り、茹でて冷水でしめたら完成。自分で作った、打ちたて、切りたて、茹でたてのそばの香りと味は格別のおいしさです。

画像4: 【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ
画像5: 【長野】日本屈指のそば処・戸隠で「そば打ち」の神髄を学ぶ

博物館というだけあって、施設内にはそばの歴史や文化を学べる展示室やお土産コーナーも。そば好きなら一度は訪れるべきといえるでしょう。

戸隠そば博物館 とんくるりん

住所長野県長野市戸隠3018
電話026-254-3773
体験営業時間10:00~15:00(予約制)
定休日水曜日
webhttp://www.togakushi-tq.jp/

【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験

かつては加賀藩のお膝元として栄え、今は石川県の中心地としてにぎわう金沢。城をはじめとする伝統建築に美術館など観光スポットは数多く、文化的なアクティビティにも事欠きません。そんな金沢でおすすめなのが、和菓子の手作り体験。ここでは、老舗の銘菓や伝統工芸品などを一堂に集めた商業施設「石川県観光物産館」で開催されているプランを紹介します。

画像1: 【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験

金沢は、京都や島根の松江と並んで有名な和菓子どころ。背景には、加賀藩前田家の繁栄とともに育まれた豊かな茶の湯文化が影響しています。藩祖の前田利家や二代藩主の利長は千利休の直弟子であり、その後の藩主も茶の湯を奨励していました。そのため、茶の湯に欠かせない菓子の需要が増え技術も向上していったのです。

画像2: 【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験
画像3: 【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験

観光物産館の体験は、現地で長年続く老舗の和菓子職人が講師を担当。なお、指導する御菓子司は交代制なのでその都度違った風味を楽しめます。お茶席で利用されるねりきりあんを、ヘラ、茶巾、ふるいを使って形づくり、繊細で愛らしい四季折々の上生菓子に仕上げていきます。

画像4: 【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験

たとえ初めての人でも安心。見本が用意されているのはもちろん、TVモニターが職人の手元をUPして映し出すので、細かいところまで見て学ぶことができます。そして体験後は自分で作った3個の和菓子と、職人からのお土産1個の計4個を持ち帰りでき、食べ比べできるのも楽しみのひとつ。

画像5: 【石川】ねりきりあんの「和菓子作り」を3種も体験

所要時間は30~40分と手軽なのも魅力的。「石川県観光物産館」は金沢屈指の観光地「兼六園」から徒歩2分の場所にあるので、金沢を訪れる際はセットで計画を立ててはいかがでしょうか。

石川県観光物産館

住所石川県金沢市兼六町2-20
電話076-222-7788
体験営業時間1~11月の平日は13:00~13:40(1・2月の火曜を除く)、土日祝は10:00~15:10、12月の土日月祝は13:00~13:40(予約制)
定休日不定休(webサイト要確認)、12~2月の火
webhttps://kanazawa-kankou.jp/

【福岡】好みの唐辛子やお酒を選んで自分仕立ての「明太子」を作る

ご飯のお供として、パスタの味付けとして、日本で幅広く親しまれている明太子の本場といえば博多。その博多で土産などの販売とレストラン運営などをしている「博多はねや総本家」では、製造工程の見学やオリジナルの辛子明太子を手作りできる「明太子道場」を開催しています。

画像1: 【福岡】好みの唐辛子やお酒を選んで自分仕立ての「明太子」を作る

明太子のルーツは韓国にあります。現地で食べられていた、塩漬けスケトウダラの卵巣「明卵漬(ミョンランジョ)」を、日本人の舌に合う味に仕立てたのが明太子。スケトウダラは韓国語で明太(ミョンテ)といい、その卵=子ということで明太子と名付け、1949年に販売されたのが始まりです。

その後1970年代までは、関東では明太子=九州土産の嗜好品というイメージが強かったものの、1980年代から次第に流通が広がり全国的に見かけるようになったそうです。

画像2: 【福岡】好みの唐辛子やお酒を選んで自分仕立ての「明太子」を作る

「明太子道場」は2名から参加可能。まずは塩漬けされたたらこを昆布とともに袋に入れ、辛さを調節するための唐辛子と、風味付け用の唐辛子2種をふりかけます。そこで一度基本的な辛さの明太子を試食させてもらい、その味を基準に辛さを調整したり、好みで柚子を入れたりして最終工程へ。

画像3: 【福岡】好みの唐辛子やお酒を選んで自分仕立ての「明太子」を作る

最後はダシとともに、日本酒、ワイン、ブランデー、泡盛の中から好みを選んで入れて完成。ちなみに手作り明太子を実際に食べるタイミングとしておすすめなのは、自宅の冷蔵庫で5日間熟成した後。旅の思い出を振り返りながら味わえば、いっそうおいしく感じられるでしょう。

画像4: 【福岡】好みの唐辛子やお酒を選んで自分仕立ての「明太子」を作る

体験時間は約30~40分。「博多はねや総本家」には厳選されたお土産が300アイテム以上そろっているので、ショッピングも楽しめること間違いなし。また、福岡空港から車で約12分、JR博多駅から車で約20分の場所にあって、気軽に行けるのも魅力です。

博多はねや総本家

住所福岡県福岡市博多区月隈6-23-7
電話092-576-9010
体験営業時間9:00~17:40(予約制)
定休日なし
webhttp://hakatahaneya.com/

【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング

亜熱帯の気候や海に育まれた、個性的な食文化も沖縄の特徴のひとつ。その歴史や魅力を現地で楽しく学びながら作って体験できるのが、「テイストオブオキナワ」という飲食店が開催している「料理体験&市場歩きツアー」です。

画像1: 【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング

テーマのひとつが、長寿の食文化。百歳を超えるお年寄りが多いその秘訣を、食材や調理法などとともに学べるのがポイントとなっています。プログラム行程は約3時間。まずはインストラクターとともに近隣の公設市場を巡り、その後はスタジオで調理体験です。

画像2: 【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング

沖縄の料理は、南国ならではの野菜や魚介に、海藻や豆腐、豚肉などを多く用いるとともに、外来の昆布やシナチクなどを取り入れて定着していきました。中国に近いことから薬食同源の考えも強く根付いていて、ヘルシーな自然の素材や煎じ物が多く用いられ、栄養バランスがよいのも特徴です。

画像3: 【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング

スタジオでは、沖縄料理の伝統的な前菜、メインディッシュ、スープ、デザートなどを3~4品作ります。たとえば、ゴーヤチャンプルー、沖縄そば、ラフテー、アーサー汁、サーターアンダーギーなど。戦後の舶来品であるスパム入りの料理やタコライスではなく、より歴史が深く家庭的な料理を作るのもポイントです。

画像4: 【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング
画像5: 【沖縄】市場を巡って食材についても学べる「沖縄料理」クッキング

現在は旅行客からの人気が高く、高校生から年配の方まで利用者はさまざま。チームでわいわい楽しく調理した後の試食は、自然と仲も深まります。そうして体験を経たあとは、沖縄料理に対する愛着もいっそう増すことでしょう。

Taste of Okinawa

住所沖縄県那覇市壺屋1-6-21
電話098-943-6313
体験営業時間10:30~13:30、15:30~18:30
定休日月曜日
webhttps://tasteof.okinawa/

現地で味わう各地の料理は格別ですが、学びながら作ると文化や歴史も知ることができ、旅の思い出はいっそう鮮明に刻まれるはず。見て聞いて、作って食べて五感を刺激できるアクティビティ。食への探求心は尽きないという方は、ぜひ利用してみてください。

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