皆さまにとって、旅はどんな存在ですか?
日本航空 人財戦略部 中島
私にとって旅は、日常から離れ、旅先での体験から刺激をもらうことができる活力となっています。そして、JALグループの社員として、世界のお客さまの「旅」の一部分である移動をサポートしていることに、いつもやりがいを感じています。
今回は、ご高齢の方々にとって旅をリハビリや健康維持のモチベーションにしていただきたい!という想いで実施した「介護予防ツアー」について、お話をさせていただきます。
※『介護予防ツアー』とは、近畿日本ツーリスト株式会社、早稲田エルダリーヘルス事業団、株式会社3eeeと共同で JALが開催した限定のツアー。東京都内、北海道内の介護予防施設に通っている34名のお客さまにご参加いただきました。
社内組織横断プロジェクトチームから発案された介護予防ツアー
JALグループでは、グループ各社から社員が集まり、社内のダイバーシティ推進について研究をする社内横断組織「JAL D&Iラボ」という活動があります。2015年の設置当初は企業における女性の活躍推進、2016年以降は多様な社員の活躍推進をテーマに研究を行っています。この活動において、「介護と仕事の両立」をテーマに研究を行っていたチームが、介護についての理解を深めるため早稲田イーライフ(※)にてフィールドワークを実施しました。その時にご協力をいただいた、軽度の介護認定を受けている高齢者の方の「昔は色々なところに旅行に行って楽しかった。もう一度行ってみたい。」というお話からヒントを得て、2017年に「介護予防チャーター」を発案。旅をあきらめている方の力になりたいとの想いで、2018年11月は大分で第1回目となる「介護予防チャーター」を実施しました。そして、翌年の2019年11月、第2回目の有馬温泉を巡る「介護予防ツアー」を開催しました。
※「早稲田イーライフ」は、早稲田エルダリーヘルス事業団が運営する、高齢者の健康をサポートするフィットネスジムのようなデイサービス。介護予防を目的として全国122拠点において展開しています。
JALだからこそできること
軽度の介護認定を受けている方々は、運動機能に差はあるものの、旅に不安がある方がほとんどでした。そのため、先ずはお客さまの不安を取り除くためにJALとして何ができるのかを考えました。その一つが、JALの格納庫がある羽田までお越しいただき、整備場をご見学いただくというものです。普段の生活では訪れることのない場所へ、遠足に行く感覚で参加いただき、格納庫内を徒歩で見学いただいたことがお客さまにとって小さな成功体験となり、本番の旅がもっと楽しみになったかと思います。
また、何と言ってもJALがサポートできるのは安心できる「空の旅」というところで、お客さまの情報、必要なサポートなどを空港・客室のスタッフと共有し、即座に対応が取れるよう事前に綿密な連携を図りました。
ツアーに同行したスタッフと、空港スタッフとが連絡を取り合い、連携ができていたことで、予定していたスケジュールから大幅に遅延して空港に到着した場合でも、空港に到着してすぐに受託手荷物の預け、飛行機までスムーズにご案内することができました。
「来年、またみんなと旅行したいから元気でいなくちゃ!」と言われた瞬間
2019年のツアーには、その前年の1回目にご参加いただいたリピーターの方も多くいらっしゃいましたが、「これを楽しみにリハビリ頑張ったの!」と言われたときは、このツアーをやって良かったと心の底から思いました。お客さまにとって、旅が健康を保つモチベーションになっていることを目の当たりにし、航空会社の社員として、皆さまがこの先もずっと安心して旅に行っていただけるよう旅へのハードルを下げるため取り組まなければならないという責任も感じました。
行く前は「車いす使おうかな」と言っていた方も、実際現地では「やっぱり、頑張って歩いてみる!」とおっしゃってくださいました。
また、旅は日ごろの健康維持のモチベーションになるだけでなく、非日常の場所に出かけことでいつもと違う段差、いつもと違う動きができる、旅そのものがリハビリにもなるという新たな気づきがありました。
社員のアイデアで始まり、2年連続実現に至った介護予防ツアーですが、旅の力・可能性を信じ、JALグループはこれからも移動にバリアを感じる方々が安心して旅行できるようアクセシビリティの向上に取り組んでまいります。
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