400万年もの長い歴史をもつ、日本一大きな湖「琵琶湖」。泳げる、遊べる湖としても人気ですが、いま注目したいのは周遊クルーズです。
画像1: 地元グルメと絶景に出合える。おごと温泉港発着の琵琶湖浪漫クルーズ

かつて琵琶湖を支配した「湖族」がいた町、堅田の歴史と文化がまるごと楽しめる「琵琶湖浪漫クルーズ」は、2022年11月12日(土曜日)から9日間、27便で就航します。「湖上を楽しむ」という点においては、琵琶湖では珍しい周遊ツアー。その魅力に迫りましょう。
※「湖族」「堅田衆」は当時その名で存在していた訳ではなく、後々に生まれた造語です

琵琶湖と縁の深い町、堅田

大津市の北部にある町「堅田(かたた)」。琵琶湖に架かる琵琶湖大橋の西岸に位置しています。平安時代から湖上交通の拠点で、船大工の町・漁業の町として栄えてきた、琵琶湖との関わりが深い歴史あるところです。

そして、そこには“堅田愛”あふれる人々がいます。この琵琶湖浪漫クルーズが生まれた背景には、地元を愛する心が大きく影響しているのです。

画像: 琵琶湖と縁の深い町、堅田

琵琶湖の歴史を語る上で外せない、湖族・堅田衆の存在

琵琶湖は、京阪神への水源であると同時に、鉄道がなかった時代の北国からの交通の要衝でした。日本海の海産物をはじめ、さまざまな物資を敦賀で陸揚げし、現在の長浜市にある塩津港へ。再び船積みして湖上を進み、大津・堅田で陸揚げして京都、大坂へと運んだといいます。戦国時代に「近江を制するものは天下を制す」といったのも頷けます。

一方で、琵琶湖の水運は江戸初期まで主に、湖族と呼ばれる堅田衆が掌握し、堅田の町は栄えたといいます。琵琶湖の漁業権や通行権を独占して一時代を築いた集団です。琵琶湖周辺に居城があった織田信長、豊臣秀吉といった権力者も、堅田衆の存在はあなどれなかったというほど。

堅田の町の中でも今堅田と呼ばれるエリアは、腕の良い船大工が多数いたところで、その人々を束ね明治期に創業したのが「杢兵衛造船所」。クルーズで使用している一番丸もこちらで建造された船です。

画像: 琵琶湖の歴史を語る上で外せない、湖族・堅田衆の存在

琵琶湖への愛情あふれる、琵琶湖浪漫クルーズ

琵琶湖浪漫クルーズには、2種類のコースがあります。

一つは「日本酒コース」で、堅田に酒蔵がある「浪乃音(なみのおと)酒造」による日本酒が3種類、それぞれお猪口1杯ずつ提供されます。琵琶湖浪漫クルーズオリジナルのお猪口で楽しむものです。酒の肴に湖魚の佃煮も付きます。

もう一つは「和スイーツコース」。同じく堅田で大人気のどら焼き専門店「和菓子きなせや」による、大納言小豆を使った粒あんのどら焼きが味わえます。琵琶湖浪漫クルーズの焼き印を入れたオリジナルの皮で、近江茶付きです。

画像1: 琵琶湖への愛情あふれる、琵琶湖浪漫クルーズ
画像2: 琵琶湖への愛情あふれる、琵琶湖浪漫クルーズ

クルーズの始まりはおごと温泉港から。船の側面に水車のようなパドルがついているのが特徴の外輪汽船「一番丸」に乗り込みます。その昔、蒸気船だったものを外輪汽船として復元しており、少しレトロな外観が印象的。

画像3: 琵琶湖への愛情あふれる、琵琶湖浪漫クルーズ

航路は、浮御堂から琵琶湖大橋下を通っておごと温泉港へ帰港するルート。船の2階デッキは屋根のないオープンスペースなので、フリータイムはぜひこちらへ。湖風に吹かれて、比叡山や近江富士、沖島といった滋賀ならではの雄大な景色が湖上から楽しめます。何より、琵琶湖大橋の下を通って、南湖と北湖の境界を進むのは、希少な体験です。

画像4: 琵琶湖への愛情あふれる、琵琶湖浪漫クルーズ

一番の目玉は、日替わりの船上案内人によるガイドです。景色の説明や、堅田に関する歴史などを聞けば、目だけでなく耳からも琵琶湖を楽しむことができます。

船上案内人はこのツアーのために募集し、琵琶湖が大好きな地元の人から選出されました。20代から70代まで20名ほどで構成され、毎回違うガイドが担当します。

とにかく琵琶湖好きというだけあり、愛情のこもった熱い話に引き込まれること間違いなし。個々人のアドリブにも期待ができます。ガイド終了後はフリートークもあるので、その方ならではのお話が聞けそうです。

琵琶湖浪漫クルーズ(日本酒コース・和スイーツコース共通)

