この記事では、九州の旅の情報誌「みちくさ」編集長の福永栄子さんに、下阿蘇ビーチの「一年中いつでも楽しめる」おすすめスポットやアクティビティを厳選して紹介していただきました。
今は行けなくても、夏に間に合わなくても。落ち着いた頃にふと海が見たいと思ったら、下阿蘇ビーチを訪れてみてはいかがでしょうか。
九州ナンバーワンの美しいビーチ「下阿蘇ビーチ」
環境省が選ぶ快水浴場百選の海の部門で、九州で唯一特選に選定されている下阿蘇ビーチ。5つの選定基準「美しさ」「清らかさ」「安らぎ」「優しさ」「豊かさ」のすべてが高評価で総合的に認められていることからも、下阿蘇ビーチが名実ともに九州一の海水浴場であることがわかります。
下阿蘇ビーチまでは、宮崎空港から東九州自動車道を使い、車で約1時間30分。南北に約1kmにわたり弓なりに続く白砂青松は、古くから「日向松島」と呼ばれ、人々から愛されてきました。遠浅なため、サーフィンよりもボディボードにちょうど良い穏やかな波になっています。
波打ち際で波に打たれたり、少し沖に出て浮き輪でゆらゆら浮かんだりと、波と戯れるだけでも癒されます。また、水に浸からず、ビーチパラソルの下で打ち寄せる波をのんびり眺めるだけでも、十分にリゾート気分を味わえるビーチです。
海水浴場に流れ込む川は河川プールになっていて、子どもたちに人気。例年4月下旬には多くの鯉のぼりが元気に泳ぎ、初夏の空を彩ります。また、テニスコートなどのスポーツ施設もあるので、海からの風を感じながらレジャーを楽しむのもおすすめです。
また、浜辺の植生を観察するのもひとつの楽しみです。夏には海と空の青に映える「浜木綿(ハマユウ)」が咲き誇ります。その名の通り、浜に木綿を垂らしたような可憐な花は、宮崎県の海辺の風景を象徴する県花となっています。
さらに、県の絶滅危惧種に指定されている「グンバイヒルガオ」にもぜひ注目してみてください。行司の持つ軍配に似た形をした葉っぱをしており、夏から秋にかけて4cmほどのラッパ状の花をつけます。朝方から紅紫色の鮮やかな花が開き始めるので、午前中が見頃。見つけたら、傷つけないよう注意しながら観察してみてください。
下阿蘇ビーチでのレジャーをサポートしてくれるのが、ビーチ入り口にある「道の駅北浦」。施設内では情報収集やお土産の購入のほか、お食事もできます。さらに、ビーチ全体に広がる「浜木綿村」と呼ばれるケビンやオートキャンプ場など宿泊施設の受付にもなっており、まさに下阿蘇ビーチを楽しむ総合案内所といえる場所となっています。
ダイビング、シュノーケリングで海と一体になる
下阿蘇周辺にはダイビングやシュノーケリングができるスポットがたくさんあります。かさばるダイビングギアをつけることなく、家族や友人と一緒に手軽にシュノーケリングで海中を覗いてみるのも良いでしょう。そうして水中の世界を楽しんだら、次は気軽にできるダイビング体験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。どちらも、ドライスーツを着用すれば一年中いつでも楽しめます。
サンゴの群生ポイントでは、クマノミをはじめとするカラフルな熱帯魚にたくさん会うことができます。年齢や体力を問わず、簡単にサンゴや熱帯魚に出会えるのが魅力。
下阿蘇ビーチの目の前に浮かぶ島が、宮崎県で一番大きな有人離島「島野浦島」です。その島野浦島の周辺では、日本最大級のオオスリバチサンゴの群生が見られます。浅瀬にも生息しており、素潜りでも鑑賞することができます。直径3mを超える巨体もあり、大きさと個体数が“日本一”として登録されています。
通常のオオスリバチサンゴは皿を並べたように横へ大きく成長しますが、この島野浦島のオオスリバチサンゴ群は、バラの花びらのような特質な形状です。宮崎県の日照時間や水温など、さまざまな要因で形成されたと推測されている、他にはない貴重な存在なのです。
NPO法人ひむか感動体験ワールド | ||
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住所 | : | 宮崎県延岡市東本小路131-5 (延岡市民協働まちづくりセンター内) |
電話 | : | 0982-29-3835 |
