世界最大の自動車メーカーとして知られるトヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、TOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)というモータースポーツ活動を担う組織を社内に有しています。このたびJALはTGRとコラボレーションを行い、JALで開発したオリジナルトートバッグとTGRで開発したオリジナルポーチ・カーボンキーホルダーをセットで販売します。航空会社と自動車メーカーのモータースポーツ組織。そう聞くと不思議に思われるかもしれませんが、業種の垣根を越えたパートナーシップの背景には、ひとつの理念がありました。
画像: TOYOTA GAZOO Racing×JAL。サステナブルなアップサイクル商品開発の舞台裏

この日、トヨタの本拠地である愛知県から、東京にあるJAL本社を訪れたのは、岩本真帆さん。GAZOO Racing Company で、オリジナルグッズの開発を行うスタッフです。訪れた目的は、JALとのコラボレーション開発の最終調整を行うためです。

クルマの楽しさを広めるTGRと、サステナビリティ分野でコラボレーション

TGRは、会長の豊田章男氏の想いのもと、100年先もモータースポーツやスポーツカーを通してたくさんの笑顔・喜びや感動・興奮をお届けすることを目指しています。WRCやWEC、ニュルブルクリンク24時間耐久レースなど、世界でも名だたるレースで実績を残し、レースで培った技術を市販車に投入する「GR」ブランドの車両を開発、クルマ好きにはすっかり名の知れた名前となりました。そんなTGRとJALが出会ったのは、2020年のこと。JAL中部支社の神永周輔が振り返ります。

画像: クルマの楽しさを広めるTGRと、サステナビリティ分野でコラボレーション

神永「モータースポーツを通じてもっといいクルマ作りを、またカーボンニュートラルを目指すTGRの理念に、同じくモビリティを扱うJALとしても共感し、TGR のラリーチームのパートナーとして参画しました。しかしコロナ禍ということもあり、具体的な取り組みをする機会にはなかなか恵まれませんでした」

2024年4月、定期的に実施してきた施策会議の中で、サステナビリティに関連した取り組みをしようという方針が固まりました。

神永「これまでTGRとJAL、ラリーファンと航空ファンの拡大を主な目的とすることが多かったですが、共にCO2削減を目指す企業として、新しくサステナブルな取り組みの一環として、廃材を活用したアップサイクル商品の開発を決めたのです」

何を作るか。互いの素材を実際に持ち寄ってディスカッション

まずは「何を作るか」を決めることになり、プロジェクトは素材の選定からスタートしました。

岩本さん「お互いのアップサイクルできそうな素材を持ち寄って、テーブルに置きました。クルマや航空機の部品やユニフォームなどいろいろ出たのですが、量が少なかったり、すでにリサイクル先があったりと、素材選びはなかなか難航しました」

画像: 何を作るか。互いの素材を実際に持ち寄ってディスカッション

こう語るのは、先述したTGR側で商品開発を担当するトヨタGRマーケティング部の岩本真帆さん。普段はファン向けのオフィシャルグッズなどを開発しています。一方のJALでは、オリジナルグッズの開発やJALショッピングを運営するJALUXの山田峻広がチームに参加しました。

ポーチとキーホルダーの付いた、ユニセックス仕様のトートバッグ

画像1: ポーチとキーホルダーの付いた、ユニセックス仕様のトートバッグ

山田「最初の取り組みということで、当初は極力シンプルなコラボレーションを考え、両社の素材を合わせてひとつの商品を作ることを検討していました。しかし、異なる素材を接着することがとても難しく、それぞれの廃材を活かした商品を作り、セット販売とすることで今回の企画が実現しました。JAL側では国内線普通席(JAL SKY NEXT仕様)で使われていた本革を使って、一見シンプルなものの見る人が見ると『あれ?JALのシート?』と分かるような、素材を全面に活かしたトートバッグに仕上げました」

