ご自宅で旅行気分を味わう方法は数多くありますが、なかでも月替わりで違う景色が楽しめるカレンダーはいかがでしょうか。JALでは、毎年さまざまなカレンダーを制作しています。伝統あるものから新しいアプローチをとったものまで、お客さまのリクエストを参考にラインナップを拡充しているのです。
約70年の歴史を誇り、日本の伝統美を世界に発信し続けてきた「ARTカレンダー」
大道「JALのカレンダーの歴史は、この『ART』から始まりました。もともと1954年にサンフランシスコへの初飛行を記念して制作された販促品なのです。外国人にとって日本そのものにまだ馴染みがない時代、日本の魅力や文化をご紹介するためのものでした」
こう語るのは、制作を担当しているJALブランドコミュニケーションの大道法子です。最初のカレンダーは、海外のお客さまだけを対象にしていました。そんな70年の歴史を誇るカレンダーの新作の表紙は、国宝「扇面法華経冊子」(歌枕梶の葉図)です。1月は雅な着物「小袖 紅縮緬地宝船模様」を皮切りに、人々の願いが込められた蒔絵や陶磁器などを収録。最後は円山応挙の襖絵「松に孔雀図」で締めくくります。日本の美を縦横無尽に盛り込んでいます。
大道「ひとつのジャンルに囚われることなく、日本文化を幅広くご紹介しようという思いから、絵画や彫刻、染織など、さまざまに取り入れています。今回のテーマは『祈りのかたち』です。美術に詳しい編集者の橋本麻里さんにオファーし、企画からテーマの設定、掲載する美術品の選定までを担当していただきました」
全国の美術館などに赴き、可能なものはすべて撮り下ろしています。
大道「今回は初めて、JALとして大きなテーマを設定しました。5年計画でテーマを設定していまして、今回はその初年度。テーマ策定はコロナ禍の前でしたが、期せずして『祈りのかたち』というふさわしいテーマになりました。祈りの気持ちを込めてこその美術品ですから、極めて重要なテーマだと考えたのです」
奇跡の一枚も。JALオリジナルの美しい写真で1年を過ごす「A WORLD OF BEAUTY 2021」
さて、なかでも今回大きなリニューアルを遂げたのが、「A WORLD OF BEAUTY 2021」です。世界中の壮大な絶景を楽しむことができ、旅への気持ちを盛り上げてくれる写真が詰まっていますが、最初に掲載されたビーチの写真は「奇跡の一枚だった」と担当した同部の池田美帆が振り返ります。
池田「撮影中に偶然鳥が飛来して、羽を広げてくれました。メキシコのプラヤ・エスコンディーダというビーチです。制作会社の方々に行っていただきましたが、ここに行くまでに、船から100mくらい泳がないといけないんです。ディレクターから機材を抱えたカメラマン、今回モデルを務めたバレエダンサーも30分かけて荒波を泳いだと聞いています。でもさすがはプロで、泳ぎついてわずか30分後には力強い舞をみせてくれたそうです」
この写真は去年の冬ごろに撮影したものです。太陽の角度、雲の陰影など、美しい1枚を切り取るためには努力のみならず、運も求められます。このクオリティを全12枚、世界中、そして日本各地で撮らねばならない撮影ツアーは過酷を極めました。
池田「今年リニューアルをして、『Once in a Lifetime(一期一会)』というテーマを添えています。これまでは旅に行ってみたくなる街中の風景とモデルだったのが、旅への誘いはそのままに、絶景との出会いを求め、移りゆく時代のなかで、一瞬を切り取っていく趣向に変えました。ワシントン州のオリンピック国立公園には私も同行したのですが、一番いい撮影スポットや構図を足で探して、最高のタイミングを見つけて撮るというプロセスでした」
究極に美しい1枚を求め、世界中および日本各地の絶景地でロケを敢行
ほかにも、ベトナムのハン・エン洞窟は22kmのジャングルを雨が降りしきるなか歩き続け、キャンプをしながら撮影を敢行。また砂漠の写真は、ドバイから最高のロケーションを求めて、砂漠の道なき道を進み、アブダビまで辿り着きました。
池田「撮影したのは谷口 京さんというカメラマンさんで、とてもこだわりのある方です。購入者特典として、現地で撮影した360度動画をご覧いただけますから、ぜひ楽しんでいただきたいと思います」
最初は日本も含め、世界中の絶景地をバランスよく取り入れる方針でしたが、コロナウイルス感染拡大の影響で海外への渡航が難しくなり、チームは発想を転換しました。日本の知られざる景勝地をふんだんに盛り込む構成にしたのです。
池田「仕上がりには本当に満足しています。現地の空気が伝わってきますし、モデルさんもいきいきとした動きや表情が引き出されていて、『絶景と人との出会い』というテーマに即した内容に仕上がっていると思います。先々の見通しは付きませんが、来年もがんばります」
普段はご覧いただけないコクピットの様子をお楽しみいただける「JAL PILOT -I have Control-」
さて、ほかにもJALならではのカレンダーがあります。「JAL PILOT -I have Control-」「JAL SEASONS」「JAL NIGHT FLIGHT」「JAL なるほどカレンダー」の4枚は比較的新しく、2021年版で3年目。女性パイロットが表紙で目を引く「JAL PILOT」は、新しい試みをしていると同部の宮脇然は振り返ります。