営業 | : | 9:00~17:30 |
定休日 | : | 火曜日 |
漁船でのクルージング体験
島野浦島、高島などの島々を、楽しいガイド付きでクルージングできるコースがおすすめです。巨大な岩のアーチ「千貫目(せんがんめ)」をくぐったり、箱メガネでテーブルサンゴを観察したり、壮大な海原で爽快感あふれる体験が堪能できます。
1年を通して気候が良く、空気が澄んでいて、水もきれいです。またクルージングのすべてのコースで、魚へのエサやり体験(エサ代別途300円)や操船体験(無料)ができるので、子連れにもぴったり。
また、島野浦島は、日本一のオオスリバチサンゴの群生や珍しい海食トンネルなどがあることからダイバーに愛されているスポットであり、黒潮に洗われる小魚が多く、県内外から磯釣りファンが足を運ぶ、知る人ぞ知る釣りの名所でもあります。
島内ではトレッキングやシーカヤックも体験でき、宿泊施設もあるので、思いきって一泊してアクティビティを楽しんでみても良いのではないでしょうか。
北浦臨海パーク「海うらら」観光案内所 | ||
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住所 | : | 宮崎県延岡市北浦町古江2501-60 |
電話 | : | 0982-24-5280 |
「ひむか本サバ」や「伊勢えび」など、日豊海岸の美味を心ゆくまで味わう
グルメは旅の最大の楽しみといっても過言ではないでしょう。地元ならではの食材や料理に出合うことは、旅の醍醐味です。日豊海岸ならではのグルメを探しに、道の駅北浦内にある「海のレストラン海鮮館」に行ってみましょう。全54席のゆったりとしたレストランからは下阿蘇の海岸線を一望でき、日豊海岸の新鮮で美味しい海の幸を中心としたメニューのほかに、チキン南蛮などの宮崎を代表する美味しいグルメが楽しめます。
日豊海岸はアジやブリ、タイなどの魚が美味しいことで知られていますが、おすすめは「サバ」です。「サバ」と聞くと、焼き鯖や鯖寿司を連想する方が大半だと思いますが、北浦近海で獲れたサバは別物。特に、この地を訪れた際にぜひ味わってほしいのが「ひむか本サバ」です。
まずは、火を通さずに生の刺身で食べてみてください。醤油を入れた小皿の表面に浮く上質な脂、トロッと溶けるような甘み、噛みしめるのが嬉しくなるサバです。サバの中でも知る人ぞ知る「ひむか本サバ」は、宮崎が誇るブランド魚で内閣総理大臣賞を受賞しています。一口食べれば、これまでの「サバ」の概念が変わることでしょう。
東九州伊勢えび海道
海岸線が入り組んだリアス式海岸の日豊海岸では、伊勢えびの好漁場として長い間伊勢えび漁が営まれてきました。はやい潮の流れにもまれた日豊海岸の伊勢えびは身がしまっていて、水揚げされた後、高値で取引されています。
例年9月から始まる食のイベント「東九州伊勢えび海道」は、旬の味を求めて多くの人々が訪れる延岡の秋の風物詩となっています。「海のレストラン海鮮館」では、この期間にあわせて、伊勢えびのフルコースを味わうことができます。プリプリとした食感の刺身、しっかりとした歯応えの焼き物、伊勢えびの旨みがたっぷりの椀物などを味わえる期間限定の絶品コースは「贅沢」の一言に尽きます。ぜひとも、一度味わっていただきたいコースです。
道の駅北浦 レストラン海鮮館 | ||
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住所 | : | 宮崎県延岡市北浦町古江3337-1 |
電話 | : | 0982-45-3811 |
営業時間 | : | 11:00~20:00 |
定休日 | : | 年中無休 ※年末年始を除く |
月と潮の関係から導かれる貴重な「月の塩」の製造を体験する
道の駅北浦の施設の中でも特徴的な「塩田」。ここでは物産コーナーで販売している「月の塩」を製造しているだけでなく、自分の手で作る製塩体験も行っています。北浦は美味しい海産物が獲れる元気な漁師町で、かつては揚げ浜式の製塩が行われていました。
月の引力によって起こる潮の満ち引きから育まれ、塩職人が心を込めて作った塩が「月の塩」です。美味しい塩の条件は何よりも材料となる海水がきれいなことですが、月の塩は、北浦の美しい海から海水を汲み上げて、昔ながらの製法で時間をかけ作り上げた地元が誇る逸品です。