画像2: ポーチとキーホルダーの付いた、ユニセックス仕様のトートバッグ

岩本さん「TGR側では、トートバッグにすっぽり収まるポーチをセットで作ることにしました。レーシングスーツの中に着るハイネックのインナースーツをアップサイクルしています。アイボリー色で、薄手で軽く、丈夫な素材です。さらにそこに、車体に使われたカーボンで作った、TGRとJALのロゴが両面に刻まれたキーホルダーを付けることにしました」

かくして、作るものは決まりました。しかし通常の商品開発と違い、アップサイクルというテーマがあります。一度製品として世に出たものを、異なる形にして再び世に出すためには、通常の商品開発とは違う苦労があったと振り返ります。

一度世に出たものを、もう一度製品に。アップサイクルならではの開発秘話

山田「過去に国内線クラスJのシート本革をアップサイクルして商品を製造したことはありましたが、今回の普通席(JAL SKY NEXT 仕様)の本革を活用して商品を作ることは初めての挑戦でした。同じ本革とはいえ質感や裏張りの状態など違いも多く、シート本来のデザインを最大限生かして、本革を有効に使った商品に仕上げるために、洗浄や縫製においても試行錯誤を重ねました」

画像: 一度世に出たものを、もう一度製品に。アップサイクルならではの開発秘話

高い技術力を要する洗浄と縫製を引き受けてくれる会社を探すのが難しく、最終的に手を挙げてくれたのが、関連会社の(株)JALUX STYLEでした。こうしてバッグの商品開発が進む一方、ポーチの開発も着々と進んでいきます。

岩本さん「TGRにはフィンランドを拠点としたTGR-WRTというラリーチームがあります。そこに、ドライバー達が着用した廃棄予定のインナースーツが多くあることがわかりました。情熱が染みこんだ、唯一無二の価値ある素材であり、ぜひ活用したいと思いました。しかし、どの部分を使うか、サイズはどうするかなどは、かなり悩ましい部分でした。最終的に伸縮性のある素材感をそのまま活かしたいと考え、あえてマチはなくして、小物やガジェット、化粧品が入る長方形のちょうどいいサイズ感にしました」

コラボレーション自体を持続可能な取り組みへ。11月21日発売予定

画像1: コラボレーション自体を持続可能な取り組みへ。11月21日発売予定

TGRとJALのロゴを両面に施した、カーボンキーホルダーも力作です。クルマの製造工程で発生する余剰のカーボン素材をリサイクルし、トヨタの元町工場 で作られています。

山田「ほかにも関連商品として、TGRとJALロゴの入ったフライトタグを作っています。テキストは取り払って、飛行機とレーシングカーを組み合わせたアイコニックなデザインです」

こうして、ラインナップが出揃いました。トートバッグ、ポーチ、キーホルダーは30個限定のセット販売で4万6,000円(税込) にて発売予定です。11月21日(木)~24日(日)に開催されるラリージャパンの会場にて販売するほか、JALショッピングでも購入可能です。

神永「今回の取り組みが、TGRとJALのパートナーシップを一歩先に進めるマイルストーンと位置付けています。大変なところもありましたし、2つの別の会社ですから、それぞれ文化も違い、稟議を通すフローも違います。すり合わせも必要だった一方で、今回の取り組みは両社の販路やSNSが相互に活用でき、シナジー効果が見込めます。一社だけで臨むより影響力が大きくなるわけですから、やりがいがあります」

画像2: コラボレーション自体を持続可能な取り組みへ。11月21日発売予定

岩本さん「今後もオフィシャルグッズの中に“サステナブル”というテーマを取り入れていきたいと思っています。今回を単発の企画とせず、取り組み自体を持続可能なものにできたらと考えています」

空と陸、垣根を越えたコラボレーションの結晶は、もう間もなくお客さまのもとにお届けできます。チーム一同、その日を心待ちにしていますが、すぐに完売してしまう可能性もあります。気になるお客さまは、公式サイトをチェックしてみてください。

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