羽田空港第1ターミナルには、グランドスタッフとしてロボットが働いています。その名も「JET」。AIによる自律型ロボットではありません。実際のグランドスタッフが、自宅などから遠隔操作して、ご案内業務ができます。ロボットを介してお客さまがスタッフと接することで、さまざまなお手伝いができ、お困りごとを解決できるのです。コロナウイルスの影響が続くなか、お客さまに安全と安心を提供できる新しいJALのスタッフ、その誕生秘話をご紹介します。
画像1: 自宅からリモート操作も。JALのお客さま対応ロボット「JET」開発秘話

羽田空港第1ターミナルでは、新たなスタッフがお客さまをご案内しています。「JET(ジェット)」という名のロボットです。コロナ禍でグランドスタッフとのコミュニケーションに不安感が伴う現在、グランドスタッフが遠隔操作してご案内業務を行うJETは、安全に高品質なサービスをご提供できる存在となりそうです。

画像2: 自宅からリモート操作も。JALのお客さま対応ロボット「JET」開発秘話

しかし、JETの開発がスタートしたのはコロナウイルスの流行が発生する以前の2018年。JETの導入は、JALの働き方改革の一環としてスタートしたのです。当初からプロジェクトに携わっていたデジタルイノベーション推進部の落岩麻衣は、このように振り返ります。

ロボットを使って、グランドスタッフの働き方改革を

画像1: ロボットを使って、グランドスタッフの働き方改革を

落岩「アバターロボットを業務改革に使えないかということで、検討を開始しました。JALとして完全にAIロボットを採用してしまうと、おもてなしのクオリティが落ちてしまう。そこで、テクノロジーと人財を掛けあわせたこのソリューションを採用しました」

空港企画部のカムチャイパイ・クンラウィッチはこう続けます。

画像2: ロボットを使って、グランドスタッフの働き方改革を

カムチャイパイ「ライフステージに応じて、育児などで家にいなければいけないスタッフが出てくるわけです。場合によっては離職せざるを得ないケースも少なくありません。そんなスタッフに向けて、ロボットを介することで知識や経験を引き続き職場で活かしてもらいたい。社会との接点を引き続き持ってほしいという願いがありました」

お客さまから見えなくなってしまう……初代JETの課題

こうしてスタートしたプロジェクトですが、現在働いているJETは、実は2代目です。初代は2019年に羽田空港ビルが採用していた「モーク」というロボットと同型の既製品を採用し、各地の空港で実証実験を開始しました。しかしそこにはいくつかハードルが待ち受けていたのです。

画像: お客さまから見えなくなってしまう……初代JETの課題

カムチャイパイ「初代は身長80cmで、混雑時の空港ではお客さまから見えなくなるケースもありました。また、搭載カメラでは自動チェックイン機の画面が視認できない問題も見つかりました。操作面でも課題があり、VRゴーグルを採用していたため、操作スタッフが画面の揺れで酔ってしまい、なかには酔い止めが必要なスタッフもいたくらいで……。また当時は直進安定性が悪く、すぐ斜めに進んでしまうこともありました」

デザインと性能が飛躍的に頼もしくなった、JALオリジナルの2代目

画像1: デザインと性能が飛躍的に頼もしくなった、JALオリジナルの2代目

実証実験でわかったこのような問題を受け、2代目は完全オリジナルのJAL仕様として設計されました。身長は110cmと約30cm大きくなり、かわいらしさに加え頼もしさが備わっています。そして性能も格段に向上しました。

画像2: デザインと性能が飛躍的に頼もしくなった、JALオリジナルの2代目

落岩「ジェットの左側の目は高精細なフルHDのメインカメラになっています。さらに本体の前後左右に4つのカメラを備え、自動車のアラウンドビューモニタの要領で本体の周辺、空港のタイル2枚分を常に表示することで、お客さまにぶつからないようにしています。さらにJETの首がどの向きにあるのか、お客さまの方向を向いているかを確認できるようにしているほか、胸部にあるカメラは静止画撮影に対応していて、搭乗券の券面などの情報を正確に確認できるような工夫をしています」

画像3: デザインと性能が飛躍的に頼もしくなった、JALオリジナルの2代目

移動にはメカナムローバーという特殊なタイヤを使っていて、縦横無尽に動きます。直進安定性も初代より遙かに向上しました。

落岩「そして追加したのがアナウンス機能です。チェックインカウンター等の非制限エリアと保安検査通過後の制限エリアで使える9種類の定型文に加え、その場で吹き込んで再生できる録音機能も備えました」

