〈2日目〉
カヌーに乗り、湖上から夏の屈斜路湖を体感
2日目は早起きして、屈斜路湖へ。ホテルから車で約20分のところにある和琴半島大駐車場に移動します。
体験するのは、SOMOKUYA(そもくや)のカヌーツアーです。ライフジャケットを着て、ガイドのつっちーさんから安全に関するレクチャーを受けます。
湖の上は真夏でも20℃を下回ることがあり、虫なども発生しやすいので、長袖・長ズボンがおすすめ。濡れても乾きやすい素材のものがベスト。雨具と長靴の貸し出しもあります。
この日はレイクカヌーツアーに参加。和琴半島を1周する約3km、2時間ほどのコースです。
早朝の湖はしんと静まり返り、周りにうっすらと靄がかかって神秘的な光景が広がります。「ひっそりとした朝一番のこの時間、実はねらい目なんですよ」とつっちーさん。「早起きしてよかった!」と笑顔のふたり。
カナディアンカヌーは3人乗りで、ガイドが基本的な操作を担当するので、カヌー初体験でも安心して楽しめます。
カヌーは心地よいスピードで水の上を滑らかに進んでいきます。何といっても魅力的なのが、水の透明度。カヌーが傾きすぎないように気を付けながらそっと水中に目をやると、赤や白の石、素早く動く魚の影、水底に横たわる流木……どれもはっきりと確認できます。
湖に突き出た和琴半島が見えてきました。屈斜路湖は幾多にわたる火山活動を繰り返した末にできたカルデラ湖。和琴半島にある「オヤコツ地獄」では、あちこちで噴煙が噴き出しているのがわかります。
カヌーを降りて、和琴半島に上陸。岩と岩の間に温泉が湧き出し、火山活動の名残を感じることができます。手をかざすとあたたかく、周囲には硫黄の香りが立ち込めていました。
ここでつっちーさんが取り出したのは、なんと生卵。ゆで卵づくりに挑戦です。
そのまま待つこと約10分。取り出した卵からは、ほかほか湯気が上がっています。
殻をむくと、ちゃんとゆで卵が出来上がっていました。オヤコツ地獄の温泉で作ったゆで卵は、ほんのり硫黄の香りがして特別な味。この日、この時間、この場所だからこそ出合えた景色と体験の連続です。そのすべてに感謝するふたりでした。
※ゆで卵づくりは天候状況などによって体験できないこともあります
水の中に手を入れてみたり、長靴のまま歩いてみたり、屈斜路湖の自然を全身で体感しました。
長さ約4.8m、幅約90cmのコンパクトなカナディアンカヌーは、川幅が狭い場所も通りやすく、自然をすぐ近くに感じられるのが魅力。川面から見る森林は、陸で見るのとはまた違った表情がありました。
SOMOKUYA
住所 | : | 北海道川上郡弟子屈町屈斜路198-4 |
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電話番号 | : | 015-484-3765 もしくは 090-4124-1256 |
営業時間 | : | (電話受付)8:00~20:00 (雑貨販売)基本13:00~16:00 |
定休⽇ | : | 不定休 |
料金 | : | 釧路川源流・レギュラーコース9,000円、釧路川源流・ショートコース5,500円、屈斜路湖&源流1DAYコース19,000円など。(いずれも1名料金。2名以上で利用の場合) 小学生・幼児料金あり |
web | : | http://www.somokuya.com/ |
大迫力! 雌阿寒岳で大地の息遣いを感じながら、山頂からの絶景を望む
SOMOKUYAから阿寒湖方面へ車で1時間15分ほど。最後のアクティビティは登山です。湖の南西に位置する雌阿寒岳に挑みます。
3つの登山コースのうち、「雌阿寒温泉コース」を選択。登山口は雌阿寒温泉の手前にあります。登山靴を履いて準備が整ったら、いざ出発!
