※価格は税込み表記です。
神戸のコーヒーと喫茶店文化
江戸時代の終わり、1868(慶応3)年に開港した神戸。明治時代になると港町・神戸には海外のさまざまな品物が入ってきました。コーヒー豆とコーヒーを飲む文化もその一つ。生豆で輸入されたコーヒー豆からおいしい一杯を作り出すため、焙煎技術が磨かれ、そしてコーヒーを提供する喫茶店が誕生しました。
現在でも、全国展開する大手コーヒーメーカーの本社が神戸に置かれていたり、古くから営業している喫茶店があったりと神戸は“コーヒーのまち”。そして喫茶店には、コーヒーに合うメニューが豊富に揃い、多くの人を楽しませてくれています。
神戸の人にとって喫茶店とは? と喫茶店の店主さんたちに尋ねてみると、「暮らしの一部。あって当たり前」「老若男女の憩いの場」という声が聞こえてくるほど、神戸の日常に、年代を問わず溶け込んでいる喫茶店。一杯のコーヒーから、このまちの文化を味わうことができそうです。
歴史も味わう。古くから愛される老舗喫茶店
いち早くコーヒーを飲む文化が根付き、今でも歴史ある喫茶店がまちのあちこちに点在している神戸。コーヒーの淹れ方や空間へのこだわりを受け継ぎ続ける老舗喫茶店で、神戸の喫茶店文化を満喫しましょう。
明治時代にインド産コーヒーの輸入を開始した“日本最古の加琲店”|放香堂加琲
“日本最古の加琲店”の看板を掲げる「放香堂加琲」。そのルーツは約190年前。京都で茶の製造・販売を営む「放香堂」が、明治時代に茶の輸出とともにインド産のコーヒー豆の輸入を神戸で行ったのが始まり。1878(明治11)年には新聞広告でコーヒーを宣伝し、さらに当時の絵図に茶と並んでコーヒー豆の販売店を構えた姿が描かれているのが“最古”たるゆえんです。
おすすめは、明治時代当時のものを再現した、石臼挽きの豆で淹れたコーヒー。石臼で挽くことで摩擦熱が伝わりにくく、粒の大きさにばらつきが出るため、苦みと酸味のバランスが良い、爽やかな味わいが生まれるのだそう。そしてフードの一押しは、こんがりと焼いたデニッシュの厚切りトースト。十勝産小豆100%の餡とバターをトッピングするのが人気です。
放香堂加琲
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区元町通3-10-6 |
---|---|---|
電話 | : | 078-321-5454 |
営業時間 | : | 9:00~18:00(L.O.17:30) |
定休⽇ | : | 不定休 |
web | : | https://www.hokodocoffee.com/ |
もとは会員制喫茶店。アンティークが彩る洋館で贅沢なひとときを|北野坂にしむら珈琲店
1948(昭和23)年のオープン以来、70年以上愛され続ける「にしむら珈琲店」。11ある店舗の中でも特別な存在なのが「北野坂にしむら珈琲店」です。レンガ造りの外壁にツタがからんだ瀟洒(しょうしゃ)な洋館は、もとは創業者の自宅。1974(昭和49)年に日本で初めての会員制喫茶店として開店しました。その後、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災を機に一般開放。現在では、多くの人たちがその特別感を満喫しています。
6種類の豆を1種ずつ焙煎しブレンドしたコーヒーは、にしむら珈琲店の看板商品。灘の清酒でも使われる湧水「宮水」が豆の風味を引き立てます。アイリッシュコーヒーなど、北野坂のこの店だけのメニューも。会員制時代からの上質なもてなしを感じつつ、アンティークが彩る空間で味わえば、とびきり贅沢な時間が過ごせます。
北野坂にしむら珈琲店
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区山本通2-1-20 |
---|---|---|
電話 | : | 078-242-2467 |
営業時間 | : | 10:00~22:00(1F喫茶) |
定休⽇ | : | 毎月最終月曜 |
web | : | https://kobe-nishimura.jp/nishimura/shop/ |
商店街で60余年愛される、「炭火焙煎」の萩原珈琲直営店|元町サントス
「元町サントス」は、1928(昭和3)年に神戸でコーヒー豆の焙煎卸業として創業し、手間暇をかけた「炭火焙煎」で深いコクとまろやかな風味を生み出す萩原珈琲の直営店。1960(昭和35)年から神戸元町商店街で営業を続ける老舗です。店の内装などはオープン当時のまま。60年以上愛されてきた空間は、常連客や買い物途中の人などでいつも賑わっています。
ニブラやホンジュラスといった豆を中心にブレンドした珈琲は、しっかりと濃いめのテイスト。ふっくらとした食感のホットケーキは半日~1日寝かせた生地を注文が入ってから鉄板で焼き上げています。ほかにもケーキやプリン、フルーツみつ豆、サンドウィッチにスパゲッティと、王道の喫茶店メニューが揃います。変わらぬ味とサービスを守り続ける商店街の憩いの場です。