本体下部にはジェットエンジンの吸気口を模した大型スピーカーが2台備わります。こうして大きな進化を遂げた2代目JETですが、これで完成ではありません。

カムチャイパイ「インディ・アソシエイツというメーカーが開発を担当していますが、現在もJALと二人三脚でJETを育てています。ソフトウェアの部分や、運用で発生したさまざまな課題についてフィードバックを重ねていて、日々アップデートを続けています」

コロナ禍でも不安のないご案内ができるJETを、やがて全国へ

「開発のスタート当初、コロナ禍で使うという想定はまったくありませんでした」と空港企画部の大西康晴はいいます。お客さまからスタッフと直に接することに不安の声が挙がっている現在、JETには安全と安心をご提供できる大きなポテンシャルがあります。

画像1: コロナ禍でも不安のないご案内ができるJETを、やがて全国へ

大西「羽田空港では、新たに自動手荷物預け機を導入したため、グランドスタッフはロビーに出て接客するシーンが増えているのです。JETがロビーで接客することで、お客さまへの安心提供の一助になると考えています」

こうした状況のなか、現在1台で運用しているJETの配備数を増やしていきます。

大西「究極の非接触の対応として、JET導入を進めるスピードは格段に上がりました。そして、お客さまの意識の変化は顕著です。日本人はロボットとコミュニケーションを取ることに恥ずかしさから、抵抗があるといわれています。しかし非接触が望ましいという社会の変化もあり、お客さまにとってもJETを受け入れていただくハードルが少し下がった印象を受けます」

羽田空港のみならず、全国の空港に順次配備を開始していきます。

画像2: コロナ禍でも不安のないご案内ができるJETを、やがて全国へ

カムチャイパイ「運用できるレベルになったら、量産を開始したい考えです。1台しかないと、お客さまにとってもユニークなキャラクターで終わってしまう可能性があります。これが増えれば、JETが業務をするのが当たり前になりますし、お客さまも違和感なくサービスを受けていただけるようになる。“慣れ”を醸成しながら、的確で上質なサービスを提供できる世界を作りたいと考えています」

JALにとってもお客さまにとっても、求められる存在へ

JETの導入でJALが目指すのは、お客さまが安心して上質なサービスを得られることと、グランドスタッフが多様な働き方を選べる環境を整えることです。初代では大がかりな操縦機材が必要でしたが、2代目ではネットにつながるPCとヘッドセット、ゲームパッドさえあれば、世界中どこにいてもJETを通してお客さまのご案内ができます。

画像1: JALにとってもお客さまにとっても、求められる存在へ

落岩「私はもともとグランドスタッフとして働いていたんです。現場で働くのが常識ですから、在宅勤務なんて夢にも思いませんでした。これは、グランドスタッフの働くモチベーションになるはずです。弊社がJAL SMART AIRPORTと呼ぶ先進的な空港のあり方につながりますし、コロナウイルスのようなイベントリスクへの備えにもなります。大きな可能性を感じながら開発をしています。ロボットを通じて働くことが世の中に定着して、当たり前になったら嬉しいですね」

そして、よりよいサービスを提供するために開発チームはさまざまなアイデアを出しています。

画像2: JALにとってもお客さまにとっても、求められる存在へ

大西「実は私がJETの名付け親なんですが、JETを厳しく育ててきました。今の形になるまで多くのハードルを越えてきましたが、改善できることはまだまだあると感じています。たとえばいずれスマホやタブレットでも操作できるようにしたい。さらに機能を高め、お客さまにご満足いただけるよう改善を図っていきたいです」

JETは、JALならではのロボットのあるべき理想型のひとつです

JALのみならず、現在さまざまな企業がロボットの導入を進めています。快適な空の旅を提供する航空会社として、あるべきロボットの姿には確固たるビジョンが必要であるとJALは考えています。

画像1: JETは、JALならではのロボットのあるべき理想型のひとつです

カムチャイパイ「さまざまな企業がアバターやAIロボットの実証実験をしているなかで、JALのロボットは強みであるヒューマンサービスを活かす存在にしたいのです。JETは我々が提唱する、新しい旅のカタチをサポートする存在だと考えて期待しています。JETが“ニューノーマル”になっていくのが楽しみです」

画像2: JETは、JALならではのロボットのあるべき理想型のひとつです

ロボットが当たり前にお客さまをご案内する。そんな夢物語ではない世界が、近い将来に待っています。空港でJETを見かけた際には、ぜひお気軽にお声がけください。グランドスタッフと変わらない精度で、お客さまのお手伝いができるはずです。

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https://www.jal.co.jp/jp/ja/info/2020/other/200228/

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