北浦の美しい海の恵みと月のパワーがたくさん詰まった月の塩は、体が必要としているカリウム・マグネシウムなど多くのミネラルを含み、一般の食塩とは一味違うまろやかさで、料理に使うと素材の味を引き出してくれます。
美味しく、体に良いオリジナルの塩を、自分の手で作ってみてはいかがでしょうか。
また、道の駅北浦内では、月の塩を使った「塩ソフトクリーム」や、体に必要な上質の天然ミネラルを92種類も含んだ健康飲料「北浦の天然にがり」も販売しています。
楽しみ方はあなた次第。自分スタイルの宿泊で特別な時間を過ごす
海辺のキャンプ場Soleil Levant~ソレイユ ルヴァン~
夜には、昼間とは違う時間の流れを楽しみましょう。ビーチに続く松林の中にあるのが「海辺のキャンプ場Soleil Levant~ソレイユ ルヴァン~」。海風を感じられるラグジュアリーな空間を演出してくれるグランピングスタイルのキャンプ場は、特に女性から人気を集めています。
海水浴や海のレジャーの後はBBQを楽しみ、夕暮れの風を浴びながら焚火に癒され、コーヒーを飲みながらホッとひといき。夜空を見上げれば満天の星、目覚めると神々しい朝日が眼前に現れます。
オートキャンプ
自前のテントを組み立てたい方は、オートキャンプがおすすめ。浜木綿村キャンプ場には、間口8m×奥行き10mのオートキャンプサイトを12区画備えています。サイトには、野外テーブル、野外炉、流し台のほか100V電源も完備しているので、快適なキャンプを気軽に楽しむことができます。
ケビン
室内でゆっくりと寛ぎたいという方にはケビンがおすすめ。ケビンは2階建てや平屋建て、バリアフリー、7人でも宿泊できる大型のものなど、さまざまなタイプの棟がある海辺のコテージのような施設です。
全棟にバス・トイレ・冷蔵庫・エアコン・炊飯器・ポット・食器・寝具などが備わっていて、外には常設型バーベキュー台もあるので、屋外で焼いた食材を室内でゆっくりと食べることができるようになっています。キャンプをしたことがない人や家族連れでも気軽に宿泊することができます。
予約しておけば、「塩ちゃんこ」や「塩海鮮」の鍋を用意してくれるサービスも。お好みの食材を地元のスーパーや道の駅北浦の直売所で購入して追加するのがおすすめの楽しみ方です。漁師町ならではの四季の海の幸を堪能してください。
総合案内・受付 道の駅北浦 | ||
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住所 | : | 宮崎県延岡市北浦町古江3337-1 |
電話 | : | 0982-45-3811 |
営業 | : | 9:00~17:30 11:00~20:00(レストラン海鮮館) |
定休日 | : | 年中無休 ※年末年始を除く |
遠くから下阿蘇ビーチの美しさを堪能する
下阿蘇ビーチから車で15分ほど。地下(じげ)の茶屋払川展望台は、下阿蘇ビーチがある北浦一帯を見下ろせる絶景スポットです。約11ヘクタールの茶畑が海に背を向けた形で山の急斜面に広がっており、展望所からの眺めは「日本の里100選」に選ばれています。
お茶や草木が芽吹く頃には、爽やかな新茶のグリーン色と遠くに望む海の青さが織り成す見事な風景が広がり、写真愛好家やプロカメラマンにも人気のスポットです。
透き通った清らかな海、浮かぶ小島に、ストンと海に沈む緑豊かな岬。九州の東海岸の魅力は、美しく清らかな自然と人々の暮らしが広がるウラ(浦)に詰まっています。
歴史的にも海賊伝説やメキシコ王女の秘宝伝承などロマンに満ちた物語が伝えられており、下阿蘇ビーチは、まさに九州東海岸の素晴らしさを濃縮して味わうことができるリゾートなのです。伊勢えび、ヒオウギガイ、トコブシ、アジにサバなど、一年中、どのシーズンにも味わい深い食があるのも魅力です。
旅に出られるようになったら、いつかこのユートピアにあなたも足をのばしてみてはいかがでしょうか。心も体も魂も清められますこと、お約束します。
文:福永栄子
写真提供・取材協力:延岡市、(株)アイロード
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