宮脇「女性の運航乗務員は少なく、これまではキャスティングが難しかったのですがご出演いただく事が叶いました。彼女はボーイング737を操縦しています。」「『I have Control』というサブタイトルは、現役のパイロットからワードを公募して、協議のうえで決めました。パイロットが操縦桿を握るときに実際に使う象徴的な言葉です」
機体やコックピットの計器など、機械類の質感を表現するため、中面の2ページには特別に銀の箔押しを使うなど、印刷にもこだわって仕立てています。
宮脇「飛行機好きの方にはきっと喜んでいただけると思います。2019年に就航したエアバスA350や新型のATR42、ボーイング737など幅広い機種を掲載しています」
また昨年のカレンダーから、組み立て式のVRキットも付属。内部にスマホをセットすると、コクピット内を360度バーチャルで見渡せるのです。
池田「ちなみにエアバス社の最新機体A350は、『JAL FLEET』でもご覧いただけますので、ぜひお楽しみください」
これまでにない“旅する飛行機”の姿が詰まった「JAL SEASONS」
そして「JAL SEASONS」も、これまでになかった飛行機写真へのアプローチをとっていて、飛行機がお好きな方ならぜひご覧いただきたいカレンダーです。
宮脇「その名の通り、季節をしっかり追って1年かけて撮影しています。JALがずっと出してきた通常の『JAL FLEET』のような飛行機自体を美しく撮った写真とは少し違う試みをしています」
「JAL SEASONS」は、風景と飛行機とのコラボレ―ションを表現のコンセプトにしているカレンダーです。なかにはロゴに雪の粒がかかったものなど従来では採用していないような写真も、風景と飛行機とが一枚の絵として美しく、インパクトのあるものであれば積極的に取り入れました。
宮脇「機体を美しく正確に撮影することに縛られず、飛行機をモチーフに季節感のある写真表現を追い求めています」
後光のように光が射しているものや、満月に重なった787など、いきいきとした飛行機の姿と表情をお楽しみください。
夕焼けや深夜。美しい巨体のシルエットを楽しむ「NIGHT FLIGHT」
さて、飛行機の情景をお楽しみいただくなら「NIGHT FLIGHT」が適しているかもしれません。
宮脇「夕景や夜景に特化した飛行機の姿をご覧いただけます。撮影をお願いしたチャーリィ古庄さんは、航空写真業界では知らない人のいない大御所です。飛行機の動きがわかっていないと撮れない写真ばかりです」
幻想的な夜の灯りのなかで羽を広げる飛行機や、夕焼けに輝く機体など、普段はなかなかご覧になれない機体の表情をお楽しみいただけます。
池田「夕焼けを撮影することが大変だったと聞いています。本当に一瞬しかこの色は出ないらしくて」
宮脇「飛行機のいろいろな表情を届けたいという思いから、さまざまなテーマを設けてカレンダーをご用意しています」
思わず「なるほど!」。かわいらしく、学びの詰まった「なるほどカレンダー」
また、「なるほどカレンダー」はどいせなさんという気鋭のイラストレーターを起用。幅広い方々に楽しんでもらえるよう、かわいらしいイラストで構成されています。
「ひとつひとつのイラストに飛行機に関するネタを仕込んでいるんです。仕様や運航についての豆知識がちりばめられ、裏面には解説文があります」
1カ月で捨ててしまうのはもったいないので、切ってポストカードとしてもご利用いただけます。お子さま向けにもピッタリなカレンダーかもしれません。
JALのカレンダーは全8種類。幅広いラインナップをご用意しています
ほかにも客室乗務員の写真を集めた「JAL CABIN ATTENDANT」を加えた全8種類を、5~6人のチームで制作しています。1年がかりで作り上げたカレンダーばかり、担当者の感動もひとしおのようです。
池田「自分が行って撮影地を見てつくったものもありますから、できあがりを見るのはうれしいです。やっぱりすごく思い入れが強くなりますね。現地の空気感を知っているなかで、それがすごく表現できていることもあって、ぜひこれを多くの方にご覧いただきたいと思っています」
「お客さまに少しでも旅を感じていただきたい」「飛行機の魅力を感じてほしい」というのが、担当スタッフの思いです。
宮脇「『旅への誘い』というテーマをすべてのカレンダーに添えています。飛行機はもちろん、まだ行ったことのない国や地域、旅先のことを多くの方々にもっと知っていただき、興味をもつきっかけになれば嬉しく思います」
旅情をかき立てるもの、飛行機の姿を楽しんでいただけるもの、空の知識を深めるものなど、幅広いラインナップをご用意し、来年のカレンダーも豊作です。カレンダーは日取りを確認するものですが、時間を忘れてお楽しみいただける自信作ばかり。ご自宅に飾ってみてはいかがですか?
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