アカエゾマツの林の中を進んでいきます。雌阿寒岳山麓部のアカエゾマツは、直径50~60cmのもので樹齢は300~350年だそう。「気が遠くなるほどの年月だね」「これからどんな景色が見られるのかな」と会話するふたり。
アカエゾマツの森を抜けると、木々の樹高が低くなりハイマツ帯が現れます。ここからはぐっと勾配が急になります。ややきつい登りになりますが、足元の根や石に注意しながら、一歩ずつ進んでいきましょう。
中腹を越えると視界が開けて、一気に周囲を見渡せるようになります。前・後・横のどこを見ても森林。街の景色を見下ろすのではなく、視界に入るものは自然のみ。この広大な森林風景は、阿寒エリアの大きな見どころのひとつです。
5合目あたりからは大きくゴツゴツした岩場になり、さらに急な登りになります。足場に十分注意を払いながら歩きましょう。「トレッキングシューズは必須ですね」と黒田さん。鍔原さんも「前日はよく寝て、体力万全で当日を迎えてください」とアドバイス。また、虫が多いので虫よけスプレーをしていくことをおすすめします。
山頂付近まで来ると、赤沼火口を見下ろすことができます。この景色が何とも言えない味わい。硫黄の黄緑色、地層の茶色とオレンジ、湯けむりの白色……。さまざまな色が溶け合って、絶妙な彩りを生み出しています。
火山れきで覆われた足場を一歩進むごとに高度が増し、そこから見える景色もダイナミック。ここは樹林の生育が不可能になる「森林限界」。ずいぶん高くまで登ってきたことがわかります。不安定な足場が続いてちょっぴり疲れが出てきたところでしたが、絶景がご褒美になりました。
頂上近くの岩石と砂れき帯は、まるで月面のよう。さっきまですぐ近くにあった緑はもう遥か遠くにしか見えず、別世界にやって来た気分です。
雌阿寒岳は阿寒山群の主峰で、約2万年前から火山活動を開始し、何度も噴火を繰り返してきました。ふたりが登っているこの峰も、未だ火山活動を続けています。あちこちで噴き上がる噴煙と山の上の雲が同化して、何とも言えないロケーションです。
登り始めて約2時間半で、とうとう山頂へ到着! 標高は1,499m。山頂標識の前に立つと、急勾配を登り切った疲れも吹き飛んで達成感がぐっと込み上げます。周囲は濃いガスで包まれ、残念ながら阿寒湖側も火口側もはっきりとは見えませんでしたが、この光景も山頂ならでは。猛々しく、それでいて神秘的な雌阿寒岳です。
しばらくすると霧の間から阿寒富士が姿を現しました。何かいいことが起こりそうな予感がします。
下る途中に見える景色も「360度すべてが山」の大展望。ゴロゴロした岩場からも自然の力強さを感じます。
澄み渡った青空の下、山肌には緑のじゅうたん。岩の灰色・土の赤茶色とのコントラストも鮮やかです。「秋もきっときれいなんだろうね」と、雌阿寒岳の四季に思いを馳せます。
オンネトー湖を一望できる、絶好のビューポイント。樹海の中に現れたエメラルド色が美しく、天気が良い日は遠くに大雪山を拝むこともできるそう。1時間半ほどかけて下山し、大満足の登山を終えました。
雌阿寒岳
住所 | : | 北海道釧路市阿寒町、足寄郡足寄町 |
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電話番号 | : | 0154-67-4100(阿寒湖畔エコミュージアムセンター)、 0154-67-3200(阿寒観光協会まちづくり推進機構)、 0156-25-6131(NPO法人あしょろ観光協会) |
コース | : | 雌阿寒温泉コース(距離:片道約3.3km、往復時間約4時間10分)、 阿寒湖畔コース(距離:片道約6.3k m、往復時間約6時間5分)、 オンネトーコース(距離:片道約4.4km、往復時間約4時間50分)の3コース。 |
web | : | https://hokkaido.env.go.jp/kushiro/content/900144902.pdf (阿寒摩周国立公園トレイルガイド) http://business4.plala.or.jp/akan-eco/index.html (阿寒湖畔エコミュージアムセンター) https://ja.kushiro-lakeakan.com/things_to_do/3722/ (釧路・阿寒湖観光公式サイト) https://www.town.ashoro.hokkaido.jp/kanko/spot/spot-9.html (NPO法人 あしょろ観光協会) |
豊かな自然と豪快なアクティビティを一度に楽しんだ1泊2日の旅。黒田さんは「自然の中で普段なかなかできないアクティビティ体験ができて最高でした。動物たちに出合えたのもうれしかったです」と喜びを語ります。
実は、この2日間で見られた生きものは、タンチョウ、キタキツネ、エゾシカ、エゾリス、ウシ、野鳥など多数。鍔原さんも「北海道に住んでいるのに初めての体験ばかりでした。改めて北海道の素晴らしさを感じました」と話していました。
植物も動物ものびのび暮らす雄大な自然の中で、心も体も元気になれるアクティビティツアー。この夏にぜひ出かけてみませんか。
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