初夏を思わせるうららかな陽気に、少し肌で感じられる湿度。台湾気分を味わうにはピッタリの天候に恵まれました。4月3日は、台湾では春の大型連休のなかの一日だとか。
延期を経て実現したチャーターフライトは、おかげさまで大盛況
午前10時を過ぎると、台湾の賑わいを日本にもってきたかのように、成田空港第2ターミナル国内線カウンターに続々とお客さまが集まります。
台湾をイメージした装飾やイベントでお出迎え。まずは、台湾の伝統衣装に身を包んだ台湾観光局のスタッフさんが、ソーシャルディスタンシングを心がけながら、この日のために作られたパスポートにスタンプを押してくれます。
「おかげさまで盛況となり、本当にありがたく思います。海外旅行に行きたいというお客さまや、飛行機の旅がお好きなお客さまなど、世代を問わずご参加いただいています。お客さまの渡航ニーズの多いシンガポールに続き、今回は台湾。台湾の観光局と成田空港の全面的な協力をいただきました」
このように語るのが、企画・販売を担当した路線事業部の丹羽由紀子です。本イベントは1月に実施予定でしたが、緊急事態宣言の影響でこの日に延期。待ちわびたお客さまのワクワクした様子に触れ、感慨もひとしおです。
台湾気分に浸れる展示やイベントの数々
さて、保安検査場を通過すると国内線出発ロビーです。そこには、数多くのオブジェや展示物が。台湾の寺院などで見かける「祈福ツリー」や、繁栄と財産をもたらすというかわいらしい「金猪報喜」の前で、多くのお客さまが記念撮影に興じています。
また「台湾を遊ぼう 台湾美食輪投げチャレンジコーナー」では、成功したお客さまにプレゼントが。ドライパイナップルやDIYで作る灯籠キットなど、先着100名様分をご用意しました。
ほかにも、台湾の観光情報をご案内する「台湾観光局ツーリストインフォメーションセンター」も設置。多くのお客さまに台湾への興味を持ってもらう機会にしてほしいと、さまざまな工夫を凝らしています。台湾観光局のイメージキャラクター「オーベア」もそこかしこに。
この日、栃木県からいらっしゃったという小堀さん親子にお話を伺いました。
「実はチャーターフライトへの参加は3度目なんです。毎回工夫を凝らした展示やプログラムで、楽しませてもらっています。中国語を習っていて、コロナ禍でなければ台湾に行きたかったんです。また、息子の夢は飛行機のパイロット。ですから今回のフライトをとても楽しみにしていました」
搭乗ゲート前には台湾の観光地として有名な九份を模したフォトスポットが。ここでも、大勢のお客さまが列をなして記念撮影。ほどなく搭乗案内が始まります。バスでの移動ののち、搭乗タラップの前には、整備スタッフが整列してお客さまを歓迎します。機内でも、台湾をイメージした展示がお出迎え。
日本と台湾の末永い友好を願った“3399”便がテイクオフ
12時15分、整備士や関わったスタッフが見守るなか、いよいよフライトが始まりました。3399便は、中国語の長長久久(チャンチャンチュウチュウ)になぞらえたもので、「末永く」という意味です。台湾と日本の友好が末永く続くことを願って与えられた便名なのです。
「大変多くの方にお集まりいただき、感激しております」との原機長のアナウンスを皮切りに始まった3時間弱のフライトプログラムは、日本の見どころを回る旅でもあります。滑走路を離れた機体は、富士山や日本アルプスなどを横目に、台湾のある南西へと舵を切ります。
機内食は高級中華。台湾の味覚を詰め込んだ、ヤムチャ仕立て
離陸後すぐに、お待ちかねの機内食。機外の景色と、機内モニタで上映される台湾の美しい風景を楽しみながらいただく食事は、この日のために用意されたヤムチャ仕立ての特別メニューです。
前菜のよだれ鶏は、機内食には珍しく別添のパクチーとともに。肉厚でジューシーな鶏肉に、蒜泥醤(スワンニージャン)がよく絡みます。サラダには豆腐干絲(トウフカンス)がまぶしてあり、フレッシュでみずみずしいおいしさです。
メインは蒸し料理の競演です。具材の存在感がある海鮮錦糸焼売、見た目も味わいも繊細で透明感のある翡翠餃子、蟹肉の芳醇なうまみを閉じ込めた蟹焼売、もっちりとした食感と力強い具のコントラストがたまらない肉団子のもち米蒸し。いずれも別添の酢醤油か麻辣醤で楽しむ本格的なものです。
そして大ぶりなうえ、具がたっぷり入った蓮のちまきの満足感たるやすばらしいもの。チャーシュー、鶏肉、海老の存在が粒立って感じられる一方、甘辛い味付けと蓮の葉の香りに包まれて渾然一体のうまみが口のなかに押し寄せます。
筆者の私見ですが、蒸し料理と機内食はつくづく相性がいいように感じます。メインディッシュなどは機内で再加熱するひと手間があるわけですが、味や食感に影響が出にくいのが蒸し料理の利点です。
加えて特筆すべきはマンゴープリン。濃厚でねっとりとコクがあり、おかわりしたくなるほど絶品です。シェフが腕を振るった空の中華レストランでは、機内のいたるところから絶賛の声が上がるのを耳にしました。今回はエコノミーシートの食事ですが、ビジネスクラスのものと遜色のないレベルにあり、高級中華といって差し支えないように感じられました。
機内でも、降機後にも、催しが。次回のタイにもご期待ください
お茶やコーヒーとともに食後の余韻を楽しんでいると、紅包(ホンパオ)の配布が始まりました。これは日本でのお年玉に近い風習で、なかにさまざまなものを入れるのだとか。中身は、LED付きミニスカイランタン飾りの引換券。そして運試し企画も。紅包にもう一枚カードが入った幸運なお客さまには、グルメセットなど特別な景品が着陸後にお渡しされます。
楽しく賑やかなチャーターフライトはあっという間に終わり、成田空港へとランディング。そこで三々五々に解散……とならないのが、JALの海外旅行気分を味わうチャーターフライトです。
出発時同様、ご到着時にも関わったスタッフが総出でお見送り。特設ポストに家族に宛てた絵はがきを投函。後日、台湾からのエアメールとして届くという趣向です。
気持ちのうえではすっかり台湾気分ですから、後日、現地の思い出として絵はがきが届いたあかつきには、この日の思い出がありありと蘇ってくることでしょう。台湾のお菓子や観光情報、オリジナルマスクなどが入ったエコバッグとあわせて、帰宅後も楽しみが続きそうです。
「とても楽しかったです。機内食と富士山の景色が一番の思い出です。次回も楽しみにしていますね」
到着ロビーでご一緒した、先ほどの小堀さん親子がこんな感想を伝えてくださいました。次回のチャーターフライトのテーマはタイ。シェフが腕によりをかけた機内食と、趣向を凝らしたおもてなしの数々を準備中です。“ほほえみの国”の名にふさわしく、次回も大勢のお客さまの笑顔に溢れたイベントになるに違いありません。
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