元町サントス
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区元町通2-3-12 |
---|---|---|
電話 | : | 078-331-1079 |
営業時間 | : | 8:00~19:00 |
定休⽇ | : | 無休 |
: | @motomati_sant0s |
新しい楽しみ方も。個性的なニューフェイス喫茶
続々と登場するニューフェイスも、コーヒーと喫茶店を愛する神戸らしさを感じさせてくれる個性的な店ばかり。歴史を受け継ぎつつ、今の感性も取り入れながら、新たな楽しみ方を提案してくれる喫茶店をご紹介します。
ノスタルジックな空間でレトロな味わいに浸る|モトマチ喫茶
JR元町駅から北へ徒歩5分ほど歩いた路地にある「モトマチ喫茶」。モスグリーンのイスに使いこまれたカウンター、そしてあたたかな光をともす照明と、懐かしい雰囲気が漂う同店がオープンしたのは2009(平成21)年。築50年ほどの建物に寄り添うノスタルジックなムードが落ち着く喫茶店です。
深煎りのブラジルコーヒーなど、3種類のコーヒーを味わうのは、昭和30~40年代に製造されたカップ&ソーサー。形や色使いが個性的で店の空気感にもマッチしています。そしてお供には、自家製のカスタードプリンを。程よい硬さを残しつつ舌触りはなめらか。しっかりとビターなカラメルが味を引き締める大人のスイーツです。緑色が鮮やかなクリームソーダのちょっとレトロな姿にも心惹かれます。
モトマチ喫茶
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区北長狭通3-9-7 |
---|---|---|
電話 | : | 078-778-0727 |
営業時間 | : | 12:00~18:30(L.O.18:00) |
定休⽇ | : | 月曜(祝日の場合翌火曜) |
ブルーが印象的!モダンでスタイリッシュだけど懐かしさも感じる|DORSIA
真っ青なフロアが個性的な「DORSIA」は、2021(令和3)年にオープン。店内にあるイスやテーブルは、1970年代から営業し、2021(令和3)年に惜しまれつつ閉店した喫茶店「セリナ」から譲り受けたもの。中にはゲーム機のテーブルもあり、時代を感じさせます。加えて、店内にちりばめられたアーティスト平山昌尚(HIMAA)さんがデザインしたロゴやイラストも特徴的。ユニークな世界観を作り出しています。
メニューの豊富さにも注目を。「ドーシアブレンドコーヒー」は深煎り豆を使ったビターな味わい。そしてアツアツの鉄板で提供される「ナポリタン」は、パスタにコクのあるソースが絡む人気メニューです。このほか「クリームソーダ」「自家製プリン」など軽食からスイーツまで充実。一日中、どの時間帯でも満足できること間違いなし!
DORSIA
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区旭通3-1-29 |
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営業時間 | : | 8:00~21:00 |
定休⽇ | : | 無休 |
: | @dorsia_kobe |
空間もメニューも老舗店から継承。古き良き喫茶店をそのまま残したい|自鳴琴
店に入るとまず感じるのは花のフレッシュな香り。「自鳴琴(オルゴール)」には、店の前にも、そしてテーブルの上にもたくさんの花が飾られています。オープンは2022(令和4)年ですが、同じ場所で40年以上親しまれてきた喫茶店の空間とメニューをほぼそのまま継承。花を飾るのも昔の通りなのだとか。
人気は、厚切りのイギリスパンの「ハニートースト」。絶妙な焼き加減にトーストしたパンのサクッとした食感と、バターとハチミツがしみ込んだ優しい味わいがクセになる一品です。そして「クリームソーダ」もおすすめ。中に季節の果物を入れるのも前店から受け継いだこだわりです。現在の店主はもともと前店のファンだったそう。古き良き喫茶店を残したい、その熱い想いも店内に溢れています。
自鳴琴
住所 | : | 兵庫県神戸市中央区元町通3-12-12 1F |
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電話 | : | 080-9742-9722 |
営業時間 | : | 8:00~18:00 |
定休⽇ | : | 火曜 |
一店一店、個性は異なる神戸の喫茶店。ですが、お店の皆さんから伝わってくるのは、コーヒーの文化を紡いできた誇り、そして受け継いだ歴史や空間を大切にする気持ち。訪れた人を包む居心地の良さはそんな土台から生まれたもの。古き良き喫茶店も、新しい喫茶店も。どの店の扉を開けても、神戸らしい味わいが待っています。
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