開催期間2022年11月12日(土)・13日(日)・18日(金)・ 21日(月)・25日(金)・26日(土)・27日(日)
12月3日(土)・4日(日)
発着時間第一便10:30~11:30、第二便13:30~14:30、第三便16:30~17:30
集合時間おごと温泉港(出港入港・雄琴港)
申込サイトhttps://widgets.bokun.io/online-sales/

琵琶湖浪漫クルーズをつくる堅田ブランド

琵琶湖浪漫クルーズは、かつて湖上交通の要衝として栄え、琵琶湖沿岸で最大の自治都市が築かれた堅田の魅力を五感で感じられるアクティビティです。クルーズを支える3社に注目し、それぞれの視点で描かれる堅田の魅力を、深掘りしてみましょう。

陸上とは違う琵琶湖の景色を楽しんでもらいたい。「杢兵衛造船所」

画像1: 陸上とは違う琵琶湖の景色を楽しんでもらいたい。「杢兵衛造船所」

琵琶湖浪漫クルーズを企画・実現するにあたり中核を担ったのは、「杢兵衛造船所」次期六代目・仲野智之さん。同社は2022年に150周年を迎え、今回の「一番丸」はもちろん、ミシガン、アクアライナーなにわ、伊根湾めぐり(かもめ)など、設計から建造に至るまであらゆる要望に応えることができます。

画像2: 陸上とは違う琵琶湖の景色を楽しんでもらいたい。「杢兵衛造船所」

堅田生まれの仲野さん。「歴史を考えると堅田の町は琵琶湖ととても深い縁でつながれてきました。けれども、今まで琵琶湖の周遊には、堅田周辺をめぐる船がありませんでした。『琵琶湖と関わりが深い堅田をもっと知ってほしい!』という地元の方の強い愛を受け、それが琵琶湖浪漫クルーズを考えるきっかけになりました」と語ります。

湖上からだと陸上とは違う景色が楽しめるのも魅力です。「山々に囲まれた壮大な風景。南湖から琵琶湖大橋を通る時の下から見上げる橋、そして視線を下ろすと目の前に北湖の雄大な景色が広がります。ぜひ陸からも湖上からも楽しんでいただきたいです。堅田、ええとこやし」。

画像3: 陸上とは違う琵琶湖の景色を楽しんでもらいたい。「杢兵衛造船所」

琵琶湖が生んだ食文化は、小あゆの山椒煮など湖魚料理に、米どころで水が良いことを活かした日本酒と、さまざま。最近は、地元産の小麦粉も登場しました。琵琶湖浪漫クルーズでは、そんな近江の味を船上で楽しむことができます。

古壺新酒(ここしんしゅ)~伝統を受け継ぎながら、新しいことに挑戦していく~「浪乃音酒造」

画像1: 古壺新酒(ここしんしゅ)~伝統を受け継ぎながら、新しいことに挑戦していく~「浪乃音酒造」

滋賀県は琵琶湖のほとりに、酒造業界ではちょっと知られた3兄弟がいます。長男は釜屋(蒸米係)兼、社長、次男は杜氏、三男は麹屋(もろみ管理)と、3人で酒を醸す蔵元です。創業は1805年と200年以上もの歴史があり、「浪乃音」は、比叡山の高僧が名づけたもので当時から変わっていません。

実は「浪乃音酒造」の中井家は、かつて湖族・堅田衆だったそうです。中井家は漁業の網元的役割をしていて、農民から年貢が納められれば、その米で日本酒を造っていたとか。それが創業以前の酒造りだといいます。

画像2: 古壺新酒(ここしんしゅ)~伝統を受け継ぎながら、新しいことに挑戦していく~「浪乃音酒造」

10代目の当主、中井孝さんは「小さな酒蔵だからこそ小仕込みに徹し、丁寧に丁寧に心を込めて酒造りに日々精進しています」といいます。

また、孝さんの代から杜氏を呼ばず蔵元自らがその役割を担うことにしたり、県の酒造組合で復活させた滋賀県独自品種である日本古来の酒米「渡船」を採用したり、滋賀県で作られている全種類のお米を使うことを試みる酒作りをしたりと、常に挑戦をし続けています。

11代目を継ぐために約4年の修行に出ていた孝さんの長男・充也さんが、福島県・曙酒造での約4年の修行から昨年戻り、すでに新しい試みも。日本酒ファンにとって話題が絶えない酒蔵の一つです。

画像3: 古壺新酒(ここしんしゅ)~伝統を受け継ぎながら、新しいことに挑戦していく~「浪乃音酒造」

日本酒「ええとこどり」のシリーズは、山田錦を使い、すっきりとした口当たりで優しさが口いっぱいに広がる純米吟醸や純米酒などがあります。他にも、季節限定や和のリキュールなどが販売されています。また、毎月第4金曜日・土曜日に行われる「はかり売り」では、その時々で違う種類の日本酒をブレンドするなど、思わぬマリアージュのあるこの時だけのお酒が販売されます。

