画像1: 機長の仕事

ボーイング737-800機長 島田

皆さま、新年あけましておめでとうございます。ボーイング737-800機長の島田です。
本年も旅コラムを引き続きご愛読いただきますようよろしくお願いいたします。

一つのフライトを完遂するために、決めなければならないことが実に沢山あります。
出発前には飛行経路、高度、搭載燃料に始まり、シートベルト着用サインの点灯消灯のタイミングなど。また、飛行中は経路上に現れた雲に対する対処(避けるのか避けないのか)や、揺れてきた場合に経路、高度をどうするかなど。常に変化する状況に対し、毎回判で押したように同じように対応するのではなく、その時々に応じ適切に判断し、対応する必要があります。そのような時に自らの経験と知識とで常に独断的に決定し遂行するのが機長の仕事...ではありません。

現在弊社が所有している航空機はすべて2人のパイロットで操縦する仕様になっています。この航空機では機長と副操縦士が協力して運航することによって安全が確保されるように設計されており、2人のパイロットは「チームとして機能すること」が求められています。
これは、しばしばテニスのダブルスの試合にたとえられます。シングルスの試合で非常に強い選手同士がいきなり組んで試合をしても、必ずしも最強のチームになるとは限りません。ダブルスでは、お互いコミュニケーションを取り合いながら、共通の認識のもと、作戦を練り役割分担し合いながらプレーをしないと強いチームになれないからです。
パイロットの仕事も同じで、何か運航のリスクとなるような事象に気づいたら、気づいた方がそれを共有し、認識を擦り合わせ、2人で分析し、予測し、それを避けるための方法や手段を考え遂行する。またその結果を見て必要に応じて別の方法を考える。というサイクルを繰り返すのです。
そのプロセスがうまく回るよう主導し、最終的に判断するのが機長の仕事なのです。ダブルスチームのリーダーと言ったところでしょうか。
このプロセスを回すために必要な能力をNon technical skills(航空機の運航に必要な認知、判断、対人に関わるSkills)と言います。

私は最近、1年以上続く長い機長昇格訓練を終え機長になりましたが、訓練中もこのNon technical skillsに関して指摘を受けることがありました。ある教官には「家でも練習できるんだよ」と言われ、家でも「チーム」を強く意識して、どこかに食事に行くときや遊びに行くとき、家電や家具などを買うときなどに、家族(チームメンバー)を巻き込んで先ほどのプロセスで意思決定をすることを心掛けています。

フライト中はめまぐるしく状況が変わります。そのような中でタイムリーにコミュニケーションをとり適切に対処することはとても重要です。
皆さまにご搭乗いただいた便でも、扉の向こうのコックピットでは、より安全、より快適、より安心なフライトを提供できるようパイロット達が常に作戦会議をしています。

画像2: 機長の仕事

※旅コラムは、2019年1月4日時点の内容です。

掲載の内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。

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