浪乃音酒造

住所滋賀県大津市本堅田1-7-16
電話077-573-0002
営業時間9:00~17:00
定休⽇土・日曜日、祝日
webhttps://naminooto.com/

地元素材で丁寧に作られたどら焼きが人気。「和菓子きなせや」

画像1: 地元素材で丁寧に作られたどら焼きが人気。「和菓子きなせや」

JR堅田駅から徒歩10分のところ、本堅田交差点にあるどら焼き専門店。2020年春に開店して以来、地元はもちろん他府県からもこの店を目指して買いに来るリピーターが多いお店です。店頭には常時約15種並びますが、大納言小豆の粒あんなどの定番から、フレッシュフルーツを入れた新感覚のどら焼きまで、他では見かけないラインナップが揃います。

画像2: 地元素材で丁寧に作られたどら焼きが人気。「和菓子きなせや」

お店のロゴ、どら焼きの焼き印もすべて柴犬。かわいらしさが先立つので流行の映えスイーツかと思えば、味は本格派です。店主は、京都の名店で和菓子の修業をした後、たまたま住んでいた堅田の地で良い店舗が見つかり独立。ひとりで仕込みから販売まで行います。

画像3: 地元素材で丁寧に作られたどら焼きが人気。「和菓子きなせや」

どら焼きの皮は、滋賀県産小麦粉「淡海人」を使います。他に、卵や砂糖、ハチミツに少々の水あめを入れて、厚みのある銅板で焼き上げます。生地だけでも6種類あるというこだわり。また、旬の時期には滋賀県産のイチゴを使うなど、地元産素材を積極的に使用。滋賀ならではの味が楽しめるどら焼きです。

和菓子きなせや

住所滋賀県大津市本堅田3-11-16
電話077-574-7062
営業時間10:00~19:00
定休⽇火・水曜日
webhttps://wagashi-kinaseya.com/

琵琶湖浪漫クルーズの前後に楽しみたいスポット

日の出を楽しめる温泉。「おごと温泉」

画像: 日の出を楽しめる温泉。「おごと温泉」

おごと温泉は、ph値9.0の美肌温泉といわれています。約1200年前の平安時代に、比叡山の伝教大師最澄により開湯した、ph値が高いアルカリ性単純温泉です。

上質のおもてなしを心得る旅館・ホテルは9館(日帰り入浴できるのは4館)。目の前に広がる琵琶湖を一望する露天風呂は圧巻で、日本でも有数の「日の出を楽しめる温泉」としても人気です。おごと温泉にチェックインする前後に琵琶湖浪漫クルーズを楽しむのがおすすめ。

近江牛を気軽に味わえる。「おごと温泉観光公園」

気軽におごと温泉を楽しめる無料の足湯をメインに、地元名産の柚子商品などのおみやげ販売、地元食材にこだわった料理が揃うカフェがあります。

画像1: 近江牛を気軽に味わえる。「おごと温泉観光公園」
画像2: 近江牛を気軽に味わえる。「おごと温泉観光公園」

施設内の足湯カフェ「コトコトコットン」では、わらび餅ドリンクといった喫茶メニューや近江牛を使った食事メニューが楽しめます。お米は、地元の棚田でつくられている棚田コシヒカリを使うというこだわりも。人気は、リーズナブルに近江牛が味わえる「近江牛焼肉丼」(1,300円)。また、比叡ゆばを使う「あんかけ湯葉うどん」(750円)も女性に人気です。

画像3: 近江牛を気軽に味わえる。「おごと温泉観光公園」

すべてセルフサービスなので、ソフトクリームを食べたり足湯につかったりと、自分のペースで楽しめます。休憩やトイレだけの使用も可能です。

おごと温泉観光公園

住所滋賀県大津市雄琴1-2-17
電話077-578-3750
営業時間8:00~18:00 ※カフェは9:30~17:00、食事は11:00~(16:00L.O.)
定休⽇年末年始
駐車場40台
画像4: 近江牛を気軽に味わえる。「おごと温泉観光公園」

琵琶湖浪漫クルーズで湖上から、そしてツアー前後に陸上から、どちらも楽しむのが堅田観光の一番おすすめの方法。

近江八景・広重の浮世絵「堅田の落雁」で名高い「浮御堂(うきみどう)」こと満月寺や、堅田の歴史や文化が学べる「湖族の郷資料館」、琵琶湖に唯一ある高さ8mの木造「出島の灯台」など、見どころは随所に。

クルーズで振る舞われる日本酒の酒蔵「浪乃音酒造」や、どら焼きの「きなせや」に立ち寄ってお土産を購入することもできます。陸上でのガイドは、琵琶湖浪漫クルーズ琵琶湖浪漫クルーズ琵琶湖浪漫クルーズの受付時に配られるまちあるきマップ「堅田めぐり」を活用してください。

琵琶湖浪漫クルーズ申込ページ
https://widgets.bokun.io/online-sales/

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